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アジャイル未経験の部署と取り組んだ銀行システム開発/Bank system development with agile inexperienced department
matsukurou
January 05, 2022
Business
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アジャイル未経験の部署と取り組んだ銀行システム開発/Bank system development with agile inexperienced department
RSGT2020での登壇資料です。
matsukurou
January 05, 2022
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Transcript
アジャイル未経験の部署とどう取り組んだ? 〜新チームと部署の垣根を超えて取り組む銀行システム開発〜 Kazutaka Matsusaki / Kunihiro Kuroda
松崎 一孝(まつさき かずたか) ふくおかフィナンシャルグループ ビジネス開発部(アジャイル開発チーム) 兼職 IPAアジャイルWG 仕事 ゲームエンジニア
→ スクラムマスター(3年) アジャイルエバンジェリスト(自称) → 組織にアジャイルを広める人 趣味 野球・ゴルフ・マラソン・読書 特徴 ヤクルトファン・極度の紫好き 自己紹介
黒田 訓弘(くろだ くにひろ) ふくおかフィナンシャルグループ ビジネス開発部(アジャイル開発チーム) 仕事 エンジニア(webフロントエンド) → エンジニア(web全般)
趣味 釣り・ドライブ・料理 特徴 騎手を目指していたので特技は乗馬 自己紹介
銀行での開発、どんなイメージですか? Discordにどうぞ〜!
思ってもらえると良さそうなこと 銀行がやっているなら 自分たちもできる
実際は 伝統的な長机 自由なレイアウト スーツ!!! 私服 おやつもね 新旧文化の融合
RSGT2020でお話したこと https://speakerdeck.com/matsukurou/how-to-create-an-agile-organization ・初のスクラムマスターでの失敗 ・銀行内での取り組み ・銀行外での取り組み
2年で変わったこと ・スクラムマスター ・開発チーム 開発組織のベースはできてた ※ 人数・チーム数はイメージです
今回の挑戦 SM PO 開発チーム 同一部署 PO スクラム経験者 スクラム未経験者 他部署 SM
開発チーム 同一部署 アジャイル?内 製?? スクラム? 知ってるけど… プロダクト 本業 制約いっぱい 関係者多数 開発チーム 新規事業
ミッション 新チームの立ち上げ プロダクト開発を進められる状態にする チームとして成長し続けられる状態を作る 1 2 3 他部署との協働の実現 より良い活動の方法を模索する POの育成にも取り組む
本業に関わる開発の実施 開発の勘所や注意点を探る あとに続く他チームへの展開 今回は話さない それぞれの視点 での取り組み ・開発チーム ・SM
経験から学ぶ はじめてのスクラム FFG ビジネス開発部 黒田訓弘
エンジニア歴 2〜17年 平均年齢 31歳 男女比 1:1 チーム歴 1年半 キャリアチェンジ銀行員 x
2名 中途採用エンジニア x 2名 メンバー構成 100%モブプログラミング 開発手法 ATDD ほぼ完全リモートワーク 僕たちの開発チーム
投資信託の申込関連サービス ↓ 銀行の本業 JavaScript(Vue.js) Java(SpringBoot) 技術スタック AWS インフラ MySQL 僕たちのプロダクト
今日お話ししたいこと 経験と振り返りが大事 経験する(成功も失敗も) 振り返る(言語化・見える化)
本題に入る前に... 僕たちの振り返り手法 ・毎日の振り返り(鮮度重視)15分 ・スプリントの振り返り(深さ重視)1時間 Day1 Day2 Day3 Day4 Day5 Sprint
今日お話ししたいこと 経験と振り返りが大事 経験したこと どう振り返ったか エピソードを紹介
EPISODE I 開 発 手 法 の 探 索
EPISODE I 開 発 手 法 の 探 索 -
