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200903_kaitenkikenkyukai

yuki
September 03, 2020
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September 03, 2020
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  1. 3 研究背景と目的 ◼ 背景 ✓ 自動車駆動用モータとして埋込磁石同期モータ(IPMSM)が主流 ✓ 自動車駆動用IPMSMは,FEMを用いた形状最適化設計において 複数の速度・トルク点の考慮,パラメータの非線形性等から 長時間を要する

    ◼ 目的 ✓ 機械学習を用いて構造と運転特性の関係を表す数理モデルを構築 ✓ 汎用モデルではなく特定の形状に特化したモデルを作成し 学習データのFEM解析も含めた総最適化計算時間を短縮 速度 トルク IPMSM構造の例 速度ートルク特性 関係を学習
  2. 5 使用する機械学習手法 ✓ 3つの機械学習手法を使用 リッジ回帰 𝑥 𝑦 ො 𝑦 =

    𝑓 𝑥 ✓ 線形回帰分析の一種 ✓ 通常最小二乗法の誤差関数に 過学習防止用の正則化項が含まれる サポートベクター回帰(SVR) ✓ ノイズに強い回帰手法 ✓ カーネル関数にガウシアンカーネルを用いる ことで,非線形性を表現 𝑥 𝑦 ±εのノイズは無視 非線形性も表現可能 +𝜀 −𝜀 0 XGBoost ✓ 勾配ブースティングの一種 ✓ 複数の回帰木を弱学習器とした アンサンブル学習 (回帰木) 境界を引いて 値を決定する 𝑥 𝑦
  3. 7 対象とする2層IPMSM ✓ 本研究の基本構造は筆者らが文献(1)で提案した 永久磁石を2層に配置した自動車駆動用IPMSMとする 表 モータ諸元 Item (Unit) Value

    Number of pole/slot 8/48 Winding method distributed Stator diameter (mm) 264 Rotor diameter (mm) 160.4 Air gap length (mm) 0.75 Shaft diameter (mm) 51 Stack length (mm) 50 Winding resistance* (Ω) 0.129 Maximum phase current (A) 134 Maximum terminal voltage (V) 507 * 温度条件は180°Cに設定 図 2層IPMSMの断面図 Rotor core Stator core Permanent magnet (1)清水ほか:「新規磁石材料を用いた自動車駆動用IPMSMの特性に及ぼす磁石配置と鉄心材料の影響」,電学論D, Vol. 137, No. 5, pp. 437-444 (2017)
  4. 8 図1 設計変数の設定 d 9 d 8 (r 1 ,θ

    1 ) d 2 ※軸中心を 原点とした 極座標 学習用データの形状生成と解析条件 ✓ 2層IPMSMのロータ形状を基本として設計変数を設定 ✓ 形状を上下限値内で乱数生成して特性解析 ✓ 上下限値は設計不可能な形状が生成されないように d 1 から連鎖的に設定 解析条件 モデル数: 400形状 相電流: 134,105,75,45,15A 電流位相: 0,40,60,85deg ケース数: 400×5×4=8000ケース 総解析時間: 67.9時間 生成形状の例
  5. 9 学習するモータ特性 下記のトルク式と速度式を用いて 最大出力制御を実施 𝑇 𝑎𝑣𝑔 = 𝑃𝑛 𝛹𝑎 𝐼𝑎

    cos 𝛽 + 1 2 𝐿𝑞 − 𝐿𝑑 𝐼 𝑎 2 sin 2𝛽 𝑁 𝑙𝑖𝑚 = 𝑉 𝑎𝑚 − 𝑅𝑎 𝐼𝑎 𝛹 𝑎 − 𝐿𝑑 𝐼𝑎 sin 𝛽 2 + 𝐿𝑞 𝐼𝑎 cos 𝛽 2 ✓ N-T特性を予測するため,各電流ベクトル条件における モータパラメータを学習する N-T特性 ロータ形状 学習 算出 N T モータパラメータ L d, L q β I a Ψ a I a 永久磁石による 電機子鎖交磁束 d,q軸インダクタンス 𝛹 𝑎 = 𝑓 𝐼 𝑎 , 𝐱 geom 𝐿 𝑑 = 𝑔 𝐼 𝑎 , 𝛽, 𝐱 geom 𝐿 𝑞 = ℎ 𝐼 𝑎 , 𝛽, 𝐱 geom ロータ形状,電流条件と パラメータの関係を学習 𝐼 𝑎 : 電機子電流 𝛽: 電流位相 𝐱 geom : 設計変数ベクトル 𝑃 𝑛 : 極対数 𝑅 𝑎 : 巻線抵抗 𝑉 𝑎𝑚 : 電機子電圧制限値
  6. 11 学習結果;学習データに対する予測精度 ✓ 非線形性を表現できるSVRとXGBoostが高精度 ✓ 極端な過学習は生じていない 学習手法 学習対象 総学習時間 (ハイパーパラメータ

