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2025/2/6開催メディア向け説明会_株式会社 NCB Lab._企業間決済の最新トレンド ...
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February 17, 2025
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2025/2/6開催メディア向け説明会_株式会社 NCB Lab._企業間決済の最新トレンド 米国主要プレイヤーの戦略
本資料は2025/2/6に開催したメディア向け説明会の資料です。
イベントレポートを公開しています。
https://corp.netprotections.com/library/15349/
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February 17, 2025
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Transcript
企業間決済の最新トレンド メディア向け説明会 米国主要プレイヤーの戦略
自己紹介 NCB Lab.代表 佐藤 元則 金融・決済領域に特化したコンサルティング会社NCB Lab.代表として 30年を超えるコンサルティング実績を有す。そのナレッジを活用した 金融eラーニングや、世界の最新動向を配信するデジタルメディアNCB Libraryも運営。金融関連セミナーは100回を超え、毎月発行するレ
ポートは400号を超えている。 著書は『電子マネーウォーズ』共著(産能大学出版部)『新クレジッ トビジネス』(産能大学出版部)『カード・クレジット用語辞典』 (近代セールス社)『金融破壊者たちの野望』(東洋経済新報社)な ど多数。 2
アジェンダ 3 1 2 3 企業間決済の特異性 米国主要プレイヤーの戦略 まとめ
企業間決済の特異性 1
5 企業間決済とは 企業間における商品やサービスの売買に伴う支払いでB2B決済と呼ばれる。 一般的に支払い猶予期間があるため、売掛金と買掛金が発生。 企業A サプライヤー 支払手段は、 銀行振込/小切手/現金/カードなど 企業B バイヤー
商品/サービス提供 支払い 売掛金 AR 買掛金 AP
6 B2Bの一般的な取引プロセス 見積書提示 発注書送付 納品/納品書添付 検収書発行 請求書発行 支払い 企業A サプライヤー
支払管理 見積書受取 検収書作成 請求書処理 入金処理 請求書発行 購入打診 商品発送 見積書作成 発注書作成 発注書受取 商品受取/内容確認 検収書受取 企業B バイヤー
7 B2B取引におけるサプライヤーのペインポイント 入金までの日数 商品発送から入金までの日数は1カ月から3カ月になる。この間、サプラ イヤーのキャッシュフローが圧迫される。資金繰りが厳しい中小企業に とっては深刻な課題。 企業審査 バイヤー企業の信用度と販売限度額を判定するプロセスは、時間とコス トがかかる。 見積書作成から
入金までの処理 サプライヤーが発行する見積書からバイヤーが入金するまでのワークフロー が自動化されていないため、大変な労力がかかりミスやロスが起きやすい。 回収 サプライヤーはバイヤーからの支払い遅延に直面することが多い。その 際、回収には多くの労力がかかる。
8 B2B取引におけるバイヤーのペインポイント 買掛金の管理 複数のサプライヤーとの取引において、買掛金を適切に管理する必要が ある。支払期日の遵守、過剰または不足支払いの防止、買掛金残高の正 確な把握が必須。 資金繰りの調整 サプライヤーへの支払いをタイムリーに行うため、自社のキャッシュフ ローを維持する必要がある。短期的な資金不足が発生すると、支払えな くなる恐れがある。
決済プロセスの 複雑さ 複数のサプライヤーと取引がある場合、決済条件や決済方法に対応する ための管理が複雑になり、人的リソースが圧迫される。 バイヤーが作成する発注書から、請求書の取り込み、内容確認、承認、 支払い処理というワークフローに時間とコストがかかる。 発注書作成から 支払いまでの処理
D X Pandemi c 個人も企業も デジタルで防御しなければ生き残れない
10 グローバルB2B決済の市場ポテンシャル $125 $52 • B2B決済市場規模は125兆ドル • C2Bの2.5倍 • 日本円にして約2.3京円
• このうち約40%を米国が占めている 米国 アジア 欧州 日本 その他 2.3 京円 ※Source: Credit Suisse 単位:兆ドル ※Source: 各種資料よりNCB推測
米国主要プレイヤーの戦略 2
© Net Protections, Inc. 主要プレイヤーの戦略<1> Bill AR/APの両方を統合した自動化ソリューション
13 Bill概要 概要 • Billは米国におけるARA(売掛金自動化)のパイオニア。中 小・中堅企業の複雑なバックオフィス業務を簡素化、デジ タル化、自動化を推進。ARAとAPA、さらに支出管理を統 合した最新鋭のサービスを提供している。 • プラットフォームはAIを活用したクラウドベースで、企業
