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現実のRuby/Railsアップグレード外伝 ~そして僕はforkした~

現実のRuby/Railsアップグレード外伝 ~そして僕はforkした~

現実のRuby/Railsアップグレード
の中で gemの依存関係問題でアップグレードできないときforkしますって話をしましたが、それについて少しだけ詳しく話します。

Yuichi Takeuchi

November 08, 2024
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Transcript

  1. 問題と解決 問題 • Gemの更新が止まってる • 新しいバージョンで 動かない • 依存関係を解決できない 解決

    • Forkして自分で保守する • 別のgemに置き換える 保守されていないGEM refile globalize
  2. GLOBALIZE • 多言語化用gem • ふつうのActiveRecordのような手触りで 多言語化を実現できる class People < ApplicationRecord

    translates :greeting end people = People.new people.attributes = { greeting: "こんにちは、世界" , locale: :ja } people.attributes = { greeting: "Hello, World", locale: :en } people.save I18n.locale = :ja people.greeting # => "こんにちは、世界" I18n.locale = :en people.greeting # => "Hello, World"
  3. GLOBALIZE • Rails 7.1~ • Passing the class as positional

    argument is deprecated and will be removed in Rails 7.2. “位置引数としてクラスを渡すことは非推奨となり、Rails7.2で削除される予定です”
  4. GLOBALIZE • ActiveRecord Serialization で第二引数としてcoderクラスを渡す書き方が非推奨となった ◦ coder: キーワード引数で渡す • アプリケーションを修正しても、警告が消えない

    • globalize gemに原因があった # Rails 7.0まで class User < ApplicationRecord serialize :preferences, JSON end # Rails 7.1から class User < ApplicationRecord serialize :preferences, coder: JSON end
  5. GLOBALIZE • serialize メソッドをオーバーライドしていた • Rails 7.1用の修正が必要 • 修正があるかgithubを確認する module

    Globalize module AttributeMethods module Serialization def serialize(attr_name, class_name_or_coder = Object, **options) super(attr_name, class_name_or_coder, **options) # これ! # 省略 end end end end ActiveRecord::AttributeMethods::Serialization::ClassMethods .send(:prepend, Globalize::AttributeMethods::Serialization) 翻訳を意識せずに使える のは責務の分離の観点で よさそうだが、その実現の ためバージョン分岐しての モンキーパッチなどで壊れ やすくてつらい
  6. GLOBALIZE • …, but none of the maintainers actively use

    Globalize anymore. “もはやGlobalizeを積極的に使用しているメンテナはいません”
  7. GLOBALIZE • …, but none of the maintainers actively use

    Globalize anymore. “もはやGlobalizeを積極的に使用しているメンテナはいません” • やめたい • やめるのは簡単でなさそう ◦ アプリケーション全体で使われている ◦ 影響箇所がわかりづらい ◦ やめるプロジェクトも進めているが、いますぐは…
  8. GLOBALIZE • 仕方ないのでForkする • 問題のコードをRails 7.1用に修正 ◦ 取り込まれていないが修正PRがあった ◦ 取り込んだ

    • その後7.2でテストを実行するとエラー ◦ 別の問題 ◦ ActiveSupport::Deprecationの シングルトン利用が非推奨化 ◦ 自分で変更 ▪ ActiveSupport::Deprecation.silence ▪ ActiveSupport.deprecator.silence module Globalize module AttributeMethods module Serialization def serialize(attr_name, class_name_or_coder = Object, **options) if options[:coder].blank? if class_name_or_coder == ::JSON || [ :load, :dump ].all? { |x| class_name_or_coder.respond_to?(x) } options = options.merge(coder: class_name_or_coder, type: Object) else options = options.merge(coder: default_column_serializer, type: class_name_or_coder) end end super(attr_name, **options)
  9. REFILE • ファイルアップロード機能を提供するgem • ActiveStorage以前のアップローダーgem • 長らくメンテされていない ◦ 実用的な機能は一通りある ▪

    クラウドストレージ ▪ CDN • ファイルアップロード機能の乗り換えは大変 ◦ たとえば ▪ これまでにアップロードされた資産の扱い ▪ 配信や変換の仕組み
  10. REFILE • Ruby 3.0 のキーワード引数の非互換性で壊れる • 修正方法は呼び出し側にダブルスプレッドをつければいい # 第三引数にハッシュを渡して @template.attachment_field(

    @object_name, method, objectify_options(options) ) # object: と options ハッシュで受け取っている def attachment_field(object_name, method, object:, **options) # こうすれば動く @template.attachment_field( @object_name, method, **objectify_options(options) )
  11. REFILE-S3 • refileのプラグイン • S3バックエンド • Ruby 3.0で壊れる • open-uri

    の変更 ◦ RUby 2.7まで`require 'open-uri'` すると、 `Kernel.open` を拡張していたが、3.0ではなくなった • Refile同様放置 • 仕方ないのでfork # これを Kernel.open(object(id).presigned_url(:get)) # こうする URI.open(object(id).presigned_url(:get))
  12. WICKED_PDF (FORKしなかった) • ferrum gem ◦ render メソッドの調整で移行できた • wicked_pdfと同じく、RailsのビューをレンダリングしてPDFとして印刷する仕組み

    ◦ wicked_pdf QtWebKit ◦ ferrum Chronium ▪ 環境に入れたChromiumのバージョンが古くてフォントのフルセットが埋め込まれる事故が発生 ▪ Chromiumのバージョンアップで解消
  13. GEMの選び方 • 自分が保守できるか? ◦ 多機能ではない ◦ メタプログラミングはほどほどに ◦ 標準の動きを変えない •

    保守できないなら ◦ 継続性はありそうか? ▪専門知識が必要なgemは自分で保守が難しい ▪コントリビューションがありそうか ▪完成していて更新の必要がないものはなくてもok ◦ 置き換えできそうか ▪更新が止まっても代替手段へ切り替えでしのげること ▪シンプルであること アップグレードしていくために gemの 依存gem も注意 開発に専門知識が 必要なgemは置換え しやすそうな作りが 大切