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20180721 コンパートメントモデル解析講演 / 20180721 compartment model lecture

20180721 コンパートメントモデル解析講演 / 20180721 compartment model lecture

2018/07/21に行われた秋田県核医学技術研修会にてコンパートメントモデル解析について講演させて頂いた際のスライド+補足です.
なお,当日1時間の持ち時間を頂いたのに,30分で講演を終わらせてしまったことをこの場を借りて改めて謝罪いたします.関係者の皆様,申し訳ございませんでした.

以下,スライドに対する補足です.

p7: ネットとかで調べるといろいろな定義がございますが,今回の講演で対象としているモデル解析についてはこの定義で間違いないと思います.
p8, 9: モデル解析の一例としてある機能について年齢による変化を調べたという想定でデータをシミュレーションしました.データに対してモデルを仮定して解析する流れを掴んで頂ければ幸いです.
p11: 核医学検査の場合はPET, SPECTで測定した放射能濃度の時間変化から脳血流などの生体機能を得ることがモデル解析の目的になります.
p12 - 14: 一例としてあるトレーサーを想定して放射能時間変化(time-activity curve, TAC)をシミュレーションしました.
p15 - 22: 初めてコンパートメントモデル解析をした人がこう考えたかは定かではないですが,薬物の動態に基づいて仮定(モデル)を立てて解析するという流れをここでも掴んでもられば幸いです.
p23: 核医学界隈でよく見かけるコンパートメントモデルとしてはこの4つが挙げられます.
p25: 均一に分布というのが結構大事な仮定です.厳密には均一でなければそれぞれ別のコンパートメントを仮定する必要がでてきます.ただ実際には後述するように実用上の理由でまとめることもあります.
p29: 組織中で何かしらの化学反応により変化してしまって,それが蓄積するという場合です.例えばグルコースの場合は組織でリン酸化が起こり,FDGの場合もそれが起きるのですが,前者が組織から洗い出されるのに対して,後者のリン酸化されたFDGは(少なくともPETを撮像する時間の間は)組織から洗い出されず,集積します.そのような集積する動態を反映したモデルが2-tissue-3-parameter compartment modelになります.
p30, 31: 123I-FP-CITなどの受容体やトランスポータに結合するようなトレーサーの場合は3-tissue-6-parameters modelが仮定できますが,実用上はパラメータが多すぎて安定した計算ができないため,組織中のfreeなトレーサーと非特異的結合をしたトレーサーとでコンパートメントをまとめて,2-tissue-4-parameters modelを使って解析を行います(これも安定しないことが多いのですが).
p32: 私がPiB PETのデータを解析した時の値を使って,各モデルでTACをシミュレーションしてみました.モデルによって動態,TACが大きく異なることを掴んで頂ければ幸いです.
p33 - 36: 核医学におけるコンパートメントモデルは基本的に血液と組織とのトレーサーの移動をモデリングすることになります.従って組織の放射能だけ使えばいいわけではなく,血中の放射能も本来必要になります.このことが後で述べるARG法で一点採血をしたり,Patlak法で大動脈弓のROIを取る理由になります.
p40: ARG法ではSPECT値と局所脳血流量のlook-up tableを予め作成しますが,look-up tableの計算のベースとなっているのが1-tissue compartment modelになります.
p42: ECDやHMPAOで使われるPatlak法は2-tissue-3-parameters modelが仮定できるような蓄積型のトレーサーを仮定しております.そのような仮定をおいて数式をいじくるとスライドの右にあるような線形関係が得られる式が導出できます.その導出過程など詳細は各文献をご参照ください.
p43: トレーサーの動態を考えないで適当な解析をしてしまうとどうなるかを示したスライドになります.スライドにあるように拡散型の動態を示すIMPに対して蓄積型を想定したPatlak法を使うと線形の関係が得られず,正しい解析ができません.
p45 - 48: DaT SPECTでコンパートメントモデル解析を実際にすることはないですが,SBRなどの定量的指標の計算にはFP-CITの動態に基づいたコンパートメントモデルが背景にあることを理解頂ければ幸いです.
p48: 実際のSBRの計算式にはROIの容積の比を考慮した項が入っていたりしますが,大まかにはこういう考え方だろうということでご理解ください.
p51: コンパートメントモデルは核医学検査の基盤技術として重要な技術です.コンパートメントモデルは普段の診療で意識して使うことはないのですが,たまにコンパートメントモデルのことも思い返して頂ければ日々の診療に対する理解も深まるかと思います.今回の講演がその一助を担えれば幸いです.
p54 - 58: DaT SPECT検査では関心領域と参照領域との比をDVRとして計算することもあるので,それに関する解説です.
p57: この説明は賛否両論ありそうですが,ざっくりした説明としてはこれでいいと思っています.放射能濃度が変化しなくなるくらい十分に時間が経過しないと平衡には達しないため,十分な撮像時間を設けないと平衡を捉えることは難しいです.
p58: DaT SPECTでやられている簡易的な計算法における説明です.神経受容体を対象としたPET研究では参照領域を使ったLogan法などで計算されています.
p59 - 61: Patlak法で得られるパラメータの意味について当日質問頂いたので,ここでも補足しておきます.Kiは正味の集積を示すものであり,代謝速度とみなすこともできます.また血流とも線形の関係があるので,HMPAO, ECD SPECTでは脳血流に関するパラメータとして使われています.
p62 - 65: 当日某メーカー様に質問した内容(全身FDG PET検査のPatlak解析で出てくる切片のイメージの意味について)について自分でも考えてみました.式をみると最初のコンパートメントにおける分布容積と血液量との和なので,代謝されていないFDGの分布に関するパラメータといえます.ただ臨床的・生理的な意味はよくわかりません….

Keisuke Matsubara

July 21, 2018
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