Lock in $30 Savings on PRO—Offer Ends Soon! ⏳
Speaker Deck
Features
Speaker Deck
PRO
Sign in
Sign up for free
Search
Search
CTOから見た事業開発とプロダクト開発 / My Perspective on Busines...
Search
Keisuke69
July 19, 2024
Technology
4
1.3k
CTOから見た事業開発とプロダクト開発 / My Perspective on Business and Product Development as CTO
DevelopersIO 2024 でお話したスライドです
Keisuke69
July 19, 2024
Tweet
Share
More Decks by Keisuke69
See All by Keisuke69
ノーコードからの脱出 -地獄のデスロード- / Escape from Base44
keisuke69
1
950
波濤 / Surges
keisuke69
1
210
クロスプラットフォーム開発の真実
keisuke69
2
720
脱Firebase. 我々はどう生きるか/Migrate from Firebase
keisuke69
7
9.3k
AWSでISRの実現!その謎を解明すべくAmazonの奥地へと足を踏み入れる!! / Digging how to running ISR on AWS
keisuke69
4
10k
様式美と絵に書いた餅、そしてそこにあるリアル
keisuke69
0
5.8k
俺のJestが動かない 2021 Spring / My Jest does not work well 2021 Spring
keisuke69
0
7.8k
フロントエンド開発者も知っておきたいAWS Lambda とサーバーレス / Serverless for frontend developers
keisuke69
6
8.1k
Pythonistaに贈るAWS Lambda入門 / AWS Lambda Essentials for Pythonista
keisuke69
2
5.2k
Other Decks in Technology
See All in Technology
通勤手当申請チェックエージェント開発のリアル
whisaiyo
3
260
S3を正しく理解するための内部構造の読解
nrinetcom
PRO
3
210
SQLだけでマイグレーションしたい!
makki_d
0
1.1k
Amazon Bedrock Knowledge Bases × メタデータ活用で実現する検証可能な RAG 設計
tomoaki25
6
1.5k
コンテキスト情報を活用し個社最適化されたAI Agentを実現する4つのポイント
kworkdev
PRO
1
1.7k
Strands Agents × インタリーブ思考 で変わるAIエージェント設計 / Strands Agents x Interleaved Thinking AI Agents
takanorig
4
1.2k
マイクロサービスへの5年間 ぶっちゃけ何をしてどうなったか
joker1007
17
7.1k
GitHub Copilotを使いこなす 実例に学ぶAIコーディング活用術
74th
3
3.6k
100以上の新規コネクタ提供を可能にしたアーキテクチャ
ooyukioo
0
150
AIプラットフォームにおけるMLflowの利用について
lycorptech_jp
PRO
1
180
AWSを使う上で最低限知っておきたいセキュリティ研修を社内で実施した話 ~みんなでやるセキュリティ~
maimyyym
2
1.9k
年間40件以上の登壇を続けて見えた「本当の発信力」/ 20251213 Masaki Okuda
shift_evolve
PRO
1
140
Featured
See All Featured
Ecommerce SEO: The Keys for Success Now & Beyond - #SERPConf2024
aleyda
1
1.7k
Speed Design
sergeychernyshev
33
1.4k
Max Prin - Stacking Signals: How International SEO Comes Together (And Falls Apart)
techseoconnect
PRO
0
47
The Cost Of JavaScript in 2023
addyosmani
55
9.4k
Skip the Path - Find Your Career Trail
mkilby
0
23
For a Future-Friendly Web
brad_frost
