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顧客体験をアップデートするときに見直すべきポイント

 顧客体験をアップデートするときに見直すべきポイント

Customer Engagement Platformを利用して、顧客体験(CX)をアップデートするために不可欠な「組織・業務・システム」の3つの視点について解説しています。 単なるツール導入に留まらず、部門間の連携不足や人材不足といった「組織」の課題、施策検討や優先順位付けといった「業務」の課題、機能を使いこなせない、費用対効果が不明といった「システム」の課題に対し、実践的な解決策をまとめています。

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Satoshi Konno

April 23, 2025
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  1. 自己紹介 2 Braze株式会社 プリンシパルカスタマーサクセスマネージャー 紺野 賢 (Satoshi Konno) Braze導入企業のうち 34社(2025年3月31日時点)の活用支援を担当。 富士通、SAS、Salesforceなどを経て、

    デジタルマーケティングに関する施策立案・開発・運用・データ分析まで広範囲 な業務を経験。 Salesforceではデジタルマーケティング部 部長として 組織オペレーション改善などにも注力。
  2. 組織 業務 施策が検討できない メッセージの優先順位付けや 送信頻度の最適化ができない 施策の改善ができていない 組織 それぞれの視点でよく取り上げられる課題 6 組織

    部門間の連携不足 目標の不明確さ 人材・スキル不足 組織 システム 機能を使い切れない 運用負荷が高い 費用対効果が不明
  3. 組織 業務 AIチャットツール活用で 事例や施策アイディアを壁打ち 最適な施策頻度の分析と 業務フローによる施策優先付け 施策ごとに A/Bテストを実施 組織 成功のポイント

    7 組織 組織構成の変更 経営指標直結の目標設定 人材育成 / 採用 / 外部委託 組織 システム 活用できるリソースを把握 自動化 / AI活用 効果測定を仕組み化
  4. マーケティング 9 CRMマーケティング にはそもそもどういう組織・人材が必要か プロダクト全体の開発を統括 施策に使うクリエイティブを作成 データ管理・分析 (最近はAI / LLM推進部隊が別であることが多い)

    自動化関連( APIなど)のシステム開発 バックエンド開発 デザイン データエンジニアリング プロダクトマネジメント 新規向け (主に広告) 既存顧客向け (主にCRMツール) A事業に関する運営・企画 A事業 B事業に関する運営・企画 B事業 C事業に関する運営・企画 C事業 ビジネス 開発・デザイン アプリやWebの開発 アプリ・ Web開発
  5. 10 よくある課題 事業部ごとに運用が違う 顧客接点ごとに運用が異なる プッシュ通知 Eメール LINE アプリ内 メッセージ 埋め込み型バナー

    Content Cards プッシュ/LINE担 当部 Eメール 担当部 Web/アプリ 担当部 事業1 EC 事業2 クレジットカード 事業3 保険
  6. 組織として統合 名称例:グロースマーケティング部 11 あるべき状態 横串組織を作る 統合組織を作る 事業1 EC 事業2 クレジットカード

    事業3 保険 顧客コミュニケーションを統制 名称例:ライフサイクルマーケティング 部 プッシュ通知 Eメール LINE アプリ内 メッセージ 埋め込み型バナー Content Cards プッシュ/LINE担 当部 Eメール 担当部 Web/アプリ 担当部
  7. 12 効率的な運用をしている実際の企業の構成例 システム利用推進部 (顧客接点部分に関与するツール群) コンテンツ制作 チーム 事業A 既存(F2転換以降) 新規 解約抑止

    データ分析 開発 事業が1つだが顧客フェーズでチームを分けている / 物理的に部署が作られている 事業が複数 / 横串のバーチャル組織が作られている システム利用推進バーチャルチーム マーケ責任者 プロダクト マネージャー データチーム 開発 コンテンツ制作 チーム 事業2 クレジットカード 事業1 EC 事業3 保険
  8. 16 日本のマーケターは”中間KPI”を追う傾向にある 質問:あなたの顧客エンゲージメント戦略に最も適したものは? 54% 22% 38% +16% 40% 日本 2024

