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債券投資戦略202310

Pragmaworks
October 01, 2023
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 債券投資戦略202310

Pragmaworks

October 01, 2023
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  1. 続・金融引き締め局面の投資戦略 PWのポートフォリオ構築のための投資戦略骨子を確認します。 ◦経済情勢と大局観 2022年はここもと見られなかった本格的なインフレが確認され、グローバルな金融政策の引き締めと経済成長ペースの鈍化がテーマとなり、種々のアセットクラスが下落し ました。しかし、2022年終盤以降米国でインフレがピークを打ちつつあり、今後は景気や実体経済の悪化との天秤を勘案して金融政策が決定されていくと考えられます。 2023年前半、金利が高止まっている間は債券投資の実行に有利な局面。一方で、2023年後半に金融緩和の累積的影響による景気減速が実現してくる段には、 AT1(優先株式預託証券、CoCos)をはじめとするリスクアセットに好機が訪れると考えられます。 従って2023年前半は、経済成長ペースの鈍化の可能性等を踏まえ、景気サイクルの終盤を意識しながらディフェンシブなポートフォリオ運営を実施。2023年後半戦の リセッションリスクに対応できるよう、ポジションはやや軽め、高クオリティ銘柄でキャッシュフローをしっかりと確保することを推奨します。(2023年1月時点) ✓

    長期的には2023年の下げ相場 は良い買い場と考える。 ✓ まだしばらくインフレ指標次第で株 価のUp or Downが続く可能性 が認められるが、昨年から続く金 利の引上げは最終局面に入りつ つあるという「Big Picture」を持つ ことが重要(つまり株式にはプラス 要因)。 ✓ 銘柄選択の基本スタンスとしては、 構成銘柄の幅広さ、米国市場を 代表する優良銘柄の組入状況 及び過去のリスクリターンを勘案し、 S&P500指数に比重を置くことを 推奨。 ✓ ハイパーグロースや赤字決算のハ イテク企業は、金融引締が未だ継 続していることに配慮し、新規及 び追加投資は時期尚早。 投資をする際は、先行投資型の 赤字体質企業は避け、既に黒 字化している高収益体質企業を 選別。 株式 債券 通貨 オルタナティブ 1. 金利 ✓ 米10年利回りは経済指標に応じて レンジで推移(やや下方バイアス) ✓ 短期金利は高水準で推移 ✓ 超長期については水準次第 2. クレジット ✓ ポートフォリオのインカムゲインを維持す るパーツとして利用 ✓ 短期のシニア、Tier2劣後債の活用 ✓ 長期の高クオリティ銘柄の活用 ✓ 景気後退時に時間分散・円ベース単 価を勘案しながらAT1を仕込む 3. デュレーション ✓ 攻防安定的な年限は3-5年ゾーン ✓ 長期の年限は戦術的な投資対象 ✓ ポートフォリオとしては緩やかなラダーを 構成 4. セクター・エリア ✓ 新興国については、米金利の高止ま りによる相対的な魅力低下、インフレ リスク・取引コスト等の観点から引き 続き慎重な見方 ✓ 2023年は日銀新総裁就任、また 米国インフレ動向により、日米両 国の金融政策の転換が想定され るため上下に大きくぶれる可能性 がある ✓ ドル建て資産を購入するために必 要なUSDの手当てについては、購 入する資産から得られる中長期的 なリターンと、円高リスクとの見合い を検討 ✓ 日銀要因で円高進行するタイミン グではドル買いの好機 ✓ 環境に応じて、ドルを購入するタイ ミングは分散する ✓ 新興国通貨は基本的に保有しな い 1. REIT ✓ 日本は個別銘柄、米国はインデック ス投資、私募REITの場合はファン ド活用 ✓ 絶対水準に割安感がないため、選 別的に検討 2. コモディティ ✓ 基本的にキャッシュフローを生み出さ ない資産には投資しない 3. ヘッジファンド ✓ ヘッジファンドの銘柄を見て一部検 討 ✓ 流動性と残高に留意しつつファンド マネージャーを吟味する 4. プライベートエクイティ投資 ✓ 米国PEマーケットにおける、ミドル~ レイトステージの有望な企業へ投資 は引き続き検討 仕組債 ✓ 円建てのニーズに対しては私募SB, CLNの活用を検討 Pragmaworksの投資戦略骨子
  2. 投資戦略(株式) 12 株式(Equity) ①足元のテーマ ②方向感 ③投資戦略 1. 金利の引き上げは最終局面に入りつつある。2022年に始まった利上げは、 75bpsの引き上げが連続4回行われるという、米国建国史上空前絶後とも 思われる急激な金融引締めであったが、これがようやく停止する見通し。この

