Upgrade to Pro
— share decks privately, control downloads, hide ads and more …
Speaker Deck
Features
Speaker Deck
PRO
Sign in
Sign up for free
Search
Search
Shadow DOMとCSSの現状
Search
uhyo
February 27, 2024
Technology
11
7.5k
Shadow DOMとCSSの現状
2024-02-27 DOMDOMトークス #1
uhyo
February 27, 2024
Tweet
Share
More Decks by uhyo
See All by uhyo
React 19 + Jotaiを試して気づいた注意点
uhyo
9
2.6k
TypeScriptの次なる大進化なるか!? 条件型を返り値とする関数の型推論
uhyo
3
2.1k
tsconfig.jsonの最近の新機能 ファイルパス編
uhyo
7
2.9k
非同期処理を活用しながらRust製wasmとJSを連携する方法(wasm-bindgenを使いたくない人向け)
uhyo
4
4k
tsconfig.jsonの設定を見直そう!フロントエンド向け 2024夏
uhyo
26
9.7k
React 19を概念から理解する
uhyo
22
10k
require(ESM)とECMAScript仕様
uhyo
7
2.1k
TypeScript Quiz (Encraft #12 Frontend Quiz Night)
uhyo
8
1.7k
TypeScriptってどんな言語? 言語そのものを知る面白さ
uhyo
16
9k
Other Decks in Technology
See All in Technology
【NGK2025S】動物園(PINTO_model_zoo)に遊びに行こう
kazuhitotakahashi
0
180
GeometryReaderやスクロールを用いた表現と紐解き方
fumiyasac0921
0
100
KMP with Crashlytics
sansantech
PRO
0
230
Accessibility Inspectorを活用した アプリのアクセシビリティ向上方法
hinakko
0
170
embedパッケージを深掘りする / Deep Dive into embed Package in Go
task4233
1
200
#TRG24 / David Cuartielles / Post Open Source
tarugoconf
0
550
カップ麺の待ち時間(3分)でわかるPartyRockアップデート
ryutakondo
0
130
Oracle Exadata Database Service(Dedicated Infrastructure):サービス概要のご紹介
oracle4engineer
PRO
0
12k
CDKのコードレビューを楽にするパッケージcdk-mentorを作ってみた/cdk-mentor
tomoki10
0
190
チームが毎日小さな変化と適応を続けたら1年間でスケール可能なアジャイルチームができた話 / Building a Scalable Agile Team
kakehashi
2
210
[IBM TechXchange Dojo]Watson Discoveryとwatsonx.aiでRAGを実現!事例のご紹介+座学②
siyuanzh09
0
110
[IBM TechXchange Dojo]Watson Discoveryとwatsonx.aiでRAGを実現!座学①
siyuanzh09
0
110
Featured
See All Featured
Imperfection Machines: The Place of Print at Facebook
scottboms
267
13k
Fireside Chat
paigeccino
34
3.1k
Faster Mobile Websites
deanohume
305
30k
Music & Morning Musume
bryan
46
6.3k
Designing Experiences People Love
moore
139
23k
Facilitating Awesome Meetings
lara
51
6.2k
How GitHub (no longer) Works
holman
312
140k
Art, The Web, and Tiny UX
lynnandtonic
298
20k
Building Your Own Lightsaber
phodgson
104
6.2k
Agile that works and the tools we love
rasmusluckow
328
21k
4 Signs Your Business is Dying
shpigford
182
22k
Code Review Best Practice
trishagee
65
17k
Transcript
Shadow DOMとCSSの現状 2024-02-27 DOMDOMトークス #1
発表者紹介 uhyo 株式会社カオナビ フロントエンドエンジニア 普段はTypeScriptとかReactをやっている。 好きなDOM仕様はDOM3 Load & Save (昔のOperaにだけ実装されてたやつ)
最近のDOMDOMニュース 2024年2⽉、Firefox 123がリリース。 Declarative Shadow DOMのサポートが追加され、 すべてのモダンブラウザでサポートが完了。
Declarative Shadow DOM復習 従来はJavaScriptのElement#attachShadowを 使わなければshadow rootを⽣成できなかった。 template要素のshadowrootmode属性を使うこと で、HTMLだけでshadow rootを⽣成できる。
Declarative Shadow DOM復習
DOMDOMクイズ こうするとshadow root を⽣成できる? (JSでtemplate要素を⽣ 成してdivに追加)
DOMDOMクイズ 答え: できない 理由: Declarative Shadow Root はHTMLパーサーの機能だから (どういう意味か調べてみよう!) ※innerHTMLとかでパーサーを起動してもできない
(allowDeclarativeShadowRootsフラグで制御されているため)
Shadow DOMとCSS Shadow DOMの⽤途はいろいろあるが、個⼈的に はCSSのスコーピングを重要視。 •Shadow DOMの外で宣⾔されたスタイルは 中の要素に適⽤されない •逆も同様 (::partの話は今⽇は省略)
CSSのスコーピング Shadow Treeの中に適⽤ されるスタイルは同じ Shadow Treeの中で宣⾔する 必要がある。 利点: spanみたいな セレクタを雑に使える
(クラス名とかに頼る機会が減る)
@scopeとの⽐較 CSS Cascading and Inheritance Level 6で定義さ れた@scopeもスコーピングができる。 上限と下限を指定できる。
@scopeとの⽐較 (1) UIライブラリと組み合わせる場合、 @scopeだと下限の設定に難がある。 children内にはスタイルを適⽤ したくない場合はどうすれば…… (Reactの例)
@scopeとの⽐較 (1) Shadow DOMはこのようなケースが得意。 Shadow tree内のstyleで宣⾔ されたスタイルは<slot>に 当てはめられたツリーには 適⽤されない
@scopeとの⽐較 (2) 親から .parent-component > div > div > button
みたいなセレクタで攻撃された場合…… @scope: 防御できない Shadow DOM: 防御できる 「やろうと思えばできちゃう」を防げるのは優秀。
余談: 昔作ったやつ これからのCSS in JSはShadow DOM ベースに違いない!! と思い、 2020年に作ったCSS in
JSライブラリ (もちろん流⾏らず) https://github.com/uhyo/castella
余談:昔作ったやつ CSSはマークアップと密結合している という考えから、HTMLとCSSのセッ トで1つのコンポーネントを定義。 HTMLはShadow DOMに⼊る。 (これがあるべき姿では? とはずっと思っている)
問題: リセットCSS 最近はリセットCSSを使うことが多い。 Shadow DOMの中にリセットCSSを適⽤するため には、Shadow DOMの中から読み込む必要がある。
問題: リセットCSS これコンポーネントごと に読み込んで⼤丈夫なの?
