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リクルートのデータ組織における 組織戦略としての人材開発

リクルートのデータ組織における 組織戦略としての人材開発

2025/2/20に開催したRecruit Tech Conference 2025の阿部の資料です

Recruit

March 03, 2025
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  1. 阿部 直之 猫・犬・読書・音楽鑑賞・キャンプ 経歴 / Career 2011年にリクルートにキャリア採用入社。 アドテクプロダクトの立ち上げエンジニアを経て、同プ ロダクトの拡大に伴い開発組織のエンジニアリングマネ ジャーを担当。

    2020年のリクルートの統合に伴いデータ組織のエンジニ アリング機能の責任者へ。 現在はデータ組織の横断機能責任者としてエンジニアリ ングも含むデータ諸技術の専門性マネジメントも担当 し、同テーマの中で採用・育成等の人材戦略に関する取 り組み等を行っている。 趣味 / Hobbies データ推進室 データテクノロジーユニット Vice President
  2. 事業戦略を実現するための技術戦略と、その実現のための人材戦略の関係性 事業価値を高めるための技術組織という立ち位置 事業戦略 技術戦略 人材戦略 実現するための 技術ポートフォリオは? 現在の技術ポートフォリオ で実現可能な事業戦略 現在の人材ポートフォリオ

    で実現可能な事業戦略や 技術戦略は? 制約となる現状から 戦略優先度を絞り込む 短期的な営み 実現すべき戦略に対し 実行可能な状況を整える 中長期的な営み 実現するための 人材ポートフォリオは?
  3. 成長機会とのマッチングにより育成する人材開発プロセス 人材戦略 育成と配置を連動させる技術組織における人材開発 事業戦略 技術戦略 採用 育成 配置 ・・・ etc

    人材戦略の中には 複数の取り組みが存在するが.. 本日は育成と配置を中心とした データ組織の人材開発プロセス を取り上げます ①理想の組織図を定義し  成長機会を見える化 ②成長機会への配置による育成の推進 ③メンバー成長に応じた再配置と  それに伴う新たな機会提供
  4. 事業戦略を実現するための技術戦略と、その実現のための人材戦略の関係性 事業価値を高めるための技術組織という立ち位置 現在の技術ポートフォリオ で実現可能な事業戦略 現在の人材ポートフォリオ で実現可能な事業戦略や 技術戦略は? 制約となる現状から 戦略優先度を絞り込む 短期的な営み

    実現すべき戦略に対し 実行可能な状況を整える 中長期的な営み 事業戦略 実現するための 技術ポートフォリオは? 実現するための 人材ポートフォリオは? ; 技術戦略 事業戦略を実現するための技術的取り組みA 事業戦略を実現するための技術的取り組みB 事業戦略を実現するための技術的取り組みC 人材戦略 Aを適切に実行するための役割と必要人数 Bを適切に実行するための役割と必要人数 Cを適切に実行するための役割と必要人数 マネジャー リーダーA リーダーB リーダーC Techリード 事業戦略を実現する 理想の組織図!! 各要素を組み合わせ 組織図の形式で表現 メンバーA メンバーA メンバーB メンバーC
  5. 現状の組織図ではなく、事業戦略実現のために必要とされる未来の組織図 事業戦略を実現するための理想の組織図 マネージャ リーダーA リーダーB リーダーC メンバーA メンバーA メンバーB メンバーC

    マネージャ リーダーA リーダーC メンバーA メンバーC 現在の組織図 理想の組織図 施策Aを行うため 不足していた役割 必要となるスキルは ・DS-a2 ・DS-b1 ・DS-c2 必要となるスキルは ・DS-a2 ・DS-b1 ・DE-a1 要求される人員構成とそれぞれに必要となるスキル要件を理想の組織図として定義 Techリード 施策Bを実行するために 必要となった役割 理想の組織図を定義することで 提供可能な成長機会を見える化
  6. 成長機会を見える化する理想の組織図 理想の組織図があればチャレンジすべき役割がわかりやすくなる マネジャー リーダーA リーダーB メンバーA リーダーC メンバーA メンバーB メンバーC

