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AI時代のデータ基盤を考える問い

 AI時代のデータ基盤を考える問い

pUG FES 2026での基調講演のスライドです
https://pug.connpass.com/event/399492/

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Jun Ernesto Okumura

August 25, 2026

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Transcript

  1. 奥村 純 / Jun Ernesto Okumura 2014 @pacocat DeNA データアナリスト

    機械学習エンジニア(強化学習) AI PdM 2019 Eureka (Match Group) 執行役員 / Data Director • データ組織(BI/AI/Data Management) の包括的なマネジメント 2024 GA technologies Group 執行役員 / Chief Data Officer • 経営戦略・データ戦略の策定と推進 好きな領域 • • • • toCビジネス データ分析 ML(推薦・強化学習) データ基盤技術 趣味 • 登山: 日本百名山挑戦中 14/100
  2. 情報発信など 出版・翻訳 note データ組織マネジメントについての発信 SpeakerDeck 推薦技術・因果推論・強化学習などの勉強会登壇 取材記事 「経験とカン」をデータで再現できるか。二人の博士が語る、変革の本質( NewsPicks. 2025)

    CDOが語る - 求められるデータ人材像と、それを生かす組織風土とは( TECH+,2025) 「データの力で、GAグループ全体の意思決定の精度とスピードを加速させる」新執行役員・奥村純就任インタビュー( GAグループ公式note, 2024) 「マッチングアプリ婚」を後押しする、陰の立役者ペアーズの「質」は、どのように作り出されるか(東洋経済 , 2024) PairsのマッチングでAIが果たす役割とは?Pairs Data Director奥村純に聞く、感情感覚領域にある「AIにしかできないこと」(レバテックLAB, 2023) YouTubeの驚異のリコメンド力 強化学習は避けては通れない(日経クロストレンド , 2020) …
  3. 不動産領域におけるデータ活動の特徴 ① サイロ化されたデータ ② 多様なデータ ③ 未発掘のユースケース • 事業主体や目的のばらつき •

    データソース・仕様の多さ • 非構造化データ • 構造化データ • 不動産×データに関わる プレイヤーの少なさ データを標準化すること、 つながることで価値が生まれる 生成AI技術などで一足飛びに 活用フェーズが広がっている 新しい標準を作る面白さ 事業貢献余地の高さ 11
  4. 「AI時代のデータ基盤」を考える 5つのテーマ 1 構造データから非構造データへ AIを前提とした新たなデータ加工・提供を考える 2 セマンティックレイヤーとオントロジー 意味や関係、知識をどうデータ基盤として管理していくか 3 ベンダーの違いを意識しないデータ基盤

    どのようなサービスを使って次世代データ基盤を構築するか 4 ガバナンス データの安全な利用をどのように守っていくか 5 マネタイズ 結局AI時代のデータ基盤でどう価値を出すのか 13
  5. 「AI時代のデータ基盤」を考える 5つのテーマ 1 構造データから非構造データへ AIを前提とした新たなデータ加工・提供を考える 2 セマンティックレイヤーとオントロジー 意味や関係、知識をどうデータ基盤として管理していくか 3 ベンダーの違いを意識しないデータ基盤

    どのようなサービスを使って次世代データ基盤を構築するか 4 ガバナンス データの安全な利用をどのように守っていくか 5 マネタイズ 結局AI時代のデータ基盤でどう価値を出すのか 14
  6. 従来型のデータ(分析)基盤 • • 構造化されたテーブルデータ を中心に、それらの加工と提供を前提に進化(2010s) 画像やテキストデータは機械学習パイプラインとして分岐することが多かった SQL ETL Data Lake

    (半)構造化 データソース Data Warehouse Data Mart データウェアハウス DWH 特徴量 非構造化 データソース SQL 機械学習モデル 分析・ BI・可視化 検証 機械学習( ML) 15
  7. AI利用を前提とした基盤 • • Transformer (2017) の登場で、画像/テキストの処理能力が劇的に改善(e.g. ViT, LLM) モデルへのアクセスが容易になり、構造データと非構造データを同時に扱える ように

    Parsing / Embedding / SQL Table Data Lake House Vector Graph 構造化 + 非構造化 データソース 非構造データを含めた分析 BI・可視化ツール 検索・ RAG AI Agent データレイクハウス 16
  8. 事例:お客様の声を示唆として提供する分析基盤 • 様々に記録されているお客様の声を加工・統合し、サービス改善に活かす 多様なソース Table Streamlit 集計 LLM LLM LLM

