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プロバスケットボール・B.LEAGUEにおける勝利貢献度の提案および算出 / Proposal of individual value of contribution for the players in Japanese professional basketball league

konakalab
February 07, 2023

プロバスケットボール・B.LEAGUEにおける勝利貢献度の提案および算出 / Proposal of individual value of contribution for the players in Japanese professional basketball league

日本のプロバスケットボールリーグ(B.LEAGUE)の各個人に対する攻守それぞれの貢献の定量的指標を新しく提案・算出する研究です.

試合に出ている5人の組み合わせ(ラインナップ)と対戦相手,および時間と得失点に依存する予測勝率を組み合わせて,各選手の攻守それぞれでの貢献を定量化します.貢献は「その選手が試合に出ている単位時間当たりの予測勝率の変化量」で定義されます.

2022年度名城大学大学院修士論文公聴会で発表したスライドです.

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February 07, 2023
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Transcript

  1. プロバスケットボール・B.LEAGUEにおける
    勝利貢献度の提案および算出
    小中研究室
    213426015 杉江幸治

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  2. 目次
    研究背景
    バスケットボールとスタッツ(統計)
    選手評価指標:インパクトメトリクス
    提案手法
    単調性リアルタイム勝敗確率の構築
    WPA の定義および算出
    勝利貢献度の定義および算出
    まとめ・今後の予定
    1

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  3. 目次
    研究背景
    バスケットボールとスタッツ(統計)
    選手評価指標:インパクトメトリクス
    提案手法
    単調性リアルタイム勝敗確率の構築
    WPA の定義および算出
    勝利貢献度の定義および算出
    まとめ・今後の予定
    2

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  4. バスケットボールではそれぞれの選手が関与したプレイの回数
    (得点,シュート数など)が記録される
    プロレベルではプレイ単位(得点とその方法,ボール保持の変更,
    選手交代などの事象とその時刻)まで記録・公開されている
    3
    それぞれの選手が関与したプレイの回数(スタッツ) Play-by-playデータ
    研究背景

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  5. 研究背景
    バスケットボールではそれぞれの選手が関与したプレイの回数
    (得点,シュート数など)が記録される
    プロレベルではプレイ単位(得点とその方法,ボール保持の変更,
    選手交代などの事象とその時刻)まで記録・公開されている
    4
    選手の貢献度や活躍度を測るために使われる

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  6. 研究背景
    既存スタッツの課題
    5
    コート上にいたスタッツに
    記録されない選手の貢献
    の評価が難しい
    https://www.youtube.com/watch?v=qKde9M1gKvY&t=1311s
    2022/07/18 accessed

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  7. 研究背景
    インパクトメトリクス:選手が試合結果に与える影響・貢献を
    単一量で表すことを目的とした指標
    例: +/-, EFF, PIPM,LEBRON,RPM,RAPTOR, …
    問題:
    守備選手の貢献が反映されにくい
    具体的な手法について学術論文の形式で
    公表・議論されているものは著者の調査範囲内では見当たらない
    6

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  8. 研究背景
    Play-by-playデータに基づきラインナップの情報を活用する手法
    ラインナップ:コート上5名の選手の組み合わせ
    試合のリアルタイム勝敗確率モデルに基づいて
    ベイズ回帰モデルを用いる方法

    確率の合理性や単調性が保証されていない
    リアルタイム勝敗確率を用いている
    7

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  9. 確率の合理性や単調性が保証されていない
    リアルタイム勝敗確率
    8
    試合経過時間



    S.K. Deshpande and S.T. Jensen,
    “Estimating an NBA player’s impact on
    his team’s chances of winning,”
    Journal of Quantitative Analysis in
    Sports, vol.12, no.2, pp.51–72, 2016.
    得点差が大きくなっても
    予測勝率が下がっている

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  10. 研究背景
    目的:インパクトメトリクスの提案および算出
    各試合時刻ごとに得点差に対して勝敗確率が単調性を保つ
    リアルタイム勝敗確率の構築
    Win Probability Added (WPA)の定義および算出
    勝利貢献度の定義および算出
    日本のB.LEAGUE,(特にB1リーグ)の選手を対象
    9

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  11. 目次
    研究背景
    バスケットボールとスタッツ(統計)
    選手評価指標:インパクトメトリクス
    提案手法
    単調性リアルタイム勝敗確率の構築
    WPA の定義および算出
    勝利貢献度の定義および算出
    まとめ・今後の予定
    10

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  12. リアルタイム勝敗確率の構築
     予測勝率モデルෝ
    𝑤 𝑡, Δ𝑠
     𝑡: 試合経過時刻
     Δ𝑠: 点差
     データセット
     B1 League, 1736試合
     2016/9-2019/10 (3 レギュラーシーズン)