    先もマーケットのボラティリティは見られるであろうが、この様な、「Big Picture」を頭に入れておくことが重要。 2. アノマリー。例年、9月前後(概ね8~10月にかけて)は1年を通じて相場 が非常に弱いことで知られる。10月は年内最後の仕込み場か? 3. MMF残高は依然過去最高水準。⇒投資に向かう大量の実弾をバックヤー ドに控えた状態(潤沢な待機資金が米国株を下支えする期待)。 4. 米国10年債利回りの推移。5%を突き抜けてくると株価にとっては大きな下 落圧力となる。 1. 8~10月は例年相場が軟調となるケースが多く見られており(いわゆるアノ マリーと呼ばれるもの)、株式はアップサイドよりもダウンサイドのリスクがより 大きい傾向がある。しかし本来は、この様に個社のファンダメンタルズと関係 なく外部要因で株価が下落する時こそが、長期的に見ると最良の仕込み 場であったことが多い。 2. 米景気が異様に強く「高い金利が長めに続く」との見方が優勢となり、株価 は調整中。高金利がもたらすドル高がグローバルハイテク企業の業績下方 圧力となれば、もう一段の株安が起こり得る。しかしその場合は、米国株の 割高感は相当に払拭され、11月以降反騰に転じると予想。 【原則】 1. 強固な参入障壁を持ち、決算が順調な会社はホールド(相場全体が崩 れても、決算に問題ない限り売却しない)。 2. もし決算をミスした場合、そのミスの内容を確認することが重要。一過性の 要因で決算が不調だった場合はホールドを継続。 3. インフレのピークアウト及びそれに伴う金融引締めの最終局面に入りつつあり、 株価の大底は打ったと思われるものの、引き続きインフレ動向及び企業業 績に警戒を要するため、タイミングを分けて購入。 4. 株式市場全体の下落に連れて優良銘柄も下落している局面は、それら優 良銘柄を購入する好機であるため積極的に購入する 【具体的戦略】 1. 米国株式は既に大底は打っていると判断。上値を追うことなく、安値圏で推 移しているタイミングで、SP500連動のETF購入(構成銘柄の幅広さ、米 国市場を代表する優良銘柄の組入状況、及び過去のリスクリターンを勘 案)を推奨。 2. 9月前後は例年相場が比較的弱い時期とされ、昨年から続く状況を総合 的に勘案すると、この間に大きく下がったタイミングは分散投資の好機と考え る。 3. ハイパーグロース銘柄への投資再開はFRBのハト派転換を確認してからで も十分値幅を狙える。 株式投資の原則 株式投資は、投資先の事業の中身に着目し、マーケットタイミングは考えない。ウォーレン・バフェットですらマーケットタイミングは判断できないとしており、バフェットでも実行できないことを目指すことは 合理的とは言えないのがその理由。 また、全米もしくはその一部をカバーする指数(例.S&P500)や、ファンダメンタルズが強靭な企業の株式をターゲットとするも、購入はマーケット要因あるいは個社の一過性要因などで株価が大き く下落したポイントや、時間分散で小刻みにエントリーすることを基本とする。
  3. 1. 9月FOMCはタカ派据え置き。誘導目標レンジ5.25~ 5.50%。ドットプロット(政策金利の見通し)は上方修正。 2. 短期政策金利は『より高く、より長く』の環境を志向。 3. 10年債のタームプレミアムがプラス転換。(長期的な均衡政 策金利の上昇を示唆)⇒逆イールドが縮小。 4. 地政学やサプライチェーンの変化で構造的インフレ。

