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13年続くレガシーサービスを安全にリリースし続けるためのテスト戦略 / rakus-meetu...
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kyoshimoto
August 05, 2020
Technology
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13年続くレガシーサービスを安全にリリースし続けるためのテスト戦略 / rakus-meetup-osaka-vol8-2020-08-05
Rakus Meetup Osaka #8 の発表資料です。
https://rakus.connpass.com/event/161744/
kyoshimoto
August 05, 2020
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Transcript
13年続くレガシーサービスを安全に リリースし続けるためのテスト戦略 RAKUS Meetup Osaka #8 株式会社ラクス 吉元和仁
自己紹介 • 所属・氏名 • 株式会社ラクス 第四開発部 • 吉元 和仁(よしもとかずひと) •
仕事 • 2018年10月より自社サービス「配配メール」の開発担当
配配メール について • BtoB向けメールマーケティング・サービス • 中小企業のお客様の多種多様な業務に合わせて4つのプラン、 8つのオプション機能を提供
2019年10月に新プラン 「配配メールBridge」をリリース
話すこと • 13年続く自動テストの無いウェブサービスで、レガシーと向 き合い、安全にリリースし続けるためのテスト戦略とテスト ツールの活用事例を紹介。
レガシーサービスの定義
レガシーサービスの定義 • テストがないコードはレガシーコード だ! (書籍「レガシーコード 改善ガイド」より)
レガシーサービスの定義 • テストされていない/テストできないコード • 柔軟性のないコード • 技術的負債を抱え込んでいるコード (書籍「レガシーソフトウェア改善ガイド」より)
レガシーシステムの改善方針 • リファクタリング • リアーキテクティング • ビッグ・リライト (書籍「レガシーソフトウェア改善ガイド」より)
我々のレガシーサービス
我々のレガシーサービス • 2007年5月にサービス提供を開始 • 長年の機能追加により、ユーザへの価値提供を増大 • 一方で、コードの複雑性も増大
メソッドが組み合わせ爆発 • プログラム修正がコアロジックに集中 • 増え過ぎた引数 • 引数の論理演算($midOrSid) • No グローバル変数,
No life (https://youtu.be/Q4gTV4r0zRs)
BigQuery生成ロジック • 複数のメソッドが1つのSQLを生成するロジック • サービスの成長とともにSQLが巨大化 • 各メソッドは責務崩壊 • つじつま合わせのハッキングコード •
新人泣かせのBigQuery(SQL)生成ロジックへと成長
リファクタリングしたい
レガシーコードのジレンマ • リファクタリングを行うとき、最初にすることは常に同じで す。対象となるコードについてきちんとしたテスト群を作り 上げることです。テストは不可欠です。 (書籍「リファクタリング」より)
レガシーコードのジレンマ • 自動テストの仕組みも文化もないサービス • ドキュメントが無く、ソースコードが仕様 • テストを作るためには、まずはじめに複雑度の高いロジック を理解することから始めなければならない
開発チームの課題
開発チームの課題 • スター選手は新規サービス開発の最前線へ • 相次ぐコアメンバーの異動 • 開発チームの半数以上は若手エンジニア
開発チームの課題 • ソースコードが仕様 • 既存仕様の考慮漏れにより、開発終盤で設計が破綻 • 進捗90%の壁 • 納期のプレッシャーにより品質が低下 •
疲弊する開発チーム
計画の不確実性をなくしたい
計画の不確実性 • 楽観主義などの要因により、コストを低く見積もる傾向があ る。 書籍「人月の神話」より
計画の不確実性 • 見積りは、あくまで予測です。 • 予測を「ノルマ」にした途端、それを達成するための過負荷 な労働が生まれ、クオリティが下がってしまいます。 • 書籍「エンジニア組織論への招待」より
計画の不確実性 • エンジニアリングで重要なのは「どうしたら効率よく不確実 性を減らしていけるのか」という考え方なのです。 • 書籍「エンジニア組織論への招待」より
課題まとめ • 課題1 • 複雑度が高すぎるプロダクトコード • 課題2 • 計画の不確実性の問題
レガシーサービスを安全にリ リースし続けるための テスト戦略
課題まとめ(再掲) • 課題1 • 複雑度が高すぎるプロダクトコード • 課題2 • 計画の不確実性の問題
テストの7原則 1. テストは欠陥があることは示せるが、欠陥がないことは示せない 2. 全数テストは不可能 3. 早期テストで時間とコストを節約 4. 欠陥の偏在 5.