チーム結成からほどなくしてモブプロ - オンボーディングも兼ねられた - 開発の遅延 経験したこと
EPISODE I - スループットを上げたい - ソロ開発はどうか? - 品質低下の懸念 - チームを2分割して、それぞれでペアプロしよう
- ナレッジ分散の懸念 - 実装後に共有会の実施 - 1スプリント毎にメンバー入れ替え 振り返ったこと 開 発 手 法 の 探 索
EPISODE I 経験したこと - チームを2分割してそれぞれでペアプロ - スループット向上 - 共有コスト増・手戻り -
チーム間の軋轢 - 実装方針やテスト粒度に対する意見相違 - メンバーが入れ替わってもチーム間対立は起き た! 開 発 手 法 の 探 索
EPISODE I - スループットはあがったように見えたが... - 長期的に見ると下がっているのでは? - 手戻り修正が発生 - コードの一貫性が低下
- 全員でモブプロする手法に戻してもいいのでは? - 結成当初よりメンバーの開発スキルが向上してい るから! 振り返ったこと 開 発 手 法 の 探 索
EPISODE I - 再び全員でモブプロ - 手戻り修正の削減 - コードの一貫性が向上 - 以前ほどの遅延は発生せず
経験したこと 開 発 手 法 の 探 索
EPISODE I - チームメンバーや状況によって最適な開発手法は異な る - 過去に取り組みをやめた手法であっても、状況が 変われば採用できる 開発手法の振り返り 開
発 手 法 の 探 索
EPISODE II P O と の 関 係 性
EPISODE II P O と の 関 係 性 -
最初期:週1のレビューを行う関係 - 大まかな課題・マイルストーンを共同作成 - リファインメント・プランニングは開発Tのみ - (POが物理的に時間を割けなかったため) - PBIも開発チームが起票 - 実装後「この機能、不完全じゃないですか?」 経験したこと
EPISODE II P O と の 関 係 性 -
方向性のズレを検知するのがレビューのみ - もっと早い段階で検知したい - 課題に取り組む前に検知したい 振り返ったこと
EPISODE II P O と の 関 係 性 -
過渡期:一緒にリファインメント・プランニング - POにも参加してもらう - 課題起票・更新は開発チーム - (POがツールに不慣れだったため) 経験したこと
EPISODE II P O と の 関 係 性 -
まったく見当違いなことは起きなくなった - レビュー後の微調整は依然として発生 - もっと頻繁にPO確認したい 振り返ったこと
EPISODE II P O と の 関 係 性 -
過渡期:一緒にデイリーも - POにもデイリーに参加してもらう - その日の成果物をデモ - POからフィードバック 経験したこと
EPISODE II P O と の 関 係 性 -
その日の進捗をその日のうちに見てもらえる - POからのレビュー後の修正依頼はなくなった - デイリーが長くなった - デイリーをやる前に確認してほしい 振り返ったこと
EPISODE II P O と の 関 係 性 -
最近:仮実装が済んだらPO確認 - 仮実装が済んだ時点でデモ - デモしながらライブコーディングで修正も - デイリーが短縮された - 日をまたがない修正イテレーション 経験したこと
EPISODE II P O と の 関 係 性 -
コミュニケーション頻度はプロダクト品質に直結 - 早めの修正で無駄な時間を減らせる - ただしコミュニケーションの質にもこだわらないと本 質的でない注文も増える POとの関係性改善の振り返り
EPISODE III ま と め
EPISODE III ま と め - 自分たちの姿を常に振り返り続けること - 成長は振り返り・仮説・検証により生まれる -
POとのコミュニケーション頻度向上 - プロダクト品質・改善スピードが劇的に変わる 経験したこと
EPISODE III ま と め - 毎日の振り返り(鮮度重視)とスプリントの振り返り(深さ重視)の組み合 わせがシナジーを生んだ - どちらかだけでは片手落ち
- タスクにフォーカスしがちだけど、チームとしての取り組みに目を向けるべ き - タスク単位だと再現性が低い 振り返りを振り返って
EPISODE III ま と め - 振り返りを習慣化すること - メンバー相互に忌憚なく会話できる関係性の構築 充実した振り返りにするために...
