Upgrade to Pro
— share decks privately, control downloads, hide ads and more …
Speaker Deck
Features
Speaker Deck
PRO
Sign in
Sign up for free
Search
Search
「現場で活躍するAIエージェント」を実現するチームと開発プロセス
Search
takuya kikuchi
July 18, 2025
Technology
2
220
「現場で活躍するAIエージェント」を実現するチームと開発プロセス
AOAI Dev Day 2025 での登壇資料です。
takuya kikuchi
July 18, 2025
Tweet
Share
More Decks by takuya kikuchi
See All by takuya kikuchi
20250708_engineering_bd
tkikuchi1002
0
36
Agentic Workflowという選択肢を考える
tkikuchi1002
1
800
生成AI時代のソフトウェアエンジニアが持つべきケイパビリティを考える
tkikuchi1002
8
5.7k
RAGをテーマに考える、LLMの認知アーキテクチャとソフトウェア設計
tkikuchi1002
3
1.5k
生成AIの不確実性と向き合うためのオブジェクト指向設計
tkikuchi1002
3
7.2k
Azure AI SearchとPromptFlowではじめるRAG
tkikuchi1002
2
1.5k
法人向けChatGPTにおける Azure OpenAI Serviceの課題解決の過程と現在
tkikuchi1002
2
2.2k
LLMエンジニアリングを加速させるソフトウェアアーキテクチャ
tkikuchi1002
2
6.1k
WebAPIのバリデーションを、型の力でいい感じにする
tkikuchi1002
0
110
Other Decks in Technology
See All in Technology
Maintainer Meetupで「生の声」を聞く ~講演だけじゃないKubeCon
logica0419
0
110
組織内、組織間の資産保護に必要なアイデンティティ基盤と関連技術の最新動向
fujie
0
250
「Chatwork」のEKS環境を支えるhelmfileを使用したマニフェスト管理術
hanayo04
1
390
CDK Toolkit Libraryにおけるテストの考え方
smt7174
1
550
Figma Dev Mode MCP Serverを用いたUI開発
zoothezoo
0
220
無理しない AI 活用サービス / #jazug
koudaiii
0
100
〜『世界中の家族のこころのインフラ』を目指して”次の10年”へ〜 SREが導いたグローバルサービスの信頼性向上戦略とその舞台裏 / Towards the Next Decade: Enhancing Global Service Reliability
kohbis
3
1.4k
衛星運用をソフトウェアエンジニアに依頼したときにできあがるもの
sankichi92
1
980
“日本一のM&A企業”を支える、少人数SREの効率化戦略 / SRE NEXT 2025
genda
1
260
SREのためのeBPF活用ステップアップガイド
egmc
2
1.3k
NewSQLや分散データベースを支えるRaftの仕組み - 仕組みを理解して知る得意不得意
hacomono
PRO
3
230
LIXIL基幹システム刷新に立ち向かう技術的アプローチについて
tsukuha
1
360
Featured
See All Featured
KATA
mclloyd
30
14k
GitHub's CSS Performance
jonrohan
1031
460k
Music & Morning Musume
bryan
46
6.7k
Improving Core Web Vitals using Speculation Rules API
sergeychernyshev
18
990
Intergalactic Javascript Robots from Outer Space
tanoku
271
27k
"I'm Feeling Lucky" - Building Great Search Experiences for Today's Users (#IAC19)
danielanewman
229
22k
Building an army of robots
kneath
306
45k
10 Git Anti Patterns You Should be Aware of
lemiorhan
PRO
656
60k
Into the Great Unknown - MozCon
thekraken
40
1.9k
Making the Leap to Tech Lead
cromwellryan
134
9.4k
The MySQL Ecosystem @ GitHub 2015
samlambert
251
13k
Side Projects
sachag
455
42k
Transcript
「現場で活躍するAIエージェント」 を実現するチームと開発プロセス 株式会社Algomatic ネオセールスカンパニーCTO 菊池琢弥 2025-07-18 AOAI Dev Day 2025
© 2024 Algomatic Inc. フィンテックスタートアップにおいて開発リー ドやVPoEとしての開発組織構築を担当したほ か、モバイルオーダープラットフォームを⼿が けるShowcase GigではVPoTとして技術領域全 般を管掌。2023年、Algomaticにカンパニー
CTOとして参画し、2025年に営業AIエージェン ト「アポドリ」をリリース。 ソフトウェア開発、設計、ドット絵が好き。 ⾼専出⾝です。 Algomatic ネオセールスカンパニーCTO 菊池 琢弥 / Takuya Kikuchi 2 © 2024 Algomatic Inc.
