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PE03 学習指導要領とプログラミング教育

PE03 学習指導要領とプログラミング教育

東京学芸大学 教育学部 共通SE科目
小学校におけるプログラミング教育

Naoki Kato

May 01, 2018
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Transcript

  1. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU 共通SE科目 東 東京 京学

    学芸 芸大 大学 学 教 教育 育実 実践 践研 研究 究支 支援 援セ セン ンタ ター ー 加 加藤 藤直 直樹 樹 小学校における プログラミング教育 (3)学習指導要領とプログラミング教育
  2. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU はじめに 前々回の記録 l プログラミングと聞いて思いつくのは?

    l 「プログラミング教育」 と聞いたのではないんだけど・・・
  3. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU 学習指導要領での記載事項 総則 l 第3

    教育課程の実施と学習評価 1(3) 第2の2の(1)に示す情報活用能力の育成 を図るため・・・あわせて,各教科等の特 質に応じて,次の学習活動を計画的に実施 すること。 イ 児童がプログラミングを体験しながら, コンピュータに意図した処理 を行わせるために必要な論理的思考力 を身に付けるための学習活動 (小学校学習指導要領 p.8)
  4. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU 学習指導要領での記載事項 算数科 l 第3

    指導計画の作成と内容の取り扱い 2 (2) プログラミングを体験しながら論理的思考 力を身に付けるための学習活動を行う場合 には,児童の負担に配慮しつつ, ・・・正多角形の作図を行う学習に関連し て,正確な繰り返し作業を行う必要があり, 更に一部を変えることでいろいろな正多角 形を同様に考えることができる場面などで 取り扱うこと。 (小学校学習指導要領 p.75)
  5. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU 学習指導要領での記載事項 理科 l 第3

    指導計画の作成と内容の取り扱い 2 (2) プログラミングを体験しながら論理的思考 力を身に付けるための学習活動を行う場合 には,児童の負担に配慮しつつ, ・・・電気の性質や働きを利用した道具が あることを捉える学習など,与えた条件に 応じて動作していることを考察し,更に条 件を変えることにより,動作が変化するこ とについて考える場面で取り扱うものとす る (小学校学習指導要領 p.93)
  6. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU 学習指導要領での記載事項 総合的な学習の時間 l 第3

    指導計画の作成と内容の取り扱い 2 (2) プログラミングを体験しながら論理的思考 力を身に付けるための学習活動を行う場合 には, プログラミングを体験することが,探究的 な学習の過程に適切に位置付くようにする こと。 (小学校学習指導要領 p.163)
  7. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU 学習指導要領解説での記載事項 学習指導要領解説とは 学習指導要領 学習指導要領解説

    文 部 科 学 省 学校教育法に従い告示 教員向けに発行 教 科 書 出 版 社 教科書
  8. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU 学習指導要領解説での記載事項 情報活用能力とは 世の中の様々な事象を 情報とその結び付きとして捉え,

    情報及び情報技術を 適切かつ効果的に活用して, 問題を発見・解決したり 自分の考えを形成したりしていく ために必要な資質・能力 (小学校学習指導要領解説総則編 p.51)
  9. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU 学習指導要領解説での記載事項 より具体的に捉えれば 学習活動において必要に応じて コンピュータ等の情報手段を適切に用いて

    情報を得たり,情報を整理・比較したり, 得られた情報をわかりやすく発信・伝達し たり,必要に応じて保存・共有したり といったことができる力 (小学校学習指導要領解説総則編 p.51)
  10. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU 学習指導要領解説での記載事項 情報活用能力には このような学習活動を遂行する上で 必要となる

    情報手段の基本的な操作の習得や, プログラミング的思考, 情報モラル,情報セキュリティ,統計等に 関する資質・能力 等も含む (小学校学習指導要領解説総則編 p.51)
  11. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU 学習指導要領解説での記載事項 プログラミング教育の目的 子供たちが将来どのような職業に就くとし ても時代を越えて普遍的に求められる「プ

    ログラミング的思考」を育むため, 小学校においては,児童がプログラミングを体験しながら,コン ピュータに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力を 身に付けるための学習活動を計画的に実施することとしている (小学校学習指導要領解説総則編p.85)
  12. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU 学習指導要領解説での記載事項 プログラミング的思考とは 自分が意図する一連の活動を 実現するために,

    どのような動きの組合せが必要であり, 一つ一つの動きに対応した記号を, どのように組み合わせたらいいのか, 記号の組合せをどのように改善していけば, より意図した活動に近づくのか, といったことを論理的に考えていく力 (小学校学習指導要領解説総則編p.85 )
  13. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU 学習指導要領解説での記載事項 プログラミングに取り組むねらい プログラミング言語を覚えたり, プログラミングの技能を習得したり

