Upgrade to Pro
— share decks privately, control downloads, hide ads and more …
Speaker Deck
Features
Speaker Deck
PRO
Sign in
Sign up for free
Search
Search
トレードオフスライダーにおける品質について考えてみた
Search
Suzuki
January 30, 2025
Technology
2.2k
4
Share
Embed
Copy iframe code
Copy JS code
Copy link
Start on current slide
トレードオフスライダーにおける品質について考えてみた
Suzuki
January 30, 2025
More Decks by Suzuki
See All by Suzuki
目標の50記事を達成したわけだが
suzuki_tada
1
230
Other Decks in Technology
See All in Technology
product engineering with qa
nealle
0
140
End-to-Endで考える信頼性 —LINEアプリにおけるクライアント開発×SRE連携の実践
maruloop
2
360
Tech-Verse 2026_Keynote
lycorptech_jp
PRO
0
130
5分でわかる Amazon Connect_20260608
hwangbyeonghun
0
180
依頼文化をやめる日 EM視点で語るPlatform EngineeringとInclusive SRE / Discussing Platform Engineering and Inclusive SRE from an EM's Perspective
shin1988
3
1.8k
5分でわかるDuckDB Quack
chanyou0311
4
310
攻撃者がいなくてもAIエージェントはインシデントを起こす
nomizone
0
200
はてなのサービス基盤を支える Kubernetes《足腰》
masayoshimaezawa
0
440
AI駆動開発におけるQAエンジニアの役割事例 〜AI駆動開発の現場から〜
kobayashiyorimitsu
0
300
Baseline対応のDOMの型定義を作った
uhyo
3
680
「ちゃんとやっている」は独りよがりだった ― 不安に寄り添うインシデント対応へ / Towards incident response that addresses anxieties
chmikata
1
520
金融の未来を考える / Thinking About the Future of Finance
ks91
PRO
0
150
Featured
See All Featured
Responsive Adventures: Dirty Tricks From The Dark Corners of Front-End
smashingmag
254
22k
SEO in 2025: How to Prepare for the Future of Search
ipullrank
3
3.6k
Being A Developer After 40
akosma
91
590k
10 Git Anti Patterns You Should be Aware of
lemiorhan
PRO
659
62k
Rails Girls Zürich Keynote
gr2m
96
14k
How to train your dragon (web standard)
notwaldorf
97
6.7k
[Rails World 2023 - Day 1 Closing Keynote] - The Magic of Rails
eileencodes
38
2.9k
The Pragmatic Product Professional
lauravandoore
37
7.4k
Bash Introduction
62gerente
615
220k
Navigating the Design Leadership Dip - Product Design Week Design Leaders+ Conference 2024
apolaine
1
370
Impact Scores and Hybrid Strategies: The future of link building
tamaranovitovic
0
330
The Invisible Side of Design
smashingmag
301
52k
Transcript
2025.01.30 初心者歓迎!クラフトビールを楽しむLT会!登壇資料 トレードオフスライダーにおける 品質について考えてみた
Agenda 1. 自己紹介 2. 会社紹介 3. 本題 4. まとめ
3 4 9 24 2
3 Profile 鈴木 Suzuki 自己紹介 2009年よりSIerにて要件定義から運用保守まで幅広く従事。2018年からは某SIer上場企業にてプロジェク トマネージャーとして複数案件をこなした。その後、自社サービスの開発マネージャー兼テックリード として開発に携わった。並行して社内のスクラム開発導入推進に携わり、自らも認定スクラムマスター (CSM)を取得し、いくつかのプロジェクトにてスクラムマスターやプロダクトオーナー、スクラム開発 における開発者として従事。
現在はEM, プロジェクトマネージャー, プリセールス と幅広い領域で業務を遂行しています。
4 所属会社の紹介 ⇒割愛
5 本 題
6 トレードオフスライダー 知ってますか?
7 引用元|https://github.com/agile-samurai-ja/support/tree/master/blank-inception-deck プロジェクトの成功は QCDSのバランスが鍵
8 引用元|https://github.com/agile-samurai-ja/support/tree/master/blank-inception-deck プロジェクトの成功は QCDSのバランスが鍵
9 品質とは? 少ない欠陥、、、あっバグの数ね! では、当然優先度は最大ですね。 バグとか当然ゼロですよね いやでもテスト量かも、、 決済周り以外はある程度は許容とかそういうのかな? いやいや品質というより全部そもそも MAXじゃね? 優先度とかいいから全部やるんだよ!
