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What is a Tech Company

What is a Tech Company

技育祭2020にて

y_matsuwitter

July 05, 2020
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Transcript

  1. © DMM.com
    テックカンパニーって
    結局なんだろう
    エンジニアリングと経営の交差点
    DMM.com CTO 松本 勇気
    2020/07/05

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  2. © DMM.com 2
    https://app.sli.do/event/hszbhick
    ご質問はこちらにどうぞ

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  3. © DMM.com
    自己紹介
    3

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  4. © DMM.com
    東京大学工学部2013年卒。
    在学中より株式会社 Labitなど複数のベンチャーにて iOS/サーバ
    サイド開発などを担当し、 13年1月より株式会社Gunosyに入社。
    ニュース配信サービス「グノシー」「ニュースパス」などの立ち上げ
    から規模拡大、また広告配信における機械学習アルゴリズムや
    アーキテクチャ設計を担当し、幅広い領域の開発を手がける。新
    規事業開発室担当として、ブロックチェーンや VR/ARといった各
    種技術の調査・開発も行った。 18年8月まで同社執行役員 CTO
    および新規事業開発室室長を務め、同年 10月、合同会社
    DMM.comのCTOに就任。
    4
    自己紹介
    DMM.com CTO / 日本CTO協会理事
    松本 勇気

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  5. © DMM.com
    これまでの変遷
    ~2012
    ● 大学3年からプログラミング本格開始
    ● 在学中にAR系などスタートアップの創業など 3社の立ち上げ〜開発
    2013~2018
    ● 大学4年頃、創業直後のGunosyに参画、東証一部上場まで経験。
    ● 執行役員、CTO、新規事業担当、LayerX社立ち上げなど歴任。
    2018.10
    ● DMM.comにCTOとして参画、テックカンパニー化の改革を開始。
    ● 個人投資家としていくつかのスタートアップの支援。

    ● DMMグループの技術、人事、総務、経営管理など広く兵站部分を管轄。
    ● 日本CTO協会理事として2つのDX推進。

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  6. 6
    会社概要
    DMM.com Group の母体。
    総合エンタメサイト「
    DMM.com」の運営、
    サービスの上流から下流までハンドリング。
    6
    会社概要
     社名       合同会社DMM.com
     本社所在地    東京都港区六本木三丁目2番1号
              住友不動産六本木グランドタワー24階
             
     最高経営責任者  亀山敬司
     設立       1999年11月17日
     資本金      1000万円
     決算月      2月
     従業員数     1,527名 ※2019年2月

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  7. © DMM.comc
    DMMについて
    7
    「変化」と「進化」を繰り返し、
     成長を続けてきた会社。

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  8. © DMM.com
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  9. © DMM.com
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  10. © DMM.com
    日本CTO協会
    「日本の企業経営に最先端のテクノロジーを 」というミッションの元、調査や政策提言など推進。

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  11. © DMM.com
    ソフトウェアと経
    営マガジン
    https://note.com/y_matsuwitter/m/md
    c584510ef76
    noteにて連載しています

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  12. © DMM.com
    本題
    12

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  13. © DMM.com
    テックカンパニーとはなにか? 

    ● Agilityの話

    ○ 挑戦し続ける組織であるために 

    ● 事業とソフトウェア・エンジニアリングの関係 

    ○ 不確実性との戦いを支えるソフトウェア 

    ● DMMとテックカンパニー化 

    ○ 当初の課題

    ○ Tech Vision

    ○ 今の話
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    ソフトウェアと経営の交差点の話からエンジニアの働き方・キャリアについて考えていきます。
    本日の主題

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  14. © DMM.com
    Agility
    不確実性と戦い人と事業を強化する振る舞い方、マインドセット
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  15. © DMM.com
    事業と不確実性
    その事業で解決したい問題には、様々な解法があり、またその
    ディテールは多様な手法が取りうる。
    テーマとする問題空間と等方性
    事業の問題空間
    未来にどのような事態が発生するかは分からず、課題の解法
    の選択について、どれが正解かは予測することができない。
    日々、問題空間を探索しながら選択肢を枝刈りし不確実性を
    減らす。
    不確実性
    予測できない未来に対して、設定した問題へ正解を提示し続ける必要がある。 


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  16. © DMM.com
    Agilityとは
    誰もが一定の方向付けの元、細かく継続的に挑戦し続ける組織のあり方である。 