    グローバル カスタマーエンゲージメントレビュー | 顧客エンゲージメントプラットフォーム Braze(ブレイズ) https://www.braze.com/ja/resources/reports-and-guides/2024-global-customer-engagement-review 開封率やクリック率などの中間 KPIを目標にしている 開封率やクリック率などの中間 KPIと売上やリテンションなどを組 合せて評価 している 世界平均 日本 世界平均 -14%
  9. 17 目標管理の手法SMARTでも”経営目標との適合 ”が盛り込まれている S M A R T 具体的 -

    Specific - 測定可能 - Measurable - 達成可能 - Attainable - 経営目標との適合 - Relevant - 期限 - Time-bound - 具体的で明確な目標に落とし込む 達成度合いを定量的に判断できるようにする 現実的に考えて、達成可能な水準にする ビジネスにつながる(売上などに直結する)目標を設定 する いつまでに目標を達成するか、期限を定める。
  10. 既存 (F2転換以降) 新規 休眠抑止 12ヶ月アクティブ率 2回目購入数 / 率 3回目購入数(率) 18

    顧客フェーズでチームを分けているときの考慮点 新規会員数 2回目購入数 / 率 3回目購入数 / 率 4回目購入数 / 率 3ヶ月目アクティブ率 6ヶ月目アクティブ率 12ヶ月目アクティブ率 評価軸が分断しているため ... 初回の高額インセンティブで 飛びついた即離反ユーザばかりが増える 高額インセンティブやクーポンに慣れてしまい、 クーポンなしでは反応しない 休眠抑止施策が結果的にブランディングに寄与し、 休眠復帰に繋がっていたとしても休眠抑止チームの目標には反映されない 新規会員数 6ヶ月アクティブ率 休眠復帰数(率) よくある 評価設定 課題 解決するた めの 評価設定 チーム間で重なる評価基準を埋め込む
  11. 21 人材育成で必要な仕組みが整備されていないと業務も停滞する テンプレート化 業務フロー図の 作成 管理しきれなくなる前に 運用ルールと 共に作成しておく 業務の進め方を 均質化でき、

    ボトルネックも把握 しやすくなる 勉強会 チーミングや興味喚起を 目的にすべきで、 勉強会だけではスキル や運用改善効果が薄い 認定資格 (認定制度) “アウトプット ”の チェックポイント として重要 データ定義書の作成 属人化しやすく 担当者退職の影響が 非常に大きいので 確実に必要 どう設定すべき? 誰にどう依頼する? 新しい機能は? どう応用する? どんなデータが 使える? 運用ルールの 作成 必要最小限に留める • 命名規約 • アセットの管理方法 • チェックリスト どう管理する? 停滞する 原因 必要な 仕組み
  12. 22 “作業手順書 ”な運用マニュアルの作成はおすすめしない • システムのUIは変わるので、陳腐化する • 作業者もやっていて面白くないのでやらなくなる • 命名規約 •

    アセットの管理方法 • リリース前のチェックリスト 本当にまとめておくべき内容か AIチャットに任せることができる内容かを切り分ける それ以外はPerplexityのような引用元がわかる AIチャットツールに任せる よくある 課題 対応方針 まとめておくべき内容例 判断のポイントは、 「自社固有の内容かどうか」 運用マニュアルも自社固有だが、 チェックリストで充分 なケースが多い
  13. 24 業務フロー例 事業担当者 データエンジニア デザイナー プロダクトマネージャー CRM担当者 アプリ・Web開発者 企画 実施判断と

    優先順位付け データ準備 SDK追加実装 クリエイティブ作 成 Braze実装 クリエイティブレ ビュー 設定の ダブルチェック 配信 Braze内分析 Braze外分析 バックエンド開発者 API実装 結果報告会 企画 準備 実装 テスト・ レビュー 配信 分析 共有 各部門への 作業依頼 業務フローは ”人”、”組織”、”ツール”が変わるたびに都度見直す 実態に合った業務フローとすることで「業務」として意識され、人や組織 が回り出す 要件定義支援
  14. 25 人材採用 - 採用で命運は大きく分かれる 管理者に求められるスキル 運用担当者に求められるスキル • 事業目標やマーケティング目標を理解し、 CRM戦略に落とし込める。 •

