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QA組織が最後の砦から脱却するために
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Tomotaka Yamasaki
January 28, 2021
Technology
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QA組織が最後の砦から脱却するために
QA Tech Night vol.2の内容です。
https://qatechnight.connpass.com/event/200528/
Tomotaka Yamasaki
January 28, 2021
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Transcript
©Akatsuki Inc. QA組織が最後の砦から 脱却するために 株式会社アカツキ福岡 山﨑 友貴 QA Tech
Night vol.2 2021-01-28
©Akatsuki Inc. この資料で一番伝えたいこと 最後の砦は響きは良いし すごくかっこいいけれど、 それは、大きなリスクを伴うということ。 QA組織が最後に、どんっ、と構えるだけなのはもったいない。
「最後」という言葉にとらわれないために、QA組織は、 テスト対象が完成する前からテストしていく方が良いと考えます。 今日はエンジニアという立場で、 QA組織に所属している自分が思うことを率直に伝えられたら、と思います。
©Akatsuki Inc. 今日お話しすること、しないこと • QA組織の在り方について ◦ 概念的、抽象的な話 • 開発現場でQA組織がぶつかる問題について
◦ あるある事例紹介 ◦ 問題の原因はどこにあるのだろうか? • QA組織が理想的な在り方に向かうための方法 ◦ QAの専門性やテスト自動化について • 具体的なノウハウや方法論 ◦ こうすればテストはうまくいく! ◦ こうすれば自動化はうまくいく!
©Akatsuki Inc. どの目線で話すか • ソーシャルゲームアプリケーション開発目線 ◦ 新規でゼロからリリースまでを開発するプロジェクトではなく、 リリース後に運営を続けているプロジェクトの話がメインです ◦
日々の運用における開発ではなく、バージョンアップのための新規開発がメインです ◦ 弊社は、開発チーム内にQAメンバーが在籍しています • QA組織に属するエンジニア目線 ◦ QA領域の自動化、効率化を行うエンジニアとして話します ◦ ゲーム開発経験は積んでいる前提はあり ◦ QA組織づくりにも力を入れています • クライアントテスト目線 ◦ サーバ側で行うテストより、クライアント側のテストの話がメインです
©Akatsuki Inc. 前提の話 0
©Akatsuki Inc. 自己紹介 株式会社アカツキ福岡 山﨑 友貴 tomotaka-yamasaki Job:
Engineer JSTQB FL資格保有 2015 株式会社アカツキ エンジニア 新卒入社 オリジナルタイトルのゲーム運営チーム クライアントエンジニア 他社IPタイトルのゲーム運営チーム クライアントエンジニア 2017 他社IPタイトルのゲーム運営チーム クライアントエンジニアチームリーダー 2019 株式会社アカツキ福岡 出向 テストの自動化や効率化のチーム立ち上げ 現在 各プロジェクトのテスト自動化、効率化に取り組みなが ら、QA組織づくりに従事
©Akatsuki Inc. 1 2 3 4 本日のテーマ 最後の砦とは一体なんだろうか? なぜ、最後の砦となってはいけないのか?
