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Sysdig Secure/Falcoの活用術! ~Kubernetes基盤の脅威モデリングとランタイムセキュリティの強化~

Sysdig Secure/Falcoの活用術! ~Kubernetes基盤の脅威モデリングとランタイムセキュリティの強化~

CloudNative Security Conference 2022にて発表した資料になります。
https://event.cloudnativedays.jp/cnsec2022/talks/1438

Chihiro Hasegawa

August 05, 2022
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Transcript

  1. 1 © Internet Initiative Japan Inc. Sysdig Secure/Falcoの活用術! 株式会社インターネットイニシアティブ 2022年8月5日(金)

    セキュリティ本部セキュリティオペレーション部セキュリティオペレーションセンター / ネットワーク本部 SRE推進部 長谷川 千広 / 李 瀚 ~Kubernetes基盤の脅威モデリングとランタイムセキュリティの強化~
  2. 2 Sysdig Secure/Falcoの活用術 ~Kubernetes基盤の脅威モデリングとランタイムセキュリティの強化~ 自己紹介 長谷川 千広(Hasegawa Chihiro) • 所属:セキュリティ本部

    セキュリティオペレーション部 セキュリティオペレーションセンター • 兼務:ネットワーク本部 SRE推進部(2022年度~) • 主な業務内容:マルウェア解析、脆弱性の検証 李 瀚(Li Han) ・所属:ネットワーク本部 SRE推進部 ・主な業務内容:社内Kubernetes基盤の開発運用
  3. 5 Sysdig Secure/Falcoの活用術 ~Kubernetes基盤の脅威モデリングとランタイムセキュリティの強化~ IKE(IIJ Kubernetes Engine) • IKEは、IIJのサービスのためのKubernetes共通基盤です •

    国内の複数拠点にKubernetesクラスタが構築されています • 共有のKubernetesクラスタを複数のマルチテナントに提供しています https://thinkit.co.jp/article/18951
  4. 6 Sysdig Secure/Falcoの活用術 ~Kubernetes基盤の脅威モデリングとランタイムセキュリティの強化~ IKE(IIJ Kubernetes Engine) • IKEは、IIJのサービスのためのKubernetes共通基盤です •

    国内の複数拠点にKubernetesクラスタが構築されています • 共有のKubernetesクラスタを複数のマルチテナントに提供しています https://thinkit.co.jp/article/18951 Sysdig SecureでIKE Monitoring のセキュリティを強化する
  5. 13 Sysdig Secure/Falcoの活用術 ~Kubernetes基盤の脅威モデリングとランタイムセキュリティの強化~ Falco https://github.com/falcosecurity/falco/blob/master/rules/falco_rules.yaml ログやアラートに表示する文字列 • 独自のルールを用いてコンテナの脅威を検知することに特化したエンジン •

    再利用可能なリストやマクロを活用して、可読性の高いルールを作成可能 • Sysdig Secureでは、Falcoのルールを用いて検知ルールをカスタマイズ https://falco.org/docs/rules/supported-fields/
  6. 17 Sysdig Secure/Falcoの活用術 ~Kubernetes基盤の脅威モデリングとランタイムセキュリティの強化~ DFD(Data Flow Diagram)の作成 • DFDは、システムを抽象化し、データの流れを表した図のこと •

    データの流れや境界を図示することで、システムの全体像を把握しやすくなる • 特に、権限境界を跨ぐデータフローは脅威になりうる場所として着目します DFDの図で使われるようなシンボルの話を書く プロセス 外部エンティティ (アクター) データストア データフロー 権限境界 (信頼境界) DFDで用いられる代表的な要素
  7. 20 Sysdig Secure/Falcoの活用術 ~Kubernetes基盤の脅威モデリングとランタイムセキュリティの強化~ • 脅威の特定方法には、活用できる様々なフレームワークが存在する • STRIDEは、Microsoftにより提唱されたフレームワーク STRIDE 概要

