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企業研究者の生きる道 〜ネットワークエンジニアの場合〜

 企業研究者の生きる道 〜ネットワークエンジニアの場合〜

本資料は、「Infra Career Lounge #2「ネットワークエンジニアのキャリア」」での発表資料です。
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大学(大学院)を卒業し職を得て、企業研究者としてなんとかこれまでやってきました。アカデミアでもなく、現場でバリバリ開発するエンジニアでもなく、民間企業の研究者として、通信/ネットワークの領域でキャリアを伸ばしていくルートはあまり一般的ではなく、ロールモデルとしてイメージしにくいものかもしれません。

私のこれまでの経歴等をお話することを通じて、ネットワークエンジニアを目指す方、また研究者を目指す方に、多少なりとも参考になる知見がお伝えできればと思います。

KIKUCHI Shunsuke

June 23, 2022
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Transcript

  1. © SAKURA internet Inc. Infra Career Lounge #2「ネットワークエンジニアのキャリ ア」の1コマとして、筆者(菊地)のキャリアやそれにまつわ るエピソード、また、ネットワークエンジニアや研究者につい

    ての考えをお話しします。 • キャリア概要 • ネットワークエンジニアのキャリアパス • 企業研究者としての⽣き⽅ 本資料について 2
  2. © SAKURA internet Inc. 菊地 俊介 (東京都出⾝) ⾃⼰紹介 3 所属

    さくらインターネット研究所 学歴 早稲⽥⼤学⼤学院 理⼯学研究科 電⼦・情報通信学専攻 修⼠課程修了 早稲⽥⼤学⼤学院 国際情報通信研究科 博⼠課程単位取得退学 職歴 富⼠通(株)富⼠通研究所に就職 ネットの研究やったり、SEやったり、NICTに出向したり、 トイレIoT作ったり さくらインターネットに転職 データ流通(FIWARE, NGSI)、OpenFogコンソーシアム(標準化)、 量⼦(アニーリング)コンピュータ、 AR/VR、RISC-V、Erlang/Elixir 専⾨ エッジ・Fogコンピューティング(分散系システム)、スマートシティ ビジョナリーとして技術・社会、会社の将来を思い描く 新規領域調査、PoC実施、社内適⽤コンサル、講師・講演 趣味 新技術調査、読書、最近はガンプラ作り @kikuzokikuzo https://note.mu/kikuzokikuzo https://www.facebook.com/ kikuzokikuzo https://twitter.com/kikuzokikuzo
  3. © SAKURA internet Inc. ⼤学進学(学科選択) 早稲⽥⼤学理⼯学部 電⼦情報通信学科 就職 富⼠通研究所 ネットワークシステム研究所

    SE出向 富⼠通のネットワークサービス事業本部(FENICS部隊) 富⼠通研 クラウドコンピューティング研究センター NICT出向 ネットワーク研究本部 ネットワークシステム総合研究室 富⼠通研 ソフトウェア研究所 さくらインターネット転職 さくらインターネット研究所 菊地 キャリア概要 IP電話のサービス開発と運⽤を担当 クラウドのネットワーク部分の⽅式 検討を担当 エッジ・Fog、分散系をメインテーマに 新世代ネットワーク、ICN/CCNを 研究開発 ポリシーネットワーキング(トラフィッ クエンジニアリング)を研究開発 担当業務・分野 所属・部署 1993 分散システム、IoT 1999 2011 2017 2003 2008 頃 4
  4. © SAKURA internet Inc. 「研究所・事業部リエゾンプログラム(的なもの)」に志願して、富⼠通の企業向けネットワーク サービス(FENICS)部隊へ出向、IP電話(VoIP)サービスの⽴ち上げに従事 イスラエルのベンチャー(Kagoor)製のVOIP-NAT装置のお守りを担当 • ⻑期安定性のない装置で、メーカーの⼈と 数ヶ⽉間デバッグしたが結局直せず。

