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作る力から、見極める力へ — AI時代に広がるエンジニアの価値と役割

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June 28, 2026

作る力から、見極める力へ — AI時代に広がるエンジニアの価値と役割

2026/06/28 @きのこカンファレンス2026

AIで実装が速くなったとき、エンジニアの価値と役割はどう広がるのでしょうか。

コードを書く、調査する、設計案を整理する、プロトタイプを作る。
こうした作業はAIによって以前よりも速く実現できるようになりました。
一方で、プロダクト開発で本当に難しいのは、決まったものを速く作ることだけではありません。
ユーザーにとって価値ある課題を見極め、何を検証すべきかを考え、最速で学び、作るべきものを判断することです。

本セッションでは、AI時代にエンジニアの価値が「作る力」から「何を作るべきかを見極め、学習速度を上げる力」へ広がっていくという視点を共有します。
エンジニアがプロダクトディスカバリーに積極的に関与することで、技術力をどう価値探索につなげられるのか。
そして、この先もエンジニアとして生きのこるために、どのように役割を広げていくべきかを考えます。

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June 28, 2026

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Transcript

  1. 鈴木 和真 rince (@kazumax1218) 株式会社マイベスト 取締役 CTO • 2011- カカクコム(食べログ

    → キナリノ) • 2018- メルカリ(ソウゾウ → メルペイ) • 2020- マイベスト • 旅とキャンプとサウナが好き⛺ • 3歳の息子がいます👶 自己紹介
  2. • コードを書く • 調査する • 設計案を整理する • プロトタイプを作る • テストを書く

    • リファクタリングする (※単に「動く」ものではなく「動き続ける」ものを作るためには依然として考慮すべき点は多い) AIの進化によって、単に動くものを作るだけであれば以前よりも速く実現できるようになった AIによって「作る」は速くなった
  3. AIで作るコストが下がっても、保守・運用するコストがゼロになるわけでない 機能は作った瞬間から運用コストが発生する • バグ修正 • 仕様変更・機能追加 • 問い合わせ対応 • テスト・QA

    • 他機能との整合性維持 • コンテキストの増大 • ユーザーの認知負荷 機能が増えるほど、プロダクトは複雑になり、開発スピードは低下する
  4. • 価値のリスク ◦ 顧客はこれを買ったり、これを使うことを選んでくれるだろうか? • ユーザビリティのリスク ◦ ユーザーはこれの使い方がわかるだろうか? • 実現可能性のリスク

    ◦ 私たちはこれを作れるだろうか? • 事業実現性のリスク ◦ このソリューションは私たちのビジネスに貢献するだろうか? 次の重要なリスクに対処し、できる限り迅速にアイデアの妥当性を立証すること プロダクトディスカバリーの目的
  5. • 以前は、ディスカバリーにおいて作らず済むにこしたことはなかった ◦ コンシェルジュ実験、オズの魔法使い、コンセプトテスト、モックアップ、etc. • が、AIの進化により、作るコストが劇的に下がった ◦ 「作らず検証するコスト ≒ 作って検証するコスト」になることも

    • 「作るべきか/作らないべきか、どう作るか」を判断できるのはエンジニア ◦ 「作る力」があるからこそ、適切な判断ができる ◦ 「コンテキスト」を漏れなく把握することで、適切な判断ができる • エンジニアがディスカバリーで発揮できる価値が以前にも増して大きくなった ディスカバリーでは、迅速な学習が最重要 AI時代においてディスカバリーで「作る」という選択肢が有力に
  6. 1. 課題を深く理解して解決策を考えられる 2. 実現可能性を早期に見極められる 3. 作るかどうかの判断の精度が上がる 4. 仮説検証のための最適な落とし所がわかる 5. AIのアウトプットが適切か判断できる

    6. 分析結果から即座に次の仮説検証を回せる ディスカバリーにおける価値探索のスピードを上げることができる ディスカバリーにエンジニアがいることの価値
  7. エンジニアがディスカバリーを主導 以下の流れでプロジェクトを進行 1. 問題を見つける ◦ ユーザーインタビューを実施 ◦ 背景・課題を深く理解する 2. 解決策を考える