    脅威の例 Spoofing なりすまし 管理者になりすましてKubernetesを操作する Tampering 改ざん コンテナイメージの改ざん Repudiation 否認 ログ消去などによる証跡の削除 Information Disclosure 情報開示 顧客情報の漏洩 Denial of Service(DoS) サービス拒否 クラスタに対して負荷をかける Elevation of Privilege 権限昇格 コンテナ内部からコンテナホストの権限を奪われる 脅威の特定
  8. 21 Sysdig Secure/Falcoの活用術 ~Kubernetes基盤の脅威モデリングとランタイムセキュリティの強化~ • STRIDEを用いた脅威の具体的な特定手法には、2つ存在する • STRIDE-per-Element • 対象項目に対して、STRIDEの〇印がある要素について考えていく

    • STRIDE-per-Interaction • 権限境界(信頼境界)とデータフローの交差する点について考えていく 対象 S T R I D E プロセス 〇 〇 〇 〇 〇 〇 データストア 〇 〇 〇 〇 データフロー 〇 〇 〇 外部エンティティ 〇 〇 脅威の特定 kube- apiserver STRIDE-per-Element STRIDE-per-Interaction
  9. 23 Sysdig Secure/Falcoの活用術 ~Kubernetes基盤の脅威モデリングとランタイムセキュリティの強化~ IKE MonitoringのDFDから考える脅威 • STRIDE-per-Elementで洗い出す脅威の例(vminsertの場合) STRIDE 脅威

    S vminsertプロセスやコンテナのなりすまし T Metricsの改ざん R - I Metricsの漏洩 D Metricsを大量に送られることによるサービス停止 E コンテナ内部からホストに侵入される
  10. 25 Sysdig Secure/Falcoの活用術 ~Kubernetes基盤の脅威モデリングとランタイムセキュリティの強化~ IKE MonitoringのDFDから考える脅威 • STRIDE-per-Interactionで洗い出す脅威の例(IKE Monitoring GateとGrafanaの間)

    STRIDE 脅威 S 第3者になりすまされてGrafanaを利用される T Metricsの改ざん R - I Metricsの漏洩 D 負荷がかかるようなクエリの発行 E コンテナ内部からホストに侵入される
  11. 26 Sysdig Secure/Falcoの活用術 ~Kubernetes基盤の脅威モデリングとランタイムセキュリティの強化~ 脅威の特定 / Attack Tree • 実際にどのように攻撃されるのかを考える際に活用できる手法

    • STRIDEで抽象的に洗い出した脅威に対して、具体的な攻撃手法を考えていく際に便利 • 攻撃者の目標をルートとし、攻撃手段を木構造として記載していく • 具体的な、攻撃手法などの知識が要求され、時間もかかる 脅威 攻撃手法A 攻撃手法1 攻撃手法2 攻撃手法B 攻撃手法3 OR AND
  12. 29 Sysdig Secure/Falcoの活用術 ~Kubernetes基盤の脅威モデリングとランタイムセキュリティの強化~ IKE MonitoringのDFDから考える脅威 プロセスの なりすまし 実行ファイルの なりすまし

    コンテナ内への侵入 コンテナイメージの なりすまし ホスト上の コンテナイメージの 改ざん リポジトリ上の コンテナイメージの 改ざん コンテナの なりすまし 正規Podと 同じLabelの付与
  13. 30 Sysdig Secure/Falcoの活用術 ~Kubernetes基盤の脅威モデリングとランタイムセキュリティの強化~ IKE MonitoringのDFDから考える脅威 負荷のかかる クエリの発行 APIによる アクセス

    APIキーの 漏洩 Web UIでの ログイン クレデンシャルの 漏洩 フィッシング マルウェアの感染 ブルートフォース 攻撃 脆弱性による認証 バイパス
  14. 31 Sysdig Secure/Falcoの活用術 ~Kubernetes基盤の脅威モデリングとランタイムセキュリティの強化~ 脅威モデリングのまとめ • 意図しないアウトバウンド通信の発生 • リバースシェルの確立や情報漏えいの観点から検知したい •