    といったことではなく, 論理的思考力を育むとともに, プログラムの働きやよさ,情報社会がコン ピュータをはじめとする情報技術によって 支えられていることなどに気付き,身近な 問題の解決に主体的に取り組む態度やコン ピュータ等を上手に活用してよりよい社会 を築いていこうとする態度など を育むこと (小学校学習指導要領解説総則編 p.85 )
  14. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU 学習指導要領解説での記載事項 プログラミングに取り組むねらい さらに,教科等で学ぶ知識及び技能等をよ り確実に身に付けさせることにある。

    したがって,教科等における学習上の必要性や学習内容と 関連付けながら計画的かつ無理なく確実に実施されるもの であることに留意する必要があることを踏まえ, 小学校においては,教育課程全体を見渡し, プログラミングを実施する単元を位置付け ていく学年や教科を決定する必要がある。 (小学校学習指導要領解説総則編 p.85 )
  15. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU プログラミング教育で育む力 学習指導要領では 各教科等の特質に応じて, を,計画的に実施

    第3 1 (3) イ 児童がプログラミングを体験しながら, コンピュータに意図した処理 を行わせるために必要な論理的思考力 を身に付けるための学習活動 (小学校学習指導要領 p.8)
  16. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU プログラミング教育で育む力 プログラミング教育で育む力 第3 1

    (3) イ 児童がプログラミングを体験しながら, コンピュータに意図した処理 を行わせるために必要な論理的思考力 を身に付けるための学習活動 (小学校学習指導要領 p.8)
  17. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU プログラミング教育で育む力 学習指導要領解説では・・・ 「プログラミング的思考」 を育むため,

    児童がプログラミングを体験 しながら,コンピュータに意 図した処理を行わせるために 必要な論理的思考力を身に付 けるための学習活動を計画的 に実施する (小学校学習指導要領解説総則編p.85) 目的 手段
  18. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU プログラミング教育で育む力 プログラミング的思考って? 自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの 組合せが必要であり、一つ一つの動きに対応した記号を、どのよ

    うに組み合わせたらいいのか、記号の組合せをどのように改善し ていけば、より意図した活動に近づくのか、といったことを論理 的に考えていく力 意図する 活動 必要な動き 記号 組み合わせ 評価・改善 を論理的に考える力
  19. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU プログラミング教育で育む力 論理的に考えるって? l きちんとした定義はないけど・・・

    演繹法 一般的・普遍的な事実 結論 帰納法 ※記号論理学で記述可能 個別的・部分的な事例 結論 推測
  20. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU プログラミング教育で育む力 もったいない 「プログラミング的思考」の解釈 l

    一般的な問題解決を論理的に考える力 自分が意図する一連の活動を実現するために、 どのような動きの組合せが必要であり、 一つ一つの動きに対応した記号を、 どのように組み合わせたらいいのか、 記号の組合せをどのように改善していけば、 より意図した活動に近づくのか、 といったことを論理的に考えていく力 ひとりあるき
  21. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU プログラミング教育で育む力 忘れてはいけないこと 情報活用能力 プログラミング的思考

    情報及び情報技術を適切かつ効果 的に活用して、問題を発見・解決 したり自分の考えを形成したりし ていくために必要な資質・能力 ここが大切
  22. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU プログラミング教育で育むべき力 抽象化 プログラミング教育で育む力 一般化

    分解 手順化 評価 順序 分岐 反復 演繹 帰納 類推 仮説 (Computational Thinking) 問題 Computer 大きく複雑な 高速化・自動化 高度情報化社会における 高度情報化社会における 大きな武器である
  23. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU プログラミングの体験の位置付け プログラミング教育実施の重要点 第3 1

    (3) イ 児童がプログラミングを体験しながら, コンピュータに意図した処理 を行わせるために必要な論理的思考力 を身に付けるための学習活動 (小学校学習指導要領 p.8)
  24. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU プログラミングの体験の位置付け プログラミング教育の手引きにも とある 児童がプログラミングに取り組んだり、

    コンピュータを活用したりすることの 楽しさや面白さ、ものごとを成し遂げた という達成感を味わうことが重要 体験が 重要 楽しさ 面白さ も重要
  25. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU プログラミングの体験の位置付け プログラミング体験が重要な理由 l プログラミング体験は楽しい→主体性へ

    l 試行錯誤が容易 n 自分の考えが正しいかが確認できる n 間違ってたら容易に修正に挑戦できる コンピュータに・・・ 必要な論理的思考力
  26. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU プログラミングの体験の位置付け プログラミング体験が重要なさらなる理由 プログラムの働きやよさ,情報社会がコンピュータをはじめと する情報技術によって支えられていることなどに気付き,身近

    な問題の解決に主体的に取り組む態度やコンピュータ等を上手 に活用してよりよい社会を築いていこうとする態度などを育む こと (小学校学習指導要領解説 p.85) すごい やってみる のような態度
  27. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU プログラミングの体験の位置付け アンプラグド活動 抽象化 一般化