    KGI/KPIを適切に設定し、進捗を管理できる。 • 顧客フェーズ設計やカスタマージャーニー(顧客が商品やサービスを認知 し、購入・利用、ファンになるまでのプロセス)を設計し、各段階に合わせた コミュニケーションプランを考えられる。 • 顧客体験(CX)の向上を常に意識し、施策に反映できる。 • ペルソナ(典型的な顧客像)を具体的に描き、共感に基づいたコミュニケー ションを設計できる。 • 顧客に対して、適切なタイミングとチャネルで、パーソナライズされた分かり やすく魅力的なメッセージを作成できる。 • 顧客データ(属性、購買履歴、行動履歴など)を分析し、顧客のニーズ、課 題、インサイト(本質的な欲求)を抽出できる。 • 分析結果に基づき、効果的な施策を立案するための仮説を構築できる。 • A/Bテストなどを活用し、施策の効果測定を行い、データに基づいて改善を 続けられる。 • 複数の施策やタスクを計画的に実行し、期日通りに進捗管理できる。 • 関係者を巻き込み、プロジェクトを推進できる。 • 社内の関連部署(営業、カスタマーサポート、開発、データ分析チームなど) と円滑に連携し、協力して施策を進められる。 • 分析結果や施策の意図・成果を、経営層や他部署に分かりやすく説明・報 告できる。 • 利用しているシステムの機能を深く理解し、効果的に使いこなせる。 • データ連携、セグメント作成、シナリオ設計、自動化設定などをスムーズに 行える。 • レポート機能を活用し、必要なデータを抽出・可視化できる。 マーケティング戦略立案 プロジェクトマネジメント コミュニケーション 顧客理解と共感力(顧客中心主義) データ分析力(仮説構築・検証能力) システム活用
  15. 26 担当者の採用で特にクリティカルな要件と見極め方 顧客理解と共感力(顧客中心主義) データ分析力(仮説構築・検証能力) システム活用 施策案を自ら検討できるか SQLやコーディングにアレルギーはないか (高度化、自動化にはいずれ必要になる) 積極的に新しい効果的・ 効率的な利用ができるか

    業務遂行上クリティカル (どんなツールを使うか以前の問題) 見極め方 “プレゼン面接”を採用し、 施策案を提示してもらう SQLによる簡単なデータ分析課題を 提出してもらう (面接内でリアルタイムである必要はない) 面接のなかで、 これまでの経験で”自ら”が提案・推進した 取り組みや新しい使い方があるかを質問する
  16. ①PDCAを小さく 回して、効果検証 ②効果を持って、 社内を巻き込む ③リソースを確保し、標準 化・自動化 ④標準化・自動化に よる成果刈り取り 29 採用枠がない・人を増やせない

    ときに考えるべきこと • 原則、定期的な成果確認のみで 良い • 効果が落ちるなどの予兆には、 施策の見直しなどで対応 • 施策の効果からビジネスインパ クトを算出 • 数字を持って、必要なリソースを 調達 • 属人運用をやめ、施策の PDCA を標準化 • データ連携や施策を自動化し、 手離れを良くする まずは、裁量ある範囲でトライする。創出した成果で社内を巻き込み、施策の仕組み化へ。 • PDCAを高頻度かつ高回転さ せ、勝ちパターンを見つける • 入念な計画より100のトライ
  17. • メール • Web内のポップアップメッセージ • Web内のパーソナライズバナー • LINE • Google広告

    31 施策検討には AIチャットツール 扱っている商品 現状課題や 達成したいこと 利用できるチャネル 前提条件や制約条件 × × × 心地よさと肌への優しさを追求した製品を展開しており、以下のような特徴を持っています。 1. 自然由来成分へのこだわり : 植物由来のエキスやオイルを豊富に配合しているのが特徴です。肌に潤いを与えたり、整えたりすること を目的とした成分が多く使われています。 2. 心地よい使用感と香り : 製品には、柑橘系などの天然精油をブレンドした独自の香りが ⋮ 現状課題 お客様から頂く以下のような意見への対策をしたいです。 • 化粧水と乳液の通常購入価格が 1万円を超えるため高い • 肌質に改善が見られず、セラムの質に物足りなさを感じる • 広告が多い 改善したい効果指標 • F2転換 • 定期便からのクロスセル金額 • カスタマーエンゲージメントツールとして Brazeを利用しています。 • 商品自体の改善や、商品価格を下げるという選択肢は除外してください。 • 私たちはモバイルアプリを提供していないため、アプリを活用した施策は除外してください。 インプットすべき観点 インプット例
  18. キャンペーン名 ターゲットセグメント 目的 チャネル 主要メッセージ /コンテンツ オファー Braze実装 F2転換促進ウェルカ ムジャーニー

