「ソフトウェア開発現代史」シリーズでは、ソフトウェア開発の歴史を振り返り、現在の課題や未来への示唆を探ってきました。本セッションではその一環として、選任QAの昔と今を取り上げます。
かつてソフトウェア開発の現場では、「私(QA) vs あなた(開発)」 という構図が当たり前でした。QAはゲートキーパーとして品質を守り、ときには開発者の背後に立ち作業を監視するような雰囲気すら存在していました。その結果、両者の間にサイロが生まれ、対立や分断が常態化していたのです。
アジャイルやDevOpsの普及により、欧米ではQAと開発が同じチームの中で品質を共に担うアプローチが広がっています。しかし日本では依然としてウォーターフォール型開発が主流で、この「私 vs あなた」の構図が温存されている現場も少なくありません。これは変革を阻む構造的な問題だと考えます。
本セッションでは、ソフトウェア開発の歴史を振り返りながら、なぜ日本でこのサイロ構造が残り続けているのかを整理します。そして、テスト自動化や生成AIが普及し、AIがコードやテストを生み出すことが当たり前になった時代において、人間が品質をどう担保し、QAと開発がどのように協働していくべきかを考察します。
参加者は、QAと開発の「対立」から「共創」への歴史的転換を理解し、さらにAI時代にふさわしい品質保証のあり方を自分たちの現場にどう適用するかを考える視座を持ち帰れるでしょう。