    • 定期的に夜中にメインテナンスするという 「運⽤でカバー」の典型例に。 当時IP電話は「安い電話」として⼤変な⼈気を集めていたが、⼀⽅で⼤規模障害を度々起こし問題に なっていた。電話交換機グレードの既存電話に⽐べて安い機器(IPやサーバ)を使っているIP電話の信 頼性が低いのは当然のことで、そこを運⽤でカバーするというビジネス構造になっており、現場は疲 弊していた。 Ciscoの装置を本格的に使ったのはこの頃。CCNAも取得した。 システム・網の設計、データセンター作業、顧客現場作業、緊急障害対応など、いわゆるSEの業務 を通り⼀遍経験できたことは貴重な経験になった。 IP、POTS(アナログ電話)、VoIP(SIP)を網羅的に押さえている⼈がいなかったため、⽴ち上げ 期には貢献できたと思う。 エピソード1 IP電話サービスSE時代 https://ascii.jp/elem/000/000/335/335921/index.html 5
  5. © SAKURA internet Inc. ネットワークを使う事業者にも様々な種類がある ネットワークエンジニアの働く場所 6 通信機器ベンダ 通信キャリア 通信サービス提供者

    通信サービスを利⽤する事業者 サービス・装置提供 対価⽀払 通信機器・装置を開発し、納める 古典的な時代 通信装置を利⽤して通信サービスを提供する 通信は重要インフラであり、⽴場が強い 様々な通信サービスと装置を組み合わせて、 使い勝⼿の良い通信サービスを作り提供する 通信を利⽤した最終製品(アプリ・サービス) を作り、お客様に提供する
  6. © SAKURA internet Inc. ネットワークを使う事業者にも様々な種類がある ネットワークエンジニアの働く場所 7 通信機器ベンダ 通信キャリア 通信サービス提供者

    通信サービスを利⽤する事業者 サービス・装置提供 対価⽀払 通信機器・装置を開発し、納める 古典的な時代 通信装置を利⽤して通信サービスを提供する 通信は重要インフラであり、⽴場が強い 様々な通信サービスと装置を組み合わせて、 使い勝⼿の良い通信サービスを作り提供する 通信を利⽤した最終製品(アプリ・サービス) を作り、お客様に提供する 菊地の経験した 職場(職歴)
  7. © SAKURA internet Inc. 通信機器・装置を開発し、納める。 通信装置を利⽤して通信サービスを提供す る。通信は重要インフラであり、⽴場が強 い。 様々な通信サービスと装置を組み合わせて、 使い勝⼿の良い通信サービスを作り提供する

    通信を利⽤した最終製品(アプリ・サービス) を作り、お客様に提供する 現在においては、クラウドサービス事業者の存在感が⾮常に⼤きい ネットワークエンジニアの働く場所 8 通信機器ベンダ 通信キャリア 通信サービス提供者 通信サービスを利⽤する事業者 サービス・装置提供 対価⽀払 クラウド時代 インターネット サービス事業者 (メガ) クラウドサービス提供者 (ありとあらゆる分野の)クラウド サービスを構築し、お客様に提供する
  8. © SAKURA internet Inc. クラウド時代が始まろうとしていた頃、研究所のクラウド開発チームに異動した。 当時クラウドはコンピュータ系の部署が研究開発していた。(ネットワーク系部⾨で も、サービスプラットフォームという似たようなものを作ろうとしていた。) 当時クラウド開発チームでは不定期に発⽣する通信不良に悩まされていて、ネットワー クが分かる⼈が助っ⼈として求められていた。 チームに⼊って調査したところ、トラブルの原因が仮想マシン間を接続するIPトンネル

    でMTUが揃っていないことと判明。 ネットワーク系の知識があったことで対応できた。 9 エピソード2 クラウドコンピューティング研究センター時代 古典的な時代 クラウド時代 現在へ コンピュータ ネットワーク 通信 ネットワーク 通信ネットワークの世界からコンピュータ系(クラウド) にジョブチェンジできたのも嬉しかった(右図)。 インターネット クラウド
  9. © SAKURA internet Inc. 現代においては、技術領域(=学問領域)は細かく分かれる 通信の専⾨家(ネットワークエンジニア)は、情報の⼈には⾒え ない領域を⾒ることができる ネットワークエンジニアのスキル 10 電気

    電⼦ 通信 情報 情報(コンピュータ)領域の様々な技術スタック … 物理・伝送 (L0〜L1) ネットワーク 設計(L2) 広域・ルー ティング(L3) アプリ・サー ビス(L4〜L7)
  10. © SAKURA internet Inc. 現代においては、技術領域(=学問領域)は細かく分かれる 通信の専⾨家(ネットワークエンジニア)は、情報の⼈には⾒え ない領域を⾒ることができる ネットワークエンジニアのスキル 11 電気

