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ソニーにおけるプロダクトマネジメント スマホアプリ事例紹介

ソニーにおけるプロダクトマネジメント スマホアプリ事例紹介

「吉羽龍太郎さんとソニーが語るプロダクトマネジメント」 イベントの資料です。

イベント概要
https://sony.connpass.com/event/319013/

動画
https://www.youtube.com/live/Y7gFsorBO6c

Shinya Masunaga

June 03, 2024
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Transcript

  1. 2 自己紹介 桝永 慎哉(ますなが しんや) ソニー株式会社 技術センター クラウドサービス・アプリケーション技術部門 Head of

    Cloud Center of Excellence 現所属では、クラウド・データ領域のエンジニアリングマネージャをしています。 複数の事業カテゴリをまたがる共通クラウドサービスやインフラ基盤の構築、データ分析に加え、 TV, Audio 領域向けのサービス/スマホアプリのプロダクトマネジメントも担当しています。 過去に開発・担当したプロダクト、サービス BRAVIA (TV), Blu-ray Recorder, Blu-ray Player, PlayStation, Video & TV SideView, Headphones Connect, BRAVIA Connect などなど…
  2. 3 今日のおはなし ⚫ ソニーって? ⚫ Sony | BRAVIA Connect 事例紹介

    – BRAVIA Connect におけるプロダクトマネジメントの特長 1. 顧客が多種多様 2. ステークホルダーが多い 3. ソフトとハードが密連携 – 課題 ⚫ まとめ
  3. 4

  4. 5

  5. 7 Sony | BRAVIA Connect ソニー製ホームシアター機器を かんたんに使えるスマホアプリ 機器操作 マニュアルフリー セットアップ

    テクニカル サポート https://electronics.sony.com/bravia-connect-app 4.3 /5.0 4.5 /5.0 ※ 数字は WW でのレーティング値です
  6. 8 BRAVIA Connect におけるプロダクトマネジメントの特長 1. 顧客は多種多様 • WW 対応、多くの対象機器、かつリビングにあって家族で使うデバイス •

    顧客価値も多種多様 2. ステークホルダー多い • 対応製品が多く、それぞれの規模も大きい • 提供したい機能・要件も多くなりがち 3. ソフトとハードが密連携 • 異なるプロセス、開発チームで並行開発を進め、ほぼ同時期にリリース 製品・サービスを超えた連携のしくみづくりはプロダクトマネージャのしごと
  7. 10 多種多様な顧客にどんな価値を提供するか? ⚫ 背景・課題 – 多機能、IoT 化、機器連携で機能や操作がどんどん複雑になっている – そのままでは使われない機能、届けられない価値が出てきている –

    その価値をユーザに届けきることが このアプリのタッチポイントとしての課題 ⚫ コンセプトは 「かんたん」 – 課題達成のために最重視すべき わかりやすいよりどころ – この合意をシンプルに保つことに注力 ⚫ かんたんは アプローチ/考え方であり、機能ではない – 対応機器が多く、ニーズも変化する中で機能・サービスの見直しは頻繁に起こる – 機能 x かんたん で価値を最大化する 価値提供のためのプラットフォームとして重視すべきシンプルな価値観を共有
  8. 12 多くのステークホルダーがいる中で、意思決定をどう進めるか? ⚫ 権限委譲! – 「責任者」 は事業のトップになりがちだが、判断をそこに集約しない – 責務を適任者に分散させ、判定・承認プロセスを軽くする •

    判断する人が増えることによってスピードが落ちては意味がない • 責務に人を当てはめるより、人に合わせて責務調整する方が良い場合もある Delegation Poker 委譲する側・される側の間で 権限委譲の度合いを明確にする ワーク • 委譲する・しないの2値ではなく、 細かい度合いが定義できる • お互いの認識を伝えあった上で議 論できる あなた 権限を委譲 彼/彼女ら Delegation Poker & Delegation Board - Management 3.0 Practice (management30.com) 委譲の度合い 高い 低い
  9. 13 Delegation Poker の留意点 5. advise/助言する あなたは自分の意見を皆に伝え、彼らが受け 止めてくれることを望む。しかし、それはあなた ではなく彼らが決定することだ 6.

    inquire/尋ねる あなたはまず、決定を皆に委ねる。その後、彼 らの結論で自分を納得させてもらうようお願い する 7. delegate/任せる あなたは皆に決定を委ねる。また、自分の頭 を悩ませるだけの細かいことは知ろうともしない 「何を」 「どのレベルまで」 の認識を具体例で合わせ、既存プロセスに組み込む 何を どのレベルまで 可能な限り権限を適任者に委譲してもらうことが目的なので、 意志をもって具体的にこうしたいと伝える 双方意見交換をしながら 検討し、決定は XXX が 行う。その結果を XXX の 場で Owner へ説明し承 認を得る 検討・決定は全て XXX が行いその結果を XXX の場で Owner へ説明し 承認を得る 例 検討・決定は全て XXX が行う。その結果の説 明・承認の場は設けない Delegation Poker の定義 ヨーガン・アペロ/寳田 雅文 (2022) Managing for Happiness 現状業務を例に具体的に記載 抜け漏れで問題が出たら適宜認識合わせして補完 例) • 提供価値(コンセプト、ターゲットユーザ)の決定 • 提供価値(シナリオ)の決定 • アプリ全体の UI の情報構造の決定 • 全体デザインポリシーの決定 • 各機能の画面デザイン・イラストの決定 • 各機能の文言の決定
  10. 16 ソフトとハードの開発プロセス・スケジュールの違いにどう対処するか? 発売 RC FF GM 機器 情報 公開 アプリ