    コンテナ内の怪しい挙動 • コンテナ内の実行ファイルや設定ファイルの書き換えを検知したい • 意図しないPodやDeploymentの作成、意図しないコンテナイメージの利用 • Post-Exploitationの観点から、意図しないデプロイを検知したい • 副次的な効果として、オペレーションミスなどにも気づける可能性がある DFDの作成 脅威の特定 リスク評価 リスク対応
  15. 33 Sysdig Secure/Falcoの活用術 ~Kubernetes基盤の脅威モデリングとランタイムセキュリティの強化~ ランタイムセキュリティ • コンテナのイメージスキャンをしているから安全? • CVEが採番されているものや、既知の脆弱な設定、パッケージの検出に対する効果は大きい •

    しかしながら、ゼロデイのような脆弱性のデータベースに無い項目に対して予防することは難しい • Security ContextやPod Security Policyを設定しているから安全? • 設定ミスやアップデートで挙動が変わり、意図した挙動をしていない可能性もある • ランタイムの怪しい挙動を拾い上げる必要性がある • Sysdig Secure/Falcoは、コンテナ、オーケストレーター、ノードのランタイムセキュリティを強化 することができる!
  16. 34 Sysdig Secure/Falcoの活用術 ~Kubernetes基盤の脅威モデリングとランタイムセキュリティの強化~ 活用例1 通信の観測 • 通信を観測したいモチベーション • Network

    Policyを適用したいが、運用中のクラスタにルールを入れることは難しい • 現状動作しているシステムの通信を観測してルールを検討していきたい • 意図しない通信を検知したい • ある目的で使っている専用ノード上で、コンテナが意図しない通信が発生していないか確認 • Log4jのような脆弱性が悪用された場合、アウトバウンドの通信が発生する • インターネットに公開しているWebアプリケーションの脆弱性を突かれてしまいリバースシェ ルが張られた場合、アウトバウンドの通信が発生する • Sysdig Secure/Falcoを活用することで、通信の観測が簡単にできる!
  17. 38 Sysdig Secure/Falcoの活用術 ~Kubernetes基盤の脅威モデリングとランタイムセキュリティの強化~ 活用例2 ファイルシステム上の操作の観測 • ファイルシステム上の操作を観測したいモチベーション • securityContext.readOnlyRootFilesystemを有効化したい

    • どこのパスは書き込まれて、どこのパスはread-onlyにしてよいのか判断したい • writeだけでなくreadも検知したい • Sysdig Secure/Falcoを活用することで、ファイルシステム上の操作の観測が簡単にできる!
  18. 49 Sysdig Secure/Falcoの活用術 ~Kubernetes基盤の脅威モデリングとランタイムセキュリティの強化~ Sysdig Secure/Falcoの活用例 • 活用例1 • 通信の観測

    • 活用例2 • ファイルシステム上の操作の観測 • 活用例3 • コンテナ情報に関する観測 • 活用例4 • kube-apiserverのaudit
  19. 51 Sysdig Secure/Falcoの活用術 ~Kubernetes基盤の脅威モデリングとランタイムセキュリティの強化~ まとめ • 脅威モデリングのプロセスや実例を紹介しました • DFDの作成と脅威の特定手法に関する解説をしました •

    IKE Monitoringという監視基盤システムを題材に脅威モデリングを実施しました • Sysdig Secure/Falcoの活用 • 複数のモデルケースを用いてSysdig Secure/Falcoの活用例を紹介しました • Sysdig Secure/Falcoを使ってみた感想 • Web UI上で簡単にFalcoルールの設定やスコープを定めての反映を行うことができ便利でした • プリセットされたルールも多彩で、新規ルールを考える際の参考にもなりました
  20. 52 Sysdig Secure/Falcoの活用術 ~Kubernetes基盤の脅威モデリングとランタイムセキュリティの強化~ 参考文献 • 脅威モデリングで考える Kubernetes セキュリティ •

    https://speakerdeck.com/mrtc0/cloudnative-days-tokyo-2021-number-cndt2021-number-cndt2021-b • 機器のサイバーセキュリティ確保のためのセキュリティ検証の手引き • https://www.meti.go.jp/press/2021/04/20210419003/20210419003-2.pdf • サイバー攻撃からKubernetesクラスタを守るための効果的なセキュリティ対策 • https://speakerdeck.com/kyohmizu/saibagong-ji-kara-kubernetes-kurasutawoshou-rutamefalsexiao-guo-de-nasekiyuriteidui-ce