    Techリード 役割を大きく する成長 やれることを増やす成長 中長期の組織図があれば、それに応じた時間軸でキャリア設計が可能 マネージメントに限らない プレイヤーとしての キャリアもあり
  7. 成長を加速させるためのWillベースのマッチング 人は自身が「そうなりたい姿(Will)」を目指すときほど成長する(はず) →Willを実現するSTEPを理想の組織図における役割と連動して設計 イマの取り組み 次のチャレンジ 次の次の チャレンジ 次の次の次の チャレンジ n年後の

    理想の自分 ツギココ そうなりたい姿を実現するための チャレンジはモチベーション高く 取り組める → 活躍し成長が加速 なりたい状態を実現する取組みは 必ずしも今やりたいことだけではない → 例えば: 苦手を潰すための取り組み イマココ
  8. 【再掲】成長機会の表現という側面を持つ理想の組織図 (理想の)組織図があれば次にどこを目指すかがわかりやすい マネジャー リーダーA リーダーB リーダーC メンバーA メンバーA メンバーB メンバーC

    Techリード 役割を大きく する成長 やれることを増やす成長 中長期の時間軸の組織図があれば、その時間軸でキャリアの設計が可能 マネージメントに限らない プレイヤーとしての キャリアもあり Willにより近い STEPはこっち!
  9. メンバーの成長により理想の組織図は変化していく • メンバーの成長で空いた役割は他のメンバーの成長機会に • 各テーマの取り組み結果から新たなテーマが創出され、同時に新しい機会が! マネジャー リーダーA リーダーB リーダーC メンバーA

    メンバーA メンバーB メンバーC Techリード 事業戦略の変化により理想の組織図は常に変わっていく リーダーD 各取り組みで得られた知見が 事業戦略に反映され新たな機会を創出 空いた役割は 他のメンバーの成長機会として活用
  10. 人材開発に関連する取り組み(一部抜粋) • 1on1 ◦ 上司とメンバーのタテだけでなく、ヨコやナナメの1on1も幅広く実施 • 目標設定と振り返り(考課) ◦ 単純な目標設定・評価だけではなく成長のための機会提供とその振り返りとして実施 •

    中長期キャリアステップのモニタリングと検討(人材開発委員会) ◦ 半期に1度の組織長陣複眼による各メンバーのキャリア育成状況の確認と議論 • 研修や学会・カンファレンス参加などの学習機会の提供 ◦ Off-JTの1種として業務では獲得できない技術知見のインプット支援 • 自己研鑽環境の提供 ◦ Kaggleなどを活用した技術研鑽にも使えるクラウド環境支援 参考:https://www.recruit.co.jp/people/career/#anc-3
  11. 半期ごとの人材開発の営み 目標設定 人材開発委員会 考課 短期的な成長モニタリング 目標を「理想の組織図」における次の役割として設定し 半期が終わったタイミングでその役割ゴールが達成できていたかを評価 → 役割で求められていたスキルの獲得ができたか?なども評価 追加目標

    設定 議論内容によっては 成長のための新たな目標を追加(短期への反映) 成長の状況から 新たな目標(役割)を設定 全ての取り組みでタテ・ヨコ・ナナメの複眼議論 中長期的な成長モニタリング 数年先を見据えて「理想の組織図」をどのようなステップで 登っていくかを見立て、各ステップにおける課題を設定し、 課題に挑戦するための新たな成長機会について議論
  12. 得意な技術要素は何か? 逆に不得意なものは? 成長を加速するために複数の観点からメンバーの成長にアプローチ タテ・ヨコ・ナナメの人材開発 マネジャー シニアマネジャー・VP 協働組織のマネジャー 領域横断 専門性マネジメント組織のマネジャー シニアマネジャー・VP

    組織テーマ観点 他職種協働観点 技術専門性観点 組織テーマに基づく ミッションの遂行状況は? 他職種・役割から見た際の 発揮価値や課題は何か?  1メンバーあたり 最大10数名での複眼議論 人材開発対象メンバー
  13. スキル表現の共通言語としてのスキルアセスメント 次の役割へのチャレンジでどんなスキルを獲得すべきか? →成長のための要素(スキル)をアセスメント項目として定義しGAPを明確化 マネジャー リーダーA リーダーB リーダーC メンバーA メンバーA メンバーB