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  13. 単調性とは
     ෝ
    𝑤 𝑡, Δ𝑠 が単調⇔ ෝ
    𝑤 が Δ𝑠 に対して
    単調
     𝑡 = 0, ⋯ , 2400の経験勝敗確率に対し
    ロジスティック回帰を行う

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  14. 目次
    研究背景
    バスケットボールとスタッツ(統計)
    選手評価指標:インパクトメトリクス
    提案手法
    単調性リアルタイム勝敗確率の構築
    WPA の定義および算出
    勝利貢献度の定義および算出
    まとめ・今後の予定
    13

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  15. オフェンスWPA(以降,WPA𝑂):その選手がオフェンスを始めてから
    オフェンスが終わるまでに変化した試合の勝敗確率の量の総和
    ディフェンスWPA(以降,WPA𝐷):その選手がディフェンスを始めてから
    ディフェンスが終わるまでに変化した試合の勝敗確率の量の総和
    WPA:その選手のWPA𝑂とWPA𝐷の合計
    14
    Win Probability Added(以降,WPA)の定義

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  16. WPAの例
    攻撃or守備 ෝ
    𝒘 𝒊の得点 𝒕 𝒋の得点 ෝ
    𝒘 攻撃or守備
    攻撃(開始) 0.65 18 702 9 0.35 守備(開始)
    攻撃(終了) 0.72 21 722 9 0.28 守備(終了)
    守備(開始) 0.72 21 722 9 0.28 攻撃(開始)
    15



    チーム𝑗の選手のWPA𝐷は
    0.28 − 0.35
    5
    = −0.014
    チーム𝑖の選手のWPA𝑂は
    0.72 − 0.65
    5
    = 0.014



    チーム𝑖 チーム𝑗

    𝑤 722,12 = 0.72

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  17. WPAの例
    攻撃or守備 ෝ
    𝒘 𝒊の得点 𝒕 𝒋の得点 ෝ
    𝒘 攻撃or守備
    攻撃(開始) 0.65 18 702 9 0.35 守備(開始)
    攻撃(終了) 0.72 21 722 9 0.28 守備(終了)
    守備(開始) 0.72 21 722 9 0.28 攻撃(開始)
    16



    チーム𝑗の選手のWPA𝐷は
    0.28 − 0.35
    5
    = −0.014
    チーム𝑖の選手のWPA𝑂は
    0.72 − 0.65
    5
    = 0.014



    チーム𝑖 チーム𝑗

    𝑤 722,12 = 0.72

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  18. WPAの例
    攻撃or守備 ෝ
    𝒘 𝒊の得点 𝒕 𝒋の得点 ෝ
    𝒘 攻撃or守備
    攻撃(開始) 0.65 18 702 9 0.35 守備(開始)
    攻撃(終了) 0.72 21 722 9 0.28 守備(終了)
    守備(開始) 0.72 21 722 9 0.28 攻撃(開始)
    17



    チーム𝑗の選手のWPA𝐷は
    0.28 − 0.35
    5
    = −0.014
    チーム𝑖の選手のWPA𝑂は
    0.72 − 0.65
    5
    = 0.014



    チーム𝑖 チーム𝑗

    𝑤 722,12 = 0.72

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  19. 評価対象(WPA)
    対象期間:2018-19のレギュラーシーズン540試合
    評価対象:B1リーグの268人
    具体例
    チーム: 千葉 (52勝) ,栃木 (49勝)
    出場時間が 10000[s]を超えている選手(およそ 3[分/試合])
    18

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  20. 評価結果(WPA)
    19
    対象期間の千葉ジェッツのWPA/s 対象期間の栃木ブレックスのWPA/s

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  21. 評価結果(WPA) :ペース
    20
    対象期間の千葉ジェッツ,栃木ブレックスのWPA/s
    (ピンク:栃木,緑:千葉)
    WPA𝑘
    𝑂 /𝑠 と WPA𝑘
    𝐷 /𝑠 を
    チームごとに比較
    栃木が大きい
    栃木の方が時間当たりの得失点の回数が
    多い傾向にある
    WPAは得失点で大きく変化する

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  22. 評価結果(WPA) :PG
    21
    対象期間の千葉ジェッツのWPA/s 対象期間の栃木ブレックスのWPA/s
    速い
    遅い
    速い
    速い

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  23. 目次
    研究背景
    バスケットボールとスタッツ(統計)
    選手評価指標:インパクトメトリクス
    提案手法
    単調性リアルタイム勝敗確率の構築
    WPA の定義および算出
    勝利貢献度の定義および算出
    まとめ・今後の予定
    22

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  24. 23
    Δෝ
    𝑤 = 0.07
    ラインナップ𝑖のある選手のWPA:0.07
    5
    = 0.014
    チーム𝑖の
    ラインナップ
    チーム𝑗の
    ラインナップ
    WPAはラインナップ(相手味方問わず)と
    経過時間を考慮していない
    WPAから勝利貢献度(VC)へ拡張