    5. 強い米経済成長と労働市場。 6. 財務省が米国債発行増をアナウンス。(財政の信頼性) 7. 株式対比で債券の魅力度が高い状態であり、投資適格債に妙 味あり。短期セクターは将棋で言う「攻防の角」。 債券(Fixed Income) ①足元のテーマ ②方向感 ③投資戦略 投資戦略(債券) 1. 年内金利は下げ渋り、高めの金利が長期化する可能性。米経 済成長・雇用・支出の底堅さ、企業決算の堅調さ、インフレの 粘着性、債券発行増が背景。ただし、中期的には金利に有利 な局面が見込まれ、ドル債投資の好機に。 2. 米国では金利両極端シナリオ(金利水準の切り上がりvs中 国発のリスクオフ)が継続。特に10年債の居所が見直されて おり、長期金利上昇主導による逆イールドの緩和。 3. 資本性証券は、引き続きボラティリティ高く、将来的な景気後退 を織り込む段には、スプレッド拡大(単価下落方向)が生じる 見通し。為替とのバランスを注視。 1. 質の高い発行体選択、分散(発行体・資本構成・タイミング)が 改めてスポットライト。ポートフォリオの中核資産として質の高い発 行体のポジションを維持し、中長期目線でキャッシュフローをしっかり と受取るスタンスを維持。ポート内、ドル、円バランスに配慮。ラ ダーポートを意識。 2. 金利低下時にアウトパフォームするのはIG債と想定。 短期~ 10年程度までのシニア、劣後債を優先的に取り組む姿勢は不変。 発行体は各国トップ銀行を中心に選択(現時点ではAT1も継続 保有可)。欧州銀のハイベータネーム新規はシニア、選択的に劣 後債までが望ましい。 3. 金利のカーブ形状から、3-5年ゾーン中短期の欧米金融IG債に 投資妙味(金利上昇が続く局面では、随時償還する短年限の 債券を金利の高い環境下で順次再投資するのが有効)。米銀 なら4%台後半~5%台(10年程度までの劣後債)、欧州銀 ならば5%後半~6%台を目線としてエントリしたい。 4. 個人投資家は金利(時価)変動に一喜一憂せず、確定利回り の目線をそれぞれ設定し、高クオリティの投資適格債を高金利 環境下で買い付けていくことが肝要。 5. 短期セクターは流動性のある新発銘柄を利用して購入(最終利 回り重視)、長期セクター(10年近辺)は途中売却も視野に 入れ、直利も考慮。金利低下ベットには10年超の米国債等ハイ クオリティ銘柄が有効。(米銀劣後新発などを利用。) 債券投資の原則 債券投資は、クオリティの高い発行体を選択し、時価に一喜一憂せず、ポートフォリオの中核資産として腰を据えて維持することが基本。発行体 の信用が著しく毀損した場合や、ポートフォリオ内の著しい偏りが生じた場合などを除いては、拙速な売買は避け、中長期目線でキャッシュフローを しっかりと受取り、積み上げていくスタンスが肝要。
  4. 通貨(Currency)/米ドル円 ①足元のテーマ ②方向感 ③投資戦略 投資戦略(為替/ドル円) 1. 米国金利動向 2. 米国景気動向 1.

    9月も、緩やかなドル高円安トレンドが継続。米国短期金利の 高止まり長期化予想及び長期金利の上昇がその背景。米国 金利のピークアウトが顕著に表れない限りはドル高円安トレンド が続くと予想。 積極的なドル売り介入も想定しづらく、10月中にも昨年高値 152円をブレイクする見込み。 2. 中長期的には米国景気動向がポイント。ローン金利高騰下で の住宅や自動車需要、また消費の持続性に疑念もあり、年単 位の見通しでは景気悪化⇒金利低下⇒ドル安の経路にも注 意。 1. 原則USDポジションをキープし、USD建運用のメリットを享受 2. 各々の資産運用プラン(例:ドル建債券の購入)を実行するため に必要なドルの手当てについては積極的に進める。その際、購入する 資産の円高抵抗力の検証をすること、及び購入タイミングを分散する ことは重要 3. 昨年10月の高値151.94円に近づいた水準あるいは、高値を突破 してドル高円安が急激に進んだところではドル資産の売却を検討(円 高進行時に買戻しすることを前提とする)。 その際は、ドル資産のトータルリターン、及び保有資産全体に占める ドル資産の比率を勘案して決定する 外貨投資の原則 外貨投資においては、為替の方向感にベットして為替差益を狙うような投機的な取引はしない。あくまでも、円資産への集中リスクを回避するための長 期的な通貨分散、資産分散を目的とする。 よって、マーケットタイミングを判断するよりも、購入タイミングを分散することでリスクを軽減しながら、上記目的を達成することを推奨する。
  5. ご留意いただくポイント 〇想定リスク 各シミュレーションから算出された数値は、一定の前提条件の元で計算さ れた概算値のため、実行にあたっては、必ず金融商品取引業者等の専門 機関にご相談ください。 〇その他 本資料の内容は、2020年6月1日時点の税法、その他関連法規に準拠して います。今後の関連法規の改正等により相違が生じることがあり、対策内 容の見直しが必要になる場合があります。 今後の政治経済情勢、業界動向の変化によっては、本資料の内容が適合

    しなくなる可能性があります。 〇免責事項 本資料は、一般的な考え方の一部を参考資料として記載したものであり、 特定の取引の実現性・実効性を保証し、または実施を勧誘するものではあ りません。 弊社は、お客様に対し法律、税務、あるいは会計上の助言を供するもので はなく、本資料に関する法律、税務、あるいは会計上の十分性、適切性、有 効・妥当性について、いかなる見解を示すものでもありません。 〇その他 本資料に掲載された税務・会計・法律等に関わる事項に関しては、予めお 客様の顧問税理士、公認会計士、弁護士等の専門家にご相談のうえ、総合 的にご判断ください。 免責事項