180
10k
SEO in 2025: How to Prepare for the Future of Search
ipullrank
3
3.3k
[RailsConf 2023] Rails as a piece of cake
palkan
58
6.2k
[Rails World 2023 - Day 1 Closing Keynote] - The Magic of Rails
eileencodes
37
2.7k
Lightning Talk: Beautiful Slides for Beginners
inesmontani
PRO
1
400
個人開発の失敗を避けるイケてる考え方 / tips for indie hackers
panda_program
122
21k
How to optimise 3,500 product descriptions for ecommerce in one day using ChatGPT
katarinadahlin
PRO
0
3.3k
Transcript
2024.7.19 株式会社Singular Perturbations ⻄⾕圭介 CTOから⾒た事業開発とプロダクト開発 事業課題を技術で打開するということ
はじめに • ちゃんとした理論や⼀般的な原則ではなく個⼈的な経験に基づく 内容です • 実際のプロダクト開発で⼤切にしている考え⽅
Keisuke Nishitani !,FJTVLF 1SPHSBNNJOHJTBDSFBUJWFXPSL 🎨 -PWF.VTJD ♫ -PWF$BNQJOH ⛺ #MPHIUUQTXXXLFJTVLFOFU
💻 &WFSZUIJOHXJMMCFTFSWFSMFTT ⚡ $50BU4JOHVMBS1FSUVSCBUJPOT*OD $00BU%&-5"*OD
世界の悲しい経験を減らす。
犯罪発⽣数 68%減 を達成
CTO?としてやっていること • プロダクト開発 • 技術戦略と事業⽬標の整合性確保 • 技術的専⾨性とビジネス視点の重要性 • エンジニアサイドとビジネスサイドの橋渡し •
プロダクトをどう売るか、市場を踏まえてどういうプロダクトを 作るべきかの計画 • 営業プロセスの設計やオペレーションの管理、整備など
私の考えるプロダクト開発と事業開発
WhatとHow • What • 「何」を作るか • 事業開発(の⼀部)でありプロダクト開発(の⼀部) • How •
機能を「どう」実現するか • どんな⾔語で、どんなアーキテクチャで、システムを実装するか • プロダクト開発 ⼤事なのは技術的な難易度の⾼さではなく、いかに課題にミートしてるか つまりWhatこそ重要
What • 誰の何を解決するものなのか • 顧客の売上向上につながる or コスト削減 • ただし、これはB2Bの場合 •
適切な⼈たちに届けることも⼤事 • 適切な⼈たちがどこにいるのか • 眼の前にいる⼈だけを適切な⼈たちだと誤解していないか • 常に⾃分⾃⾝に問う
プロダクト開発で⼤切にしている3つのこと • なるべく作らない • シンプルさの追求 • 段階的アプローチ
なるべく作らない • ソフトウェアは作った時点で潜在的に技術負債化する • 技術負債の最⼩化 • 「あればいいな」は実装しない • 本当に必要な機能を⾒定めてそれだけを実装する •
本当に必要な機能=プロダクトのコンセプトを体現する機能、顧客が必要 とする機能
シンプルさの追求 • シンプル ≠ 単純 • 単純なだけでなく明快であること • 無駄な機能がない=ユーザが迷わない •
あれもこれもできるものではなく、そのプロダクトが解決するも のが何なのか、そのコンセプトを体現する最⼩限のセット
段階的アプローチ • 最初から機能豊富なものを作らず、常にその時点の最⼩セットを 実装して出す • 最⼩のサイズはプロダクトの成⻑に伴い変わっていく • シンプルに始めることで、ユーザーの真のニーズを理解し、それ に基づいて段階的に機能を追加していく •
無駄な機能(≒技術負債)を減らせる
プロダクト開発は螺旋のようなもの
事業課題を技術で打開した事例
事業課題 • POCに必要なプロダクトが重厚⻑⼤ • 多くの⼈員を巻き込む必要があり、とても時間と労⼒がかかるものだった • 事業を加速させる上で最⼤のハードルが犯罪データ • ブラジルには犯罪実績のオープンデータが存在しない •
センシティブであり警察組織外に出すことが⾮常に⾼いハードル • ここの交渉にとても時間がかかる • コンプライアンス • 原則としてブラジル版GDPRともいえるLGPDへの対応が必要 • 顧客の温度感 • ⽇々の業務が忙しく、新しいことにチャレンジすることの優先度が低い • チャレンジのハードルが⾼いのでさらに優先度が下がる • スピードが遅く、ウェットなコミュニケーションを好む
より加速させるには?