最後の砦から脱却するために必要なこととは? まとめ
©Akatsuki Inc. 前提の話 アカツキとアカツキ福岡の関係について アカツキ福岡は子会社ではあるが、同じプロジェクトのワンチームで動いている。 現在、全社リモートワークにより距離の壁がなくなっている。 0
プロジェクトA アカツキ(東京) - 開発本体 アカツキ福岡 - QAチーム Zoomによる連携
©Akatsuki Inc. 前提の話 アカツキのプロジェクトチーム体制について 0 プロジェクトチームに 属しながら、 横串で連携している プロジェクトA
QA 福岡 開発 QA 東京 プロジェクトB QA 福岡 開発 QA 東京 … 品質管理チーム(CAPS)
©Akatsuki Inc. 前提の話 アカツキのプロジェクトチームとテスト自動化、業務効率化チームの関係 0 プロジェクトA QA 福岡 開発
QA 東京 プロジェクトB QA 福岡 開発 QA 東京 … 品質管理チーム(CAPS) テスト自動化 業務効率化 チーム 第三者視点で プロジェクトに介入
©Akatsuki Inc. 前提の話 アカツキの品質管理チーム、CAPSとは 「顧客とプロダクトの満足度最大化」を追求する集団。 ゲーム開発の役割の1つである「検証」「カスタマーサポート」をメインで担当する。 0
株式会社 アカツキ | CAPS - ゲーム業界未経験者の登竜門
©Akatsuki Inc. 前提の話 CAPSが目指す6つの最大化とは • 製品の満足度最大化(QA) • 最高の感動体験最大化(CX) •
面白さの満足度最大化(ゲームの面白さの追求) • エンジニアリング貢献最大化(テスト自動化、効率化) • 製品/チームの安全性への貢献最大化(リスクマネジメント) • 人の幸福度と能力の最大化(組織づくり) 0
©Akatsuki Inc. 前提の話 CAPSが目指す6つの最大化とは 0 • 製品の満足度最大化(QA) • 最高の感動体験最大化(CX)
• 面白さの満足度最大化(ゲームの面白さの追求) • エンジニアリング貢献最大化(テスト自動化、効率化) • 製品/チームの安全性への貢献最大化(リスクマネジメント) • 人の幸福度と能力の最大化(組織づくり) 本日お話しするのは ここの領域の あれこれです。
©Akatsuki Inc. 本題に入ります
©Akatsuki Inc. 最後の砦とは 一体なんだろうか? 1
©Akatsuki Inc. 最後の砦とは一体なんだろうか? 概要 • QA組織は、最後の砦、と称されることが弊社内でもよくあります • 便利な言葉なのでよく使われますが、
QA組織はそうあるべきではないと思っています • ここからのお話 ◦ 最後の砦とは一体なんだろうか? ◦ なぜ、最後の砦となってはいけないのか? ◦ 最後の砦から脱却するために必要なこととは? 1
©Akatsuki Inc. 最後の砦とは一体なんだろうか? 最後の砦のイメージとは 1 最終防衛ラインの 私たちが頑張る! 絶対に不具合出さない!
QAメンバー かっこいい!頼む! 君たちだけが頼りだ! QA組織以外の メンバー
©Akatsuki Inc. 最後の砦とは一体なんだろうか? 最後の砦のイメージを言語化してみる 「最後」の「砦」 1 プロダクトのリリーススケジュール
における最後の工程 リリース前に不具合を 発見する役割
©Akatsuki Inc. 最後の砦とは一体なんだろうか? ゲームアプリケーションのバージョンアップまでの流れ(一例) 1 ディレクター 機能仕様書 完成
エンジニア/ デザイナー 機能完成 機能開発のライン feature freeze code freeze free debug v.X.x.x リリース! feature freeze: 機能追加のリミット code freeze: コード変更のリミット
©Akatsuki Inc. 最後の砦とは一体なんだろうか? ゲームアプリケーションのバージョンアップまでの流れ(一例) 1 ディレクター 機能仕様書 完成
エンジニア/ デザイナー 機能完成 機能開発のライン feature freeze code freeze free debug v.X.x.x リリース! この辺でテストをがっつり 行っている。最後の砦。 feature freeze: 機能追加のリミット code freeze: コード変更のリミット
©Akatsuki Inc. なぜ、最後の砦と なってはいけないのか? 2
©Akatsuki Inc. なぜ、最後の砦となってはいけないのか? QAチームのテスト実行までの流れ • 機能の仕様書を元に、エンジニアは実装を完了させる •
QAチームはその間、テスト設計、テスト実装を行う ◦ 機能が完成しないと動作させながらテストを行うことができない • 機能が完成したらQAチームはテスト実行を行う ◦ リリースまでにクリティカルな不具合を修正していく 2
