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プロバスケットボール・B.LEAGUEにおける勝利貢献度の提案および算出 / Proposal of individual value of contribution for the players in Japanese professional basketball league

konakalab
February 07, 2023

プロバスケットボール・B.LEAGUEにおける勝利貢献度の提案および算出 / Proposal of individual value of contribution for the players in Japanese professional basketball league

日本のプロバスケットボールリーグ(B.LEAGUE)の各個人に対する攻守それぞれの貢献の定量的指標を新しく提案・算出する研究です.

試合に出ている5人の組み合わせ(ラインナップ)と対戦相手,および時間と得失点に依存する予測勝率を組み合わせて,各選手の攻守それぞれでの貢献を定量化します.貢献は「その選手が試合に出ている単位時間当たりの予測勝率の変化量」で定義されます.

2022年度名城大学大学院修士論文公聴会で発表したスライドです.

konakalab

February 07, 2023
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Transcript

  1. 確率の合理性や単調性が保証されていない リアルタイム勝敗確率 8 試合経過時間 得 点 差 S.K. Deshpande and

    S.T. Jensen, “Estimating an NBA player’s impact on his team’s chances of winning,” Journal of Quantitative Analysis in Sports, vol.12, no.2, pp.51–72, 2016. 得点差が大きくなっても 予測勝率が下がっている
  2. リアルタイム勝敗確率の構築  予測勝率モデルෝ 𝑤 𝑡, Δ𝑠  𝑡: 試合経過時刻 

    Δ𝑠: 点差  データセット  B1 League, 1736試合  2016/9-2019/10 (3 レギュラーシーズン)
  3. 単調性とは  ෝ 𝑤 𝑡, Δ𝑠 が単調⇔ ෝ 𝑤 が

    Δ𝑠 に対して 単調  𝑡 = 0, ⋯ , 2400の経験勝敗確率に対し ロジスティック回帰を行う
  4. WPAの例 攻撃or守備 ෝ 𝒘 𝒊の得点 𝒕 𝒋の得点 ෝ 𝒘 攻撃or守備

    攻撃(開始) 0.65 18 702 9 0.35 守備(開始) 攻撃(終了) 0.72 21 722 9 0.28 守備(終了) 守備(開始) 0.72 21 722 9 0.28 攻撃(開始) 15 ・ ・ ・ チーム𝑗の選手のWPA𝐷は 0.28 − 0.35 5 = −0.014 チーム𝑖の選手のWPA𝑂は 0.72 − 0.65 5 = 0.014 ・ ・ ・ チーム𝑖 チーム𝑗 ෝ 𝑤 722,12 = 0.72
  5. WPAの例 攻撃or守備 ෝ 𝒘 𝒊の得点 𝒕 𝒋の得点 ෝ 𝒘 攻撃or守備

    攻撃(開始) 0.65 18 702 9 0.35 守備(開始) 攻撃(終了) 0.72 21 722 9 0.28 守備(終了) 守備(開始) 0.72 21 722 9 0.28 攻撃(開始) 16 ・ ・ ・ チーム𝑗の選手のWPA𝐷は 0.28 − 0.35 5 = −0.014 チーム𝑖の選手のWPA𝑂は 0.72 − 0.65 5 = 0.014 ・ ・ ・ チーム𝑖 チーム𝑗 ෝ 𝑤 722,12 = 0.72
  6. WPAの例 攻撃or守備 ෝ 𝒘 𝒊の得点 𝒕 𝒋の得点 ෝ 𝒘 攻撃or守備

    攻撃(開始) 0.65 18 702 9 0.35 守備(開始) 攻撃(終了) 0.72 21 722 9 0.28 守備(終了) 守備(開始) 0.72 21 722 9 0.28 攻撃(開始) 17 ・ ・ ・ チーム𝑗の選手のWPA𝐷は 0.28 − 0.35 5 = −0.014 チーム𝑖の選手のWPA𝑂は 0.72 − 0.65 5 = 0.014 ・ ・ ・ チーム𝑖 チーム𝑗 ෝ 𝑤 722,12 = 0.72
  7. 評価結果(WPA) :ペース 20 対象期間の千葉ジェッツ,栃木ブレックスのWPA/s (ピンク:栃木,緑:千葉) WPA𝑘 𝑂 /𝑠 と WPA𝑘