が大事
EPISODE III ま と め そのための 確約(commitment)・勇気(courage)・集中(focus) 公開(openness)・尊敬(respect)
EPISODE III ま と め あらためて チームメンバーに 感謝
EPISODE III チ ー ム の 声(チームの活動で良かったこと) モブプロ POとの関係構築 チーム1on1
いろいろ話せる いろんな意見が出る その分衝突もするけど 関係者全員での ふりかえり 異業界メンバー との交流
ここからの話(SM視点での取り組み) 新チームの立ち上げ プロダクト開発を進められる状態にする チームとして成長し続けられる状態を作る 1 2 3 他部署との協働の実現 より良い活動の方法を模索する POの育成にも取り組む
本業に関わる開発の実施 開発の勘所や注意点を探る あとに続く他チームへの展開
PO・開発チームあるある • 会話をするのがプランニングとレビューの時だけ • 会話をする人が決まっている • 「POが」「開発チームが」という他責 • PO >>
開発チーム の力関係 • 納期に追われ続ける開発チーム
内製開発チームを作ったものの 社内外注 あるあるが改善されないと…
目指したこと 一体感
ありたいチームの姿 • PO、開発チームがプロダクトに集中できる • チーム全体で気軽にコミュニケーションがとれる • お互いに助け合える • チームが成長できる •
締めるとこはシメる チームがいきいきと活動できる
ありたい姿を実現するために POサイドに対して取り組んだ場作り • POとしての活動に集中 • チームで円滑なコミュニケーション
なぜPOとしての活動に集中できない? 銀行員の働き方 • いろんな業務を抱えている • マルチタスクが当たり前 • 全員が手一杯な状態 • 残業めちゃ多い
にも関わらず、だいたいの目標はやり遂げる(凄い)
現状のまま、1つのプロダクトに集中してもらう… ムリ! 集中できる場作りの相談
組織での協力が必要 集中できる場作りのために
本題に入る前に 小さな案件で アジャイル体験 集中できる場作りへの取り組み
見えてきた課題 + 感じてもらったメリット アジャイル開発の小さな成功体験 実際にやってみて
他部署の中に支援者を獲得 これまでできなかった簡単な分析や 試行錯誤しながらの改善が できるようになったのが良かった • 一緒に活動して良かったことは何ですか?
自部署からの協力 協働するにあたってのお願い(自部署から他部署へ) • 優先順位の低い企画ならば、内製開発を行わない • 優先順位が高いならば、集中できる環境は作れるはず
プロダクトに集中できる環境作りの実現 プロダクト + 関連する周辺業務
ありたい姿を実現するために POサイドに対して取り組んだ場作り • POとしての活動に集中 • チームで円滑なコミュニケーション
コミュニケーションを取るのが困難 働く環境が違いすぎる(協働スタート時) PO 開発チーム SM 作業場所 出社(4階) リモート 出社(9階) +
リモート メインのパソコン 開発PC 銀行PC 開発PC 課題管理 SaaS Excel SaaS ※ 開発PCと銀行PCは接続できるネットワークが違う ※ 階はイメージです
コミュニケーション改善への取り組み コミュニケーションをとる 心理的なハードルの低減
心理的なハードルを下げる取り組み 自ら 相手から 全体に • 相手の環境に合わせて始める(ストレスを軽減) • 業務以外の会話にも切り込む(何でも話せる雰囲気) • 困りごとを聞いたらすぐ対応(相談しやすさ)
• 近場の良き相談相手(味方がいる安心感) • 定期的な場作り • 相互理解を深めるイベント
心理的なハードルを下げるポイント 困ったらフォローしてくれる 自分のことを知ってくれている 安心感
取り組むときの注意点 伝言役にならない 安心して始めるための支援(場作り)が役割
PO・ステークホルダーからのコメント • これまでの開発と違って良いと思う部分はありますか? デジタルなものを作っているけど、 関係性がウェットなこと
PO・ステークホルダーからのコメント • 一番印象に残っているイベントは? 自己紹介! あれでどういう人なのか背景とか 知れて話がしやすくなった
気軽にコミュニケーションがとれる関係性 心理的なハードルの低減 + ツールの活用 (環境面の改善もお忘れなく)
特徴的な3つの活動 チーム1on1 関係者全員 ふりかえり 相互勉強会 • チーム全員が全員のメンター&メンティー • PO、ステークホルダーも参加 •
スポットで関わった人も参加 • 活動の意味を認識 • 銀行業務理解、アジャイル理解 • 相互理解を深める オススメ
ありたいチームの姿への前進 • PO、開発チームがプロダクトに集中できる • チーム全体で気軽にコミュニケーションがとれる • お互いに助け合える • チームが成長できる •
締めるとこはシメる SMの場作り支援 + チームによる継続的な改善
PO育成への取り組み 新チームの立ち上げ プロダクト開発を進められる状態にする チームとして成長し続けられる状態を作る 1 2 3 他部署との協働の実現 より良い活動の方法を模索する POの育成にも取り組む
本業に関わる開発の実施 開発の勘所や注意点を探る あとに続く他チームへの展開
大事にしたこと 相談しながら・経験しながら 押しつけではない育成 POもチームの一員 必要性を理解したうえでの行動 自らの意思による決定
大事にしたこと(アジャイル推進) POというロールがなくなっても 行動が継続できるように
まとめ POとしての活動に専念できる場作り 小さな成果でステップを踏む 支援者をつくる 円滑なコミュニケーションの場作り 支援者になって安全な環境をつくる POの育成 相談による育成
感じてもらいたかったこと 銀行がやっているなら 自分たちもできる
次にしてほしいこと アクション!!!
仲間募集してます