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プライシングについて②
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Umzws.
April 15, 2024
Business
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プライシングについて②
本資料は、プライシングについて調べた内容について自分なりの解釈をまとめたものです。
Umzws.
April 15, 2024
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Transcript
アウトライン ◆まとめ ◆プライシング 基礎リテラシー 1枚 ◆プライシング 実践に関して 1枚 ◆プライシング 課題(チャンス)に関して
1枚 本資料は、プライシングに関して調べたことについて、 以下の構成で自分なりの解釈をまとめたものです。
・利益に直結する要素のうち、価格(単価)はインパクトが最も大きい ・人口減少や資材高騰などにより、 今あるアセットで収益を高めていくことが求められているいま、 変更しやすい柔軟性のあるプライシングの重要性は高まっている ・プライシングには、行動を自発的に変えるインセンティブの側面もあり、 脱炭素や、交通網の混雑緩和など、社会的課題の解決にも活かされている ・欲しいデータを算出するために必要なデータを収集できていない、 管理体制が整っていない企業も多くある ・デジタルカルテルに対する法的な規制や倫理感に対する世論的な規制など、 見落とすと大事に繋がる重要な観点がある
◆まとめ
•狭義の意味でのプライシング →買い手の「払ってもいい額」と売り手の「売ってもいい額」が重なる範囲内で、 目的達成に最も寄与する『価格』を決定すること *よくありがちな価格決定における悪しき3パターン ❶自社コスト + 必要な利潤 = 価格(コストベース) ❷自社対競合商品の強弱、業界に従う(業界・競合ベース)
❸顧客のいいなり(顕在価値ベース) •広義の意味でのプライシング →買い手が「払ってもいい額」は状況や人によって変化するという特性や、 プライシングはインセンティブのデザインでもあるという特性を踏まえ、 『価格』のみならず、目的達成に最も寄与する 『戦略』『*価格方式』『*価格フレーム』についても決定すること ex.)買い手への見せ方、コミュニケーション、アプローチ対象の変更など *価格方式:サブスク、後払い などの支払い方式 *価格フレーム:アフターサービス などの課金対象の決定 •プライシングが求められている背景 人口減少や資材高騰などにより、規模拡大に依らず今あるアセットで 収益を高めていく必要性が高まっている現代において、インフラやサービス内容よりも 柔軟な要素であるプライシングの重要性は高まっている •プライシング手法が大きく変わる業界・分野 航空、ホテル、エンターテイメント、鉄道、テーマパーク、タクシー等の業界 共通する特徴: •在庫を翌日に持ち越せない 1日1日が勝負 •需要が時間軸で変わり、ムラが大きい •供給に上限があり、簡単に増やしたり減らしたりできない •プライシングが持つ力 ・インセンティブのデザイン/需給の調整機能 人や企業の行動を自発的に変えるインセンティブのデザインでもある 高速道路や、ラッシュアワー時の混雑緩和にも活用されている →生命などあらゆるものに闇雲に適用する前に、 倫理的に問題がないかを問い続ける必要がある また、プライシングによって顧客の行動変容(販売数減少など)が起き、 需要が平準化されていくと、業務効率が高まる 労働環境や供給不足の改善が進み、1社を超えて業界自体の持続可能性が向上していく 社会全体により良い行動を促そうとしても、企業と個人の動機は相違するときがある プライシングで得と徳が一致する案を作り出せれば、自発的により良い行動を促せる ・単価は利益へのインパクトが最も大きい要素 利益 = 単価 × 販売数 - 経費(変動費 + 固定費) ”単価”のインパクトは、平均的に数量向上の約3倍、コスト削減の約2倍 数量が向上した場合、製造~流通するための原価も増えるので利益率はそのまま 単価が向上した場合、原価は変わらないので利益率が上がる 投資家ウォーレンバフェット氏が投資を決定する際、 重視する指標の1つに企業の価格決定力を挙げている *単価は常に上げればよいわけではなく、下げるべきときもある 全体を一律で値上げするのではなく、 販売方法や状況によって幅のある価格を設定し、 結果的にその平均単価を向上させることが重要 ◆プライシング 基礎リテラシーに関して
•基本的な考え方 買い手が「払ってもいい額」は、状況や人の価値観によって変化する その変化や差を捉え、クーポンやポイント付与などを含め、 価格を変動させる取り組みが変動価格(一物多価) 変動価格 2つの軸 ①時間軸での変化→ダイナミック・プライシング ②個人軸での変化→パーソナライズド・オファー *差別的と見られかねないパーソナライズには注意が必要 説明可能で納得できる”違い”に基づく価格差であるかが求められる
