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個人最適から組織最適へ — 仕組みで進めるAI推進

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個人最適から組織最適へ — 仕組みで進めるAI推進

2026/5/19登壇資料です。

AIでチームはどう変わった? 〜開発組織におけるAI活用のリアルLT会〜
https://replus.connpass.com/event/391062/

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Transcript

  1. 自己紹介 ふくだ(福田 龍) 株式会社カンリー CTO室 エンジニアリングオフィス エンジニア組織の 組織開発・採用・AI推進 を専任で担当 (プロダクト開発はしていません)

    • エンジニア歴10年超、マネジメント経験あり X: @ryu_f_web Claude Codeの気になる新機能は リリース即日で Zenn / Qiita に公開 具体的にやっていること ✓ 組織サーベイの設計・運用 ✓ 採用フロー・選考基準の整備 ✓ エンジニア評価制度の言語化 ✓ AIのコスト管理・利用状況モニタリング ✓ AIニュースのキャッチ・社内外発信 ✓ AI駆動開発による生産性向上の推進 フォローお願いします! 2 / 25
  2. 今日話すこと 時系列で、カンリーのエンジニア組織が AIとどう向き合ってきたかを話します 早期導入 ① ツールを入れた、しかし個人最適に留まった ボトムアップ底上げ ② ハンズオン・勉強会・AI共有会の改革 トップダウン

    ③ 評価基準の言語化・週3時間の確保 バックキャスト ④ AI-DLC 導入の動き ボトムアップ増幅 ⑤ AIギルドの結成 学んだこと ⑥ 個別最適 → 全体最適 へ向けた仕組みの整理 4 / 25
  3. コーディングエージェントを比較的早期から導入 2025年2月 Devin 自律的なエージェント体験のスタート 2025年4月 Cursor 全社導入(VSCodeから移行)/エディタ内で AI活用を標準化 2025年6月 Claude

    Code Bedrockでスモールスタート/ CLIベースのエージェント運用 → ツールが手元にある状態は早期に作れた。しかし、活用は別問題だった 6 / 25
  4. ツールを入れたら起きたこと : 個人最適化 二極化がはっきり起きた 使いこなしている一部メンバー • CLAUDE.md やスキルの整備 • プラグイン化・独自フックの組み込み

    • GitHub Actions に組み込んで自動化 • ツールの内側まで踏み込む 過半数のメンバー • プロンプトを都度入力して使う • ツールの設定や運用は触らない • 効率化のノウハウは個人で止まる ※ AIを全く使わない層はほぼいなかった — 「導入のハードル」自体は越えていた 7 / 25
  5. うまくいかなかった話 ① 個人・チームの工夫が 横展開されない ! チーム内では進んだ。しかし、他チームへ横展開されない Claude Code に統一する/モブプロを始める など、チーム内ではボトムアップで進む。しかし他チームには伝わる仕組み

    がなかった ! チーム → 組織 への横展開は、ボトムアップだけだと難しい 使いこなしている一部メンバーのノウハウが標準化されない/過半数は「 ChatGPT延長」のままで止まる つまり、ツール導入だけでは個人最適は超えられなかった 8 / 25
  6. 底上げ施策 : 全員が当たり前に使えるレベルへ ツール導入の二極化を、知識面の底上げで縮める 2025年9月 Claude Code ハンズオン 実際に手を動かして触ってもらう場を全エンジニア向けに 開催

    2026年1月 Claude Code 勉強会 運用ノウハウの共有・最新機能のキャッチアップ → 全員が 当たり前に使える レベルへ底上げ 10 / 25
  7. AI共有会の改革( 2025/11〜) 任意・雑多 → 必須・型あり へ Before • 週1回 /

    任意参加 • アジェンダは個人が自由に話題持ち寄り • 来る人が固定化 • 話す内容は1割層の話に偏りがち After • 週1回 / 必須参加 • 固定アジェンダ: ① AIニュース持ち寄り ② 各チームからの取り組み発表 • 各チームのAI活用が必ず全員の目に触れる 11 / 25
  8. 効果と、それでも残った限界 ✓ 効果: 透明性が大きく上がった 他チームがやっていることが見えるようになった 「あ、その課題うちもある」が会話に乗るようになった ! うまくいかなかった話 ②: 聞いて終わり、になりがち

    業務に組み込む動きが自然発生しない 共有 → 自分の現場での試行 のラストワンマイルが弱い → 共有の場を作るだけでは、行動変容には足りなかった 12 / 25
  9. 3-A. 評価基準の言語化・ハンドブック化( 2026/1〜2) 全社のコンピテンシー評価をエンジニア実務に翻訳して社内公開 「コードが書ける」だけが価値の時代は急速に終わった。 でも「AIを使っていればOK」でもない 専門性 = T ×