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  25. 要素 WPA VC
    ラインナップ(相手味方問わず) × ラインアップの対戦で予測勝率の変化量が
    説明されると仮定
    経過時刻 × 1秒ごとの予測勝率の変化量に変更
    24
    ラインナップの実力 選手個人の実力:勝利貢献度(VC)
    VC:ある選手が含まれているラインナップレーティングの
    出場時間による重み付き平均
    VCの定義
    ラインナップの定量的実力評価を行う

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  26. WPAから勝利貢献度(VC)へ拡張
    25
    𝐽 = ΣΔ𝑡
    Δෝ
    𝑤
    Δ𝑡
    − 𝑝
    2
    ラインナップの定量的実力評価に
    線形回帰を用いる
    レーティング:定量的評価値
    𝑝: 1秒ごとの予測勝率の
    予測変化量
    𝐽: 評価関数

    : オフェンスレーティング : ディフェンスレーティング
    = 𝑝: Δ ෝ
    𝑤
    Δ𝑡
    の予測量
    𝑟
    𝑗
    𝐷
    𝑟𝑖
    𝑂

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  27. 26
    チーム𝑻のラインアップ 𝑟𝑖
    𝑂 𝑟𝑖
    D 𝒕
    1.23 ∗ 10−3 −2.01 ∗ 10−4 26172
    8.57 ∗ 10−4
    7.74 ∗ 10−5 6997
    5.51 ∗ 10−4 −4.61 ∗ 10−5 2512
    選手ID:𝑘
    WPAから勝利貢献度(VC)へ拡張






    VC𝑂:オフェンスVC
    VC𝐷:ディフェンスVC
    選手𝑘のVC𝑂は
    1.23𝑒−03∗26172+8.57𝑒−04 ∗6997
    26172+6997
    =1.15𝑒 − 03
    選手𝑘のVC𝐷は
    −2.01𝑒−04 ∗26172+7.74𝑒−05 ∗6997
    26172+6997
    =−1.42𝑒 − 04

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  28. VC𝑂:オフェンスVC
    VC𝐷:ディフェンスVC 27



    チーム𝑻のラインアップ 𝑟𝑖
    𝑂 𝑟𝑖
    D 𝒕
    1.23 ∗ 10−3 −2.01 ∗ 10−4 26172
    8.57 ∗ 10−4
    7.74 ∗ 10−5 6997
    5.51 ∗ 10−4 −4.61 ∗ 10−5 2512
    選手𝑘のVC𝑂は
    1.23𝑒−03∗26172+8.57𝑒−04 ∗6997
    26172+6997
    =1.15𝑒 − 03
    選手ID:𝑘
    WPAから勝利貢献度(VC)へ拡張
    選手𝑘のVC𝐷は
    −2.01𝑒−04 ∗26172+7.74𝑒−05 ∗6997
    26172+6997
    =−1.42𝑒 − 04



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  29. 評価対象(VC)
    28
    対象期間:2018-19のレギュラーシーズン540試合
    評価対象:B1リーグの268人
    具体例
    チーム: 千葉 (52勝) ,栃木 (49勝)
    出場時間が 10000[s]を超えている選手(およそ 3[分/試合])

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  30. 評価結果(VC)
    29
    対象期間の千葉ジェッツのVC 対象期間の栃木ブレックスのVC

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  31. 評価結果(VC) :ペース
    30
    対象期間の千葉ジェッツ,栃木ブレックスのVC
    (ピンク:栃木,緑:千葉)
    VCO と VCD を
    チームごとに比較
    栃木が大きい
    栃木の方が予測勝率の変化の回数が
    多い傾向にある
    VCは予測勝率の変化量で大きく変化する

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  32. 評価結果(VC) :PG
    31
    富樫> 西村 鵤=渡邊
    対象期間の千葉ジェッツのVC 対象期間の栃木ブレックスのVC

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  33. 目次
    研究背景
    バスケットボールとスタッツ(統計)
    選手評価指標:インパクトメトリクス
    提案手法
    単調性リアルタイム勝敗確率の構築
    WPA の定義および算出
    勝利貢献度の定義および算出
    まとめ・今後の予定
    32

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  34. まとめ
     試合時刻ごとに得点差に対して勝敗確率が単調性を保つような
    リアルタイム勝敗確率を構築した
     リアルタイム勝敗確率に基づいたインパクトメトリクスを定義・算出した
     WPA
     勝利貢献度(VC)
     千葉ジェッツ,栃木ブレックスに所属している出場時間が 10000[s]を
    超えている選手の中でWPA およびVC を用いて
    各選手の攻守それぞれにおける貢献を定量化した
    33

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  35. 今後の予定
    複数年にわたる提案指標の算出および分析
    34

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