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個人最適 から 全体最適 へ AI情報共有会・AIギルド・AI-DLC で進める カンリーの組織展開

個人最適 から 全体最適 へ AI情報共有会・AIギルド・AI-DLC で進める カンリーの組織展開

AI Engineering Summit Tokyo 2026に登壇した際の資料です
https://ai-engineering-summit-tokyo.findy-tools.io/2026-summer

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Transcript

  1. 個人最適 から 全体最適 へ AI情報共有会・AIギルド・AI-DLC で進める カンリーの組織展開 AI Engineering Summit

    Tokyo 2026 DAY2 公募セッション( 10分) 2026-06-09 (火) 浜松町コンベンションホール 福田 龍(ふくだ りゅう)/ 株式会社カンリー CTO室  X: @ryu_f_web
  2. 自己紹介 福田 龍(ふくだ りゅう) 株式会社カンリー CTO室 エンジニアリングオフィス • エンジニア歴10年超、マネジメント、 MBA

    • 組織開発・採用・ AI推進 を専任で担当 • Claude Code や組織づくりの知見を Zenn / Qiita / note / 登壇 で発信 X: @ryu_f_web フォローお願いします 具体的にやっていること ✓ 組織サーベイの設計・運用 ✓ 採用フロー・選考基準の整備 ✓ エンジニア評価制度の言語化 ✓ AIのコスト管理・利用モニタリング ✓ AIニュースのキャッチ・社内外発信 ✓ AI駆動開発による生産性向上の推進 2 / 31
  3. こんなこと、起きていませんか? ✕ Claude Code を配ったけど、一部の人しか使わない ✕ 共有会で他チームの取り組みを聞いて「面白いね」で終わり、自チームには活きない ✕ ハンズオンをやっても、続かない・横に広がらない ✕

    「やる時間がない」という現場の声に、応える術がない ✕ AI活用が進む人と進まない人の 格差が日に日に広がる カンリーも、ほぼ全部やりました 4 / 31
  4. 今日話すこと 時系列で、カンリーのエンジニア組織が AI とどう向き合ってきたか ① 早期導入 ツールを入れた、しかし個人最適に留まった ② ボトムアップ底上げ ハンズオン・勉強会・AI共有会の改革

    ③ トップダウン 評価基準の言語化・週3時間の確保 ④ 開発プロセスの再設計 AI-DLC 導入の動き ⑤ ボトムアップ増幅 AIギルドの結成 ⑥ 9ヶ月の変化 サーベイ・AI活用調査が裏付け始めた成果 ⑦ 学んだこと 個別最適 → 全体最適 へ向けた仕組みの整理 まだ道半ば。 今日は成功事例の披露ではなく「苦戦した記録」です 5 / 31
  5. ① 早期導入、しかし個人最適 2025/2 Devin / 2025/4 Cursor / 2025/6 Claude

    Code ① 早期導入 ② 底上げ ③ トップダウン ④ AI-DLC ⑤ ギルド ⑥ 9ヶ月の変化 ⑦ 学んだこと 6 / 31
  6. ① コーディングエージェントを 早期から導入 業界の中でも比較的早めにツールを入れてきた 個人 チーム 組織 2025/2 Devin 自律的なエージェント体験のスタート

    2025/4 Cursor 全社導入(VSCodeから移行)、エディタ内でAI活用を標準化 2025/6 Claude Code Bedrock でスモールスタート、CLIベースのエージェント運用 → 「ツールが手元にある」状態は早期に作れた。 しかし、活用は別問題だった 7 / 31
  7. ① ツールを入れたら起きたこと:個人最適化 二極化がはっきり起きた 個人 チーム 組織 使いこなしている一部メンバー • CLAUDE.md やスキルの整備

    • プラグイン化・独自フックの組み込み • GitHub Actions に組み込んで自動化 • ツールの内側まで踏み込む 過半数のメンバー • プロンプトを都度入力して使う • ツールの設定や運用は触らない • 効率化のノウハウは個人で止まる 現場の声 ローカルでプロンプト改善やりこんでいる人と、デフォルトに近い設定で作業している人とで、作業環境(性能)に開きがあるように感じ ました ※ AIを全く使わない層はほぼいなかった ── 「導入のハードル」自体は越えていた 8 / 31
  8. ① うまくいかなかった話 ① 個人・チームの工夫が 横展開されない 個人 チーム 組織 個人で磨いた工夫が、隣の人にも伝わらない 一部メンバーが作り込んだ

    CLAUDE.md・スキル・Hooks は個人の中で止まる。過半数は「 ChatGPT延長」のまま、ノウハウが標準 化されない チーム内では進んでも、他チーム・組織へは広がらない Claude Code 統一やモブプロはチーム内ではボトムアップで進む。しかし他チームへ伝わる仕組みがなかった 現場の声 個人でブラッシュアップしているCLAUDE.md、SKILLs、サブエージェント、Hooksを、どうやって共通のものにしたら良いか、課題に感 じています つまり、個人・チームの最適は全体に広がらなかった 9 / 31
  9. ② 底上げ施策 と AI共有会の改革 全員が使えるレベルへ + 共有会を 任意・雑多 → 必須・型あり