    M × S の複合体で言語化 T Technology 実装・実現力 AIを含む技術で 速く・正確に 価値をデリバ リーする M Management 品質マネジメント システム・工程の品質を担保する (人の管理ではなく) S Strategy 技術戦略 Whyを理解し、事業課題を技術で解決する 設計 ✓ 等級ごとの期待要件・具体例も T/M/S 軸で言語化 → 「AIを使っているか」ではなく「AIを含めてどう価値を出したか」を評価で問える状態に 14 / 25
  10. 3-B. 週3時間を制度として確保 「QuickWinTime」: 生産性向上活動に充てる時間 QuickWinTime 週 3 時間 / チーム

    背景 サーベイ・ヒアリングで全体最適を阻むものを調査 → 「生産性向上活動に時間が割けていない」が最大要因 使い道 各チームで AI活用 ・ 保守活動 ・ 改善活動 に充てる なぜトップダウンで時間を切り出したか 「時間ができたらやる」では永遠にやれない 制度として確保すれば、現場が「必ずやる」状況になる 15 / 25
  11. 動機: 個々の作業は速くなった、しかし ✓ AIで個人のコーディングは確実に速くなった 実装の手数は減った。日々の生産性は確かに上がった ! しかし、人間がボトルネックの構造は変わっていない 要件定義 設計 実装

    レビュー リリース 各工程は速くなった / それでもワークフローの形は 人間中心 のまま → 開発ワークフローそのものを見直す必要がある = AI-Driven Development Lifecycle (AI-DLC) 17 / 25
  12. AI-DLC導入の3ステップ 1 社内勉強会の開始( 2025/11〜) AI-DLCの考え方を組織に共有 / 「なぜスクラムだけでは不十分か」を言語化 2 先遣隊を AWSワークショップへ

    実際にAI-DLCのワークショップを体験 / 社内に持ち帰れる人を作る 3 PdM × エンジニア合同で社内ワークショップ( 2日間) 開発ワークフローを実際に組み替えてみる / スクラム → 新しい形 への転換中 • PdMを巻き込むのが鍵 — 要件定義・優先度づけの段階から AI前提に組み直す 18 / 25
  13. AIギルド: 各devチームから 1名選抜の横断チーム 構成 ギルド 各devチームから1名ずつ選抜 役割 ✓ 他チームの事例を 深く

    展開する ✓ AI活用の議論を旗振りする ✓ AI共有会の話を、自チームに持ち帰って動かす なぜ作ったか 共有会だけだと「聞いて終わり」だった 各チームに「動かす人」を 1人置けばラストワンマイルが埋まる → ボトムアップの伝播を 増幅 する仕掛け 20 / 25
  14. 段階ごとのボトルネックに、対応する打ち手を当てる 個別最適 → 全体最適 — どの段階で何が詰まっているか 個人最適 個人が使いこなす 打ち手 ツール導入

    ▶ チーム最適 ↑ ボトムアップで進む チーム内で標準化 打ち手 QuickWinTime ▶ 組織最適 ↑ トップダウンが要る 部署全体で情報循環 打ち手 ハンズオン・勉強会 AI共有会・ギルド 評価ハンドブック・ AI-DLC ! 鍵は「順番」より、どこがボトルネックかの見極め ボトムアップだけ/トップダウンだけでは、どの段階も進まない 22 / 25
  15. 2軸の両輪を回す ◆ ボトムアップ × トップダウン ボトムアップ AI共有会・AIギルド 現場の試行錯誤を 拾う トップダウン

    評価制度・QuickWinTime 制度として 支える × ◆ フォアキャスト × バックキャスト フォアキャスト 今の仕事を改善する 共有会・ギルド・ QuickWinTime バックキャスト あるべき姿を定義し行動変容を促す 評価ハンドブック・ AI-DLC × 23 / 25
  16. まとめ ▪ 順番ではなく、ボトルネック起点で考える 「段階を飛ばすな」ではなく「どこが詰まっているか」が先 — 段階に合った打ち手を当てる ▪ 個人→チームはボトムアップ、チーム →組織はトップダウン ボトムアップだけでは組織全体は動かない。フォアキャスト

    × バックキャストも組み合わせて両輪を回す ▪ 最後にものを言うのは「仕組みの整備」 AI共有会・AIギルド・評価制度・ QuickWinTime・AI-DLC — 全部つながって、初めて組織が動く 24 / 25
  17. ご清聴ありがとうございました X: @ryu_f_web フォローお願いします! • Claude Code の新機能や運用ノウハウを Zenn /

    Qiita で発信中 • 組織でのAI推進について、登壇後にお話しできれば嬉しいです