    価格重視・初回購入者 (PS-F1) F2転換率向上 メール, LINE, Web ポップアップ 購入感謝、ブランド紹介、使用法ガイド、価値再確 認コンテンツ、利用者の声 2回目購入限定 送料無料 + 人 気製品サンプル Canvasジャーニー (購入トリガー)、パーソナライズ メール/LINE (Liquid)、到着後ポップアップ (使用法ヒ ント) 定期顧客向けセラムク ロスセル エンゲージメントの高い 定期顧客 (ES) (セラム未 購入) クロスセル金額 増加 メール, LINE, Webバ ナー (マイページ) 「いつものケアを格上げしませんか?」、セラムの メリット(特に既存製品との相乗効果)、定期顧客 限定案内 定期便へのセラム追加で初回 割引 or 関連ミニGWP セグメント (定期 & セラム未購入 )、パーソナライズ メール/LINE、マイページ内パーソナライズバナー (Content Card) セラム信頼構築プログ ラム セラム懐疑層 (SS) セラム満足度向 上、再購入/継続 利用促進 メール, Webポップアッ プ (特定ページ閲覧時 ) セラムの正しい使用法チュートリアル、成分解説 (効果と安全性)、利用者の声(感覚的満足度含 む)、期待値コントロール 最適な使用法ガイド、次回購入 時に関連製品サンプル提供 セグメント (SS)、ターゲットメール配信 (教育コンテン ツ)、Webポップアップ (関連FAQページ閲覧時など ) 高ポテンシャル層向け 定期便移行促進 高ポテンシャル非定期顧 客 (HPNS) 定期便加入率向 上 メール, Webバナー 定期便のメリット(価格、利便性、限定特典)、お客 様の声、簡単な申し込みプロセス 定期便初回割引 + 限定GWP セグメント (HPNS)、ターゲットメールキャンペーン、ロ グイン後パーソナライズバナー 32 前ページのプロンプトを⼊⼒した場合の実際の出⼒例 (表のみ抜粋) モデル: Deep Research with 2.5 Pro セグメント名 主な特徴(行動・購買) 主要な課題・懸念 マーケティング目標 Braze識別子(例) 価格重視・初回購入者 (PS-F1) 初回購入のみ(低価格品 /セット傾向)、低エ ンゲージメント 価格が高いと感じている、価値未実感 F2転換 total_purchases = 1, last_purchase_date > X days, 低エンゲージメントスコア エンゲージメントの高い定期顧客 (ES) 定期便利用中、高 LTV傾向、高エンゲージメ ント LTV最大化の機会 クロスセル金額増加 定期便ステータス =有効, total_revenue > Y, 高エン ゲージメントスコア セラム懐疑層 (SS) セラム購入歴あり、再購入なし、関連コンテン ツへの反応薄 セラムの効果を実感できない 効果理解促進、再購入 /クロスセル セラム商品ID購入済, last_serum_purchase_date > Z days, 低セラム関連エンゲージメント 高ポテンシャル非定期顧客 (HPNS) 複数回購入(F2+)、高AOV、定期便未加入 定期便への移行機会 定期便加入促進 total_purchases > 1, average_order_value > W, 定 期便ステータス =無効 広告疲弊・低エンゲージメント層 (AFLE) 広告接触頻度高?、全チャネルで低エン ゲージメント 広告への嫌悪感、ブランドへの無関心 ネガティブイメージ払拭、再エン ゲージメント 低エンゲージメントスコア全体 , 広告接触データ(あれ ば) 表:統合キャンペーン施策例 表:主要顧客セグメントのプロファイル
  19. 33 より楽しく施策を検討したいときは 行動経済学・心理学 を取り入れる 認知・関心 購入・利用 継続利用・離反 ハロー効果(権威性) 社会的地位や肩書が判断に影響 類似性効果