    「世界の変化のスピードがこれだけ速くなると、〈地図〉はもはや役に立たない。必要なのは〈コンパス〉です。」
    伊藤穰一氏インタビュー(
    https://wired.jp/2013/01/01/vol5-joiito/ )より
    細かく様々な施策を試しながら
    ゴール(=ビジョン)に向けて自
    律的に進んでいく。
    ゴールは明確な方向性を持っ
    て共有されており、誰もが同じ
    ように意思決定をできる。

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  17. © DMM.com
    Agilityが事業と人を強くする
    Agility 組織の方向づけ
    失敗のコントロール
    自立分散的かつ
    継続的な挑戦
    様々な挑戦を行っても十分な事業継続性、つまり
    ビジネスが死なない状況を作るための環境を用
    意していく。
    迷ったらどこに進むか、組織全体で同じ方向に進
    むための基準が明確になっている。誰もが同じよ
    うに考え、日々変化に対応できる。
    一人ひとりが自分で考え、組織のビジョンの達成
    のために常に改善し変化するための手を打ち続
    けている。
    不確実性と戦い成
    長する組織

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  18. © DMM.com
    ● 意味ある選択 = 探索し理解し知識となった選択肢
    ● 意味を得るには、意志を持って選択肢を作り、選び取
    り、そして振り返る必要がある。
    ● 未来は不確定、何が正解かもわからない中を突き進
    む。
    ● 未来へ進むためには、選択肢を作り出し、そして探索
    し選択する必要がある。
    ● 組織のビジョン(=コンパス)があっても、次の一歩を踏
    み出しうる範囲は広い。
    最も重要なのは「意志」
    組織の目指す方向
    取りうる選択肢とその枝刈り
    不確実性を最小化するために
    意味ある選択をする

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  19. © DMM.com
    探索の質は得られる情報量の大きさ
    ● その探索を行うことでどれだけ未来の選択肢
    を減らすことができるか。
    — Gunosyではいくつかの探索の中で「顧客
    にとってパーソナライズは有効だが、表
    面的には求めていない」という大きな選択
    をした。
    探索にはコストが必要
    ● 許容されるコストの中で、より多くの知識・情
    報を獲得する。
    — コストはお金だけでなく時間も。
    探索の量と質
    19
    多くの挑戦を行う中で問題空間を探索し情報を獲得、未来の選択肢を枝刈りを繰り返す。
    量と質
    探索の量により質の高い課題を設定可能に
    ● 初期は何をすればより多くの情報を得られそ
    うかすら分からない。
    ● とにかく多くの探索を行うことが問題の全容を
    ある程度掴むことに繋がる。
    — 全容を掴み、よりよい課題の設定を行
    い、質の高い探索を行う。
    量は質に転化する

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  20. © DMM.com
    社会
    会社・経営
    事業
    プロダクト
    システム
    • 多くのケースでは職位と比例して責任を持つ範囲
    が広がる
    • 1機能 〜最終的には社会に対しての責務
    • 責任を持つ = 不確実な中でも結果を担保する
    • 抽象度 = 情報が明確になっておらず、潜在的な
    要素でどれだけ未来が左右されるか、不確実性
    の大きさと言える。
    • 組織内の評価はより広い責務範囲の中で抽象度
    の高い課題を対処できるほど上がる
    • 不確実性の高い環境下で戦える仲間を組織は評
    価している = 課題解決力
    20
    立ち向かえる不確実性の大きさ = 課題解決力
    機能

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  21. © DMM.com
    領域に橋渡しをしよう
    • 多くのケースで問題は複数の領域にまたがる。
    • デザイン、フロントエンド、サーバサイド、インフ
    ラ、セキュリティ...etc
    • 営業、マーケティング、財務、人事 …etc
    • 領域と領域をつなぐことで、課題に対する解をより素
    早く提供できる。
    • つなげる人が価値を素早く形に変えていく。
    より多くの探索を行うためには、領域横断的な推進が必要。

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  22. © DMM.com 22
    T字でなく山のような専門性
    • 自分の技術を世に届けるために
    • 多くの技術はそれ単体でユーザーに届くことはない
    • 多くの技術スタックが絡み合って一つのアプリ
    ケーションへ
    • アプリケーションが寄り集まりプロダクトへ
    • プロダクトが集合して事業となる。
    • 自分の作ったものを継続性高く届けていくには自
    分の専門の周辺との連携が重要になっていく。
    • すべての領域ではなく自分の周辺をまずは知る。
    自分の専門

