Upgrade to Pro
— share decks privately, control downloads, hide ads and more …
Speaker Deck
Features
Speaker Deck
PRO
Sign in
Sign up for free
Search
Search
コミュニティを育てて会社を変える
Search
shimobayashi
June 14, 2022
Technology
10
5.4k
コミュニティを育てて会社を変える
shimobayashi
June 14, 2022
Tweet
Share
More Decks by shimobayashi
See All by shimobayashi
「いい感じにしといて」を支える技術
shimobayashi
1
1.6k
Other Decks in Technology
See All in Technology
Oracle Cloud Infrastructure:2024年9月度サービス・アップデート
oracle4engineer
PRO
0
350
【shownet.conf_】革新と伝統を融合したファシリティ
shownet
PRO
0
240
Pythonを活用したLLMによる構造的データ生成の手法と実践
brainpadpr
3
210
山手線一周のパフォーマンス改善
suzukahr
0
110
k6を活用した再現性・拡張性の高い負荷試験基盤の構築
biwashi
11
2.9k
Perlで始めるeBPF: 自作Loaderの作り方 / Getting started with eBPF in Perl_How to create your own Loader
takehaya
1
150
How CERN serves 1EB of data via FUSE
ennael
PRO
0
15k
XP matsuri 2024 - 銀河英雄伝説に学ぶ
kawaguti
PRO
3
490
LINEヤフー新卒採用 コーディングテスト解説 実装問題編
lycorp_recruit_jp
1
12k
エムスリーマネジメントチーム紹介資料 / Introduction of M3 Management Team
m3_engineering
0
250
CVE alive
ennael
PRO
0
360
【インフラエンジニアbooks】30分でわかる「AWS継続的セキュリティ実践ガイド」
hssh2_bin
2
670
Featured
See All Featured
RailsConf & Balkan Ruby 2019: The Past, Present, and Future of Rails at GitHub
eileencodes
131
32k
The Brand Is Dead. Long Live the Brand.
mthomps
53
38k
Exploring the Power of Turbo Streams & Action Cable | RailsConf2023
kevinliebholz
26
4k
The MySQL Ecosystem @ GitHub 2015
samlambert
250
12k
Docker and Python
trallard
40
3k
Optimising Largest Contentful Paint
csswizardry
31
2.8k
StorybookのUI Testing Handbookを読んだ
zakiyama
26
5.1k
Making the Leap to Tech Lead
cromwellryan
130
8.8k
CSS Pre-Processors: Stylus, Less & Sass
bermonpainter
355
29k
The Power of CSS Pseudo Elements
geoffreycrofte
71
5.3k
The Cult of Friendly URLs
andyhume
76
6k
YesSQL, Process and Tooling at Scale
rocio
167
14k
Transcript
コミュニティを育てて 会社を変える DMM×はてな共催オンラインイベント 「それぞれのアジャイル開発の現場 〜 チームの中から外から 〜」 株式会社はてな id:shimobayashi
• id:shimobayashi • 株式会社はてな所属 • すくすく開発会の二代目オーナー 自己紹介
会社の変え方 について話したい
=開発プロセスに関する 社内コミュニティ
Slackチャンネルから出発し、 会社の開発プロセス改善を 加速することができた
=会社を変えられた これをふりかえってみると
課題の変化に注目し続けていたら Fearless Change的な変化になった
• イノベーター理論にしたがって変革を進める • アイデアを磨きながら広げていく • セグメントに応じて48のパターンを使い分ける Fearless Change
https://kawaguti.hateblo.jp/entry/20140228/1393522489 より引用 序盤 中盤 抵抗 パターン名(パターン番号)
Fearless Changeと照らし合わせて すくすく開発会が なぜ会社を変えられたのか 話したい
Step1: 場をつくる 2017/3 人口: 0→3 中盤 抵抗 序盤
開発プロセスについて 相談する場が無かった😭
Slackでチャンネルをつくった ↑当時のオーナー↑
結果
• 相談、自慢、(ふりかえりの司会といった)支援依頼など会話が散発 的に行われるようになった • =危機感を持っている人が複数人いた 結果
これはFearless Changeでいうと
中核となるエバンジェリスト(1)がいた
Slackが電子フォーラム(10)となった (興味をもつかもしれない人々と定期的な接触ができるようになった)
予備調査(4) (アイデアが組織に合うかの調査) も兼ねていた
小さな成功(2) (小さな成功であってもお祝いすることで、困難な道のりを耐える) でもあった
序盤に適した行動をしていた だからうまく立ち上がった
いきなり 根回し(45) しても(おそらく)うまくいかない
Step2: 加速させる 2019/2 人口: 3→7 中盤 抵抗 序盤
開発プロセスへの 関心が高まっていた🔥 と、支援依頼の増加で気づいた
定例をはじめた ↑当時のオーナー↑
結果
• 会話の頻度や密度が増え、知見の横展開が加速した • 少数派たちの孤独感も軽減された ◦ 開発プロセスに関心があるスタッフはまだ少なかった 結果