©Akatsuki Inc. なぜ、最後の砦となってはいけないのか? 最後の砦として機能しているフリーデバッグ • フリーデバッグ ◦ 期間を設定し、探索的テストに近いテスト形式で行われている
◦ このテスト期間に重大な不具合が発見されることが稀にある 2
©Akatsuki Inc. なぜ、最後の砦となってはいけないのか? なぜ、最後の砦と言われるのか? 最後の最後(フリーデバッグ)で重大な不具合を防ぐ。 ファインプレー。 その功績が讃えられ、 QA組織は最後の砦、と呼ばれるようになりましたと、さ。
2
©Akatsuki Inc. なぜ、最後の砦となってはいけないのか? なぜ、最後の砦と言われるのか? めでたし、めでたし…? 2
©Akatsuki Inc. • QA組織としては、「最後の砦」は 褒め言葉ではない • 自分たちがミスったら終わり、という状況は 健全ではない • 最後の砦だと言われたら、悔しいと思いたい
なぜ、最後の砦となってはいけないのか? 最後の砦であることを誇りに思ってはいけない 2
©Akatsuki Inc. なぜ、最後の砦となってはいけないのか? 最後の砦という役割が引き起こす3つのこと • 最後の砦でどーんと構えているため、機能が完全にできてからテストを始める •
ディレクター、エンジニア、デザイナーなどが引き起こすスケジュール遅延を 全てQAチームが背負うことになる • 結果、自らもスケジュール遅延することになる、そして休日出勤 2 テストの開始が遅延する
©Akatsuki Inc. なぜ、最後の砦となってはいけないのか? 最後の砦という役割が引き起こす3つのこと • 絶対に遅らせることができないリリーススケジュールの 最後の最後で不具合を発見する
• プロジェクトメンバーはあらゆるステークホルダーとの調整を行うこととなる • ユーザに予定通り機能が届けられなくなってしまう 2 クリティカルな場面で リリースが遅延する
©Akatsuki Inc. なぜ、最後の砦となってはいけないのか? 最後の砦という役割が引き起こす3つのこと • 最後の砦である彼らに任せればきっと不具合を見つけてくれる、 だからユニットテストは書かなくていいか、というエンジニアの慢心
• リリース後に不具合が発覚、過度な期待があるがゆえに 責任の所在をQAチームに求めてしまう 2 QAチームへの 過度な期待を生む
©Akatsuki Inc. 最後の砦から脱却する ために必要なこととは? 3
©Akatsuki Inc. 最後の砦から脱却するために必要なこととは? 脱却するために考えたいこと • テストはいつから始まっているのか? •
不具合の原因を考えるのは誰か? • 品質について考えるのは誰か? 3
©Akatsuki Inc. テストはいつから 始まっているのか?
©Akatsuki Inc. 最後の砦から脱却するために必要なこととは? テストはいつから始まっているのか? テストの7原則 その3 早期テストで時間とコストを節約
• テスト対象が完成する前からテストは始まっている • テスト工程は影響要素が多すぎるため、 テスト工数にいくらバッファを積んでもスケジュールを圧迫してしまう • 全てをシフトレフトで考えていく必要がある 3
©Akatsuki Inc. 最後の砦から脱却するために必要なこととは? テスト対象が完成する前からテストは始まっている • 機能仕様書pre-fix段階でもテスト可能 ◦
仕様の抜け漏れをチェックする ◦ ゲームが面白くなるのかをチェックする、など • コード設計レビュー、コードレビュー段階でもテスト可能 ◦ エンジニアの考慮漏れを指摘する ◦ その機能のコードがマージされる前に動作チェックする、など 3 機能仕様書 pre-fix 機能仕様書 完成 コード設計 レビュー コード レビュー 機能 完成 ※ 機能完成までを詳細化
©Akatsuki Inc. 最後の砦から脱却するために必要なこととは? 仕様書pre-fix、完成時点で行うテスト設計 マインドマップでテスト設計する • テスト観点の洗い出し
◦ マインドマップを用いて、テスト観点を 洗い出す • テスト観点のレビュー ◦ QAチームだけではなく、機能の開発に 関わる全てのメンバーがレビューする 3 JaSST2019東京 三銃⼠モデルを適応してみた! -Next Generation 次世代の挑戦 より
©Akatsuki Inc. 最後の砦から脱却するために必要なこととは? コード設計レビュー時点で行うテスト設計 エンジニアのコード設計レビューにQAも参加する • エンジニアはコードを書き始める前に設計を行う
• エンジニア同士で設計が妥当かどうか、レビューを行う • そのレビュー会にQAも参加する ◦ リファクタリングの有無を認識する ◦ 仕様書から予測できない影響範囲を認識する ◦ エンジニアの考慮漏れを指摘する 3
©Akatsuki Inc. 不具合の原因を考えるのは誰か?