    自分の専門技術が関わる周辺領

    理解の深さ

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  23. © DMM.com
    松本の場合:初学者からCTO、そして今
    学生起業
    Gunosy開発
    CTO
    組織改革

    ひたすらプログラミン
    グ自体を武器化
    組織開発で大きなも
    のを作る
    経営と技術のあり方
    を武器とする
    今ある組織を変える
    力を獲得する。
    自分なりのポジションを
    見つける。
    iOS/Rubyが少し開
    発できる程度
    プロダクト全体を開
    発統括
    ● 増加する顧
    客に安定して
    価値を届け
    る。
    エンジニアリングと
    経営の交差点
    ● 事業や組織
    のマネジメン
    トに苦しみ学
    ぶ。
    これまでのノウハウ
    でテックカンパニー
    化へ
    ● あるべき姿と
    組織を導くこ
    とへの挑戦
    ソフトウェアと経営を
    武器に戦う
    ● 事業改善や
    DX文脈で多
    くの会社を支
    えたい。
    課題の抽象度の高さ
    技術も重要だが固執せずコード一行から会社経営まで広く戦ってきた。

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  24. © DMM.com
    テックカンパニーとは
    Agility高い組織を形作る
    24

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  25. © DMM.com
    テックカンパニーとは何ではないか
    技術者中心の会社であればテックカンパニーであるわけではない。
    技術を知っていることが一番偉い会社。
    手厚い福利厚生、きれいなオフィス。
    会社のメンバーの大半がソフトウェアエンジニア。
    完璧な設計、技術負債が無い。
    テックカンパニーのよくある誤解

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  26. © DMM.com 26
    テックカンパニーの土台
    事業の全てがソフトウェア・エンジニアリングで改善されるのがテックカンパニー。
    技術を交えた課題解決 

    ● 全ての事業や組織に関わ
    る仕組みを、特にソフトウェ
    ア・エンジニアリングで繋げ
    る。


    コード・計測

    ● DMMに関わる全てをコード
    で表現していく。

    ● システム化の先に全てを計
    測し、データとして保存。 

    技術指向・ソフトウェア化
    計測と事業モデリング 

    ● プロダクトだけでなく、組織
    に関わる全てを計測し、指
    標化し、連動する一つのモ
    デルとして表現する。 


    個別最適化

    ● 人では不可能なレベルの
    細やか、かつ自動的な最
    適化

    ● 結果としての省力化と改善
    の双方を達成する。 

    データドリブン
    イテレーティブな改善 

    ● 日々細かい検証ループを
    回しながら数多くの施策を
    試す。

    ● ABテストにより着実に改善
    を積み上げる。


    失敗を許容する

    ● 不具合等発生しても復旧可
    能であるレジリエントなシス
    テム。

    Agility

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  27. © DMM.com
    ソフトウェア中心な経営の全体像
    27
    ソフトウェア
    データ関連技術
    より多くの解を生み出す
    Agility
    より多くのデータ を
    生み出す
    機械学習により
    高度な自動化を提供
    ・スケーラビリティ の獲得
    ・レジリエンスの獲得
    ・客観指標の獲得
    ・科学的な事業推進 の提供

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  28. © DMM.com
    DMMの課題と
    テックカンパニー化
    日本の多くの組織が抱える技術活用の壁
    28

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  29. © DMM.com
    テックカンパニー化をミッションにCTOへ
    29

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  30. © DMM.com
    入社時点でのDMMの課題
    30
    ビジネスモデルや営業力に比べ、事業年数の経過もあってか技術活用が今一歩不足していた。 

    20年続くシステム

    ● またシステムの多くが長期間運用されており
    コード上の複雑度が上昇 


    事業と開発が長らく別会社運用 

    ● エンジニアリングによる事業改善の流れが不
    足していた。

    ● 営業とビジネスモデルの強さで成長。 


    事業部間のコミュニケーション 

    ● 各事業が各々独立して動いており、知見の共
    有、標準化が不足。


    技術と事業、および事業間の分離 定性的事業判断
    データによる定量性的分析の活用不足 

    ● 現代の事業はデータがその中心にあるべき。 

    ● 現状の社内では定性的な意思決定がほとん
    どだった。(後述)