とサプライヤーやクライアントを結びつけ、会計ソフトや 財務ソリューションと統合してキャッシュフロー管理をサ ポートしている。 • 請求書、契約書、その他の重要なビジネス文書をクラウド に保存することで、いつでもどこからでも、どんなデバイ スからでも参照することを可能にした。 創業 • 2006年4月 IPO • 2019年12月12日NYSE上場 本社 • 米国/パロアルト 展開国 • 米国、英国、カナダ https://www.bill.com
14 Billのビジネスモデル Billのビジネスモデルは、ARAとAPA、さらに支出管理を統合した最新鋭プラットフォーム。 企業はあるときはサプライヤー、あるときはバイヤーとなることから、 これらの機能をすべてワンストップで活用できる利点は大きい。 プラットフォーム利用者数は約48万件(474,600)、NWメンバーは710万会員。 ワークロードは約半分になり、キャッシュフローが改善する。 受注 請求書発行 入金
入金管理 支払管理 支払い 発注 請求書受取 支出管理 統合プラットフォーム ARA 売掛金自動化 APA 買掛金自動化
15 Billの主要ターゲット業界 業界ごとに処理プロセスや支払い猶予期間が違うが、 Billはそれぞれに特化したサービスを提供している 建築 ヘルスケア ホスピタリティ ソフトウェア/テクノロジー 教育 非営利団体
小売/Eコマース 工場 プロフェショナル スモールビジネス 中堅企業 グループ企業群
16 Billのトランザクション推移 • 2024年度(6月末決算)Billの取扱 高は2,924億ドル(約44兆円) で、前年比10%の伸びだった。 • Billの取扱高は創業以来18年間で米 国GDPの約1%を占めるまでになっ た。
• 取扱件数は1億380万件で、前年比 22%の伸び。
17 Billの収益推移 • 2024年度(23年7月〜24年6月) Billの収益は12.9億ドル(約2,000 億円)で、前年比22%の伸び。 • 2024年度の純損失は2,890万ドル だが、25年度Q1(2024年9月期) の純利益は891万ドルで、四半期
黒字を達成。 • 2025年度では1億8,150万ドルか ら2億150万ドルの純利益を見込ん でいる。
18 Bill(BILL)の株価推移 11月7日に9月期の決算発表後、株価は急上昇した。 2025年度、純利益で黒字化が見えたことが要因。 https://www.nasdaq.com/market-activity/stocks/
© Net Protections, Inc. 主要プレイヤーの戦略<2> Resolve 組込型金融モデルのB2B後払い
20 Resolve概要 概要 • Resolveは企業間決済の後払いに特化したフィンテック。 30日と60日の後払いをサプライヤーを通じてバイヤーに提 供している。 • サプライヤーには、Resolveが請求書に基づいて支払うが、 与信から回収、支払い処理等の売掛金管理はすべてResolve
がおこなう。サプライヤーの回収リスクや不良債権化はな い。 • Resolveのプラットフォームはサプライヤーの既存の金融ソ リューションに組み込めることが強み。サプライヤーは キャッシュフローの最適化とリスクの最小化が実現でき る。 創業 • 2019年 本社 • サンフランシスコ https://resolvepay.com
21 Resolveのビジネスモデル Resolveのビジネスモデルは、決済手段に30日と60日の後払いを付加することによって、バイ ヤーの買いやすさを提供し、サプライヤーの収益拡大を支援するというもの。組込型金融 (Embedded Finance)と呼ばれる手法を活用している。 サプライヤー バイヤー Resolve 売掛金管理と30日/60日の
後払いをサプライヤーの Webに組み込む 決済手段としてクレジットカードとACH、通常送金、小切手を用意 その際、30日と60日の後払いを提供 手数料支払(1.75%〜3.15%) 30日/60日後の支払い 購入 売上金先払い 残額支払い
22 Resolveの請求書発行から回収までのフロー 1,000ドルの請求書を30日後の後払いでバイヤーに送付し、 サプライヤーへは請求額の90%を先払いするケース。 請求書発行 Resolveから30日 後支払いの請求書 をバイヤーに送付 30日後 バイヤーは請求書発行から
30日後、Resolveに1,000 ドル支払う 請求書発行の1-2営業日後 Resolveは請求額の90%から手数料31.5ド ルを差し引いた額をサプライヤーの銀行口 座に支払う 支払いの1-2営業日後 Resolveは請求額の 10%をサプライヤーの 銀行口座に支払う $100.00 $868.50 $1,000 $1,000
23 Resolveの採用企業 Ikea Business T-Shirt Club Home Depot Amazon
© Net Protections, Inc. 主要プレイヤーの戦略<3> Square(Block) B2BとB2Cを融合
25 Blockの特徴 https://block.xyz 概要 • Blockは元はクレジットカードの加盟店になれない中小店舗 向けにスマートフォンのイヤフォンジャックに挿して利用 できる1スクエアインチのカードリーダーと決済アプリを提 供したところからはじまった。 •