    電⼦ 通信 情報 情報(コンピュータ)領域の様々な技術スタック … 物理・伝送 (L0〜L1) ネットワーク 設計(L2) 広域・ルー ティング(L3) アプリ・サー ビス(L4〜L7) 菊地の経験とスキルに合った、ターゲット領域
  11. © SAKURA internet Inc. 「研究所は、さくらインターネットの技術的斥候として機能する」というミッションのもと で、さくらの次(の次くらいの)ビジネスを⾒つけるための活動を始める。 研究対象選択の裁量が広く、⾃分でテーマを選ばなければならない責任がある。 ⼀⽅で、さくらに対する世の中の期待は⼤きく、将来を⾒据えたテーマが外からやってくる場 合も少なくない。 そんな中で、⾃分が好きだと思えるテーマを選んでいく。

    分散・エッジ(Fog) データ流通・スマートシティ 次世代コンピュータアーキテクチャ(RISC-Vや量⼦等) ⾃分の専⾨性を⽣かした仕事の仕⽅、貢献を考える 12 エピソード3 さくらインターネット研究所時代 調査・研究の2つの軸(仮説) ターゲットの幅の広さ・視点 検討の深さ スペシャリスト ゼネラリスト ⾃⾝の狙い⽬ 2019年(転職後2年⽬)頃に書いた ⾃分の得意分野のイメージ図 →テーマ内容も好きで選ぶが、同時に「いろいろな技術・世界を⾒ていたい」 という「選び⽅」⾃体にも⾃分の特性や考え⽅が出る
  12. © SAKURA internet Inc. 顧客との近さ(縦軸)、理論or実践か(横軸)から業務領域は分類される 個⼈の特性や好みによって、⾃らのジョブをどこに適合させるかを考える 研究者・エンジニアの業務領域 13 企画・設計 PoC・

    トライアル サービス 構築 運⽤ 調査・検証 理論構築・ 論⽂執筆 営業⽀援 先端営業 顧客との近さ (近) (遠) 実践・現場 理論・ロジック 整理・図案は菊地による
  13. © SAKURA internet Inc. 顧客との近さ(縦軸)、理論or実践か(横軸)から業務領域は分類される 個⼈の特性や好みによって、⾃らのジョブをどこに適合させるかを考える 研究者・エンジニアの業務領域 14 企画・設計 PoC・

    トライアル サービス 構築 運⽤ 調査・検証 理論構築・ 論⽂執筆 営業⽀援 先端営業 顧客との近さ (近) (遠) 実践・現場 理論・ロジック 整理・図案は菊地による 菊地の経験とスキルに合った、ターゲット領域
  14. © SAKURA internet Inc. アカデミア、企業研究所、(企業の)開発部⾨でターゲット領域は異なっ てくる。(もちろん、個々の組織によっても異なる。) 研究者・エンジニアの業務領域 15 企画・設計 PoC・

    トライアル サービス 構築 運⽤ 調査・検証 理論構築・ 論⽂執筆 営業⽀援 先端営業 顧客との近さ (近) (遠) 実践・現場 理論・ロジック 整理・図案は菊地による (⺠間)企業研究所 アカデミック領域 ⺠間企業 開発・事業部⾨
  15. © SAKURA internet Inc. 富⼠通研究所を⽪切りに、様々な部署でキャリアを積み重ねてきた 無駄になったと思うキャリアは⼀つもない 様々な経験が、⾃分の強みになってきている 専⾨性に⽋ける、ということがコンプレックスでもあるが、それを反転させる 変わり続けてきたつもりだったが、結局はネットワークという専⾨ 性に根ざした⽣き⽅をしていた

    10年後も、技術の変化を⾒ていたい トレンドを追う、その中でネットワーク的な切り⼝で⾒る、を極める 16 まとめ ネットワークの領域でできること、やれることはまだまだたくさんあるの で、皆さんそれぞれの特性に合わせた形でバリバリ活躍してほしいです。
  16. © SAKURA internet Inc. ⼤学時代 (2/2) SALAとUNIX 〜1990年代中頃 • キャンパスライフと並⾏して、