    機械学習ベースの事業改善の不足 

    ● 情報配信 = 検索と機械学習の世界 

    ● 現状ではマニュアルに運用されている箇所が
    ほとんど。


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  31. © DMM.com
    よくある課題の分類
    Agilityある事業推進を妨げる様々な障壁。
    セクショナリ
    ズム
    心理的安全
    性の低さ
    複雑度の高
    いコード
    曖昧な
    方向性
    マネジメント
    力課題
    キャリア
    形成手段の
    不足
    受発注型
    開発組織
    定性的
    意思決定
    透明性の
    低さ
    Agilityの低下

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  32. © DMM.com
    テックカンパニーに
    変えていく
    Agilityの獲得のために
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  33. © DMM.com
    Tech Vision:文化が生まれる力場を作る
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    • 文化とは、一定の方向性へ進ませようとする
    暗黙的な行動指針・習慣
    • Agilityを高める重要なファクター
    • 文化は恣意的に作ることが難しい、一定の方
    向づけの中で自然に生まれる
    • 個々人が即応的な行動の中で方向づけされ
    るには、Whyを理解できる仕組みが必要
    • パッケージ = 行動指針を理解するために仕立
    てられた、現場の行動までを説明可能な一気
    通貫した分かりやすいストーリー
    誰もが同じことを言えるよう、理路整然としたストーリーを用意する。
    Mission
    Value
    Vision
    戦略
    作戦
    戦術
    兵站
    状況・環境・課題


    即応的かつ戦略に合致した
    アクション
    パッケージ

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  34. © DMM.com
    DMM Tech Vision
    34

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  35. © DMM.com 35

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  36. © DMM.com 36

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  37. © DMM.com 37

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  38. © DMM.com
    改革の現在地点:土を耕し芽吹いた
    ソフトウェア技術
    Agility高いプロダクト開発への進化
    ● Cloud Nativeな取り組み、SRE的な活動、シ
    ステム監視の強化、技術的負債への継続的
    な対応体制
    コミュニティ貢献
    社内外の技術者コミュニティへのサポート
    ● 多くのカンファレンスへのスポンサー提供、会
    場提供、社内勉強会の費用支援、海外渡航
    支援
    データサイエンス
    データによる科学的な事業貢献の推進・達成
    ● MLOps基盤のリリース、ABテスト文化、KPIモ
    ニタリング、パーソナライズ、不正検知など高
    度な自動化の推進
    人事・広報
    成長につながる様々な制度設計
    ● Tech Empowerment(環境整備や学習の支
    援)、コロナ禍に伴うリモートワーク環境整備
    支援金、評価制度刷新、経営陣の発信強化
    での透明性向上
    Tech Visionに掲げた様々な戦略が実行に移されAgilityの向上へつながっている。 


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  39. © DMM.com
    最後に
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  40. © DMM.com
    Agilityを高める基礎はソフトウェ
    アとデータにある
    ● どんな取り組みもソフトウェ
    アを中心に考える。
    — 計算機科学的思考
    物事に科学的に立ち向かう。
    ● データを駆使し、自動化し、
    様々な課題に対して実験
    主義的に取り組む。
    探索の量と質を考える
    ● より多くの挑戦を行うほど
    様々な知見が血肉となり新
    たな視界が拓ける。
    技術に縛られない
    ● 領域を横断して取り組むこ
    とでより多くの探索が可能
    になる。

    目の前の問題に自分で解を提
    供する
    ● 考えることの積み重ねが知
    識となり資産となる
    どこに向かうのか意識する
    ● 一定の方向性を持ち続け
    ることで積み上がる資産の
    質が向上し続ける。
    40
    最後に:人生でも事業でもAgilityを大切にする
    コンパスを持ち、自分や事業の地図を書く。
    自分の意志を持つ 探索し続ける ソフトウェアと共に

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  41. DMMの40を超えるサービスから技術的な課題を提示します。挑戦してみたい課題を選択し解決に導いてください。
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    ・7月12日(日)までにエントリーをお願いします。
    ・非公開ページにつき、 SNSでの拡散はお控えください。
    ・リンク(下記URLもしくはQRより)
     https://dmm.snar.jp/entry.aspx?entryid=5d38d395-f37d-4319-96c6-d9b7808b61cc

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