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その心理的安全性は間違っている!心理的安全性で陥りやすい間違いとその対策

 その心理的安全性は間違っている!心理的安全性で陥りやすい間違いとその対策

スクラムフェス仙台2022で登壇した際の資料です。
https://www.scrumfestsendai.org/
https://confengine.com/conferences/scrum-fest-sendai-2022/proposal/17019

Satoshi Harada

August 28, 2022
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Transcript

  1. その心理的安全性は
    間違っている!
    心理的安全性で陥りやすい間違いとその対策
    Satoshi Harada
    Scrum Fest
    Sendai 2022

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  2. 自己紹介
    Satoshi Harada
    Twitter : @harada_psj
    ● Interest
    ○ Agile
    ○ Scrum
    ● Role
    ○ Scrum Master
    ○ Software Developer
    ○ Software Engineering Management
    ● Scrum Alliance Certified
    ○ Scrum Master
    ○ Product Owner

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  3. 心理的安全性のモヤモヤ
    ● “心理的安全性が必要”という言葉はよく出る
    ○ だけど、自分のところは正しい状態なのだろうか?
    ● 心理的安全性という言葉を使っている人の周囲は安全そう
    ○ だけど、それは本当に心理的安全な状態なのだろうか?
    心理的安全性ってこんなのでいいんだっけ?

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  4. 心理的安全性のおさらい

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  5. 心理的安全性とは
    ● 歴史
    ○ ハーバード大学のエイミー・C・エドモンドソン教授
    ■ Creating Psychological Safety in the Workplace for Learning, Innovation, and Growth
    ○ Googleのプロジェクト・アリストテレス
    ■ Google re:Work「効果的なチームとは何か」を知る
    ● 定義
    ○ チームの心理的安全性とは、チームの中で対人関係におけるリスクをとっても大丈夫だ、というチームメンバーに
    共有される信念のこと
    ● メリット
    ○ 心理的安全性が確保されることによって、チームの学習が促進される
    ○ 学習による情報・知識の共有が加速し、意思決定の質向上・イノベーションの促進・プロセス改善が進むことで、
    成果に寄与する
    心理的安全性は手段であり、目的はチームの学習を促進させること

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  6. 間違った心理的安全性とは

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  7. 間違った心理的安全性の見分け方
    ● ex. 言葉が先行している状態
    ○ 仲がよいこと・何でも言い合えることが心理的安全性?
    ● ex. コンフォートゾーンを形成している状態
    ○ コンフォートゾーンの内側は安全・外側とは対立という関係を作っていないだろうか?
    間違った心理的安全性かどうかは、以下の問いで見分ける
    ● その心理的安全性は、チームの学習促進を生むか?
    ● その心理的安全性は、意思決定の質向上・イノベーションの促進・プロセス改善が進む
    ことで業績向上に寄与するか?

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  8. スクラムと心理的安全性
    ● スクラムの経験主義
    ○ 複雑な問題に対応する適応型の行動には知識が必要
    ○ 知識は経験から生まれる
    ■ チームには経験から学習するサイクルが必要
    複雑な問題に対応するにはチームが学習するサイクルが必要
    健全な心理的安全性がそのベースとなる

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  9. 3
    スクラムチーム
    2
    1
    1. Devメンバー内の心理的安全性
    2. Dev / POの心理的安全性
    3. スクラムチーム / ステークホルダーの心理的安全性
    スクラムチームで心理的安全性が問題になりやすい箇所
    プロダクト
    オーナー
    PO
    dev S M
    開発者
    スクラム
    マスター
    ステークホルダー
    stakeholder

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  10. スクラムの3本柱に心理的安全性が及ぼす影響
    ● 透明性
    ○ ex. Dev内では透明だけど、POにはこれくらいの開示でいいや!
    ● 検査
    ○ ex. POと検査したけど、スタークホルダーは色々言ってくるから呼ばなくていいや!
    ● 適応
    ○ ex. 適応のための改善や取り組みはDev内でやってればいいや!
    心理的安全性が無いと、スクラムの3本柱が揺らぐ!
    スクラムによるチーム開発が成功するかどうかは3本柱が握っている
    チームの心理的安全性は成功を左右する基礎部分となる

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  11. 間違った心理的安全性かも?
    と思ったらどうすればよいか

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  12. 心理的安全性へのStep(1)
    ● Step1. 自らが心理的安全性のリーダーになろう!
    ○ 役職のリーダーや、スクラムマスターでなくてもいいのです。
    ● Step2. 心理的安全性の定義を関係者内で一致させよう!
    ○ 心理的安全性とは何を意味しているのか
    ○ なぜ大切なのか
    ○ 何を目的としているのか
    ● Step3. まずは自分がいる場所で心理的安全性を実践してみよう!
    ○ 自分の周囲の、よく顔を合わせる人から心理的安全性を実践してみる
    ○ まずは「感謝を伝える」ことから始めてみるのがオススメ
    ○ ふりかえりしながら改善する

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  13. 心理的安全性へのStep(2)
    ● Step4. より俯瞰した目線で心理的安全性のカバー範囲を広げよう!
    ○ Devメンバーの心理的安全性
    ○ Dev / PO の心理的安全性
    ○ スクラムチーム / ステークホルダーの心理的安全性
    ● Devメンバー<PO<ステークホルダーの順に、心理的安全性の獲得は
    難しくなる
    ※今回のステークホルダーとは、スクラムチームの外側の、社内・社外の関係者を指して使っている
    (例: マネージャー、社内のBiz部門や品質保証部門、社外の顧客や関係会社、等)

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  14. なぜPOやステークホルダーの心理的安全性は難しいのか
    ● Devメンバー / PO / ステークホルダーでミッションや責任範囲が異なる
    ○ 全く同じ目線に立たないと心理的安全性が成り立たないわけではない
    ○ 立場・ミッション・責任範囲の違いをお互いが理解し、その上で心理的安全性の実現を
    目指す
    ■ 目的は「仲良くなること」ではない
    ■ Devメンバー / PO / ステークホルダーで心理的安全性を確保することで、チームや
    関係者との「学習」が促進されることが目的
    より俯瞰した目線で心理的安全性を目指すことで学習が加速する

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  15. 心理的安全性へのヒント

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  16. ● 心理的安全性の実現には、お互いの間にある溝に気が付き、
    その溝に橋を築く行為=対話が必要
    ○ 溝に橋をかけるためのアプローチ(”他者と働く”より)
    ■ 準備「溝に気づく」
    ■ 観察「溝の向こうを眺める」
    ■ 解釈「溝を渡り橋を設計する」
    ■ 介入「溝に橋をかける」
    ● 一度で橋がかかることは稀
    ● 繰り返し橋をかけ続け、より強固な橋(関係性)を目指す
    ● 関係性づくりも繰り返し・漸進的
    このアプローチは、Dev内だけでなくPOやステークホルダーにも有効
    溝に橋をかけるためのアプローチ

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  17. 最後に
    チームの心理的安全性に疑問を感じたら、まずはあなたが
    心理的安全性のリーダーになりましょう!
    役職のリーダーや、スクラムマスターでなくてもいいのです。
    今からできる心理的安全性の第一歩として、
    「感謝を伝える」ことから始めてみませんか?

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