    共通なことがあると親しみを感じる アンダードッグ効果 負け犬の状態だと応援したくなる ツァイガルニク効果 未完成なものに興味を惹かれる フィーリング効果 (身体的認知) その場の雰囲気に引っ張られる バーナム効果 誰にでも当てはまることを自分ごとと錯覚 ザイアンス効果 接触すればするほど親近感が得られる カタルシス効果 ストレスや不安などを吐き出すと安心感 カリギュラ効果(心理的リアクタンス) 禁止されるとかえって関心が強くなる スリーパー効果 時間の経過で説得内容の記憶は強くなる 両面提示のバイアス デメリットも訴求すると信頼感が高まる カクテルパーティー効果 自分に興味があるワードには敏感に反応 カテゴライズ効果 特定のカテゴリに関する固定観念で判断 即時的フィードバック 行動の結果をすぐに確認できるとその行動を繰り返す デフォルト効果 あらかじめ設定された選択肢が選ばれやすい 現状維持バイアス 現在の状態を継続しようとする プロスペクト理論 (損失回避 / 後悔回避) 「得」より「損」をすることを嫌う サンクコスト 既に使ったコストが判断に影響 一貫性のバイアス 過去の言動と今後の言動に一貫性を持たせようとする 返報性の原理 他者からの何らかの施しに対して何かを返したくなる フレーミング効果 実態としては同じだが表現する枠組みで印象が変わる コントラスト効果 情報を対比することでより魅力的に見せる 選択のパラドックス 選択肢が多いと選べない 感情ヒューリスティック 感情的な反応(好き嫌いや快不快)に基づいて判断 バンドワゴン効果 「他の人が使っている」や「行列」に良い印象を持つ 現在バイアス 将来価値より現在価値を高く評価 ピグマリオン効果 他者からの期待に応えようとし成果を出す 保有効果 オークションや試着などで保有を想起 メンタルアカウンティング 高額家電と食料品などで金額の感覚が乖離 不確実性理論 抽選結果はすぐに分かるほうが良い カチッサー効果(自動的承諾) 理由がもっともらしいものであれば直感的に判断 目標勾配効果 目標に近づくほど、モチベーションや満足感が高まる アンカリング効果 希望小売や通常価格に引っ張られて判断
  20. 34 行動経済学・心理学を利用したマーケティング施策の検討方法 使ってみたい理論を選ぶ プロンプト例: 私は、ドラッグストアを展開する XXXドラッグの CRMマーケティングを担当しています。 クーポンの利用率を高めて来店や購入を促進させるために、 プロスペクト理論 を使った

    効果的なキャッチコピーのアイディアを考えてください。 AI チャットツールでアイディア出し 損失回避を訴求する 「期間限定!このクーポンを逃すと、〇〇円相当の損です!」 「あと〇名様!お得な割引クーポン、お急ぎください!」 「〇月〇日まで!通常価格より〇〇% OFF。この機会を逃すと損!」 現状維持バイアスを訴求する 「いつものお気に入り商品が、今だけお得に!」 「毎日の〇〇(商品名)が割引でお得に!いつもの習慣をお得に続けましょう」 「定期的に購入されている〇〇(商品名)が今ならクーポン利用で大変お得です。」 限定性を強調する 「〇〇様限定!特別クーポンをご用意しました」 「今週限定!人気商品がお得になるチャンス!」 「数量限定!早い者勝ちの人気商品クーポン!」 による回答 (一部抜粋 )
  21. ユーザに関連する通知のみを受け取った場合 (関連スコア 1 - 5のうち、4 or 5) 2 37 長期的な関係構築には、関連性の高いメッセージのみを送る事が重要

    Meta(Facebookの通知)による実験 ①のグループを基準とした場合... ②のグループが長期的にはリテンションが高くなる [引用] Notifications: why less is more — how Facebook has been increasing both user satisfaction and app usage by sending only a few notifications | by Analytics at Meta | Medium https://medium.com/@AnalyticsAtMeta/notifications-why-less-is-more-how-facebook-has-been-increasing-both-user-satisfaction-and-app-9463f7325e7d 関連する通知をすべて受け取った場合 VS 1
  22. 38 今すぐできる送信数とクリック(開封)数の関係性の分析 直近1ヶ月での1人あたりへのメッセージ送信数 クリック率平均 1人あたりへの送信数が増えるにつれ、 開封率が下がっている場合は、 送り過ぎがエンゲージメントを 低下させているといえる。 1ヶ月で何本の通知までは エンゲージメントを保つことができるかを