    SALAに⼊り浸り猛烈な勢いで UNIXを学ぶ。 • Science Art Laboratory - SONYが 作った外部の⼈も利⽤可能な研究設備。 • ここでUNIXの師と出会い、UNIXにつ いて教えてもらう。 • NEWS、SUN、NeXTSTEP、SGIの混 合・シームレス環境が組んであり、そ の超絶Configを習う。 • と同時にUNIX Magazineをバックナ ンバーから貪るように読んだ。 7 • ⼤学の研究室のシステム管理や、所属外の研究室のシステム管理を請 け負ったり、企業向けシステムの構築のアルバイトなどもをしていた。 • このときの知識と経験が、現在にも続く⾃分の技術的な基礎になって いる。 当時のパンフレットより。 Facebookの関連グループに流れたものより借⽤。
  17. © SAKURA internet Inc. ⼤学・⼤学院時代 就職活動 • UNIXやシステム管理の知識をもとにベンチャー系企 業に就職するという可能性もあったが、結局はオーソ ドックスな⼤⼿企業に就職する。

    • お客さんから⼀番遠いところで、インターネットの研究開発 に専念したいと思っていた。 • ⼤学の研究室の先輩が引っ張ってくれた富⼠通(富⼠ 通研究所)に⾏くことにした。 • この時ベンチャー系企業に就職していたら、あるいは 富⼠通ではない企業に就職していたら、今と全く違う ⼈⽣になっていたに違いない。 9
  18. © SAKURA internet Inc. 富⼠通研究所時代の研究テーマ1 1999年〜 (1/2) • 念願かなって富⼠通研究所のネットワーク系研究所に配属される。 •

    当時の流⾏だった「 ポリシーネットワーキング 」の研究開発に従 事。 • IPベースのネットワークでトラフィックエンジニアリングをやろうとする 仕組み。 • ポリシーサーバでのルート決定にリンクコスト+もう1軸を追加する、ベ ルマン・フォート法の拡張⽅式の検討。 • IN2000-105 : 加納 慎也・菊地 俊介・野村 祐⼠・中後 明(富⼠ 通研究所), “⼤規模ネットワークへのポリシー制御技術の適⽤検 討”, 電⼦情報通信学会, IN研究会, 2001年3⽉ • 2000年の 情報ネットワーク研究会(IN研)研究賞 を受賞 • http://www.ieice.org/cs/in/jpn/award.html 10
  19. © SAKURA internet Inc. 富⼠通研究所時代の研究テーマ1 1999年〜 (2/2) • トラフィックエンジニアリング(TE)を研究対象とし ていたが、本⾳としては

    TEを全く信じていなかった 。 • Ethernetやスイッチの容量がぐんぐん伸びている時期で、 じゃぶじゃぶ論が主流であり、⾃分⾃⾝も実際のところはそ ちらだろうと思っていた。 • じゃぶじゃぶ論︓容量が⾜りなければ回線やスイッチを増やせばい いじゃない、という考え⽅。 • (本当にトラフィックエンジニアリングが必要な領域(キャ リアなど)にはMPLSがあった。) • 実際、ポリシーネットワーキング/COPS (Common Open Policy Service)は全く流⾏らなかった。 11
  20. © SAKURA internet Inc. Interop参加の思い出 2002年 • Interopのスタッフに初参加(唯⼀の機会) • 学⽣時代からずっと憧れていた。がWIDE閥ではな

    い早稲⽥時代はチャンスがなく、富⼠通に⼊ってか らはルータの部隊にいなかったためやはりチャンス がなかった。 • 当時仕事上の付き合いのあった富⼠通のグループ会 社の富⼠通九州ネットワークテクノロジーズのとあ る部隊が負荷試験機のコントリビュータとして Interopに参加しており、その⼀員として混ぜても らった。 • 強くアピールすれば叶う、の実例。 • 始発で出かけて終電で帰る、という⽣活を連⽇続け ても全く苦に感じなかった、夢のような2週間。 • しかし、負荷試験機は実際のところメインストリー ムではなく外様であって(⾃分は更にそこの⾷客)、 つまり⾃分の⽴ち位置は当時の主要なメンバーから はずいぶん遠く、しかもWIDE閥には⼊れない、と いうことを実感することになった。 • 「⾃分の武器となる強い技術(コア技術)を持って いないと相⼿にしてもらえない」「そう⾔う武器に なるコア技術を持ちたい」と思うようになる。 12 https://www.slideshare.net/InteropTokyo- ShowNet/shownet2002topology 負荷試験機 NXS100F
  21. © SAKURA internet Inc. JANOGに参加 2010年代 • クラウドチームの⼈(今井さん)の紹介で、 JANOGにスタッフとして参加した。 •