これはFearless Changeでいうと
勉強会(25)だった (あるトピックについて継続的に学ぶグループ)
学びや関係強化につながり 後のアクションを起こしやすくなった
• Step1: Slackチャンネルをつくった • Step2: 定例をはじめた • Step3: • Step4:
• Step5: ここまで
ここまでで コアメンバーを集めることができた (そしてこのあたりでオーナーを自分に交代)
Step3: 自立させる 2020/7 人口: 7→9 抵抗 序盤 中盤
ふりかえり支援依頼を さばききれなくなってきた😇 だんだん多くのチームから依頼されるようになった
有志に ふりかえりをチームで行えるよう マニュアル化をお願いした
結果
• ふりかえりをチームで実施できるようになった • =ふりかえり支援依頼が大幅に減少した 結果
これはFearless Changeでいうと
みんなを巻き込む(33)だった
「やってもらう」から 「やるのを助けてもらう」になった =主体がチームに移った
Step4: 関心を集める 2020/7 人口: 9→9 抵抗 序盤 中盤
開発プロセスの 改善速度を高めたい💪 もっと速くしたかった
開発プロセスに関する講義を 繰り返し開催した 応募フォームから一定人数集まったら、 講師役を持ち回りで開催
結果
• 開発プロセスに関心を持つ人が増えた👀 ◦ エンジニアに限らず累計38名のスタッフに受講してもらうことができま した ▪ 全スタッフの約20% ◦ インセプションデッキが以前よりも普及した 結果
• 当初、社内勉強会で募集しただけではあまり集まらなかった • 募集要項を改善してエンジニア以外にも展開したところ、応募者が かなり増えた👆👆 ◦ 講義は1時間だけと明記、フォームから応募するだけで勝手に ブッキングされる形にして、心理的抵抗を下げた • マネージャー陣にも営業して、部下に受講を推薦してもらった
こうして人を集めました
これはFearless Changeでいうと
アーリーマジョリティ(30)パターン (多数派を納得させる)
以前のステップで主体が移っていた ことに加えて ひとつの理想を示したことで 理想と現実のギャップが可視化された 結果、関心が集まった
• Step1: Slackチャンネルをつくった • Step2: 定例をはじめた • Step3: ふりかえりのマニュアルをつくった •
Step4: 開発プロセスの講義を繰り返し行った • Step5: ここまで
序〜中盤に適した 人を増やす動きができていた
そのおかげで 会社に影響を及ぼす準備ができた!
Step5: アプローチを変える 2021/8 人口: 9→14 抵抗 序盤 中盤
参加者が一気に増えた🚀 これまでのやり方でスケールできなくなった一方、 ほとんどの開発チームから誰かしら参加してくれるようになった。 よって、外ではなく内へ向けて働きかけることで 会社の開発プロセスを改善できるようになった! ターニングポイント🚗🚘
これまでの全体会とは別に、 サブグループ会をはじめた
• 5人ごとに3つのサブグループに分割 • コーチ役を中心に交流を通じて、開発プロセスの改善をペーシング • 月3開催 サブグループ会とは
• サブグループ会から ◦ 得られた知見の横展開 ◦ 解決できなかった疑問をエスカレーション • 月1開催 全体会はこうなった
結果
開発プロセス改善が 多くのチームで回っている
会社の開発プロセス改善が加速した
=会社を変えられた
これはFearless Changeでいうと
メンター(37)と (アイデアになじみの無いチームへの導入を助ける)
相談できる同志(39)だった (お互いに励まし合うことで、必要以上に落ち込まないようにする)
多くのチームについて メンターに助けてもらいながら 同志と励まし合えるようになった
だから 会社の開発プロセス改善が 加速💨した!
まとめ
• 課題の変化に注目してきた • Step1: Slackチャンネルをつくった • Step2: 定例をはじめた • Step3:
ふりかえりのマニュアルをつくった • Step4: 開発プロセスの講義を繰り返し行った • Step5: サブグループ会をはじめた • ふりかえってみると、Fearless Changeと整合的だった ◦ おそらく、課題を正しく取り扱ってきたということ ここまで
• イノベーター理論にしたがって変革を進める • アイデアを磨きながら広げていく • セグメントに応じて48のパターンを使い分ける Fearless Change
• 人が増えたから、すくすく開発会を通じて会社を改善できている • 人を増やす動きをセグメントに合わせてできていた ◦ 開発プロセス講義でマジョリティに働きかけたのが大きい • これができていなかったら、会社は変わっていなかった 特に重要だったのは
会社を変えていきたいですよね?
Fearless Changeで ボトムアップに会社を変えられる👊
付録
• Step1: Slackチャンネルをつくった=おそらく数分でエイヤッ • Step2: 定例をはじめた=おそらく数時間でエイヤッ • Step3: ふりかえりのマニュアルをつくった=半年かけてゆっくり •
Step4: 開発プロセスの講義を繰り返し行った=半年かけてゆっくり • Step5: サブグループ会をはじめた=1ヶ月くらい検討してエイヤッ 各施策にかけた期間
• 外部のお墨付き(12) ◦ >新しいアイデアの信憑性を上げるために、外部の情報を組織内 に紹介しよう。 • 外部のお墨付きだからといって受け入れられる文化ではないので、 あまり効果は感じられなかった ◦ Howからスタートすると基本的に蹴られる
◦ WhyからスタートしてHowにつながらないと納得は得られない やってみたけど根付かなかったパターン
• 講義はいくつかやった施策のうちの1つ ◦ 前身となるマニュアルもいくつかあった ◦ マニュアルをつくっただけでは効果は不十分だった • マネージャーが孤軍奮闘するのではなく、メンバーがスキルを身に つけた方が効果的だろうと判断し、講義という形を選択した 開発プロセス講義について補足
• おそらく、新しいアイデアについて意思決定者を納得させられない ◦ 社内での実績も無ければ支持団体もいない • おそらく、メンバーの納得を得ることもできない ◦ 開発プロセスの主役はメンバーなのでこれはまずい 根回し(45)からすると何が良くないの?
• そっちもやってます • たとえば、マネージャー陣にアンケートやヒアリングをした上で、 課題とそれに対するアイディアをまとめて社長に提案する、といっ たことをしました • 他にも、役員と継続的に会話の場を持つなど模索し続けています トップダウンの動きはしなかった?