© 2025 Algomatic Inc. 運営サービス(⼀部) 3
© 2025 Algomatic Inc. 運営サービス(⼀部) 4
© 2025 Algomatic Inc. 運営サービス(⼀部) 5
6
⼈の代わりに営業活動を⾏う「AIエージェント」 7 従 来 ア ポ ド リ 営業! 営業!
お願い!
SaaSではない 「営業リスト」を渡すだけでアポが取れる 8 お 客 様 ア ポ ド リ
①ターゲット 企業の選定 企業名、URLなど ②セットアップ/ アプローチ準備 公開情報からキーマ ン特定と1to1⽂章⽣ 成など ③アプローチ実⾏/ 商談創出 メール/問い合わせ フォーム/SNS/⼿紙/.. ④商談実施 リストを 渡すだけで 待ってるだけ 商談の申込み
たくさんのタスクをこなしながら、アポを取る 9 リスト 提供 企業情報収集 企業名や住所、URL情報からWeb‧独⾃DBを探索し、収集 収集したデータの加⼯や評価 担当者収集 企業の役員‧従業員の情報をWeb‧独⾃DBを探索し、収集 収集したデータの加⼯や評価
1to1⽂章⽣成 企業情報、担当者情報を元に、ターゲットリストに最適なオリ ジナルの1to1メッセージを作成、評価 アプローチ実⾏ メール/問い合わせフォーム/SNS/⼿紙などのあらゆるチャネル からアプローチを実施 データ分析 どういった内容、業界、役職、部署へのアプローチが効果的で あったか分析し提⽰ アプローチ先 情報収集 連絡先、問い合わせフォームをWeb‧独⾃DBを探索し、収集 収集したデータの加⼯や評価
多くの反響をいただきました 10
本題 11
「現場で活躍する」 AIエージェント 12
…の前に 13
「現場で活躍しない」 AIエージェント、AIツール 14
© 2025 Algomatic Inc. 逆に「現場で活躍しないAIエージェント‧ツール」を考えてみる 15 「使うのが⾯倒臭い」
© 2025 Algomatic Inc. 逆に「現場で活躍しないAIエージェント‧ツール」を考えてみる 16 「使うのが⾯倒臭い」 「使ったけど結果が微妙」
© 2025 Algomatic Inc. 逆に「現場で活躍しないAIエージェント‧ツール」を考えてみる 17 「使うのが⾯倒臭い」 「使ったけど結果が微妙」 「⾃分でやったほうが早くない?」
「現場で活躍する」 AIエージェント 18
© 2025 Algomatic Inc. 「現場で活躍するAIエージェント」を考えてみる 19 「信じて任せられる」
© 2025 Algomatic Inc. 「現場で活躍するAIエージェント」を考えてみる 20 「信じて任せられる」 アウトプット品質に満⾜
© 2025 Algomatic Inc. 「現場で活躍するAIエージェント」を考えてみる 21 「信じて任せられる」 細かい指⽰が不要 アウトプット品質に満⾜
© 2025 Algomatic Inc. 「現場で活躍するAIエージェント」を考えてみる 22 「信じて任せられる」 細かい指⽰が不要 アウトプット品質に満⾜ ⾃分でやらないで良い
© 2025 Algomatic Inc. 「現場で活躍しないAIエージェント‧ツール」を思い出す 23 「使うのが⾯倒臭い」 「使ったけど結果が微妙」 「⾃分でやったほうが早くない?」
© 2025 Algomatic Inc. 「現場で活躍しないAIエージェント‧ツール」を思い出す 24 「使うのが⾯倒臭い」←任せられればOK 「使ったけど結果が微妙」←信じてもらえればOK 「⾃分でやったほうが早くない?」←信じて任せられればOK
© 2025 Algomatic Inc. 「現場で活躍しないAIエージェント‧ツール」を思い出す 25 「使うのが⾯倒臭い」 「使ったけど結果が微妙」 「⾃分でやったほうが早くない?」 信じて任せられるならば
使ってもらえる!活躍できる!