殺虫剤のパラドックスにご用心 6. テストは状況次第 7. 「バグゼロ」の落とし穴 (参考: http://jstqb.jp/dl/JSTQB-SyllabusFoundation_Version2018V31.J02.pdf)
テストの7原則 4. 欠陥の偏在 リリース前のテストで見つかる欠陥や運用時の故障の大部分は、 特定の少数モジュールに集中する。 テストの労力を集中させるために欠陥の偏在を予測し、テストや 運用での実際の観察結果に基づいてリスク分析を行う。
戦略① 安全にリリースし続ける ための重要機能テスト
重要機能テストとは • 我々の開発チームでは、代替手段がなく顧客影響が大きいバ グをクリティカルバグと呼ぶ。 • このバグを抽出するためのテストが重要機能テスト。 • 安全なリリースサイクルを回すためには、重要機能テストの 実施が不可欠。
テストの作成手順 1. サービスの有識者と協議の上で重要機能を抽出 2. 重要機能のテストケースを作成 3. テストを手動実行し、カバレッジ結果を取得 4. カバレッジ結果を参考に、テストケースを見直し
テストケースの作成手順 1. サービスの有識者と協議の上で重要機能を抽出 2. 重要機能のテストケースを作成 3. テストを手動実行し、カバレッジ結果を取得 4. カバレッジ結果を参考に、テストケースを見直し
手動テストのカバレッジって 取得できるの?
手動テストの カバレッジ取得について
利用するライブラリ • Xdebug (https://xdebug.org/ ) • PHP_CodeCoverage (Github: https://github.com/sebastianbergmann/php-code-coverage)
ライブラリのインストール • Xdebug • 公式ページ参照 • https://xdebug.org/docs/install • PHP_CodeCoverage composer
require --dev phpunit/php-code-coverage
カバレッジログ 出力プログラムの準備
カバレッジログ出力プログラムを準備 • <?php • xdebug_start_code_coverage(XDEBUG_CC_UNUSED | XDEBUG_CC_DEAD_CODE); • function output_coverage_report_file()
{ • if (!xdebug_code_coverage_started()) { • return; • } • xdebug_stop_code_coverage(false); • $jsonData = json_encode(xdebug_get_code_coverage()); • // コードカバレッジ結果をJSONファイルに出力する • $reportFile = __DIR__ . '/reports/json/coverage-' . microtime(true) . '.json'; • file_put_contents($reportFile, $jsonData); • } register_shutdown_function('output_coverage_report_file'); •
カバレッジログ出力プログラムを準備 • <?php • xdebug_start_code_coverage(XDEBUG_CC_UNUSED | XDEBUG_CC_DEAD_CODE); • • •
• • • • • • • ① カバレッジ取得開始
カバレッジログ出力プログラムを準備 • <?php • xdebug_start_code_coverage(XDEBUG_CC_UNUSED | XDEBUG_CC_DEAD_CODE); • function output_coverage_report_file()
{ • if (!xdebug_code_coverage_started()) { • return; • } • xdebug_stop_code_coverage(false); • $jsonData = json_encode(xdebug_get_code_coverage()); • // コードカバレッジ結果をJSONファイルに出力する • $reportFile = __DIR__ . '/reports/json/coverage-' . microtime(true) . '.json'; • file_put_contents($reportFile, $jsonData); • } register_shutdown_function('output_coverage_report_file'); • ② プログラム終了時に実行する コールバック関数を定義
カバレッジログ出力プログラムを準備 • <?php • xdebug_start_code_coverage(XDEBUG_CC_UNUSED | XDEBUG_CC_DEAD_CODE); • function output_coverage_report_file()
{ • if (!xdebug_code_coverage_started()) { • return; • } • xdebug_stop_code_coverage(false); • $jsonData = json_encode(xdebug_get_code_coverage()); • // コードカバレッジ結果をJSONファイルに出力する • $reportFile = __DIR__ . '/reports/json/coverage-' . microtime(true) . '.json'; • file_put_contents($reportFile, $jsonData); • } register_shutdown_function('output_coverage_report_file'); • ③ カバレッジ取得停止