    把握できる。 Step1 ユーザー単位で直近1ヶ月のメッセージ送信回数と クリック数を集計し、クリック率を算出 Step2 横軸をメッセージ送信数、縦軸をクリック率平均でグラフ化 ユーザーID 送信数 クリック数 クリック率
  23. 39 業務フロー上”関係者全体”で優先順位付けをするプロセスを設ける 事業担当者 データエンジニア デザイナー プロダクトマネージャー CRM担当者 アプリ・Web開発者 企画 実施判断と

    優先順位付け データ準備 SDK追加実装 クリエイティブ作 成 Braze実装 クリエイティブレ ビュー 設定の ダブルチェック 配信 Braze内分析 Braze外分析 バックエンド開発者 API実装 結果報告会 企画 準備 実装 テスト・ レビュー 配信 分析 共有 各部門への 作業依頼 要件定義支援
  24. 42 何を訴求するためのA/Bテストかを考えて設計すると クリエイティブの幅が広がる 情緒的価値 機能的価値 経済的価値 心理や行動に 直接作用する価値 プロダクト開発によって 生み出される価値

    リターンや トータルコスト低減で 生み出される価値 例 • ポイントプログラム • お友達紹介 • 会員ランク • 長期契約プラン • 他サービスバンドル • キャッシュバック etc 定義 分類 • クリエイティブ • キャッチコピー • セグメント • タイミング • チャネル etc • 製品の機能 • 提供しているサービス 開発チームによる検証や 開発が必要 ビジネス部⾨による ビジネススキーム作りが必要 これらの価値をバランス良く 提供するには組織間連携が必要
  25. 測定可能な指標 44 Push開封率 課金継続率 指標 IAMクリック率 施策をやったことによる効果 を比較 施策を実施する or

    しない 評価タイミング 一定期間後 施策実施1-3日後 Push許諾率 適した検証パターン 施策の内容による効果 を比較 クリエイティブA or クリエイティブB ターゲットA or ターゲットB 送信タイミングA or 送信タイミングB
  26. 45 (参考)比較要素以外の条件は同一 対前月比ではなく、対コントロールグループで比較 対前月比 前月末 当月末 90% 91% • 当月の番組が人気だっただけかもしれない

    • 他サービスに魅力的なコンテンツがなくスイッ チングしなかっただけかもしれない 対コントロール (施策を実施していない) グループ 前月末 当月末 90% 91% 90% 90% 施策を実施したグループ 施策を実施していないグループ 施策実施 施策実施 󰢄 󰢐
  27. 48 選択肢を広く持ち、停滞させない状況を作り出す 自社 同じツールを 使う他社 ソフトウェア会社 コミュニティに参加して、 非公開情報を収集 活用支援担当から 実践知を収集

    実践しながら、 社内のアセットとして整理 そのシステムの 運用支援を行う 企業または個人 Web Google検索や AIチャット 内製化支援と ドキュメント作成を依頼
  28. 49 活用できるリソースをフル活用することでナレッジの好循環が生まれる コミュニティに参加して、 非公開情報を収集 内製化支援と ドキュメント作成を依頼 実践しながら、 社内のアセットとして整理 活用支援担当から 実践知を収集

    SECIモデル 個人が持つ暗黙知を形式知に変換し、組織全体で共有・活用し、 さらなる知識創造を促すためのナレッジマネジメントのフレームワーク 自社だけだと難しいが、 自社に閉じずに考えると実現できる そのシステムの運用支援を行 う企業または個人 ソフトウェア会社 自社 同じツールを使う他社
  29. 50 まずはSECIモデルを一気に実現できちゃう ”AIチャット”を使う プロンプト例: Brazeを使ってアプリ内メッセージを表示したいです。 iOS(開発言語はSwift)とAndroid(開発言語はKotlin)が対象です。 Braze SDKの初期実装は完了していますが、 アプリ内メッセージで GIFを表示させるためにはどのような実装と設置が必要でしょうか?

