$30 off During Our Annual Pro Sale. View Details »
Speaker Deck
Features
Speaker Deck
PRO
Sign in
Sign up for free
Search
Search
制約下の医療LLM Observability 〜セキュアなデータ活用と専門家による改善サイク...
Search
KAKEHASHI
PRO
October 26, 2025
Technology
2
270
制約下の医療LLM Observability 〜セキュアなデータ活用と専門家による改善サイクルの実現〜
https://o11ycon.jp/
Observability Conference Tokyo 2025
での登壇資料です
KAKEHASHI
PRO
October 26, 2025
Tweet
Share
More Decks by KAKEHASHI
See All by KAKEHASHI
なりたかった自分となりたい自分
kakehashi
PRO
1
56
そのアウトプットは世界とつながっている
kakehashi
PRO
2
53
品質のための共通認識
kakehashi
PRO
4
420
なぜ使われないのか?──定量×定性で見極める本当のボトルネック
kakehashi
PRO
1
1.6k
KAKEHASHI❤️Hono
kakehashi
PRO
1
360
生成AIが拓く医療DXの進化と壁
kakehashi
PRO
1
300
品質と速度を両立する、私たちのフロントエンドテストの工夫と取り組み
kakehashi
PRO
2
180
爆速でプロダクトをリリースしようと思ったらマイクロフロントエンドを選んでいた
kakehashi
PRO
5
3.2k
生成AI時代に必要な価値ある意思決定を育てる「開発プロセス定義」を用いた中期戦略
kakehashi
PRO
2
2.3k
Other Decks in Technology
See All in Technology
1人1サービス開発しているチームでのClaudeCodeの使い方
noayaoshiro
2
570
20251222_next_js_cache__1_.pdf
sutetotanuki
0
170
AWSインフルエンサーへの道 / load of AWS Influencer
whisaiyo
0
210
日本Rubyの会: これまでとこれから
snoozer05
PRO
5
230
New Relic 1 年生の振り返りと Cloud Cost Intelligence について #NRUG
play_inc
0
220
「もしもデータ基盤開発で『強くてニューゲーム』ができたなら今の僕はどんなデータ基盤を作っただろう」
aeonpeople
0
230
ActiveJobUpdates
igaiga
1
310
20251219 OpenIDファウンデーション・ジャパン紹介 / OpenID Foundation Japan Intro
oidfj
0
480
Oracle Database@Google Cloud:サービス概要のご紹介
oracle4engineer
PRO
1
760
障害対応訓練、その前に
coconala_engineer
0
190
AIエージェント開発と活用を加速するワークフロー自動生成への挑戦
shibuiwilliam
4
810
[2025-12-12]あの日僕が見た胡蝶の夢 〜人の夢は終わらねェ AIによるパフォーマンスチューニングのすゝめ〜
tosite
0
160
Featured
See All Featured
Statistics for Hackers
jakevdp
799
230k
The Pragmatic Product Professional
lauravandoore
37
7.1k
AI Search: Implications for SEO and How to Move Forward - #ShenzhenSEOConference
aleyda
1
1k
HU Berlin: Industrial-Strength Natural Language Processing with spaCy and Prodigy
inesmontani
PRO
0
100
Gemini Prompt Engineering: Practical Techniques for Tangible AI Outcomes
mfonobong
2
230
Navigating Algorithm Shifts & AI Overviews - #SMXNext
aleyda
0
1k
KATA
mclloyd
PRO
33
15k
Ethics towards AI in product and experience design
skipperchong
1
140
How to make the Groovebox
asonas
2
1.8k
Site-Speed That Sticks
csswizardry
13
1k
Docker and Python
trallard
47
3.7k
