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リモートにおけるPBL活動の工夫と成果

mamepika
August 09, 2020

 リモートにおけるPBL活動の工夫と成果

新型コロナウイルスの影響で、リモートでの活動を強いられている産業技術大学院大学のPBL活動について、工夫と成果、活動内容をまとめたもの。
2020年7月25日のJuly Tech Festa2020で発表。

mamepika

August 09, 2020
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  1. 1. 自己紹介 • 佐藤 達志(さとう たつし) 30代 • プログラマー@外資系保険会社 •

    AWS, Java, Pythonなど(好きな言語はJava) • Salesforce, PureCloudなどのコンタクトセンター周りのサービスを担当 • 転職を繰り返し、現在4社目 • JJUG(Japan Java User Group)幹事会メンバー • 趣味はカメラとゲーム • カメラは最近SONYのフルサイズミラーレスカメラのα7RⅣを衝動買い • ゲームはもっぱらモンハンアイスボーン • 好きなものはリラックマとモーニング娘。 経歴
  2. AIITとは 2. AIITと社会人大学院生の生活 • 東京都立産業技術大学院大学 (https://aiit.ac.jp/) • Advanced Institute Of

    Industrial Technology • 今年から「東京都立」が名前についた。去年までは産業技術大学院大学。 • 場所は品川シーサイド駅の近く。大井町駅からも歩いていける。 • 1専攻3コース(今年から制度変更) • 事業設計工学コース • 創造技術コース • 情報アーキテクチャコース • 去年までは創造技術専攻と情報アーキテクチャ専攻の2つだった • 社会人向けの大学院 • 授業は平日夜間と土曜日に行われるため、仕事をしながら通学可能 • 授業は動画で受講することも出来る • 学生の年齢も20代から70代まで
  3. 入試 2. AIITと社会人大学院生の生活 • 一般入試 • 社会人対象特別入試 • 自己推薦入試 •

    PBLメンバーは4人が社会人対象特別入試、1人が一般入試で入学 • 私は一般入試 https://aiit.ac.jp/admission/guidelines/
  4. 一般入試 2. AIITと社会人大学院生の生活 • 小論文 • 記述式の問題一つと小論文 • テーマはITに関すること •

    日頃からITニュースなどに触れておけば問題なく書ける • 面接 • 履歴書や職務経歴書などをもとに質問 • AIITを志望した動機
  5. 社会人入試 2. AIITと社会人大学院生の生活 • プレゼンテーション • 入社からこれまでの経歴 • 自分の強み •

    転職活動のようなプレゼン • 面接 • プレゼン資料や経歴書を元に質問がくる • AIITで何を学んで卒業後どうなりたいか? • 希望のPBL • 勉強の時間を確保できるか
  6. 社会人大学院生の生活(2019年版) 2. AIITと社会人大学院生の生活 • 仕事が終わったら授業に行く二足のわらじ生活 • 仕事 09:00~17:30 • 授業

    18:30~20:00, 20:10~21:40 • 仕事が終わったらすぐに移動 • 18:30から授業が始まるので、大体遅れる。 • 授業のあとは図書館で自習 • レポート課題や授業の演習、出席確認テストなど をこなす • 履修科目は1Qで4つが限界 • 去年5つ履修したら死にかけた • レポート課題や演習課題の締切が重なる • 有給休暇を取得して間に合わせることも • 週6日学校に行く羽目に…(職場より通う)
  7. 社会人大学院生の生活(2020年版) 2. AIITと社会人大学院生の生活 • 仕事も授業も完全リモート(2年次は授業よりPBL※が主体) • 仕事 09:00~17:30 • 授業

    18:30~20:00, 20:10~21:40 • 移動時間がなくなる • 通勤、通学の時間(1日3時間)がなくなるので、時間に余裕がで きた • 時間に余裕ができたからといって課題が出来るわけではない • 授業も自習も全部自宅で実施 • 人と話す機会がなくなる。 • PBLやりながらだと履修科目は1Qで1つが限 界 • PBLの質が下がってしまう • PBLに割かなければいけない時間が単純に多い
  8. PBLとは 3. PBL活動について • Project Based Learning “実社会で即戦力として活躍できる人材を育成するために有効な教育手法であり、数名の学生が、明確な目標を掲げ、で きるだけ実際の業務の内容に近い1つのプロジェクトを完成させていくプロセスの中で、実社会で真に役立つスキルやノ ウハウを修得していくというもの”

    • 修士論文に代わる必修科目 • 経験の蓄積・業務遂行能力の習得 • 1年次:知識・スキルの修得 • 2年次:コンピテンシーの修得←PBL • PBLの構成メンバー • メンバーの多様性(年齢、職業、職位、経験など) • 複数のメンバーによる構成 PBL(Project Based Learning)型教育 https://aiit.ac.jp/education/pbl/
  9. PBLメンバー 3. PBL活動について • 30代~40代の5名 • バラバラの職種 • 営業@通信会社 •

    プロジェクトマネージャ@メーカー • プログラマー@保険会社 • インフラエンジニア@SIer • サービスエンジニア@ICTサービスプロバイダ • 年齢・職種がバラバラで多様性があるというが… • 実際には「日本人男性」の1属性であるとも言える… • 国籍、性別が多様なPBLもある
  10. 嶋津PBLの活動スケジュール 3. PBL活動について • 月曜、水曜チームミーティング • @Google Meet • 19時スタート

    • 土曜コアミーティング • @Google Meet • 12時30分~14時 • 個人活動9時間、チーム活動9時間以上が最低限 • 仕事が週40時間なので、大体仕事の半分くらいの稼働が追加でかかるイメージ • 全部オンラインになってしまったので、個人とチーム活動の境界は曖昧
  11. 準天頂衛星みちびきの「災危通報」 3. PBL活動について • MT43は12種類の災害情報を放送しており、12種類毎に変換処理の設計が必要 1. Earthquake Early Warning 2.