    VoC 概要サマリー Emb. クラスタリング ベクトル化 VoC ※ Snowflake World Tour 2026 (9月10, 11日) でも詳細の解説をいたします https://www.snowflake.com/ja/world-tour/tokyo/ LLM 類似VoC検索 etc. 18
  9. 「AI時代のデータ基盤」を考える 5つのテーマ 1 構造データから非構造データへ AIを前提とした新たなデータ加工・提供を考える 2 セマンティックレイヤーとオントロジー 意味や関係、知識をどうデータ基盤として管理していくか 3 ベンダーの違いを意識しないデータ基盤

    どのようなサービスを使って次世代データ基盤を構築するか 4 ガバナンス データの安全な利用をどのように守っていくか 5 マネタイズ 結局AI時代のデータ基盤でどう価値を出すのか 19
  10. セマンティックレイヤー / オントロジーとは? データ、人間(ビジネス層)、AIをつなぐ抽象化レイヤー 新しい潮流であるが、従来型のディメンショナルモデリングの重要性は変わらない • • セマンティックレイヤー • •

    複雑なデータベースやデータ基盤と、利用者の間に入る「翻訳・共通の意味」の層 売上や利益などの指標や計算ロジックを一元管理 し、誰がどのツールを使っても同じ数値や ビジネス用語でデータを扱えるようにする オントロジー • • 特定のビジネスドメインに存在する物事とその関係をモデル化した知識体系 AIやLLMにデータ同士の関係性を正しく把握させ、文脈に沿った推論や自動実行を可能にす る 20
  11. セマンティックレイヤー( Semantic Layer)のイメージ 複雑なSQLテーブル構造やJOINルールを隠蔽し、誰がどのツールから検索しても同じ ビジネス用語(KPI・指標)で正しいデータが得られるように抽象化する 例:飛行機の遅延によるインパクトの集計 羽田発101便の欠航による影響を算出したい • 欠航損失額 =

    返金対象チケット合計 + 振替ホテル代 • 顧客影響スコア = 影響を受ける人数 欠航損失額 = 1,200万円 影響顧客数 = 200人 「損失額は税抜き?」「返金手数料は引く?」といった計算ルールのブレや二重定義を防ぐ 21
  12. オントロジー( Ontology)のイメージ ビジネスの登場人物(事物)同士が、どう繋がり、どう影響し合うかという「業務文脈」を機械に教え る [乗客] ──(予約する)──> [便] [便] ──(使用する)──> [機材]

    ────(割り当て)──> [後続便] [乗客] ──(所持する)──> [乗り継ぎ] ─(接続する)──> [他社便] [乗客] ──(持つ)─────> [ステータス(VIP等)] 業務文脈の定義 クエリ:「欠航した 101 便から、影響を受ける VIP乗客 と 連鎖遅延する後続便 をすべて抽出したい」 • 101便に乗る「乗客 A様」を特定 • 乗客A様は「VIP会員」であり、「国際線 301便」への乗り継ぎ予定 があることを関係性から発見 • さらに、101便に使われる予定だった「機材 X」が、折り返しで「 202便(福岡行き)」に使われる 連鎖遅延リスク を発見 単なる数値集計ではなく、ナレッジグラフ(関係性)を辿って影響を連鎖的に推論できる 22
  13. 「AI時代のデータ基盤」を考える 5つのテーマ 1 構造データから非構造データへ AIを前提とした新たなデータ加工・提供を考える 2 セマンティックレイヤーとオントロジー 意味や関係、知識をどうデータ基盤として管理していくか 3 ベンダーの違いを意識しないデータ基盤

    どのようなサービスを使って次世代データ基盤を構築するか 4 ガバナンス データの安全な利用をどのように守っていくか 5 マネタイズ 結局AI時代のデータ基盤でどう価値を出すのか 25
  14. セマンティックレイヤーの標準規格 (旧 Open Semantic Interchange; OSI) ベンダー中立的で拡張可能な、セマンティックレイヤー構成要素の表現モデル • Snowflake, dbt

    Labs, Cubeを中心に30+社が集まるイニシアチブになっている • YAMLによる宣言的記述 • BIツール間の連携だけではなく、AI Agentが読む前提で設計されている • https://github.com/apache/ossie で仕様が公開されている 29
  15. 「AI時代のデータ基盤」を考える 5つのテーマ 1 構造データから非構造データへ AIを前提とした新たなデータ加工・提供を考える 2 セマンティックレイヤーとオントロジー 意味や関係、知識をどうデータ基盤として管理していくか 3 ベンダーの違いを意識しないデータ基盤