「信じて任せられる」AIエージェント どう作る? 26
27
「信じて任せられる」AIエージェント アポドリのつくりかた 28
アポドリのつくりかた ① 領域は狭く、深く ② まず⼈間がやってみる ③ ドメインエキスパートが開発する 29
アポドリのつくりかた ① 領域は狭く、深く ② まず⼈間がやってみる ③ ドメインエキスパートが開発する 30
領域は狭く、深く • つい「なんでもできる」ものを作りたくなりがちだが... ◦ 「広く浅くなんでもできる」は「何もできない」と同じ • 「ここを任せられたら嬉しいな」という範囲ギリギリの狭さを深く 作り込む ◦ 領域が狭いことで性能が上げやすい
◦ 「任せても安⼼」なレベルまで性能を⾼めることが必須 ◦ 領域が狭すぎても「わざわざ使うの⾯倒くさい」となる ◦ バランスが⼤事 31
© 2025 Algomatic Inc. 領域は狭く、深く 32 • アポドリは「アポ取り」しかしない • 商談アドバイスもしない、議事録もとらない、商談前の企業調査もやってくれない
• ただし、アポ取りに必要な業務は全部やる、やりきる 「ミスなく⾼品質にアポ取り活動できます」 → 任せたくなる
アポドリのつくりかた ① 領域は狭く、深く ② まず⼈間がやってみる ③ ドメインエキスパートが開発する 33
まず⼈間がやってみる • 「AIによる⾃動化を⾒据えた業務フロー」を構築する • それをまず、開発者⾃⾝がやってみる • そして、AIツールを作って⾃⾝を楽にしてみる ワークフローの解像度を開発者が⾼めつつ、AIで解く難易度を肌で知る 実際にやってみると... •
「案外普通にできるじゃん」 • 「いや、これができないんかい」 ◦ それぞれある ◦ この肌感覚を持っていない⼈間が開発したエージェントは 「それっぽいけどなんか違う」ものになりがち 34
© 2025 Algomatic Inc. まず⼈間がやってみる • 最初からツールは実装してみたものの、⽣成失敗や低品質で使えないものが多数であ り、半分以上⼿動で実施することになった • 正直もうちょっといけると思っていたので悲しかったが、⼿動作業は⾮常に学びは多
かった • 企業HPの多様さ、記載内容の濃淡など...営業活動で扱う「⾮構造化データ」の おそろしさを⽬の当たりにする 35 アプローチ計画 1to1⽂章⽣成 アプローチ先 情報収集 アプローチ実⾏
© 2025 Algomatic Inc. まず⼈間がやってみる 36 • ⼈間が1つ1つのアウトプットの良し悪しを判 断することになる •
すると、ワークフローのステップごとの 観点、落とし⽳、エラーパターンがわかって くる • その知⾒を踏まえてステップごとの品質保証 →「なぜ品質が⾼いのか?」を説明できる → 信じて任せられる 1to1⽂章⽣成 アプローチ先 情報収集 同名別企業 会社名変更 グループ企業 HPなし、SNSのみ ⽂章薄っぺらい 数値嘘つきがち 「てにをは」
アポドリのつくりかた ① 領域は狭く、深く ② まず⼈間がやってみる ③ ドメインエキスパートが開発する 37
ドメインエキスパートが開発する 38 • AIエージェントは「便利ツール」ではない。「ドメインエキスパート」の 分⾝ ◦ ドメインエキスパートは何を考え、どう判断し、どんなアウトプッ トをよしとするのか? ◦ これを⾼いレベルで再現することが必須
◦ 伝⾔ゲームは厳しい、エキスパートが直接開発するのがいい
© 2025 Algomatic Inc. ドメインエキスパートが開発する 39 ⾔語化 1. エンジニアが開発
© 2025 Algomatic Inc. ドメインエキスパートが開発する ⾔語化 1. エンジニアが開発 2. エンジニアと
ドメインエキスパートが 共同開発
© 2025 Algomatic Inc. ドメインエキスパートが開発する 41 ⾔語化 1. エンジニアが開発 2.