    JANOG25(2010年)@新潟 • https://www.janog.gr.jp/meeting/janog25/stafflist. html • JANOG26(2010年)@恵⽐寿 • https://www.janog.gr.jp/meeting/janog26/stafflist. html • ⼤久保さん、松本(直)さんと出会う。 • その他⼤勢のネットワーク業界の知⼰を得る。 • (別件で)鷲北さんと会ったのもこの頃。 15 • クラウド系(コンピュータ系)研究所に異動したこと、 JANOGで多くの⼈に出会えたことは、明らかにその後の⼈ ⽣を⼤きく変えた。
  22. © SAKURA internet Inc. NICTに出向 2011年〜2013年 (1/2) • 2011年に、富⼠通(研)からNICTへ出向した。 •

    当時、NICTのネットワーク部⾨では、富⼠通の他、NTT/NECなど通信系のキャリアやベンダの⼤ ⼿企業から2,3年毎の交代で出向者を受け⼊れていた。 • 富⼠通研側では、キャリアパスの観点からやんわりと⽌められたが、博⼠号を取りたい気持ちも あって出向を決めた。 • 同年9⽉に早稲⽥⼤学 ⼤学院 国際情報通信研究科(中⾥研究室)博⼠課程に⼊学。 • NICTと⼤学の研究とは、概ねオーバーラップした状態にできた。 • CCN/ICN (Contents Centric Network / Information Centric Network)の研究 に従事。ネットワーク内に設置したキャッシュの制御⽅式について検討。 • 菊地 俊介,”コンテンツキャッシュと Cache And Forward アーキテクチャ”, ENOG9で の講演資料, 2011年6⽉ • http://enog.jp/archives/377 • 菊地 俊介, 中⾥ 秀則, “SNSに適した情報転送と拡散を特徴とするネットワーク構成⼿ 法”, 2012年電⼦情報通信学会総合⼤会講演論⽂集, B-6-82, 2012年3⽉. • 菊地 俊介, 中⾥ 秀則, “コンテンツの⻑さに注⽬したネットワークキャッシュ制御⼿法 の提案と評価”, 信学技報, vol.112, no. 309, CS2012-73, pp.53-58, 2012年11⽉. • 菊地 俊介, , 中⾥ 秀則, “アプリケーションに応じた遅延特性を設計可能なネットワーク キャッシュ制御⽅式の提案とその評価”, 電⼦情報通信学会, IN研究会, 2013年5⽉. 16
  23. © SAKURA internet Inc. ネットワーク内に多段にキャッシュがある状態を想定し、その振る舞いを解析 17 1.! •  ! – 

    P2P ICN Informa>on!Centric!Network ! ! •  ! –  ! –  UX ! –  ! 2013/05/16! Copyright!(C)!2013!NICT ! ! !
  24. © SAKURA internet Inc. 富⼠通研でIoTを始める 2014年〜 • 富⼠通研に戻り分散システムとIoTの研究に従事する。 • 関係した仕事のプレスリリース

    • ⼤規模IoTシステム向けテストベッドの無償提供を開始 〜⼤規模データの分散処理と⼀元管理を両⽴し、IoTを 活⽤した新サービス創出に貢献〜 • http://pr.fujitsu.com/jp/news/2017/02/6-1.html • しかし、⾃分的なハイライトはこちら↓。 • (余業として)トイレ空室チェックシステム(トイレIoT)を作って設置した。 • 当時、富⼠通研(川崎)は⼈数に対してトイレの個室の数が⾜りず「トイレ難⺠」が 発⽣して問題化していた。 • 技術的には新しいものは全くなく、正規の研究成果にはならなかった。 • しかし社内での反響は⼤きく、ものづくり系の⼈やハッカソン系の⼈たちと仲良くな れた。 • 「新しいものを早期に取り⼊れてすばやくソリューションを提供する」という先に挙 げた⾃分の勝ちパターンの実証例になった。 20 左記プレスリリース本⽂より抜粋
  25. © SAKURA internet Inc. 超個体型データセンター コンセプト / Super Organism Data