    ◦ 社内の元販売員(接客経験者)にヒアリング ◦ 実現可能性の観点も含める 3. 検証方法と仕様を決める ◦ ワイヤレスイヤホンと格安SIMにカテゴリを絞って検証 4. 設計・実装する ◦ テーブルを作らず、回答と絞り込みのマッピングを定数で ◦ APIも作らず、Frontendのみで簡易的に実装 5. テスト・分析する ◦ A/Bテストを実施、分析して次の仮説検証へ 実工数:1人日 事例① Web接客機能
  8. テスト・分析・改善のループを回す リスクの高い部分から検証を進めて、学習して徐々に精度を高めていく 1. まずは使われるかを検証 ◦ 約22%のユーザーに使われた! 2. 次にUIを改善して、選びきれるかを検証 ◦ A/Bテストで5%ほどCVRが上がった!

    3. 細かく数値を分析してブラッシュアップ ◦ おすすめ商品のUI変更、理由の追加 ◦ ハーフモーダルの掲出タイミング ◦ 質問と回答の内容改善 事例① Web接客機能 学習のための最小の実装・検証方法を選択し、最速で仮説検証ループを回せる
  9. 事例③ AI-DLC(AI駆動開発ライフサイクル) AI-DLCとは、AWSが提唱する開発プロセス全体をAI前提で再構築し、AIが実行を主導し、人間が 監督と意思決定を行うアプローチ • Inception(開始) ◦ AIがビジネス意図を詳細な要件・ストーリー・ユニットに変換 ◦ チーム全体がAIの質問を積極的に検証(モブエラボレーション)

    • Construction(構築) ◦ AIが論理アーキテクチャ、ドメインモデル、コードによる実装、テストを提案 ◦ チームが技術的決定とアーキテクチャの選択について リアルタイムで明確化(モブコンストラクション) • Operation(運用) ◦ チーム監督のもとでIaCとデプロイメントを管理 https://aws.amazon.com/jp/blogs/news/ai-driven-development-life-cycle/
  10. Inceptionフェーズにおけるエンジニアの役割 AI-DLCはディスカバリーのMVP構築においても活用できる • Inceptionでは何をどこまで作るかを決める ◦ AIのアウトプットが格段に速いため、多くの要求や機能を詰め込んだ ゴッドPRDになりがち • エンジニアがスコープを抑制する ◦

    何を検証すべきか、どこまで作れば学べるか ◦ 無駄な作りすぎを防ぐことができる • コンテキストを把握し、Constructionに繋げる ◦ 最適な設計・実装を選択できる 事例③ AI-DLC(AI駆動開発ライフサイクル) AIが広げた解決策を、検証のための最適なMVPに絞ることができる
  11. 1. 課題を深く理解して解決策を考えられる 2. 実現可能性を早期に見極められる 3. 作るかどうかの判断の精度が上がる 4. 仮説検証のための最適な落とし所がわかる 5. AIのアウトプットが適切か判断できる

    6. 分析結果から即座に次の仮説検証を回せる 3つの事例に共通するのは、エンジニアが何を作るべきかを見極め、学習速度を上げていること ディスカバリーにエンジニアがいることの価値【再掲】
  12. エンジニアは「何を作るべきかを見極め、学習速度を上げる人」に役割を広げていく 「作る力」から「何を作るべきかを見極め、学習速度を上げる力」へ • 何を作るのか • 作るべきか / 作らないべきか • どう作るか

    / どこまで作るべきか • 何を捨てるべきか • どの順番で検証すべきか • AIのアウトプットが適切か コンテキスト ユーザー課題にDeep Dive 作る力 技術力が土台 技術力を土台に、ユーザー課題にDeep Diveして、 品質・コスト・スピード・スコープのトレードオフを適切に判断し、 アウトカムに繋げていく