©Akatsuki Inc. 最後の砦から脱却するために必要なこととは? 不具合の原因を考えるのは誰か? 不具合の原因を決定づけるのは、 エンジニアの役割だと思います。 ただ、考えるのはエンジニアだけで良い?
3
©Akatsuki Inc. 最後の砦から脱却するために必要なこととは? テスターとデバッガーの違い 3 故障、不正を発見するのはテスター 不具合を修正するのはデバッガー
• テスターはテストを行い、故障、不正を検知する役割 • デバッガーは故障、不正を引き起こしている欠陥を見つけ、分析、修正する役割
©Akatsuki Inc. 最後の砦から脱却するために必要なこととは? 不具合の事象のみに焦点を当てたコミュニケーション 故障や不正が起こったときに、事象を報告するだけになるのはもったいない。 3 不具合出てます。
〇〇という状況でした。 QAメンバー クライアント エンジニア ありがとうございます。 修正します。 あ、これは サーバ側の 不具合だな。
©Akatsuki Inc. 最後の砦から脱却するために必要なこととは? 不具合の原因にまで焦点を当てたコミュニケーション 大まかにでも良いので、QAチーム側で原因を探る。 3 QAメンバー
サーバ エンジニア 確かこの処理は サーバで行われ ていたはず。 不具合出てます。 〇〇という状況でした。 ありがとうございます。 修正します。
©Akatsuki Inc. 最後の砦から脱却するために必要なこととは? 不具合の原因はQAも考えた方が、きっと良い未来になる QAも不具合の原因を考えたい。 開発チームに属するQAは多くの情報を知ることができる。
従って、不具合を報告するだけではなく、 原因となる欠陥の仮説を立てて、 エンジニアとコミュニケーションしたい。 そのためにエンジニア的視点を持つことが非常に重要。 3
©Akatsuki Inc. 最後の砦から脱却するために必要なこととは? エンジニア的視点とは? • アプリケーションの内側を理解する、ということ ◦
システムの概要を理解する ◦ データ構造を理解する ◦ 通信タイミングを理解する ◦ ハードウェアを理解する ◦ ビルド方法を理解する ◦ ソースコードを読み、複雑度を理解する、など 3
©Akatsuki Inc. 最後の砦から脱却するために必要なこととは? エンジニア的視点を持つことのメリット、デメリット 3 • テスト精度が向上する
◦ 欠陥の偏在を見つけることができる ◦ エラー推測の精度が向上する ◦ ソースコード変更の影響範囲が分かる • エンジニアとより深い議論ができる ◦ エンジニアの話す専門的な内容が理解できる ◦ 不具合の修正方針を提案できる ◦ ユニットテストに対して適切に突っ込める • テスト業務を効率化できる ◦ 自動化、効率化できる箇所を精査できる メリット • 学習ハードル、コストが高い ◦ エンジニアの技術的な知識を身につけるハードルが高い ◦ 独学で1から学ぶにはコストが高い • 内部構造を知りすぎてしまう ◦ エンジニアの確証バイアスをQAでカバーできない ◦ テストの抜け漏れが発生する デメリット
©Akatsuki Inc. 最後の砦から脱却するために必要なこととは? エンジニア的視点重要、とは言っても… テスターの域を超えているのでは? 3
©Akatsuki Inc. 最後の砦から脱却するために必要なこととは? テスターの域を超えているのでは? そう、思います。 3
©Akatsuki Inc. 最後の砦から脱却するために必要なこととは? QA組織のスペシャリティを強化する • JSTQB、IVECをベースとしてQAの専門領域を整理 ◦
QAスペシャリスト、QAマネージャの2つの役割を定義 ◦ 専門性を高めるためのキャリアパスを設計 • 専門領域を理解するため、QAスペシャリスト勉強会を実施 ◦ JSTQBを軸に、チームの課題について3ヶ月間議論 3
©Akatsuki Inc. 最後の砦から脱却するために必要なこととは? QAのスペシャリティの定義を一言で 3 QA スペシャリスト QA