    分解 手順化 評価 順序 分岐 反復 演繹 帰納 類推 仮説 にはつながるが すごい やってみる のような態度 にはつながりにくい Computer も弱い
  28. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU プログラミングの体験の位置付け アンプラグド活動(≠プログラミグ体験) l 簡単そうで意外に難しい

    学習指導要領では児童がプログラミングを体験 することを求めており、プログラミング教育全 体において児童がコピュータをほとんど用いな いということは望ましくないことに留意する必 要があります。 コンピュータを用いずに「プログラミング的思 考」を育成する指導を行う場合には、カリキュ ラム・マネジメントによって、児童がコン ピュータを活用しながら行う学習と適切に関連 させて実施するなどの工夫が望まれます (小学校プログラミング教育の手引 p.17)
  29. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU プログラミングの体験の位置付け コーディング l たしかに

    l しかし!最低限のコーディング力は必要 小学校段階において学習活動としてプログラミ ングに取り組むねらいは,プログラミング言 語を覚えたり,プログラミングの技能を習得し たりといったことではなく, (小学校学習指導要領解説総則編 p.85) 工学部でも 学習項目ではない プログラミング言語 は普遍的ではない リコーダーの吹き方を学んだり 顕微鏡の使い方 をマスターしたり シュートの練習したり
  30. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU 教科等の学びとの関係 学習指導要領には としか書いていないのだけれど・・・ 解説には・・・

    第2の2の(1)に示す情報活用能力の育成 を図るため・・・あわせて,各教科等の特 質に応じて,次の学習活動を計画的に実施 すること。
  31. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU 教科等の学びとの関係 プログラミング教育のもう一つのねらい l プログラミング教育を通して

    教科等の学びを深める さらに,教科等で学ぶ知識及び技能等をより確 実に身に付けさせることにある。 (小学校学習指導要領解説総則編 p.85)
  32. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU 教科等の学びとの関係 評価については l 教科等の学びの中の「コンピュータ

    を・・・論理的思考力」を抽出する必要 基本教科等の評価規準により評価するのが基本 となります。すなわち、プログラミングを実施 したからといって、それだけを取り立てて評価 したり、評定をしたりする(成績をつける)も のではありません。 (小学校プログラミング教育の手引 p.18)
  33. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU プログラミング教育の展開 展開の基本 l 要は,カリキュラム・マネージメント

    各学校においては,児童の発達の段階を考慮し・・・情 報活用能力(情報モラルを含む。)・・・等の学習の基 盤となる資質・能力を育成していくことができるよう, 各教科等の特質を生かし,教科等横断的な視点から教育 課程の編成を図るものとする。 (小学校学習指導要領 p.5) あわせて,各教科等の特質に応じて,次の学習活動を 計画的に実施すること。 (小学校学習指導要領 p.8)
  34. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU プログラミング教育の展開 手引きにおける6分類 A 学習指導要領に例示されている単元等で

    実施するもの B 学習指導要領に例示されてはいないが、 学習指導要領に示される各教科等の内容を 指導する中で実施するもの C 各学校の裁量により実施するもの D クラブ活動など、特定の児童を対象として、 教育課程内で実施するもの E 学校を会場とするが,教育課程外のもの F 学校外でのプログラミングの学習機会
  35. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU プログラミング教育の展開 A 学習指導要領が具体的に示している活動 l

    おそらく教科書にも載っていく 小学校教育課程 中学校 高校 5年 算数 6年 理科 プ ロ グ ラ ミ ン グ 教 育 多角形を描く 電気の利用
  36. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU プログラミング教育の展開 それだけでよい? 小学校教育課程 中学校

    高校 プ ロ グ ラ ミ ン グ 教 育 多角形を描く 電気の利用 実 施 の た め に 必 要 な 力 を 育 む 必 要 小学校教育課程 中学校 高校 プ ロ グ ラ ミ ン グ 教 育
  37. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU プログラミング教育の展開 実施に必要な力? どういうこと? 正多角形を描く

    画面描画 繰り返し 四則演算 変数 + コーディング力 など 必要なプログラミング知識 ここで教えても良いけど 時間がかかる 試行錯誤できない 言われた通りに するだけの学びに つまらない
  38. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU プログラミング教育の展開 すなわちBとCの実施が重要 小学校教育課程 カリキュラム

    マネージメント プ ロ グ ラ ミ ン グ 教 育 多角形を描く 電気の利用 小学校教育課程 プ ロ グ ラ ミ ン グ 教 育 他の単元で 例 示 さ れ た 以 外 の 単 元 で 計 画 的 に 中学校 高校
  39. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU プログラミング体験 本日のメニュー l 算数におけるプログラミング教育

    (Scratch) l かずをかぞえさせよう(1年算数) n 発展:楽にかぞえさせる(?年) l 数を読みあげさせよう(1~2年算数) n 発展:きちんと読み上げさせる(?年)
  40. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU おわりに まとめ l 今日の授業で,

    新たに学んだこと, 理解が深まったこと, を,Scrapboxに記載してください.