•変化へのアンテナ 海外に目を向け新しいコンセプトを学び、 国内の規制に目を向け新しい市場機会が開かれる瞬間をとらえる 市場が開く数年前から先んじて取り組んでおくことができれば尚良い •調査要件の定義 一般的な研究の流れ なにをどう調査してどういう結果が出たら、仮説は正しいといえるのか(調査要件) ①問い 反社会的行動は、小学校高学年~中学校にかけて、増加するのか? もし、増加するならその原因は何か? ②仮説(暫定的な説明)→統計的なデータ解析はこの仮説生成の過程でも利用される 男女とも、小学校高学年から中学校にかけて平均的に反社会的行動は増加する その増加は、思春期の生理的変化によって生じる心理的葛藤が有力な原因の1つ ③調査要件の定義 11歳~13歳くらいにかけて、「生理的変化」は男子よりも女子の方が早くあらわれる つまり、「11~13歳の反社会的行動の増加は、女子の方により顕著にあらわれれば、 思春期の生理的変化が原因の一つといえる」と定義する →男子と女子のそれぞれの反社会的行動の割合を調査する •プライシングの基本ステップ ⓪現状把握 競合および自社の顧客が認識しているポジションの把握 コレスポンデンス分析(機能的価値 × 情緒的価値)など ★抽象化力 顧客は何に価値を感じているのかが重要 真の競合も含めて調査 ★顧客の抱えている課題の分類分け「複雑系」「困難系」「カオス系」「単純系」 →顧客の要求整理 ①課題の深堀り・具体化(仮説) 顧客像、価格(支払い)方式といった観点から、真の課題(仮説)を設定する キーワード:「顧客を”知り直す”」「”未”顧客の理解」「顧客のペインを探せ」 ②プロジェクト 目的の明確化 プライシングのKPIはバランス型であることが多い →単価を上げれば販売数は下がるというトレードオフの関係 プライシングは成果が出るまでに最低半年は要することもあり、 バランスに迷ったときの判断軸となるレベルで目的を設定する ③調査要件の定義とリサーチ実施 顧客の実際の行動に基づくデータが手元に無い場合が大半 アンケート調査、A/Bテスト、多変量テスト など ④分析 機会損失ポイントの特定(リサーチ結果をもとに仮説検証) PSM分析、コンジョイント分析、PPM分析 新たな発見もあり、論点が増えがち 意思決定を左右するものか見極めが重要 ⑤解決策仮説の構築と合意 実行に移すために必要な組織体制が整っているかなど、 will・can・mustの観点で解決策の選定と合意形成を行う ⑥実施→継続的改善や拡張 ◆プライシング 実践に関して
•手元の使えるデータ 質と量の不足 データをもとに導き出すということは、 基本的には過去に起きた事象の中に参考値を見つけるということを意味する 何もないところから未来を予測しているわけではない これまで一律価格でしか売っていなかった商品を、 変動価格にしたときにどれだけ売れるのかという問いの答えは、 「やってみないと分からない」ということになる この価格弾力性(価格と販売数の関係性)を推定することができるほど 充分な質や量の価格と販売数のデータを蓄積している企業は少ない
買われなかったときのデータもあるべきだが、 失注に関する記録を残せている企業はさらに少ない →データを蓄積していくためのインフラ、組織体制が必要 また、海外の事例や、他業界の事例を参考にしていく必要がある •売り手・買い手のマインドセット 業界に事例が少ないうちは、買い手のネガティブな反応を懸念している また、売上を伸ばすこと、セールをすることの心理的な楽さに引っ張られ、 積極的なプライシングを始めるにとに対して腰が重い →変化する買い手の得を捉える必要 また、その得を伝える力、表現力が必要 •電子棚札の普及など 商品数が多い小売業などでは、システム間の連携により、 売場の値札が自動更新されていく仕組みが必要になる (2019年 ビックカメラは導入を発表している) (オランダ最大手のスーパー) アルバートハイン × *ウェイストレス 各商品の在庫数や期限に基づいてリアルタイムに値下げを行うことで 来店客の購入を促進することで、食品ロスを3分の1削減しながら、 収益を6.3%増加させることに成功 *ウェイストレス 食品ロス削減と収益向上を目的としたダイナミックプライシングソリューションを 食品小売業者に提供している企業 •デジタル*カルテルなどの規制 ・Uber訴訟 ・ATP事件 など “「独占や反競争的であること」を悪事に繋げること”を問題視し、 データとアルゴリズムによる価格決定に関してのリスクと規制の議論が、 公正取引委員会などで行われている →自社の利益のみを目的とするのではなく、社会・業界・消費者のメリット/デメリットを 考慮して実施していく必要がある *カルテル:複数の企業が連絡を取り合い、 本来、各企業がそれぞれ決めるべき商品の価格や生産数量などを 共同で取り決める行為 競争がなくなり、商品の価格を不当につり上げると同時に、 経済を停滞させるという認識のもと、世界中で厳しく規制されている ◆プライシング 課題(チャンス)に関して
参考文献 コンテンツ名 発行者 媒体 リンク 新しい価格の教科書 松村 大貴 書籍 -
次世代マーケターの必修科目「プライシング」の始め方 松村 大貴 書籍 - 値決めの教科書 高橋 嘉尋 書籍 - 値上げのためのマーケティング戦略 菅野 誠二 書籍 - “未”顧客理解 なぜ、「買ってくれる人=顧客」しか見ないのか? 芹澤 連 書籍 - 心理統計学の基礎 統合的理解のために 南風原 朝和 書籍 - Wedge 2020年3月号 「AI値付け」の罠 ダイナミック・プライシング最前線 株式会社Wedge 雑誌 - AI時代に起きる「デジタルカルテル」とは。 独禁法の観点から弁護士が解説 BUSINESS INSIDER Web記事 https://www.businessinsider.jp/pos t-211405 不当な取引制限(カルテル) 公正取引委員会 Web記事 https://www.jftc.go.jp/ippan/part2 /act_02.html *敬称略