    どのようなサービスを使って次世代データ基盤を構築するか 4 ガバナンス データの安全な利用をどのように守っていくか 5 マネタイズ 結局AI時代のデータ基盤でどう価値を出すのか 30
  16. 再掲:同時に顕在化する論点たち ① 社内ナレッジをどのデータ管理するのか 今は「とりあえずやってみる」で OK。 徐々に向き合うことになる。 ナレッジベース ④ ガイドライン、民主化 •

    • 活用推進体制 出力の品質管理 LLM トランザクション (OLTP / DWH) ② AIがアクセスし易いデータ基盤 ”AI向け”のデータ管理 データカタログ • • AIエージェント 外部データ ③ AIエージェントのガバナンス • • • AIのアクセスコントロール ハルシネーションなどの監視 個人情報・著作権等の法令順守 ⑤ 複雑化するシステムと組織 ツール群 • • 開発、運用体制 戦略策定機能 32
  17. セキュリティやプライバシーだけではない管理の問題 • 「誰が」「どのデータに」アクセスできるかの設計と管理 • AI AgentやClaude Codeによるアプリケーションを誰が管理し続けるか ◦ ライフサイクルの設計 ◦

    中央管理、統合するための昇格フローの設計 ◦ 利用状況の監視とログ ◦ ビジネスインパクトの把握 ◦ コストの把握と最適化(断捨離) ◦ … 活用する事業やチーム・技術領域が広がる分、統制の難易度は上がる 33
  18. 「AI時代のデータ基盤」を考える 5つのテーマ 1 構造データから非構造データへ AIを前提とした新たなデータ加工・提供を考える 2 セマンティックレイヤーとオントロジー 意味や関係、知識をどうデータ基盤として管理していくか 3 ベンダーの違いを意識しないデータ基盤

    どのようなサービスを使って次世代データ基盤を構築するか 4 ガバナンス データの安全な利用をどのように守っていくか 5 マネタイズ 結局AI時代のデータ基盤でどう価値を出すのか 34
  19. 生成AIは事業に何をもたらしてくれるのか 「Generative AI and the future of work(生成AIと仕事の未来)」 セクションにて、テクノロジーによるタスク自動化(30%〜70%規模の業 務削減効果)やナレッジワーカーへの影響についての

    試算が掲載されている AIの自動化がもたらす事業影響はせいぜい 2倍とも読める 単なる業務削減だけではない、本質的な活用が求められる https://www.mckinsey.com/capabilities/tech-and-ai/our-insights/the-economic-potential-of-generative-ai-the-next-productivity-frontier 35
  20. AI時代の事業変化を 5 Forces フレームワークで考える ① 競合 新規参入 AIのコモディティ化によって、単に AIを搭載することの 技術的アドバンテージは弱まる

    売り手 競合 買い手 対策例 代替品 • 自社固有データ による差別化 • オペレーションの徹底的な AI組み込みによるコス トリーダーシップの確保 38
  21. AI時代の事業変化を 5 Forces フレームワークで考える ② 新規参入 新規参入 売り手 競合 買い手

    (ソフトウェア事業の場合) AIを使ったソフトウェア開発 により、サービスの構築参入障壁が低下し、小規模プ レイヤーが参入しやすい市場に。 対策例 代替品 • 「データフライホイール(データと体験の好循 環)」 の確立 • 大手・先行だからこその課題理解やガバナンスな どの障壁の構築 39
  22. AI時代の事業変化を 5 Forces フレームワークで考える ③ 代替品 新規参入 売り手 競合 買い手

    (SaaS事業の場合)人間の操作自体が AI Agentや自 動化ワークフローに代替され、 UI/画面だけを 提供するプロダクトは無価値化していく。 対策例 代替品 • 「Point Solution(単機能ツール)」から オントロジーを使った AI Agent等を駆使した 「System of Action(行動の基盤)」への転換 • ライセンス数ではなく、 AIがもたらした成果やタス ク完了数に応じた成果報酬への転換 40
  23. AI時代の事業変化を 5 Forces フレームワークで考える ④ 売り手 新規参入 (ソフトウェア事業の場合) LLMベンダーやクラウド企 業依存の高まりによるコスト変動リスク

    売り手 競合 買い手 対策例 代替品 • マルチモデルの利用 • ベンダーを意識しない標準フォーマット への転換 41
  24. AI時代の事業変化を 5 Forces フレームワークで考える ⑤ 買い手 新規参入 情報収集や比較能力が AIによって飛躍的に向上。 自身でのソリューション開発も可能に。

    売り手 競合 買い手 対策例 代替品 • 比較に耐えうる商品設計、ブランド構築 • AISO(AI検索最適化)や LLMO(LLM最適化)へ の投資 42