カバレッジ結果出力プログラムを準備 • <?php • xdebug_start_code_coverage(XDEBUG_CC_UNUSED | XDEBUG_CC_DEAD_CODE); • function output_coverage_report_file()
{ • if (!xdebug_code_coverage_started()) { • return; • } • xdebug_stop_code_coverage(false); • $jsonData = json_encode(xdebug_get_code_coverage()); • // コードカバレッジ結果をJSONファイルに出力する • $reportFile = __DIR__ . '/reports/json/coverage-' . microtime(true) . '.json'; • file_put_contents($reportFile, $jsonData); • } register_shutdown_function('output_coverage_report_file'); • ④ カバレッジデータを ファイル出力
カバレッジレポート 出力プログラムを準備
カバレッジレポート出力プログラムを準備 • <?php • ini_set('max_execution_time', 0); • ini_set('memory_limit', -1); require_once
__DIR__ . "/vendor/autoload.php"; • $summaryCoverage = new SebastianBergmann¥CodeCoverage¥CodeCoverage(); • // ... 中略 ... • $summaryCoverage->filter() • ->addDirectoryToWhitelist('/usr/local/myapp', ['.php', '.inc’]); • $reportFiles = glob(__DIR__ . '/reports/json/*.json’); ① レポート用モジュールを生成し、ログデータ読み込み準備
• $countFiles = count($reportFiles); • for ($i = 0; $i
< $countFiles; $i++) { • printf("[%d/%d] append coverage data %s¥n", • ($i + 1), $countFiles, $reportFiles[$i] • ); • $tmpData = json_decode( • file_get_contents($reportFiles[$i]), JSON_OBJECT_AS_ARRAY); • $summaryCoverage->append($tmpData, 'myapp'); • } カバレッジレポート出力プログラムを準備 ② ログデータを読み込む
• echo "Output html report start..." . PHP_EOL; • $report
= new SebastianBergmann¥CodeCoverage¥Report¥Html¥Facade(); • $report->process($summaryCoverage, __DIR__ . '/reports/html'); • echo "Output html report completed" . PHP_EOL; カバレッジレポート出力プログラムを準備 ③ カバレッジ結果をHTML出力
PHP設定ファイルの編集
PHP設定ファイルの編集 • 「auto_prepend_file」ディレクティブ設定 ; Automatically add files before PHP document.
; http://php.net/auto-prepend-file auto_prepend_file = {カバレッジログ出力プログラムのパス}
カバレッジレポート出力の流れ 1. カバレッジ用プログラムの配置 2. 「auto_prepend_file」設定し、サービス再起動 3. 重要機能テストを手動実行 4. 「auto_prepend_file」設定クリアし、サービス再起動 5.
カバレッジ出力プログラムを実行
カバレッジ取得&HTML出力
カバレッジ取得&HTML出力
カバレッジ取得&HTML出力 赤色行が重要機能ロジックであれば テストケースを追加する
重要機能テストの自動化
利用するライブラリ • Puppeteer • E2Eテスト用ライブラリ • プログラミング言語: JavaScript (https://github.com/puppeteer/puppeteer) •
Visual Studio Code (IDE環境) • テストプログラム作成のためのIDE環境として利用 (https://azure.microsoft.com/ja-jp/products/visual-studio-code/)
ライブラリのインストール • puppeteer • Visual Studio Code • 割愛 npm
install puppeteer
PageObject パターンでユーザ操作をメソッド化 module.exports = class HMPage { //...中略... async input件名(aSubject)