マネージャ QAスペシャリストはテクニカルな領域でチー ムをリードし、QAマネージャやエンジニアと連 携し、最高品質のプロダクトをユーザに提供 することを目指す。 QAマネージャはテストチームの価値を全方 向に伝えるとともに、テストプロセス全体を最 適化し、最高品質のプロダクトをユーザに提 供することを目指す。 テストチームの成果に興味を持っている方はチーム内外にたくさんいる。その方々が求めていることをQAマネー ジャは理解し、的確な情報を提供する必要がある。 そのコミュニケーション手段を取り続けることで、テストチームの価値を他のチームメンバーが認識することがで き、正当に評価されるようになる。 QAマネージャはテストチーム以外の関係者と積極的にコミュニケーションを取りながら、テストプロセスの改善を 繰り返し、最高品質のプロダクトをユーザに提供することをチームで目指す。 プロダクトのテスト分析、テスト設計、テスト実装、テクニカルな領域でのテスト実行を行う。 また、同値分析法、デシジョンテーブルなどのテスト技法を熟知し、エンジニアリングの観点を持ちながら、テス トチームをリードする。 更に、効率的な探索的テストを行うための仕組みづくりやエラー推測などでも力を発揮する。 QAスペシャリストはエンジニアリングの知識を持ち、エンジニアと対等に議論することによって通常では見つか らない不具合の発見や、不具合を早期発見するためのテスト設計を行い、最高品質のプロダクトをユーザに提 供することをチームで目指す。
©Akatsuki Inc. 最後の砦から脱却するために必要なこととは? QAのスペシャリティの定義の概要 3
©Akatsuki Inc. 最後の砦から脱却するために必要なこととは? QAのスペシャリティの定義の一例 3
©Akatsuki Inc. 品質について考えるのは誰か?
©Akatsuki Inc. 最後の砦から脱却するために必要なこととは? 品質について考えるのは誰か? 3 品質は プロジェクトメンバー全員が 考えるもの。
• QA組織だけが品質を考えてはいけない • ただし、「品質に対して、誰が最終責任を持つか」は決める必要がある
©Akatsuki Inc. 最後の砦から脱却するために必要なこととは? 開発エンジニアとQAの心理の違い 3 • 主目的は、プロダクトを設計して構築すること
• 解決策の設計と構築により大きな関心があり、解決策に誤りがあるかには関心があまりない 開発エンジニア • 主目的は、プロダクトの検証と妥当性確認、リリース前の欠陥の検出 • 好奇心、プロとしての悲観的な考え、批判的な視点、細部まで見逃さない注意力、 良好で建設的なコミュニケーションと関係を保つモチベーションが必要 QA ISTQB. “ISTQBテスト技術者資格制度 Foundation Level シラバス 日本語版 Version 2018V3.1.J02”. JSTQB 認定テスト技術者資格. 2019-11-11., (アクセス日 2021-01-25). p.26
©Akatsuki Inc. 最後の砦から脱却するために必要なこととは? 開発エンジニアも本気で品質について考える 開発エンジニアも品質について考え、 QAチームに歩み寄らなければならない •
開発エンジニアとQAがお互いに持っているマインドの専門性を理解する ◦ 不足している部分を補完し合う • プロダクト品質を向上させる、といった 共通の目的を軸に議論することが大切 ◦ 同じチームに属している利点を活かす • エンジニア的視点、でQAに歩み寄ってもらうだけではアンフェア 3
©Akatsuki Inc. 最後の砦から脱却するために必要なこととは? 開発エンジニアとQAの心理の違いとは何か? • Akatsuki Advent Calendar
2020 に参加 • 「QAが普段考えていること、思っていること、大切に していることを開発エンジニアにも知ってもらいた い」、その一心で書いた記事 • テストの7原則や、開発エンジニアとQAの心理の違い についてまとめている 3 開発エンジニアとQAの心理の違いとは何か? - Akatsuki Hackers Lab | 株式会社アカツキ(Akatsuki Inc.)