仮説 やれることを絞り込み、犯罪データ提供の問題を解消でき れば、顧客のスピード感を⾼められるのではないか
仮説 顧客の準備コストを軽減 やれることを絞り込み、犯罪データ提供の問題を解消でき れば、顧客のスピード感を⾼められるのではないか
仮説 導⼊ハードルの軽減 やれることを絞り込み、犯罪データ提供の問題を解消でき れば、顧客のスピード感を⾼められるのではないか
やれることの絞り込み 「シンプルかつ簡単に、専⾨家でなくても Hotspotを特定できる」
犯罪データをもらわずに実現するには? • ユーザのオンプレ環境で実⾏する • 警察組織のデータセンタなどにオンプレ環境を構築する必要がある • 既存のシステムはオンプレで動作するようには作られていない • スタンドアロンのローカル環境で実⾏する •
これまでサーバーサイドで実⾏していた部分をローカル環境で動作するよ うに • インストールが必要 • 開発チームが⽇本にいることもあり、オンプレは現実的ではない ためローカル環境で実⾏する⽅法を模索
WebAssemblyの採⽤
WebAssemblyの採⽤ • 採⽤理由 • ブラウザ上で⾼度な処理が可能 • 誰しもが使える環境で動作する • あくまでもWebなので頻度の⾼いリリースが可能 •
標準化された汎⽤的なプラットフォームなので機能拡張性が⾼い • 環境 • ⾔語はRust • Pyodideを⽤いたPython版も現在実装中 • GeoSpatialな処理はDuckDBを採⽤
提案プロセスの変更 • まずはライトな新プロダクトを提案 • データ提供不要 • ⼀⽅で精度の⾼さについてはそれなり • 説明変数を決め打ちしたり、環境ごとのチューニングを⾏わないため •
使い始めを早く・簡単にして、精度をあげたい場合はデータを提 供してもらう形に
その結果どうか • プロダクトのリリースは約1ヶ⽉ • これはシンプルだったからできたこと • 2年で1組織 => 3ヶ⽉で4組織 •
ただし、実施内容の重みは異なる • ⼀度⾒送りになった組織にも再提案し、話しが再開しているものもある • そもそも営業のやり⽅を変えた効果もある • オンボーディングコスト激減 • 従来は警察官を集めて数⽇かけて現地でハンズオン実施 • 現在は主要な⼈にオンラインで説明するだけ • モバイルアプリと異なりデバイスの種類による不具合がほぼない
成功のポイント • 技術による事業課題の解決 • 犯罪データの提供という事業課題をWASMという技術で打開 • シンプルさと段階的アプローチ • 導⼊ハードルを下げるためにやれることを絞り込み •
シンプルなものを提供した後に実際のユーザフィードバックを元に機能追 加 • 営業プロセス⾃体も導⼊ハードルを下げて懐に⼊った後に本来やりたいこ とにつなげる形に変更
シンプルさの例 • 複数⼈によるデータ共有には対応せず • データ永続化や認証・認可の機能が不要に • 時間や罪種ごとの検出は対応せず • ほしいと⾔われることの想定はしていた •
やりたい場合は読み込ませるデータで対応 • その他細かい「あったらいいな」の実装は後回し • 使い勝⼿とのトレードオフではある • その後、フィードバックを元に⼀部を実装 • 簡易パスワード保護 • 時間や罪種の対応
技術と顧客ニーズのバランス • 技術の可能性と顧客ニーズのバランスが重要 • プロダクトアウト vs マーケットイン • SPの場合、コア技術はどちらかというとプロダクトアウト •
だからこそ、それを応⽤したソリューションは顧客ニーズを意識 • 最⼩限の機能で開始し、顧客ニーズを理解するプロセスを重視 • 技術がいかに顧客の課題を解決できるかを常に考える
まとめ • エンジニアリングスキルのビジネス価値 • エンジニアリングスキルは単なる技術⼒に留まらず、ビジネスの成功に直結する 重要な資産 • 技術⼒を活かして事業課題を解決することで、競争⼒を⾼める • 逆に技術的な裏付けなく事業が進むと実現性の観点で不幸になる
• プロダクト開発の3原則 • なるだけ作らない • シンプル • 段階的アプローチ • 技術と事業⽬標の整合性 • 技術戦略と事業⽬標を⼀致させることが重要 • 最新技術を追求するだけでなく、ビジネスのニーズに応じた技術選定と実装を⾏ うことが重要 • 技術的専⾨性とビジネス視点のバランスを取り、エンジニアチームと事業部⾨を 橋渡し
Thank You ご感想・ご質問・ご相談は@Keisuke69まで