ひえっ
10 • 優先度を決めるときに品質とは何かが定義されていない • 優先度を上げるとどうなって、下げるとどうなるか説明できない 課題
11 品質は多面的である
12 ISO/IEC 25010における 8つの品質特性 • 機能適合性(Functional Suitability)・・・・機能が意図した通りに動くか • 性能効率性(Performance Efficiency)・・・要求されたパフォーマンスを発揮できるか
• 互換性(Compatibility) ・・・・・・・・・他のシステムやプラットフォームと適切に連携できるか • 使用性(Usability) ・・・・・・・・・・・ユーザーが簡単に理解・操作できるか • 信頼性(Reliability)・・・・・・・・・・・システムが安定して動作し続けるか • セキュリティ(Security) ・・・・・・・・ 適切に保護され、攻撃や不正アクセスを防げるか • 保守性(Maintainability)・・・・・・・・・ システムの修正・変更が容易か • 移植性(Portability)・・・・・・・・・・・異なる環境に適応しやすいか 「品質にはいろんな特性があり、それを すべて満たすのはコスト的に厳しい」 「だからこそ、トレードオフが必要」
13 品質保証(QA)のプロセス
14 品質保証 (Quality Assurance)の実施内容 • ユニットテスト・結合テスト( JUnit, PyTest, Jest など)
• 仕様書・要件定義の厳格なレビュー • エンドユーザーテスト( UAT) • 負荷テスト(Load Testing)(JMeter, Gatling) • パフォーマンス監視( APM導入)(New Relic, Datadog) • キャッシュ・DB最適化のガイドライン策定 • クロスブラウザ・クロスデバイステスト • APIテスト(Postman, Newman, RestAssured) • 異なるOS/環境での互換性テスト • ヒューリスティック評価( UXデザイン原則に基づくチェック) • ユーザビリティテスト( A/Bテスト, ユーザーテスト) • アクセシビリティチェック( WCAG基準に準拠) • 耐障害性テスト(Chaos Engineering, フェイルオーバー検証) • SLA/SLOに基づく監視とアラート • セキュリティログ監視( SIEM導入) • コードレビュー(PRチェック, SonarQube静的解析) • リファクタリングのルール策定 • CI/CD導入でリリース負担を軽減 • コンテナ化(Docker, Kubernetes)で環境依存を削減 • Infrastructure as Code(Terraform, Ansible) • 環境別設定の標準化( Feature Toggle, 環境変数管理) • 障害復旧訓練(Disaster Recovery Test) • 脆弱性診断(Penetration Testing, OWASP ZAP) • 認証・認可のテスト( OAuth, JWT, SAML)
15 Kano モデル
16 Kano モデル Kanoモデルは、製品やサービスの品質を「顧客満足度」と「品質特性」の関係で分類する手法です。品質を5つ(当たりまえ品質、一元的品質、魅力的品質、無関 心品質、逆品質)に分け、特性ごとの満足度への影響を分析します。顧客の期待に応じた品質向上や優先順位の判断に役立ちます。 当たりまえ品質( Must-be Quality) • ユーザーが「当然満たされているべき」と期待している基本的な品質。
• 例: 家電製品が動作すること、システムがエラーなく動くこと。 • 満たさないと不満が発生するが、満たしても特に満足度が上がるわけではない。 一元的品質( One-dimensional Quality) • あればあるほど満足度が高まり、不足すると不満が発生する品質。 • 例: スマートフォンのバッテリー寿命や処理速度。 • 品質の向上が顧客満足度の向上に直結する。 魅力的品質( Attractive Quality) • あれば顧客を驚かせ満足度が上がるが、なくても不満にはならない品質。 • 例: サービスの予想外の便利機能やデザインの美しさ。 • ユーザーの期待を超える品質要素。 無関心品質( Indifferent Quality) • あってもなくても顧客満足度にほとんど影響を与えない品質。 • 例: あまり使われない機能や目立たない仕様。 • 労力をかける優先度が低い品質要素。 逆品質( Reverse Quality) • あればかえって不満が発生し、ない方が満足度が高まる品質。 • 例: 過剰な通知機能や使いにくい自動操作機能。 • 顧客のニーズや期待に反している要素。
17 当たりまえ品質( Must-be Quality) • ユーザーが「当然満たされているべき」と期待している基本的な品質。 • 例: 家電製品が動作すること、システムがエラーなく動くこと。 •
満たさないと不満が発生するが、満たしても特に満足度が上がるわけではない。 守りたい・・・ なんかバグと か品質を阻害 する何か
18 品質の優先度を下げるということ 彼らに犠牲になってもらうということ 魅力的品 質 一元的品質
19 当たりまえ品質を 犠牲にしないということが前提条件
20 Kanoモデルと品質保証の関係性(例) • 「当たり前品質」 = 必ずQAを保証(最低限のテスト・動作保証が必須) • 「一元的品質」 = QAを強化すると満足度が向上(負荷テスト、
CI/CD、UX最適化など) • 「魅力的品質」 = 高度なQAは投資対象(AIテスト、UX最適化、自動化テストの強化) 「品質はすべてが同じ重要度ではなく、 Kanoモデル で分類」 「例えば、当たり前品質 は『なければならないもの』、一元的品質 は『あると満足度が上がる』もの。」 「これをQAと結びつけると、 品質の優先度を決める= QAのレベル を決める ということになる。」