©Akatsuki Inc. 最後の砦から脱却するために必要なこととは? エンジニア的な品質改善アプローチ 3 エンジニアは テストを自動化することができる
• 自動化することで不具合を早期発見することができる ◦ シフトレフトに繋がる一手になり得る • テスト自動化はCEDEC2020でも多く見られる ◦ 最近ホットなテーマ
©Akatsuki Inc. 最後の砦から脱却するために必要なこととは? テスト自動化は銀の弾丸ではない • テストを自動化することで品質が上がるとは限らない テストだけでは品質が上がらないのと同じである。
• テストを自動化することでQAのコストが下がるとは限らない 自動化システムをメンテナンスし続けなければならない。 • 全てのテストを自動化すべきではない 全てのテストには目的がある。 • テスト自動化システムは片手間では完成しない 強い推進力が必要である。 • リリース後のアプリケーションのテストを自動化するのは至難の業である 自動化できる設計になっていない場合がある。 3
©Akatsuki Inc. 最後の砦から脱却するために必要なこととは? 結局、テスト自動化は良いのか悪いのか? 3 テストの目的を定めた上で、 CIに組み込まれた自動化システムは 不具合の早期発見に繋がる。
©Akatsuki Inc. 最後の砦から脱却するために必要なこととは? テスト自動化への取り組みについて • インゲーム(バトル)リグレッションテストの自動化を第三者視点から試みている ◦
組合せ爆発への対処 • 自動化の方法 ◦ Script方式(操作をスクリプトで自動化) ◦ Record & Playback方式(手動プレイを記録、再現して自動化) ◦ AI方式(操作をAIで自動化) • ゲームの操作自動化の難点 ◦ ランダム要素の固定問題 ◦ ゲーム内演出とプレイ結果の分離問題 3
©Akatsuki Inc. 最後の砦から脱却するために必要なこととは? テスト自動化を考慮すべきタイミング 3 テスト自動化は リリース前の開発時点から考慮すべき。
これで、シフトレフトに大いに貢献できる。
©Akatsuki Inc. まとめ 最後の砦とは?なぜ最後の砦ではだめなのか? • 最後の砦とは一体なんだろうか? ◦ プロダクトのリリーススケジュールにおける最後の工程で不具合を発見する役割
• なぜ、最後の砦となってはいけないのか? ◦ テストの開始が遅延する ◦ クリティカルな場面でリリースが遅延する ◦ QAチームへの過度な期待を生む 4
©Akatsuki Inc. まとめ 最後の砦から脱却するために考えたいこと • テストはいつから始まっているのか? ◦ テスト対象が完成する前からテストは始まっている
◦ 全てをシフトレフトで考える • 不具合の原因を考えるのは誰か? ◦ エンジニア的視点を持ち、QAメンバーも不具合の原因を考える • 品質について考えるのは誰か? ◦ プロジェクトメンバー全員が品質について考える ◦ 開発エンジニアとQAはお互いに持っているマインドの専門性を理解し、議論する ◦ 開発エンジニアはテスト自動化という観点で品質を考える 4
©Akatsuki Inc. まとめ 最後の砦から脱却するために取り組んでいること • マインドマップレビューやコード設計レビューを利用し、テストを設計する • QAのスペシャリティを定義し、エンジニア的視点やマネジメントを高める
• 開発チームの外側から、リグレッションテストの自動化に取り組んでいる 4
©Akatsuki Inc. まとめ 最後の砦からの脱却に必要なこと 4 QA組織が最後の砦から脱却するために QAはエンジニア的視点、 開発エンジニアはテスト自動化を考慮しながら シフトレフトを推進する。
©Akatsuki Inc. まとめ 最後の砦からの脱却に必要なこと 4 最後の砦だけではなく、たくさんの砦を作ろう。
©Akatsuki Inc.