    𝐷 /𝑠 を チームごとに比較 栃木が大きい 栃木の方が時間当たりの得失点の回数が 多い傾向にある WPAは得失点で大きく変化する
  8. 23 Δෝ 𝑤 = 0.07 ラインナップ𝑖のある選手のWPA:0.07 5 = 0.014 チーム𝑖の

    ラインナップ チーム𝑗の ラインナップ WPAはラインナップ(相手味方問わず)と 経過時間を考慮していない WPAから勝利貢献度(VC)へ拡張
  9. 要素 WPA VC ラインナップ(相手味方問わず) × ラインアップの対戦で予測勝率の変化量が 説明されると仮定 経過時刻 × 1秒ごとの予測勝率の変化量に変更

    24 ラインナップの実力 選手個人の実力:勝利貢献度(VC) VC:ある選手が含まれているラインナップレーティングの 出場時間による重み付き平均 VCの定義 ラインナップの定量的実力評価を行う
  10. WPAから勝利貢献度(VC)へ拡張 25 𝐽 = ΣΔ𝑡 Δෝ 𝑤 Δ𝑡 − 𝑝

    2 ラインナップの定量的実力評価に 線形回帰を用いる レーティング:定量的評価値 𝑝: 1秒ごとの予測勝率の 予測変化量 𝐽: 評価関数 − : オフェンスレーティング : ディフェンスレーティング = 𝑝: Δ ෝ 𝑤 Δ𝑡 の予測量 𝑟 𝑗 𝐷 𝑟𝑖 𝑂
  11. 26 チーム𝑻のラインアップ 𝑟𝑖 𝑂 𝑟𝑖 D 𝒕 1.23 ∗ 10−3

    −2.01 ∗ 10−4 26172 8.57 ∗ 10−4 7.74 ∗ 10−5 6997 5.51 ∗ 10−4 −4.61 ∗ 10−5 2512 選手ID:𝑘 WPAから勝利貢献度(VC)へ拡張 ・ ・ ・ ・ ・ ・ VC𝑂:オフェンスVC VC𝐷:ディフェンスVC 選手𝑘のVC𝑂は 1.23𝑒−03∗26172+8.57𝑒−04 ∗6997 26172+6997 =1.15𝑒 − 03 選手𝑘のVC𝐷は −2.01𝑒−04 ∗26172+7.74𝑒−05 ∗6997 26172+6997 =−1.42𝑒 − 04
  12. VC𝑂:オフェンスVC VC𝐷:ディフェンスVC 27 ・ ・ ・ チーム𝑻のラインアップ 𝑟𝑖 𝑂 𝑟𝑖

    D 𝒕 1.23 ∗ 10−3 −2.01 ∗ 10−4 26172 8.57 ∗ 10−4 7.74 ∗ 10−5 6997 5.51 ∗ 10−4 −4.61 ∗ 10−5 2512 選手𝑘のVC𝑂は 1.23𝑒−03∗26172+8.57𝑒−04 ∗6997 26172+6997 =1.15𝑒 − 03 選手ID:𝑘 WPAから勝利貢献度(VC)へ拡張 選手𝑘のVC𝐷は −2.01𝑒−04 ∗26172+7.74𝑒−05 ∗6997 26172+6997 =−1.42𝑒 − 04 ・ ・ ・
  13. 評価結果(VC) :ペース 30 対象期間の千葉ジェッツ,栃木ブレックスのVC (ピンク:栃木,緑:千葉) VCO と VCD を チームごとに比較

    栃木が大きい 栃木の方が予測勝率の変化の回数が 多い傾向にある VCは予測勝率の変化量で大きく変化する
  14. まとめ  試合時刻ごとに得点差に対して勝敗確率が単調性を保つような リアルタイム勝敗確率を構築した  リアルタイム勝敗確率に基づいたインパクトメトリクスを定義・算出した  WPA  勝利貢献度(VC)

     千葉ジェッツ,栃木ブレックスに所属している出場時間が 10000[s]を 超えている選手の中でWPA およびVC を用いて 各選手の攻守それぞれにおける貢献を定量化した 33