    公開 GM リリース 機器の全機能評価ができるもの アプリ UI 上で操作や確認ができる 設計間である程度の評価も終わっている リリース アプリ単体案件、デザイン・文言含めた すべての要件の対応が完了したもの 主要な接点とそのクライテリアを事前合意し、別プロセスのまま並行開発する この辺のスプリントは不具合修正 などはあるものの、基本、次のリ リースに向けた開発がメイン ・ ・ ・ ・ ウォーターフォール アジャイル/スクラム
  11. 17 ソフトとハードの開発プロセス・スケジュールの違いにどう対処するか? 発売 FF GM 機器 A ウォーターフォール アプリ ver.

    X アジャイル/スクラム リリース リリース 発売 FF GM 機器 B 発売 FF GM 機器 C アプリ ver. Y 公開 リリース 公開 リリース リリース ・ ・ ・ ・ 実際には 機器とアプリの組み合わせは n : n になる……!
  12. 18 ソフトとハードの開発プロセス・スケジュールの違いにどう対処するか? 発売 FF GM 機器 A ウォーターフォール アプリ ver.

    X アジャイル/スクラム リリース リリース 接点/既存関係は最小に、確認/コミュニケーションは密に 発売 FF GM 機器 B 発売 FF GM 機器 C アプリ ver. Y 公開 リリース 公開 リリース リリース ・ ・ ・ ・ • 機器の capability や属性の違いはプロトコルレイヤに逃がす • 定期的なスプリントレビューやユーザビリティ確認会は機器とアプリ合同で実施する
  13. 19 提供した機能とその反応 かんたんセットアップ ユーザが持っている機器ごとに個別のグ ラフィック、アニメーションで迷わず確実 にセットアップができるガイドを提供 コンセプトはある程度届いている模様。アプリ利用前の 「かんたん」 も要考慮 顧客からのフィードバック

    「かんたんに〇〇できた」 とのフィードバックを多数いただいた一方 アプリインストールまでの導線や機能の少なさに不満の声あり Good セットアップがかんたん スマホから機器が操作できる 再生フォーマットがかんたんにわかる サインインなしで使える オプションスピーカーの追加がかんたんにできる Bad アプリインストールの導線がわかりにくい アプリでできることが少ない 他のアプリとの連携ができない リリース後 3 ヶ月の断面での主なオンラインストアレビューコメントから
  14. 20 課題 ⚫ そうは言っても、プロセス・スケジュールの合わせこみは大変 – ですよね – 毎回開発チームが多大な労力を費やしている – 機能を寄せるとか、更なる移譲なども進めているが、道のり長い

    • エッジとクラウドの適した責務分担に唯一の解はない ⚫ 要件の絞り込みと改善 – 改善より新規機能に目が行きがち。やりたいことは常に増える • 機能が増えるとリソースを圧迫するし かんたんさが損なわれる可能性もある – サービスにも新陳代謝が必要。一度始めたものをどうやめるか最初から考えておく • 最初から全て用意しておくという話ではなく、Two way door にしておくという話
  15. 21 サービス・機能に関する基本的な集中・選択の考え方 顧客価値 (機能によって基準は異なる) 運用コスト この領域の サービスは 終了を検討する この領域の サービスは継続

    この領域の コストを下げる改善は 運用チームが主導する この領域の 顧客価値を上げる改善は 機能開発チームが主導する やめない やめる 継続改善! どこを目指していて 今どこにいるのか?必要なアクションを可視化する
  16. 22 まとめ 1. 顧客が多種多様 → シンプルなよりどころ 2. ステークホルダーが多い → 権限委譲による軽量化

    3. ソフトとハードが密連携 → 違いを受け入れ接点を絞る ソフトとハードの融合で実現する 最高の体験を届けたい 同じような課題・悩みをお持ちの方、意見交換など大歓迎です! [email protected] 施策としては当たり前のことだが、実際どうやるか?に汎用の解はなく 小さな改善の積み重ねによる漸進が必要 BRAVIA Connect
  17. SONY is a registered trademark of Sony Group Corporation. Names

    of Sony products and services are the registered trademarks and/or trademarks of Sony Group Corporation or its Group companies. Other company names and product names are registered trademarks and/or trademarks of the respective companies.