    へ 個人 チーム 組織 ① 知識の底上げ 2025/9 Claude Code ハンズオン 全エンジニアで実際に手を動かす 2026/1 Claude Code 勉強会 運用ノウハウ共有・最新機能キャッチアップ ② AI共有会の改革( 2025/11〜) Before • 週1回 / 任意参加 • 個人が自由に話題持ち寄り • 来る人が固定・偏りがち After • 週1回 / 必須参加 固定アジェンダ: 1. AIニュース持ち寄り 2. 各チームの取り組み発表 → 全員が使えるレベルへ底上げ + 全チームの活用が見える定例 へ 11 / 31
  10. ② 効果と、それでも残った限界 共有の場を作るだけでは、行動変容には足りなかった 個人 チーム 組織 ✓ 効果 透明性が大きく上がった ──

    他チームがやっていることが見える/「あ、その課題うちもある」が会話に乗る ! 限界 ② 聞いて終わり、になりがち ── 業務に組み込む動きが生まれず、共有から現場での試行(ラストワンマイル)が弱い 現場の声 実務があまりに忙しすぎるのと、いざAI取り入れようとするとキャッチアップから入って結局中途半端になって、というのを繰り返してい ます → 共有の場を作るだけでは、行動変容には足りなかった 12 / 31
  11. ③ トップダウンの 2つの打ち手 3-A. 評価基準の言語化 / 3-B. 週3時間を制度として確保 ① 早期導入

    ② 底上げ ③ トップダウン ④ AI-DLC ⑤ ギルド ⑥ 9ヶ月の変化 ⑦ 学んだこと 13 / 31
  12. ③ 3-A. 評価基準の言語化・ハンドブック化 全社のコンピテンシー評価を エンジニア実務に翻訳して社内公開( 2026/1〜2) 個人 チーム 組織 「コードが書ける」だけが価値の時代は急速に終わった。でも「

    AIを使っていればOK」 でもない 専門性 = T × M × S の複合体で言語化 T Technology 実装・実現力 AIを含む技術で 速く・正確に 価値をデリバリーする M Management 品質マネジメント システム・工程の品質を担保する(人の管理ではない) S Strategy 技術戦略 Why を理解し、事業課題を技術で解決する設計 評価ハンドブックの実物 → 「AIを使っているか」ではなく「 AIを含めて どう価値を出したか」を評価で問える状態に 14 / 31
  13. ③ 評価を変えないと、二方向に組織が傷む 個人 チーム 組織 今まで通りでいたい人 → 行動変容が起きない 変える理由がない。評価されるのは 従来通りのアウトプット

    なのだから 成長意欲が高い人 → 評価されずに退職に繋がる AIで頑張っても報われない。別の場所に行く 評価を変えないことは、 変わらない人を守って、変わりたい人を失う 選択 15 / 31
  14. ③ 3-B. 週3時間を制度として確保 QuickWinTime ── 生産性向上活動に充てる時間 個人 チーム 組織 週3時間

    / チーム 背景: サーベイ・ヒアリングで繰り返し挙がった主要因が「生産性向上活動に時間が割けていな い」 使い道: 各チームで AI活用・運用保守活動・改善活動 に充てる 現場の声 定型業務で手一杯となり、改善を図るキャパシティが足りていない。余白を持つためにも定型業務の効率化を検討する必要がありそ う 現場の声 ロードマップの消化にリソースをかけすぎていて斧を研ぐ時間が相変わらず取れていない。根本解決になっていない 『7つの習慣』 (スティーブン・ R・コヴィー 著) からの 2つの引用 • 緊急ではないが重要(第 II領域)に時間を使う = 木こりのジレンマで言う『斧を研ぐ時間』 • 大きな石から先に入れる = 3時間まとまって押さえる。余裕ができたら、では delivery に流れる 16 / 31
  15. ④ 動機:個々の作業は速くなった、しかし 人間がボトルネックの構造は変わっていない 個人 チーム 組織 ✓ AIで個人のコーディングは確実に速くなった ── 実装の手数は減った、日々の生産性は確かに上がった

    各工程は速くなった/それでもワークフローの形は 人間中心 のまま 要件定義 設計 実装 レビュー リリース 各工程は速くなったが、工程間の受け渡し=「人間が次に渡す」構造は変わっていない 現場の声 仕様Ver1の質をあげることで、その後の「レビュー→仕様再検討」のコストを少しでも減らせないか。初稿段階でPdM・デザイナー・開 発・QAも同期的に検討する会があっても良さそう 現場の声 PRの指摘量がなかなか減らず、結果的にPRの作成からマージまでの期間が長くなってしまう → 開発ワークフローそのものを見直す = AI-Driven Development Lifecycle(AI-DLC) 18 / 31
  16. ④ AI-DLC 導入の 3ステップ 守=全員で体験 / 破・離=各チームの現場へ 個人 チーム 組織