実際にやってみた 複数のshadow treeの中から <link rel=“stylesheet” href=“reset.css”> でCSSファイルを読み込む場合と読み込まない 場合で、ページのメモリ使⽤量の差を計測。 ブラウザ: Firefox
123.0, Google Chrome 121.0.6167.185 ソースコード: https://github.com/uhyo/domdom-talks-1
実際にやってみた 0 50 100 150 200 250 10000 20000 30000
40000 50000 メモリ増加量 (MB) コンポーネント数 <link> (Firefox) <link> (Chrome) +33% +74〜132%
実際にやってみた 0 50 100 150 200 250 10000 20000 30000
40000 50000 メモリ増加量 (MB) コンポーネント数 <link> (Firefox) <link> (Chrome) <link>の量に対して線型にメモリ使⽤量 が増加、割合としては⼀定に +33% +74〜132%
グラフの注意点 Google Chromeのメモリ使⽤量は計測しても全然安定 しなかったので参考記録です。 Firefoxの+33%という数字はlink要素の追加以外にも CSS量の増加による影響をすべて含んだものです。
オーバーヘッドが⼤きい…… 同じリセットCSSを全部のコンポーネントに適⽤ したいだけなのに、コンポーネントの数が増える ほどメモリ使⽤量も増えるのは嬉しくない。 (コンポーネント数に⽐例するオーバーヘッドはある程度は 避けられないが) ※ reset.cssにリクエストが⾶ぶのはさすがに1回
救世主!? adoptedStyleSheets adoptedStyleSheetsを使うことで、複数の shadow tree間で同じCSSStyleSheet インスタンスを共有することができる。
adoptedStyleSheetsのメモリ使⽤量 0 50 100 150 200 250 10000 20000 30000
40000 50000 メモリ増加量 (MB) コンポーネント数 <link> (Firefox) <link> (Chrome) adoptedStyleSheets (Firefox) adoptedStyleSheets (Chrome) +38%
0 50 100 150 200 250 10000 20000 30000 40000
50000 メモリ増加量 (MB) コンポーネント数 adoptedStyleSheetsのメモリ使⽤量 Firefoxは逆にちょっと増えてる…… Chromeはよくわからんけど減ってはいる。 +38%
adoptedStyleSheets所感 よく分かんないけどChromeではメモリ使⽤量 減ってそう。 何でFirefoxのオーバーヘッド増えたの? Safariは謎(この資料をWindowsで作ったので) Declarative Shadow DOMでは対応していない のは⾟い。
次の希望: Declarative CSS Module Scripts adoptedStyleSheetsに相当する処理を JavaScriptを使わずに書けるようにしたいという 議論も存在する。 2023年4⽉のミーティングの結論は “Present
members of WCCG reach consensus: discuss this further with implementers.” https://github.com/WICG/webcomponents/issues/939
次の希望2: Declarative Custom Elements 似たような問題意識に対して、 “I think we should solve
declarative custom elements instead.” との⾒解を⽰すメンバーもいる。 その名の通り、customElements.register相当 のことをマークアップからできるようにする。 https://github.com/whatwg/html/issues/9962
WebComponents元年 Declarative Shadow DOMの サポートも出揃い、2023年からの WebComponents元年v4も佳境と なった。 しかし、Shadow DOMとCSS関連 が良い形におさまるにはまだ時間が
かかりそうだ。 https://www.docswell.com/s/jxck/5246NN- 1st-year-of-webcomponents-v4 参考: When the 1st year of Web Components era come true https://www.docswell.com/s/araya/ZQ8P9E-2024-01-25-202509
まとめ Declarative Shadow DOMのサポートにより、 Shadow DOMベースのCSS in JSもSSRできる ようになった。 しかし、最終形態ではなく次の議論もこれから。
WebComponents 元年v5 まだかな?