Squareの他にも個人向け金融サービスのCash App、暗号資 産管理のSpiral、そして音楽配信のTIDALとプロダクトライ ンナップを増やしてきたことから、2021年12月にBlockへ 社名を変更。 • Square(正方形)からBlock(立方体)への進化で、より 立体的に支援するという意味が込められている。 創業 • 2009年2月 IPO • 2015年11月19日NYSE上場 本社 • 米国/カリフォルニア 展開国 • 米国、カナダ、英国、豪州、日本
Cash App Ecosystem Square Ecosystem デビットカード 融資 貯蓄預金 個人間送金 給与振込
投資 Bitcoin バンキング 給与支払い チーム管理 ハードウェア オンライン POS 顧客管理 決済管理 BNPL B2 B B2 C 26 Block概要 「Square Ecosystem:B2B」と「Cash App Ecosystem:B2C/C2C」の両輪で シナジーを最大化。
27 なぜB2BからB2C/C2Cにシフトしたか Squareはストリートミュージシャンなど、国際決済ブランドカードの加盟店になれない人た ち、あるいは個人間でのお金のやり取りのペインポイントを解消するというのがきっかけ。 個人を特定するキャッシュタグで送金できるようにした。
28 Square Ecosystem Commerce Staff Customer Banking • POS •
請求書作成 • オンラインストア • 在庫管理 • フォトスタジオ • BNPL後払い • チーム管理 • 福利厚生 • タイムカード • 給与支払い • 顧客名簿 • 予約受付 • eギフトカード • ギフトカード • ロイヤルティプログラム • Eメールマーケティング • SMSマーケティング • チェッキング口座 • セービング口座 • ローン Offline:2.6%+$0.1 Online:2.9%+$0.3 ▪無料またはフリーミアム ▪有料サービス
29 Square Bankingの独自性 Square Bankingは、マーチャントのキャッシュフローや、資金ニーズ、 従業員報酬支払いなどをトータルに考えたサービスに仕立てている。 普通預金口座 Square Checking 貯蓄口座
Square Savings トランザクションレンディング Square Loans 即座に売上入金 融資実 行 • 仕入れ • 各種支払い 即時給与振込 Cash App Payroll 売上の一定率を貯蓄 給与支払い APR1.75% ビジネスデビットカード Square Debit Card モバイルPOS+決済 Square POS
30 売上総利益の中心はB2BとB2Cによって生まれるサービス • 2023年度通期実績では、サブスク・サービスの売上総利益率が81.9%と突出して高い。 • Blockの戦略は利用者やマーチャントを獲得し、決済を接点として稼働顧客へ育成、決済 +αの付加価値サービスを提供することによって、売上総利益率の高いサブスク・サービス 収益を伸ばしていくこと。 収益 コスト
売上総利益 売上総利益率 トランザクション 加盟店からの決済手数料など 63.1 37.0 26.1 41.4% サブスク・サービス バンキング、付加価値サービス利用料 59.4 10.7 48.7 81.9% ハードウェア 加盟店からの端末購入・利用費 1.57 2.67 (1.10) -70.3% ビットコイン ビットコインの取引関連費 94.9 92.9 2.05 2.2% 合計 219 143 76 34.6% Source: Block IR資料よりNCB作成(単位:億ドル)
31 Block(XYZ)の株価推移 2024年下半期以降株価は急上昇、純利益が拡大していることが要因。 https://www.nasdaq.com/market-activity/stocks/
まとめ 3
企業間決済の最新トレンド 企業はあるときはサプライヤー、あるときはバイ ヤーとなることから、ARAとAPAを統合したデジ タル統合サービスに対するニーズが高まってい る。 ARA/APAのデジタル統合が加速 後払いモデルの拡大 B2Cで普及しているBNPL後払いが、B2B向けにも 適用されはじめている。特に中小企業向けに、柔 軟な支払い条件を提供することで取引を促進し、
売上増加をサポートするサービスが登場。 マーチャント向けの決済ソリューションには、利 用者の送客やマーケティングも含まれる。それを 発展させ、B2BとB2Cを融合し独自決済経済圏の 構築を目論むサービスが台頭している。 B2BとB2Cの融合
34 B2B決済関連FinTechマップ 市場規模が大きく、成長が期待されるB2B決済領域では、多くのFinTechが台頭している 売掛金:ARA 買掛金:APA 後払い 給与 送金 融資 mPOS
決済
35 日本のB2B決済市場ポテンシャル B2B決済 ARA APA 1,180兆円 767兆円 573兆円 602兆円 融資
サプライヤーやバイヤーのペインポイントを 解決するソリューションを提供する企業が、 B2B決済のリーダーシップをとる。
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