{ await this.page.type('#subject', aSubject); } async click新規作成() { await this.page.waitForXPath('//a[contains(text(), "新規作成")]') const link = await this.page.$x('//a[contains(text(), "新規作成")]') await link[0].click() await this.navigationPromise; } async click次へ() { await this.page.waitForXPath('//a[contains(text(), "次へ")]') const link = await this.page.$x('//a[contains(text(), "次へ")]') await link[0].click() await this.navigationPromise; }
重要機能テストをテストコード化 • (async () => { • const page =
new HMPage() //.. 中略... await page.inputログインID("テスト太郎") • await page.inputパスワード("password") • await page.clickBtnログイン() • await page.click新規作成() • await page.click次へ() • actualValue = await page.getTitle() • assert.equal(actualValue, 'メール作成画面', '「メール作成画面」画面が表示される'); • await page.input件名("テストメール件名") • await page.input本文("テストメール本文") • await page.click次へ() • actualValue = await page.getTitle() • assert.equal(actualValue, 'メール確認画面', '「メール確認画面」画面が表示される');
重要機能テストを自動化
戦略② 不確実性に立ち向かうための テスト駆動開発
課題まとめ(再掲) • 課題1 • 複雑度が高すぎるプロダクトコード • 課題2 • 計画の不確実性の問題
安全にリリースし続けるために • 開発終盤の不確実性を低減させる必要がある
テスト駆動開発
テスト駆動開発について • 基本となる開発サイクル • 失敗するテストを書く • できる限り早く、テストに通るような最小限のコードを書く • コードの重複を除去する(リファクタリング)
テスト駆動開発について • ソフトウェアテストの世界における本来のテストとは、認知 の外を探求する、いわば創造的破壊行為です。それにたいし てTDDのテストとは、いわばプログラミングや設計の補助線、 治具です。 (書籍「テスト駆動開発」より)
我々のテスト駆動開発
導入前 1. 既存ロジックの仕様を把握する 2. プログラム設計書を書く 3. 実装する 4. 修正ロジック、デグレードしそうなロジックを手動テスト する
導入後 1. 既存ロジックのユニットテスト作成 2. 既存ロジックをリファクタリング 3. 新規ロジックのユニットテスト 4. 実装して動くものを作る 5.
リファクタリングする
テスト駆動開発への期待 • 納期のプレッシャーを低減 • 開発終盤でも安心して、修正・再設計できる。 • 既存バグや複雑な作業に翻弄されずに、進捗させやすくなる。 • 開発タスクを分業しやすくし、クリティカルパスを低減できる。 •
スイッチングコストの低減 • 実装結果がすぐにフィードバックされるので、実装に専念できる。 • 調査・実装・デバッグ・既存バグによる作業中断によるスイッチングコ ストを低減できる。 • 開発チームの設計力底上げ • テスト容易性を考慮した設計が行えるようになり、開発チームの設計力 を底上げできる。
テスト駆動開発用ツール • PHPUnit • PHPで動くxUnit系フレームワーク (公式: https://phpunit.de/) • Guzzle •
PHPで利用できるHTTPクライアント (http://docs.guzzlephp.org/en/stable/index.html)
ライブラリのインストール • PHPUnit • Guzzle • PHPで動くHTTPクライアント composer require phpunit/phpunit
composer require guzzlehttp/guzzle:^7.0
実行環境
結果報告 (中間報告)
重要機能テストについて • 重要機能テストにより、発見された不具合は今のところ0件 • 重要機能が定義され、死守すべき品質基準が明文化された点は大き い • 自動化テストについては、一部オプション機能を除き自動化済み • 現在は、より堅牢なサービスを目指し、重要機能の範囲を広げて自
動テストを拡充中
テスト駆動開発 • プロジェクト終盤の不確実性が圧倒的に低減できている • ユニットテストがあることで、開発終盤でも安心して設計方針を見 直せる • 携わった開発メンバー全員が、この取り組みを評価しており、今後 積極的に採用していく意思をしめしている
リリース状況 • 2019年03月予定 v5.3リリース • 2019年04月予定 v5.3リリース • 2019年05月16日 v5.3リリース
リリース状況 • 2019年10月10日 v6.0リリース • 2020年05月23日 v6.1リリース • 2020年04月16日 v6.2リリース
• 2020年06月03日 v6.3リリース • 2020年08月末 v6.4リリース
まとめ
まとめ • 重要機能テストで品質基準を明文化し、E2Eテストで品質基 準を検査する。 • テスト駆動開発で品質を向上し、計画の不確実性を低減する。
まとめ • 重要機能テストとテスト駆動開発で、レガシーシステムと向 き合うことで、安全なリリースを実現できた。
ご静聴ありがとう ございました