How to Think Like a Performance Engineer
csswizardry
28
2.4k
Transcript
制約下の医療LLMオブザーバビリティ 〜セキュアなデータ活用と 専門家による改善サイクルの実現〜 Observability Conference 2025 2025.10.27 株式会社カケハシ 保坂 桂佑
自己紹介 保坂 桂佑 (@free_skier) 株式会社カケハシ データサイエンティスト データ分析コンサル → リクルートでDS/MLエンジニア/EM →
カケハシ 著書『Kaggleで勝つデータ分析の技術』 (共著) LLMを活用した機能開発において、AIワークフロー の品質担保や改善を担当しています 2 / 21
3 / 21
4 / 21
5 / 21
カケハシの生成AI活用における取り組み領域 6 / 21
なぜ医療LLMのオブザーバビリティが難しいのか? 相反する2つの要求を同時に満たす必要があるため 厳格なデータ保護 個人情報保護法、医療情報ガイドラインへの準拠 マルチモーダルなデータ(音声・画像等)の保護は更に高難度 高い出力品質の要求 医療においては患者さんの健康に影響がないよう、何よりも正確性が重視される ハルシネーション(誤った回答)のリスクを低減する必要がある 継続的な監視と改善活動が不可欠 7
/ 21
本日の内容 開発運用中の医療LLMシステムにおいて、どのようにオブザーバビリティを確保したか、どのよう にドメインエキスパートとともに改善サイクルを回せるようにしたかをご紹介します。 実現したいこと どのように実現したか ドメインエキスパートによる改善サイクル 8 / 21
システム構成 本番環境 LLMアプリケーションが稼働 調査環境(セキュア) セキュアブラウザー+VPN経由でアク セス Databricksは調査分析に必要な機能 がオールインワン 秘匿性の高いデータが必要な場面で使 用
モニタリング環境(Datadog) 定期モニタリング、分析を実施 プロトタイピング環境(Dify) 隔離環境外にあるため、本番データは 直接扱えない 9 / 21
実現したいこと 医療LLMシステムにおいて、以下の3つを両立させたい データ保護 機密情報は高セキュリティ環境から出さない セキュアブラウザー経由でのみデータにアクセス LLMの挙動監視 機密性の低い情報: トレース情報として取得し、モニタリング環境で監視 機密性の高い情報: LLM出力やマルチモーダルデータを調査環境で確認
本番相当の環境での検証 本番相当の環境でプロンプト検証、ワークフロー検証ができる ドメインエキスパートが自律的に改善サイクルを回せる 10 / 21
実現方法 以下の3つの機能を通じて実現 トレース情報の取得、連携 セキュア環境へのデータ連携 本番相当の環境でのワークフロー検証 11 / 21
トレース情報の取得、連携 LLMフレームワークに依存しない、自前の トレース情報収集 自前でトレース情報を構築して出力する仕 組みを実装 機密性の低い情報(レスポンスタイム、ト ークン数等)を収集 12 / 21
トレース情報の取得、連携(詳細) 13 / 21
セキュア環境へのデータ連 携 本番DBに影響を与えず、セキュアにデータ を連携 注意すべき点 本番DBに影響が出ない形でデータ連携 コストを意識 14 / 21
セキュア環境へのデータ連 携(詳細) DatabricksのLakehouse Federationを 使用 Databricksの権限管理の元で本番環境のDB にアクセスできる仕組み ホットスタンバイの利用により本番影響を 回避 夜間バッチで前日までのデータを同期
15 / 21
本番相当の環境でのワーク フロー検証 Difyはグラフィカルな画面でプロンプト・ ワークフローを構築できる しかし、Difyは隔離環境の外にあるた め、データを入れられない 本番環境とは挙動を厳密に一致させるこ とができない 最終的には本番環境相当のワークフロー で検証を行いたい
16 / 21
本番相当の環境でのワーク フロー検証(詳細) Databricksから本番環境のワークフロ ー実行APIをコールできるように AWS VPC Endpoint + Private Linkに
より実現 スループット制限をかけて本番環境に影 響が出ないように 17 / 21
ドメインエキスパートによる改善サイクル セキュリティを確保しつつ、生成AIサービス提供において必要な情報が参照できるように Dify, Databricks環境を使い分けつつ、エンジニア・ドメインエキスパートが協力して改善を実 施 18 / 21
課題と今後の展望 精度劣化の自動検知・アラート プロトタイピング環境と本番Workflowの乖離を減らしたい 19 / 21
まとめ 医療LLMのオブザーバビリティは難しい 厳格なデータ保護 高い出力品質の要求 データを保護しつつ、LLMの挙動監視と本番相当の環境での検証を実現したい 以下の3つの機能を通じて実現 トレース情報の取得、連携 セキュア環境へのデータ連携 本番相当の環境でのワークフロー検証 エンジニア・ドメインエキスパートが協力して改善を実施できるようになった
20 / 21
21 / 21