物語を楽しむための物語論2018/10/15 @mizuki_r
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@mizuki_r• エンジニア2Webエンジニア。転職してから自己紹介どうしようか悩む日々に突入。学生時代にオリジナルの小説を創作していました。about meこんな人です
注意事項• このスライドは作者の記憶を掘り起こしたうろ覚えな内容です• 個人の主張であり、組織・団体の主張を代表するものではありません
Agenda• 物語論とは• 物語をつくる技術• 神話の法則• 感動を作り出す考え方• 感動を引き起こす構造• おわりに• 参考文献
物語論(ナラトロジー)とは
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%89%A9%E8%AA%9E%E8%AB%96“物語や語りの技術と構造について研究する学問分野”
関心の指向性• 内容の類型• 類似性から構造化し分析する• 表現の形式• 表現の仕方、言説について探求する
物語を作る技術
物語を作る技術• 感動的なお話は機械的に作れる• 構造と役割と、心に響く仕掛けを考える• 物語論、心理学などの観点からシナリオの制作方法が提案されている
神話の法則
神話の法則• 神話学者ジョーゼフ・キャンベルの『千の顔を持つ英雄』• ジョージ・ルーカスがスター・ウォーズの制作の手本にした• 心理学者ユングの『原型論』• 脚本作りに応用し体系的にまとめた
2つの手引き• ヒーローズ・ジャーニー• 3幕構成・12ステップに物語を構造化する• キャラクターのアーキタイプ• 物語におけるキャラクターの役割を7つに分類
ヒーローズ・ジャーニー1:出立、離別1. オーディナリー・ワールド(日常の世界)2. コール・トゥ・アドベンチャー(冒険への誘い)3. リフューザル・オブ・ザ・コール(冒険への拒絶)4. メンター(賢者)5. クロッシング・ザ・ファースト・シュレスホールド (第一関門突破)--- 平和な日常↑↓特別な世界 ---2-1:試練6. テスト、アライズ、エナミーズ(試練、仲間、敵対者)2-2:イニシエーション(通過儀礼)7. アプローチ・トゥ・ジ・インモウスト・ケイヴ (最も危険な場所への接近)8. オーディール(最大の試練)9. リウォード(報酬)3:帰路10. ザ・ロード・バック(帰路)--- 特別な世界↑↓ 帰還後の世界 ---11. リシュアラクション(復活)12. リターン・ウイズ・ジ・エリクサー(宝を持っての帰還)
キャラクターのアーキタイプ1. 冒険の旅にでるヒーロー(英雄)2. ヒーローを冒険の旅に誘い出すヘラルド(使者)3. ヒーローに魔法の贈り物をするメンター(賢者)4. ヒーローの行く手を阻むシュレスホールドガーディアン(門番)5. 常に変化しヒーローを困惑させるシェイプシフター(変化する者)6. ヒーローを破滅させようとするシャドウ/ヴィラン(悪者)7. 現状を覆し息抜きを与えるトリックスター(いたずら者)
まとめ• 成長を表現する物語の普遍的な構造を示した• キャラクターを役割に抽象化した• これによってテンプレート的に脚本の構成ができるようになった• ハリウッド映画などで活かされた
感動を作り出す考え方
感動=心の抑圧の解放• 感動とは、心の抑圧を開放すること• 読み手が持つ心の抑圧(ストレス)を解放すること
心の変化を可視化する• 感動とは心の状態変化である。• 心の状態は目には見えない。→ 目に見えるもの(象徴)に置き換えて変化をわかるようにする。
心の抑圧を開放する• 抑圧を与えて、解放する• 物語の前半で抑圧を与え、後半にその抑圧を開放する• 抑圧を与えずに、同調することで抑圧を開放する• 抑圧を覚えるシチュエーションに同調させ、それを開放させる• 「鏡」を見せる• ロールシャッハ・テスト物語において一般的なのは一つめの「抑圧を与えて、開放する」
欲求を満たすことで感動する感動は「マズローの欲求ピラミッド」における第3,4,5層を満たすことで起こる。• 第3層:愛情の知覚の感動• 自分が愛されているということに気づく• 第4層:自尊の感動• 他者から認められる• 第5層:自己実現の感動• 自分の持つ能力や可能性を最大限に発揮したくなる欲求。
第5層上昇 自己実現下降 堕落・誘惑第4層上昇 自尊心を得る下降 無力を感じる第3層上昇 愛情の知覚下降 愛情の喪失
まとめ• 心の抑圧を作り、解放することで感動する• 感動とは心の状態変化• 見えない心の変化を暗喩で表現する• 欲求の3,4,5層を満たす構造を考える
感動を引き起こす構造
–あやえも研究所“物語とは、ある一つまたは複数の問題を解決する一連の過程Ͱある”
問題=テーマ• 問題と心の状態を関連付ける• 満たされない欲求 = 問題(テーマ)• 問題を解決(欲求が満たされる)流れを構造的に考える
テーマを表現(初期状態)の状態だった主人公が、(スペシャルワールド)を通して(最終状態)になる物語
神話の法則と合体• 第一幕:問題͕発生して、その問題への対処をすることを受け入れるまͰ• 第二幕:問題を解決するまͰ• 第三幕:問題を解決して、元の状態に戻るまͰ
対立関係と葛藤• 何もせず解決できるなら問題じゃない• 問題となる要素とトレードオフのなにかとの葛藤が必要• 葛藤を表現するための「対立関係」• 重要なタイミングで「対立関係」を作ることで葛藤が生まれ、成長による感動が表現できる
問題(テーマ)解決と対立関係• 第一幕:問題(テーマ)の解決に望むかの対立• 第二幕:問題(テーマ)の対立• 第三幕:日常に戻るかの対立
ヒーローとシャドウ• ヒーロー(成長する人・神話の英雄)• シャドウ(対立する人・神話の悪役)• シャドウがヒーローと正反対の性質を持つことで対立構造を作る
成長のトリガー• 主体(ヒーロー)とは正反対の性質(シャドウ)と対立し、それを統合して成長する• その統合に至る出来事を「トリガー」と呼ぶ「問題(テーマ)を抱えた主人公(ヒーロー)が、ある出来事(トリガー)を通して成長する」
まとめ• 物語の根源的な変化をテーマとして表現• 葛藤を対立構造として物語に組み込む• 最大の対立をキャラクターの性質として表現して盛り上がらせる• 対立 → 葛藤 → 統合(成長)の流れで感動を作る
おわりに
物語の読み方• 物語の構造やキャラクターの構造を作り手視点で解説した• 物語には人の心に働きかける仕組みがある• 構造的な特徴を掴むことで、本質的なテーマを理解できる• 物語の「伝えたいこと」が理解できる
物語を語ろう• 物語のパターンで複数の作品を語れる• 違う物語からカタルシスを受ける• 物語の良さを言語化できる• 「感動した」→「こういう構造だから感動したんだ」• 語彙が増える
物語と人生• 仕掛けとして感動を呼べるということ• 自身の感動をコントロールできる(かも)• 他人の感動をコントロールできる(かも)• 物語を理解することは、人を理解することに繋がる
参考文献
• 神話の法則• ストーリーメイカー• あやえも研究所