Upgrade to Pro
— share decks privately, control downloads, hide ads and more …
Speaker Deck
Features
Speaker Deck
PRO
Sign in
Sign up for free
Search
Search
若手から生命情報科学を問い直す@IIBMP2020
Search
ktnyt
September 02, 2020
Science
1
3.5k
若手から生命情報科学を問い直す@IIBMP2020
IIBMP2020のワークショップ「生命情報若手研究者の現在と未来を考える」の発表資料です。
ktnyt
September 02, 2020
Tweet
Share
More Decks by ktnyt
See All by ktnyt
runeとUnicodeと文字数と
ktnyt
0
500
ioのテストをうまくやりたい
ktnyt
0
240
バイオシェル芸のためのPerlワンライナー
ktnyt
0
1.5k
ねこでもわかる深層学習入門
ktnyt
2
3.3k
Other Decks in Science
See All in Science
データベース08: 実体関連モデルとは?
trycycle
PRO
0
740
MCMCのR-hatは分散分析である
moricup
0
390
データベース12: 正規化(2/2) - データ従属性に基づく正規化
trycycle
PRO
0
730
深層学習を用いた根菜類の個数カウントによる収量推定法の開発
kentaitakura
0
170
機械学習 - K-means & 階層的クラスタリング
trycycle
PRO
0
990
Quelles valorisations des logiciels vers le monde socio-économique dans un contexte de Science Ouverte ?
bluehats
1
420
生成AI による論文執筆サポートの手引き(ワークショップ) / A guide to supporting dissertation writing with generative AI (workshop)
ks91
PRO
0
510
論文紹介 音源分離:SCNET SPARSE COMPRESSION NETWORK FOR MUSIC SOURCE SEPARATION
kenmatsu4
0
240
統計学入門講座 第3回スライド
techmathproject
0
110
07_浮世満理子_アイディア高等学院学院長_一般社団法人全国心理業連合会代表理事_紹介資料.pdf
sip3ristex
0
500
点群ライブラリPDALをGoogleColabにて実行する方法の紹介
kentaitakura
1
310
ガウス過程回帰とベイズ最適化
nearme_tech
PRO
1
450
Featured
See All Featured
What’s in a name? Adding method to the madness
productmarketing
PRO
23
3.5k
Producing Creativity
orderedlist
PRO
346
40k
Facilitating Awesome Meetings
lara
54
6.5k
Optimizing for Happiness
mojombo
379
70k
How To Stay Up To Date on Web Technology
chriscoyier
790
250k
Agile that works and the tools we love
rasmusluckow
329
21k
Navigating Team Friction
lara
187
15k
Fashionably flexible responsive web design (full day workshop)
malarkey
407
66k
Become a Pro
speakerdeck
PRO
29
5.4k
KATA
mclloyd
30
14k
How to train your dragon (web standard)
notwaldorf
96
6.1k
GraphQLの誤解/rethinking-graphql
sonatard
71
11k
Transcript
若⼿から⽣命情報科学を問い直す 板⾕琴⾳@IIBMP2020
承前 • あくまで私個⼈の⾒聞や体験に基づく意⾒です。 • 偏った⾒⽅だと思うのでご指摘を。 • ぜひ Twitter (@kotone_nyt) にリプライください。
• ここに参加している⼈はわかってる⽅々だと思います。
⾃⼰紹介 • 慶應義塾⼤学 政策・メディア研究科 後期博⼠課程 • 理研BDR ⼤阪地区 ⾼橋恒⼀研究室 リサーチアソシエイト
• 参加プロジェクト • 富岳萌芽的課題 (4) での基盤ソフトウェア開発 • 細胞シミュレーションのためのゲノム編集ツールの開発 • 実験⾃動化に向けた要素技術の開発
私の⽣命情報科学観
学部時代 • 2011年4⽉ - 慶應義塾⼤学 環境情報学部に⼊学 • 2011年9⽉ - 冨⽥
勝 研究室に参加 • 荒川 和晴 先⽣の元でソフトウェア開発に従事 • 主にターミナルやWeb系のアプリが中⼼ • 2012年3⽉ - オープンバイオ研究会に参加 • 2012年-2017年 - DBCLS主催BioHackathonシリーズに参加
完全にエンジニア
Informatics 情報科学 Bioinformatics ⽣命情報科学 Bio ⽣命 + =
Informatics 情報科学 Bioinformatics ⽣命情報科学 Bio ⽣命 + =
「⽣命情報科学の本質は情報科学である」 という致命的な勘違いに陥る。
「若⼿研究者とギークな話ができる!!!」と ⽣命情報科学若⼿の会に参加して現実を知る。
バイオインフォマティクスをやってて インフォに興味がある⼈が少ない。 ※いないわけではない
今年のエピソード 若⼿の会の講演者としてDBCLSの⽚⼭さんをご招待。 「やってることはメインストリームじゃないですが それでもいいですか?」と⾔われてしまう。 私がメインストリームだと信じてきたことを ⼀瞬で全否定されてしまった悲しさ。
なぜ⽣命情報科学の世界に情報技術に強い学⽣が⼊ってこない? 情報科学寄りの若⼿の視点から考えてみた。
インフォ系学⽣あるある インフォ⼈材不⾜なので優遇される ↓ 情報技術がちょっとできるだけでちやほやされる ↓ ⽣物学的に新しいことを提案することを期待される ↓ 興味の範囲外なので⽴ち去っていく ↓ ⾝体は闘争を求め、アーマード・コアの新作が出る。
成功体験という呪い たいていの場合「インフォができる」の⽔準が恐ろしく低い。 ↓ 少しできただけで逃すまいとものすごい囲い込みが起きる。 ↓ ⾃分の実⼒を過⼤評価してしまうようになる。 ↓ その程度に情報技術が扱える⼈はいるので次第に埋もれていく。
そもそも何がしたい? • 情報系の学⽣なんだからインフォがしたい。 • ソフトウェア書いたりインフラ作ったりしたい。 • パイプラインを作るのは楽しかったりする。 • 本質的な興味は「情報科学>⽣命科学」 •
これを⾒誤るとお互いが不幸になる。
インフォ系の学⽣を呼び込みたいのであれば 純粋にインフォだけでやっていけるようお膳⽴てが必要。 ※バイオインフォではないことに注意
インフォ学⽣のトリセツ • インフォ系学⽣はバイオに興味がないと思うこと。 • そのことを責めないであげてほしい。 • 科学者ではなく技術者を育てるつもりで接する。 • 良い技術者はどこに⾏っても通⽤する。
技術者は必要か? • データを持つ巨⼈がAI時代を制した (GAFA)。 • バイオロジーのブームが来てから焦っても遅い。 • ⽇本は巨⼈になれるポテンシャルを持っている。 • KEGGやDDBJなど世界に通⽤するインフラがある。
• DBCLSのような研究機関もある。
情報技術軽視の傾向 • ⽇本に限った話ではないしバイオに限った話でもない。 • AI/ML界隈でも情報技術は現場では軽視される。 • フレームワークを開発する側は頑張ってる。 • 逆に⾔えばリードを取るチャンスでもある。 •
世界を牽引する⼈材を排出できるかもしれない。
私からのお願い • 情報技術に⼼酔する若⼿に優しくしてあげてほしい。 • 技術者として育つことを妨げないであげてほしい。 • 今こそ情報技術そのものの研究が必要。
今から情報技術者に投資することで 未来の⽣命情報科学が加速される。
⽣命科学者と情報技術者が共存できる世界を願います。
謝辞 ⽣命情報科学若⼿の会 スタッフ各位