Upgrade to Pro — share decks privately, control downloads, hide ads and more …

jackson-module-kotlin 2.19の新機能とJackson 3.0に向けた取組

wrongwrong
February 25, 2025

jackson-module-kotlin 2.19の新機能とJackson 3.0に向けた取組

wrongwrong

February 25, 2025
Tweet

More Decks by wrongwrong

Other Decks in Technology

Transcript

  1. 大幅性能改善版 StrictNullChecks の追加 StrictNullChecks は、 List や Map の値の nullability

    の厳密チェックオプション 無効では List<Any> や Map<*, Any> の値に null を入れられてしまう = Kotlin の null 安全が壊れ、アクセス時のヌルポに繋がる 有効にするとデシリアライズのスループットが悪くて70%未満まで低下する 安全性と性能を天秤にかける必要が有った デフォルトでは無効 -> 性能を大幅改善した NewStrictNullChecks オプションを追加した 4
  2. 大幅性能改善版 StrictNullChecks の追加 処理方式を変更することでスループットを圧倒的に改善した これまでは処理の度にリフレクションで型と nullability を確認していた jackson-databind の null

    チェック機構を用い、初回のみ確認に変更 ベンチマークでは無効時比98%以上のスループットを保てた Benchmark スループット比 (before) スループット比 (after) スループット改 善率 E_5P.empty 73.8% 99.8% 1.34 E_5P.fiveContents 80.0% 98.7% 1.26 T_20P.empty 67.1% 99.7% 1.46 T_20P.fiveContents 73.5% 105.1% 1.30 5
  3. 大幅性能改善版 StrictNullChecks の追加 新方式では、 throw される例外が MissingKotlinParameterException から InvalidNullException へ変更される

    メッセージも変更される 今はまだ古い StrictNullChecks も利用可能 新方式のメリットが非常に大きいため、最終的には移行予定 (古い処理を消せるとデシリアライズ全体が誤差レベルで高速化する) 6
  4. MissingKotlinParameterException のベースクラス変更 MismatchedInputException から InvalidNullException へ変更される InvalidNullException は MismatchedInputException の子クラス

    MissingKotlinParameterException と InvalidNullException を両方 catch して いる場合、前者を先に catch するよう変更が必要 KotlinModule から発生する例外を InvalidNullException に統一したかった 新 StrictNullChecks への移行 MissingKotlinParameterException の廃止へ向けた準備 名前や機能に幾つか問題点が有るため 7
  5. value class 向け共通 KeyDeserializer の追加 value class を Map のキーに指定した場合、これまでは個別にカスタム

    KeyDeserializer を定義する必要が有った databind 側のバグのせいで共通 KeyDeserializer が定義出来なかった 2.19 からは、共通 KeyDeserializer が利用できる ( databind 側のバグは自分で直した) 8
  6. Jackson 3.0 に向けた取組 Jackson は近い内に 3.0 が出る予定 2月末までに 3.0.0-rc1 がリリース予定

    大規模な破壊的変更も行われる パッケージ構成や関数の引数など 幾つかのデフォルト設定 9
  7. StrictNullChecks デフォルト有効化 StrictNullChecks は、 List や Map の値の nullability の厳密チェックオプション

    デフォルトが null 安全を破壊する状態なのは避けたい 前述のスループット改善により、デメリットもほぼ無くなった 投票でも反対が無かった -> デフォルト有効化を決断 10
  8. SingletonSupport デフォルト有効化 SingletonSupport は、 object を別インスタンスにデシリアライズしない機能 デフォルトだと別インスタンスになるせいで、 Singleton === deserialized

    が false になる Kotlin 観点で予想しにくい挙動 投票でも反対が無かった & スループット計測結果も大差無かった -> デフォルト有効化を決断 11
  9. FAIL_ON_NULL_FOR_PRIMITIVES デフォルト有効化 ※ databind 側の変更 デシリアライズ時、プリミティブ型に対する null 入力をエラーにする機能 デフォルトでは 0

    など Jackson 側のデフォルト値が設定されてしまい、エラ ーにならない 特に Kotlin で見ると予想しにくい挙動だった ( jackson-module-kotlin へ何度もイシューが立った) 個別のモジュール側で対処出来る問題ではなかった -> 自分から提案した所、最終的にデフォルト有効となった 12