    メンバーC 現在獲得できているス キルは ・DS-a2 ・DS-b1 ・DS-c2 必要となるスキルは ・DS-a2 ・DS-b2 ・DS-c2  必要となるスキルは ・DS-a2 ・DS-b1  ・DE-a1 Techリード 必要となるスキルは ・DS-a3 ・DS-b3 ・DS-c3 ・DE-a2 DE-a1の獲得が必要 DS-b2の獲得が必要 ASIS-TOBEが明確になれば 取り組みが進む!!!
  14. 人材開発のために整備した各種枠組み(一部抜粋) • 理想の組織図 ◦ 事業戦略を実現するために必要な役割及び必要なスキルなどを定義 ◦ 表現形式を統一することで組織横断で成長機会を共有可能 • スキルアセスメント ◦

    成長のためのスキル差分を共通言語化するための定義 ◦ データ諸技術単位で設計し、複合スキル職種(DE+DS=MLE等)も表現 • キャリアパス ◦ 職種毎の一般的なキャリアステップを整理したガイドライン ◦ スキルアセス等を組み合わせることでコミュニケーションもスムーズに 議論のための様々な共通言語を整備(まだまだ進化中) 事業戦略や技術潮流 の変化に追随
  15. 組織横断の機会提供 人材開発のフレームを全体で統一することで組織を横断した機会提供が可能に マネージャ リーダー A リーダー B リーダー C メンバー

    A メンバー A メンバー B メンバー C Techリード マネージャ リーダー G リーダー H リーダー I メンバー G メンバー G メンバー H メンバー I Techリード マネージャ リーダー D リーダー E リーダー F メンバー D メンバー E メンバー F マネージャ リーダー J リーダー K リーダー L メンバー J メンバー L メンバー K メンバー L Techリード メンバー H 領域AのDS組織 領域AのDS組織(別テーマ担当) 領域BのDS組織 領域AのDE組織 別職種チャレンジ スキルDS-c3を獲得 スキルDS-b2を獲得 スキルDS-a3を獲得 事業領域・組織を横断することで マッチングの機会を最大化
  16. 成長機会とのマッチングにより育成する人材開発プロセス 人材戦略 【再掲】育成と配置を連動させる技術組織における人材開発 事業戦略 技術戦略 ・・・ etc 人材戦略の中には 複数の取り組みが存在するが.. 本日は育成と配置を中心とした

    データ組織の人材開発プロセス を取り上げます ①理想の組織図を定義し  成長機会を見える化 ②成長機会への配置による育成の推進 ③メンバー成長に応じた再配置と  それに伴う新たな機会提供 採用 育成 配置 ここも連動する
  17. 採用から活躍までのリードタイム 組織での活躍に必要なのはスキルマッチとカルチャーフィットの両面 → 採用後はオンボーディングプロセスの中でカルチャーフィット等を高めていく オンボーディング 立ち上がり状態 活躍人材に! n年後の 理想系 •

    組織のカルチャー理解 • 不足している知見の獲得 • 必要に応じてアンラーニング 最終的に活躍人材となってもらう 入り口としての採用という捉え方 (採用も人材開発プロセスの一部) 組織への参画
  18. 採用後の人材開発(育成)もセットで検討 • 入社後の立ち上がりのためのオンボーディング ◦ 単純なスキルマッチだけではなくカルチャーフィットも大事 ◦ (特にキャリア採用では)アンラーニングも含むカルチャーインプットも必要 ◦ スキルや知見獲得などの人材開発観点でのオンボーディング必要 •

    オンボーディング施策について ◦ 新卒ブートキャンプ(OJTのためのスキル獲得&カルチャーフィット) ◦ キャリア採用入社者交流会(日々の悩み吸い上げやバーチャル同期の関係性作り等) • その他 ◦ キャッチアップとして勉強会、キックオフ等のインプット機会を提供 カルチャーフィット・事業(組織)理解も大事にしてます!
  19. まとめ • 事業戦略、技術戦略、人材戦略をつなぐ「理想の組織図」 ◦ 事業戦略を実現するための技術戦略、そして人材戦略 ◦ 技術戦略と人材戦略上の要素を組み合わせた理想の組織図を定義 • 「理想の組織図」を活用した成長機会とのマッチング ◦

    理想の組織図によって成長機会としての各役割を見える化 ◦ 成長を加速させるためのWillに基づく機会役割とのマッチング ◦ マッチング精度を上げるための複眼議論と共通言語の整備 • 人材開発につなげるための採用という取り組み ◦ 人材開発プロセスと接続するためのオンボーディング