    Center • 序⽂ • クラウド時代の⼀極集中構造が限界に達し、エッジコン ピューティングによる半集中の階層構造を利⽤しつつも、さ らに分散化が進み、あらゆるデバイスや場所にデータセン ター的な機能が溶け込んでいく。 • しかし、各コンピューティングは独⽴した個体として機能し ながらも、総体としては統率されているようにみえたり、 ⼩・中規模データセンターがハブとなって結果的に全体がう まく繋がれ、構成されていく。その様は、分散された各個体 と集中する各個体が群体をなしており「超個体的」であると いえる。 • 各コンピューティングが⾃律的に分散と集中のハイブリッド 構造をとるような環境を「超個体型のデータセンター」、各 データセンターを総体として透過的に扱えるOSを「超個体 型データセンターOS」と定義する。 5
  26. © SAKURA internet Inc. Fogコンピューティングとは︖ エッジコンピューティングの先にある、 よりコンピューティングが現場に溶け込んだ概念 • エッジコンピューティングに、エッジノード間の横連携、端末デ バイス間の横連携を+αしたもの

    • 更には、エッジノード、端末デバイスの区別なくすべてが連携・ 協調する分散アーキテクチャシステムも想定 29 クラウド エッジノード 間横連携 端末間連携 Fogシステムイメージ (分散計測)
  27. © SAKURA internet Inc. Fogコンピューティング実現に向けたさくらでの取り組み • さくら・⽇⽴製作所でのFogコンピューティング実現に向けた取り組み 35 3. Fogコンピューティングテストベッド

    テストベッドシステムの設計:アーキテクチャ 2021/03/19 さくらインターネット / ⽇⽴製作所 7 エッジノード エンドデバイス クラウド (親ノード) NGSI (⼦ノード) 独⾃⽅式可 (⼦ノード) (親ノード) 管理機能 セキュリティ 機能 • クラウド上のノードを「親ノー ド」,エッジやエンドのノードを 「⼦ノード」とする階層構造 • エッジでも親ノードになってよい(そ の場合親ノード兼⼦ノード) • 親ノードはサーバ(待受機能)を持つ • エッジ間接続を実装するためにはエッ ジに親ノード機能が必要 • 管理機能,セキュリティ機能はコ ントローラ相当機能をクラウド側 に持つ
  28. © SAKURA internet Inc. Elixirによる、IoT・エッジ・クラウドシームレス接続環境の実現 エッジ・Fog要素を取り込んだBeyond5Gシステムを、関数型⾔語Elixirを⽤いて構築 • これまでの検討で得られた知⾒を、要件として反映 • ノード間通信⽅式にFIWARE(NGSI)を考慮する、等

    37 関数型パラダイムで実現するB5G時代の 資源透過型広域分散コンピューティング環境 ︓最適配分アルゴリズム ︓IoTノードの計算資源 ︓資源透過型の分散処理プラットフォーム ① ︓IoTノードの能率的な実⾏環境 ② ︓計算資源配分の決定⼿法 ③ ︓実証評価向けアプリケーション ④ ︓透過型分散プラットフォーム ︓BEAM(Elixir処理系) MEC BEAM クラウド BEAM エッジ BEAM 最適配分アルゴリズム 透過型分散プラットフォーム BEAM システム開発者 デプロイされ るコード ① ③ ② ③ ③ ❤評価アプリ ❤ 評価アプリ ④ ④ ❤ 評価アプリ ④ ② ② ❤ 評価アプリ ④ ② ② ② ②
  29. © SAKURA internet Inc. データ流通実証実験(さくら・NEC) • FIWARE環境をPaaSとして構築したもの • データ可視化ツールWirecloudが使える •

    ホームページから利⽤登録申請すると発⾏されるIDでログインして使う • お試しオープンデータ登録済みで利⽤できる • ドキュメント整備、コミュニティ掲⽰板あり 55 Context Broker Linux / VM Wirecloud アプリ サービス さくらのクラウド 実証実験PaaS環境 ⾃分で⽤意した IoT機器 ⾃分で作成した サービス どういうことができるの︖ • オープンデータの可視化 • ⾃前IoTデバイスのデータの可視化