21 品質特性ごとにどこまで品質保証するかの例 品質特性 (ISO 25010) 当たりまえ品質 (Must-be) 一元的品質 (One-dimensional) 魅力的品質
(Attractive) 機能適合性 (Functional Suitability) 100%の機能正確性保証(全ユニットテスト、主 要機能の結合テスト実施) 高品質保証(結合テスト、E2Eテスト、自動テス トカバレッジ 80%以上) 最適化の追求(AIを活用したテスト自動生 成、高度なテスト分析) 性能効率性 (Performance Efficiency) 最低限のパフォーマンス確保(基本的な負荷テ ストのみ実施) パフォーマンス最適化(詳細な負荷テスト、 キャッシュ最適化) 超高パフォーマンス保証(スケーリングの自 動最適化、負荷分散の最適化) 互換性 (Compatibility) 主要環境での動作保証(特定のOS、ブラウザ のみサポート) 幅広い環境対応(複数OS・ブラウザでの互換 性テスト実施) 完全なプラットフォーム互換(すべてのデバ イスで動作保証) 使用性 (Usability) 最低限のUI/UX基準(基本操作の一貫性を保 つ) UI/UXの強化(ユーザビリティテスト、デザイン ガイドライン準拠) ユーザーエクスペリエンス最適化(A/Bテス ト、自動UIパーソナライズ) 信頼性 (Reliability) 99.9%の可用性保証(基本的なフェイルオー バー対応) 99.99%の可用性保証(マルチリージョン冗長 化) 完全障害耐性(自動復旧、障害予測、ゼロ ダウンタイム設計) セキュリティ (Security) 基本的なセキュリティ基準準拠(認証・暗号化 実装、簡単な脆弱性診断) 高度なセキュリティ対策(定期的な脆弱性診 断、権限管理の強化) AIによるリアルタイム脆弱性監視(ゼロトラス トアーキテクチャ) 保守性 (Maintainability) 基本的なコードレビュー実施(リグレッションテ スト最低限) 継続的デリバリー(CI/CD強化、テスト自動化、 コード品質指標を管理) 自動コード修正、AIリファクタリング(コード品 質保証を完全自動化) 移植性 (Portability) 特定環境向け最適化(オンプレ/クラウドのどち らかを前提) マルチプラットフォーム対応(複数クラウド環境 に適応できる設計) 完全な環境ポータビリティ(どのクラウド環境 でも動作可能なシステム設計) ※プロダクトフェーズが PoCなのか MVPなのか PMFなのかで当たりまえ品質は変わる
22 引用元|https://github.com/agile-samurai-ja/support/tree/master/blank-inception-deck トレードオフスライダーで決めるのはの QAレベル ⇒品質の優先度を上げる= QAプロセスの強化 ⇒品質の優先度を下げる= QAの最適化(優先度を決めて実施) 当たりまえ品質を守ったうえで、 一元的品質や魅力的品質のバランスを予算や時間
(納期)と調整
23 引用元|https://github.com/agile-samurai-ja/support/tree/master/blank-inception-deck そもそも品質を品質特 性にブレイクダウンする のもあり
24 まとめ
25 まとめ トレードオフスライダーで決めるのは、品質保証( QA)レベル • 品質の優先度を決める = どこまで QAを徹底するか? •
100%の品質保証は不可能、だからこそ「何をどこまで担保するか?」を考える。 Kanoモデルを活用し、品質を分類して QAレベルを決定する • 当たり前品質 → QAの最低保証ライン • 一元的品質 → QAを強化すれば満足度 UP • 魅力的品質 → 高度なQAを導入すると価値 UPだが必須ではない
26 締め • 正直、まだ 「実際に100%適用できていない」 ので、これから試していきたい • でも、この整理をすることで 品質のトレードオフを議論しやすくなる と思っている
• 「すべての品質を100%保証するのは不可能」 → だからこそ どう最適化するか? を考え続ける必要が ある
27 俺たちの戦いはこれからだ
28 Thanks
29 Appendix
30 品質特性+ Kanoモデルの表(一例) 品質特性 (ISO 25010) 当たりまえ品質 (Must-be) 一元的品質 (One-dimensional)
魅力的品質 (Attractive) 機能適合性 (Functional Suitability) 最低限の正確な機能を提供する 機能が正確で便利になる ユーザーの予測を先読みした動作 性能効率性 (Performance Efficiency) 過度な遅延がない(最低限動作する) 高速レスポンスを保証する 0.1秒以内の超高速処理 互換性 (Compatibility) 主要なプラットフォームで動く 他のシステムとの連携が容易 すべての環境で完全互換 使用性 (Usability) 基本的なUI/UXが使いやすい 直感的な操作性 ゲーミフィケーションを活用したUX 信頼性 (Reliability) ダウンしない(最低限の安定性) システム障害に強い 自動復旧機能付き セキュリティ (Security) データ保護が最低限確保されている 厳格なアクセス制御 AIによるリアルタイム脅威検知 保守性 (Maintainability) ソースコードが最低限変更できる リファクタリングしやすい設計 自動コード最適化ツール導入 移植性 (Portability) OS・ブラウザの基本的な対応 クロスプラットフォーム完全対応 どんな環境でもシームレス動作 ※プロダクトフェーズが PoCなのかMVPなのかPMFなのかで当たりまえ品質は変わる