    Hypocenter 3. Seismic Intensity 4. Nankai Trough Earthquake 9. Weather 10. Flood 11. Typhoon 12. Marine 5. Tsunami 6. Northwest Pacific Tsunami 7. Volcano 8. Ash Fall
  12. Javaアプリケーション開発環境 3. PBL活動について ・プログラミング言語 :Java ・テストツール :JUnit ・ビルドツール :Maven ・統合開発環境

    :IntelliJ IDEA ・コードバージョン管理:GitHub ・CI/CD :GitHub Actions ・コミュニケーションツール:slack, Google Meet pull push pull push
  13. チーム活動が前提なPBLでリモートが強制 4. リモートでのPBL活動の工夫と成果 • 更に1Qの開始時期が4月から5月に • 本PBLでは3月のメンバー決定時から活動をスタート • 初期の活動では、Javaプログラミングの基礎から実施していった •

    環境設定、FizzBuzz、テスト自動化など • 読書会も実施 • 「テスト駆動開発」、「オブジェクト指向のこころ」、「実践ドメイン駆動設計」 • 5月にスタートするもメンバーは一度も実際に会わないまま • 活動は全てオンライン上で実施 • 主な作業場所は自宅に • 自宅の作業環境を整備する必要がでてきた • 仕事も完全リモートに移行 • 仕事も4月から完全リモートに移行した。
  14. オンラインコミュニケーションの緊密化 4. リモートでのPBL活動の工夫と成果 • 利用しているツール・サービス • Slack • 1年次の時から学生間で情報共有に使用していたため、PBLでも使用することに •

    Google Meet • 学校のアカウントがGoogleアカウントのため • Backlog • PBLで指定されているツール • GitHub • BacklogのGitリポジトリを使うのが標準だが、情報量の多さなどでGitHubを採用
  15. 自宅の作業環境を整える 4. リモートでのPBL活動の工夫と成果 作業環境が生産性に大きく影響するため • 大きな机 • 大きいは正義。ディスプレイを置いたり書類を置いたり、スペースは重要 • 大きな外部ディスプレイ

    • ノートPCの小さな画面一つでコードは書けない。外部ディスプレイを繋げば世界が変わ る • 椅子 • 長時間座る椅子も超重要 • ヘッドセット • ノートPCのマイクではキーボードの打鍵音を拾ってしまうので、ヘッドセットがあるの が望ましい。
  16. オタクはリモートに強い 4. リモートでのPBL活動の工夫と成果 • 大きな机 • 大きな外部ディスプレイ • 椅子 上記のこれらは写真のRAW現像作業で使う

    ため元から完備。 ヘッドセットもモンハンでボイスチャット をするために買っていたものを流用。 →カメラやゲームの環境がそのまま最高の 仕事環境になった
  17. 意外と便利なもの 4. リモートでのPBL活動の工夫と成果 • ヘッドホンホルダー • 机の上のスペースが有効活用できる • すぐに取り出せる •

    無理すれば2つかけられるので使い分けでも便利 • ヘッドホンとヘッドセット • 袖机 • 机の上に物を置きがちなので、それらをまとめ て収納するために購入 • 結果は袖机の中も満載で机の上も片付かない • それでも便利。
  18. PBL活動の成果 4. リモートでのPBL活動の工夫と成果 • メンバー全員がアプリケーションの開発を実施出来るように • Javaのコードを書ける • IntelliJ IDEA,

    GitHub, Git, Mavenを使えるように • 「プルリクしたので、レビューしてマージお願いします」みたいな会話が出るように • みちびきに詳しくなった • 準天頂衛星という単語に敏感になった • 移動時間がない分をミーティングに割いたので、結束は高まった • 自己紹介やPBLでやりたいこと、達成したい事などを各自が発表し、それらを満たすこと の出来るテーマ、活動の内容にしたことで、メンバー全員のモチベーションが上がり、結 束も高まった。 • ミーティングだけでなくSlack上での会話も頻繁に行われている
  19. 振り返り 5. まとめ・振り返り • 複数人で作業する際はオフライン>オンライン • 当たり前だが、オンラインよりは直接集まったほうが情報量は多い • 簡単な質問や雑談はオンラインではしにくい •

    オンラインは常に1対多の1つのコミュニケーションラインしか確保できない • 今後もしばらくはオンライン主体 • 作業環境の整備やオンラインコミュニケーションを密に取る • 集まれるときには集まるようにする • 貴重なオフラインでの機会を有効活用する
  20. これからの活動予定 5. まとめ・振り返り • 技術要素のさらなる活用 • GitHub ActionsによるCI/CD環境の整備 • 今回開発したライブラリを組み込んだ、災害情報発信システムの開発

    • 災危通報受信機による信号受信 • Spring Boot, Docker, AWSなど • 国内・国外の技術イベントでの登壇 • 英語が得意なメンバーは国外イベントも視野に入れる • 今回のJTFで達成 • 技術書展参加 • PBLメンバー全員の共著でPBLの活動内容などを本にまとめる