エンジニアと ドメインエキスパートが 共同開発 3. ドメインエキスパートが開発
© 2025 Algomatic Inc. ドメインエキスパートが開発する 42 • ドメインエキスパート → Difyでワークフロー開発
• エンジニア → ドメインエキスパートの後⽅⽀援 ◦ Difyの安定稼働 ◦ ⼤量ワークフロー実⾏を⽀える基盤 ◦ ワークフローにおいて必要な各種機能の実装 ドメインエキスパート⾃⾝が納得する品質 →信じて任せられる
アポドリのつくりかた ① 領域は狭く、深く ② まず⼈間がやってみる ③ ドメインエキスパートが開発する 43
⼤事なのは 44
エンジニアとドメインエキスパートの 「限りなく泥臭い」共創 45
そんな共創を⽀えた システムアーキテクチャの変遷 5段階 46
初期アーキテクチャ 開発初期に必要な要件は... • 変化に柔軟であること • 「⽬の前の技術不確実性」以外を無視できること ◦ 質の⾼い1to1⽂章は⽣成できるのか? ◦ ⾼品質な情報収集は⼈間のチェックなしに可能なのか?
◦ … 47
48 1. 最も柔軟かつシンプルな最初期 開発者のローカルPCで開発 →デプロイ不要 待ち時間なし インフラ整備不要
49 2. ドメインエキスパートとの共創開始 Difyを建てました
50 2. ドメインエキスパートとの共創開始 CLIツールからDifyを呼び出す 仕組みをつくりました
51 3. エンジニア以外もオペレーション可能に さすがにローカルPCが⾟く なってきたので Webアプリケーション化 ただし、 なるべく作りたくない
52 3. エンジニア以外もオペレーション可能に GUI: スプシとSlack
53 3. エンジニア以外もオペレーション可能に 実⾏環境: Azure Functions / Container App Jobs
54 3. エンジニア以外もオペレーション可能に DB: CosmosDB for NoSQL スキーマレスよい AIエージェント開発との相性🙆
55 4. データ基盤、誕⽣ CosmosDBで集計はさすがに キツイので、データ基盤構築 ただし、 なるべく作りたくない
56 4. データ基盤、誕⽣ Mirrored CosmosDB機能: ETL不要でCosmosDB→DWH にミラーリングを実現 (なおプレビュー機能です)
57 5. ついにUIを実装 Slackやスプレッドシートを 可能な限り排し、 社内⽤UIを実装
58 5. ついにUIを実装 • スプシ(GAS)のメンテ ナンス苦 • ヒューマンエラー防⽌ ◦ LLMより⼈間のほう
が間違える ◦ 「間違えようがない 仕組み」としてのUI
初期アーキテクチャ(再掲) 開発初期に必要な要件は... • 変化に柔軟であること • 「⽬の前の技術不確実性」以外を無視できること ◦ 質の⾼い1to1⽂章は⽣成できるのか? ◦ ⾼品質な情報収集は⼈間のチェックなしに可能なのか?
◦ … 59
直近のアーキテクチャ 初期と⽐較し、事業状況とともに要求は変化 • ワークフローの変化は落ち着いてくる • ガバナンスとスケーラビリティが重要になる ◦ リリース管理、データ管理 ◦ ヒューマンエラーを防ぐ仕組み
60
まとめ 61
「現場で活躍するAIエージェント」のつくりかた • 「信じて任せられる」ものを作ろう • そのためには... ◦ 性能を⾼め切れる「狭い領域」選定 ◦ ⼈がまずやる。解像度を⾼める ◦
ドメインエキスパートが開発に参加 する 62
「現場で活躍するAIエージェント」のつくりかた • システムアーキテクチャはどうあるべき? ◦ 「技術不確実性」とまず向き合う ▪ 「できるかわからない。でも出来たら すごいよね」という課題は何か? ◦ 事業フェーズに合わせた設計をしよう
63
64 事業‧開発知⾒の発信 サービス⼀覧 採⽤情報 • エンジニア • デザイナー • 新規/既存
事業開発 • マーケター • ドメインエキスパート • etc • 営業AIエージェント • 採⽤AIエージェント • デザインAIエージェント • ゲーム翻訳 • コンサルティング‧受託 開発 • etc 事業開発 開発‧テックブログ