    1 2025/11〜 社内勉強会の開始 なぜスクラムだけでは不十分かを言語化・共有 2 2026/2 先遣隊を AWSワークショップへ 実際に体験し、持ち帰れる人を作る 3 2026/4 PdM × エンジニア合同の社内ワークショップ( 2日間) 開発ワークフローを実際に組み替え ワークショップ(2日間・全社モブ) • PdMを巻き込むのが鍵 要件定義・優先度づけの段階から AI前提に組み直す • 半年悩んだ末の判断 守破まで先行チームで作り込みは無理 →「守」=全員で体験/「破・離」=各チームの現場へ 19 / 31
  17. ⑤ AIギルド:各チームから 1名選抜の横断チーム 共有会だけだと「聞いて終わり」。各チームに「動かす人」を 1人置く 個人 チーム 組織 各チーム(dev×7 +

    横断×2) dev1 dev2 dev3 dev4 dev5 dev6 dev7 SRE CTO室 各チーム 1名選抜 AIギルド 横断チーム 役割 • 他チームの事例を 深く 展開 • AI活用の議論を旗振り • 共有会の話を自チームで動かす ※ 結成したばかりで、効果はこれからの段階 → 各チームに「動かす人」を置き、 ラストワンマイルを埋めにいく = ボトムアップの増幅 21 / 31
  18. ⑥ 9ヶ月で、何が起きたか 社内サーベイとAI活用調査が、装置の効果を裏付け始めた 個人 チーム 組織 AI活用の集団標準化( 2025年10月 → 2026年4月)

    Claude Code メイン利用 58% → 98% MCP 日常利用 49% → 88% Skills 日常利用 37% → 76% サブエージェント 日常利用 30% → 68% 組織サーベイ 実態スコア( 5段階) 2025/10 3.64 2026/01 3.59 2026/04 3.78 2026年1月に一旦沈み、 4月に反発(過去最高) • 30項目中 29項目 で改善 • 満足と実態のギャップ 0.62 → 0.48(縮小) → 装置を入れて最初は沈んだ。しかし入れ続けた結果が、 2026年4月に表れ始めた 出典: カンリー エンジニア部 サーベイ(n=46/45/47, 5段階) / AI活用調査(n=43/43/41) 23 / 31
  19. ⑥ 困りごとの『質』が変わった サーベイ自由記述の論点が、 9ヶ月で前進した 個人 チーム 組織 2026年1月末 「個人のキャッチアップが追いつかない」 2026年4月末

    「個人差をどう埋め、どう計測するか」 現場の声 最も進んでいる人の充実度に、みんなが合わせられるようになりたい(2026年4月の自由記述) → 個人の課題 → 組織の課題 へ、論点そのものが前進した 24 / 31
  20. ⑥ AI推進は、生産性だけでなく『文化』を引き上げた AI推進と連動したサーベイ項目の改善( 2025年10月 → 2026年4月) 個人 チーム 組織 8-1

    新技術への挑戦機会 ギャップ -0.49 → -0.17 全30項目で改善幅トップ 9-1 技術的チャレンジが評価される文化 実態 3.91 → 4.13 10-3 貢献意欲 実態 3.80 → 4.11 +0.31 4-2 部内 他チーム連携 実態 3.29 → 3.64 AI-DLC・共有会の効果 → AI推進は「早く実装できる」だけでなく、 挑戦・評価・連携の文化 を押し上げた 出典: カンリー エンジニア部 サーベイ(n=46/47, 5段階) 25 / 31
  21. ⑥ ここから先、 AIならではの宿題 AI推進が量的に進んだことで、新たに見えてきた 3つの課題 個人 チーム 組織 01 個人プロンプト資産の共通化

    Skills・Hooks・サブエージェントの整備度合 いに個人差。AI推進が生んだ新しい個人差 02 AI活用の成果指標が未定義 Claude Codeは98%まで進んだが、効果を 測る組織的な指標がまだ無い 03 AI生成コードの 品質保証ループ AI推進の量的拡大が、レビュー設計の負荷 として表れ始めた → 量的な普及が進んだからこそ見えた、 次に解くべき課題 26 / 31
  22. ⑦ 段階ごとのボトルネックに、打ち手を当てる 個別最適 → 全体最適 ── どの段階で何が詰まっているか 個人 チーム 組織

    個人最適 個人が使いこなす チーム最適 チーム内で標準化 組織最適 部署全体で情報循環 ↑ ボトムアップ ↑ トップダウンが要る 打ち手 ツール導入 ハンズオン・勉強会 QuickWinTime AI共有会・AIギルド 評価ハンドブック・AI-DLC ! 鍵は「順番」より、どこがボトルネックかの見極め ── 片側だけでは どの段階も進まない 29 / 31
  23. ご清聴ありがとうございました 福田 龍 / 株式会社カンリー CTO室 X: @ryu_f_web Claude Code

    や組織づくりの知見を Zenn / Qiita / note / 登壇 で発信 組織での AI推進について、当日の懇親会でもお話しできれば嬉しいです