    SDKに必要な実装と Braze Dashboard上の設定を分けて記載してください。 による回答 (一部抜粋 ) 1. SDKに必要な実装 (iOS Swift / Android Kotlin) 基本的な考え方: 標準テンプレートを使用する場合、 GIF表示のために SDK側に別途特別なコードを追加する必要は ほとんどありません。Braze SDKが提供する標 準的な画像表示機能が GIFアニメーションをサポートしています。 確認事項(追加実装は不要な場合が多い): • Braze SDKの初期化: アプリ起動時に Braze SDKが正しく初期化されていることを確認してください。これが最も重要   ⋮ 2. Braze Dashboard上の設定 Braze Dashboardでアプリ内メッセージを作成・編集する際に、メディアとして GIFファイルをアップロードします。 1. Braze Dashboardにログインします。 2. 「Campaigns」または「Canvases」に移動します。 3. 新しいキャンペーン/Canvasを作成するか、既存のものを編集します。 4. 「Create Message」から「In-App Message」を選択します。 5. 表示させたいアプリ内メッセージのテンプレートを選択します。 ◦ Modal, Fullscreen, Slideup, Bannerなどの標準テンプレートには、メディア(画像または動画)を追加できるセクションが あります。 ◦ Custom HTMLを使用する場合は、自分で画像タグ (<img>) を設置し、画像 URLとしてアップロードした GIFのURLを指 定する必要があります。   ⋮ AIチャット
  30. 52 システムを導入した先に目指すものはやはり自動化 Step1 Step2 Step3 パーソナライズを してみる AIを使ってみる APIやAIを使って 自動化する

    Step4 手動検証 自動化 パーソナライズの探求は永遠と続くものだが、 自動化比率をどれだけ高められるかが費用対効果にも大きく影響する 施策をやってみる
  31. 54 • このようなCanvasを14日ごとに繰り返し実行 • 該当機能が既に利用されている場合は、他のシナリオへ 1000時間 工数削減 55% メッセージ開封率 8%向上

    新機能の利用者数 • Braze内で直接編集せず、スプレッドシートと Catalogで500以 上の機能別コンテンツを管理 • コンテンツブロックというテンプレート機能で差し込み Catalog機能を使って効率的に新機能を訴求
  32. 55 Brazeの機能としてあらゆる業務が AIによってアシストされていく セグメント作成 配信結果に基づき、 価値の高いオーディエンスを自 動的に識別し生成 結果の事前予測 クリエイティブアセット作成 コンテンツ作成

    配信 文脈(業界、ブランド、マーケティ ング目的など) に合わせて、 クリエイティブを調整 エンゲージメントの 目標に基づいて 最適化された施策を 自動的に生成 結果を予測し、 顧客エンゲージメントを 向上させるための修正を提案 メッセージの特性、価値、 関連性に基づいて 優先順位付けを行い、 一貫性のある体験を作成
  33. マーケティング施策による効果を明確にしたい場合の評価手法 判断軸 手段 No Yes No Yes 57 配賦処理などの 細かなロジックを

    作成できる 施策が全く当たらない 顧客が存在しても良い 全期間にわたって施策が当たらないグループ (グローバルコントロールグループ) を作り、そのグループと比較して評価 グローバルコントロールグループ コンバージョン直前(ラストタッチ)の施策が 100%寄与したとして評価 ラストタッチ コンバージョンまでの期間に接触した すべての施策に対して配賦処理をして評価 配賦処理
  34. 58 シンプルな配賦処理の⽅法 配賦処理とは ... 複数の部門や製品に共通して発生した費用(間接費)を、一定の基準に基づいて 各部門や製品に割り当てる会計処理 以下を基準にして配賦する方法がシンプルで良い • 一定期間内に実施している施策のクリック数で評価する ◦

    インプレッションだけでは施策の効果として加味しない • クリック数を基準に配賦する(同じ施策で複数回クリックされた場合もすべてのクリックを 1としてカウント) Aに紐づくクリック総数 をカウント 施策Aに紐づくクリック割合で配賦する 配賦後の⾦額から 実質貢献度を算出する 実質貢献度から 実質アップリフト⾦額を算出する
  35. 組織 業務 AIチャットツール活用で 事例や施策アイディアを壁打ち 最適な施策頻度の分析と 業務フローによる施策優先付け 施策ごとに A/Bテストを実施 組織 それぞれの

    ”成功のポイント ”は他の軸にも影響を与えるようなものばかり 60 組織 組織構成の変更 経営指標直結の目標設定 人材育成 / 採用 / 外部委託 組織 システム 活用できるリソースを把握 自動化 / AI活用 効果測定を仕組み化