    の調整時間を含む) 決定係数 R2 (淡赤色:0.999以上) 訓練データ (80%) テストデータ (20%) リッジ 回帰 𝛹 𝑎 2.23秒 0.968 0.969 𝐿 𝑑 0.882 0.887 𝐿 𝑞 0.936 0.935 SVR 𝛹 𝑎 30.3 分 1.000 1.000 𝐿 𝑑 1.000 0.999 𝐿 𝑞 0.999 0.998 XGBoost 𝛹 𝑎 4.0 分 1.000 1.000 𝐿 𝑑 1.000 0.997 𝐿 𝑞 1.000 0.999 表1’ 各学習器の学習時間と精度比較
  7. 13 諸特性の予測精度;d,q軸インダクタンス ✓ d,q軸インダクタンス共にSVRが最も高精度 図3 インダクタンス特性の予測結果 電流位相 (°) q軸インダクタンス (mH)

    相電流134A 相電流30A 電流位相 (°) q軸インダクタンス (mH) d軸インダクタンス (mH) 相電流134A 相電流30A 電流位相 (°) 電流位相 (°) d軸インダクタンス (mH)
  8. 14 ✓ SVRが幅広い速度・トルク領域で,高い精度の特性予測が できている(トルク誤差ワースト:3.8%@MTPA,134A) 諸特性の予測精度:速度ートルク特性 相電流制限30A トルク (Nm) 速度(min-1) 図4

    速度ートルク特性の予測結果 図5 速度,トルクの予測誤差率 (基底速度以降のみ表示) 相電流 制限30A 速度誤差(%) トルク誤差(%) 相電流制限134A 速度誤差(%) トルク誤差(%) ※予測値はFEMと同じ電流ベクトル 条件で計算
  9. 16 SVRと実数値GAによる磁石量最小化 ✓ 最も高精度であったSVRと実数値GAを組み合わせて 磁石量最小化を実施 実数値交叉 UNDX-m 世代交代モデル JGG 終了条件

    100世代連続で0.005以上の 評価値更新がない場合に停止 次元数 n 11(設計変数の数) 個体数 n pop 23n = 253 子個体数 n c 8n = 88 表 実数値GAの詳細 開始 初期集団の乱数生成 満足しない 終了 満足する 親個体の選択 UNDX-mによる子個体の生成 形状制約による子個体の修正 SVRによる評価値の計算 最良個体の選択 終了条件を満足? 評価関数 𝑓𝑖𝑡𝑛𝑒𝑠𝑠 = 𝑉(𝐱 geom ) 𝑉 𝑖𝑛𝑖𝑡 + 𝑃(𝐱geom ) 𝑉(𝐱 geom ): 磁石量 𝑉 𝑖𝑛𝑖𝑡 : 従来形状の磁石量(100cm3) 𝑃(𝐱 geom ): ペナルティ関数 (次スライドで説明)
  10. 17 実数値GAの制約条件 ✓ 磁石量最小化の制約条件としては 設計変数の上下限制約とトルク制約の2つを設定 ( ) ( ) (

    ) if if other upr c upr modified lwr c lwr c x x x x x x x x     =      x 形状制約 x upr x lwr x c 制約外 は修正 トルク制約 𝑃 𝐱geom = max 0, 𝑇1 − 𝑇𝑝𝑟𝑒𝑑1 + max 0, 𝑇2 − 𝑇𝑝𝑟𝑒𝑑2 𝑇1,2 : 要求トルク 𝑇𝑝𝑟𝑒𝑑1,2 : SVRによる トルク予測値 N T P 2 11000min-1 P 1 40Nm 197Nm 3000min-1 未達時に ペナルティ として加算 SVRによる 予測特性 T pred1 T pred2 開始 初期集団の乱数生成 満足しない 終了 満足する 親個体の選択 UNDX-mによる子個体の生成 形状制約による子個体の修正 SVRによる評価値の計算 最良個体の選択 終了条件を満足?
  11. 18 世代 磁石量 (p.u.) 図7 最良個体の磁石量推移 最良個体 214世代,V=0.567 計算時間:3.6時間 評価値計算数:19085個体

    形状最適化の結果 ✓ 最適化の結果,制約条件を満たしながら 43.3%の磁石量低減を達成 ✓ SVRを用いることで,計算時間を50分の1以下にまで短縮 SVRを用いた最適化 学習データ解析時間: 67.9時間 SVR学習時間: 0.5時間 最適化計算時間: 3.6時間 総計算時間: 72.0時間 FEM解析による最適化 最適化計算時間(概算): 19085個体×12.4分=3.94×103時間 従来構造の評価値 計算時間
  12. 19 最良個体のSVR予測精度 ✓ 最良個体ではSVRの 最大トルクの予測誤差により P A で駆動できない ✓ 原因はq軸インダクタンスの

    予測精度が低下したこと 項目 (単位) FEM解析値 予測値 予測誤差 (%) 電流位相 (°) 51.0 52.2 2.4 永久磁石による電機子鎖交磁束 (Wb) 0.1053 0.1070 1.6 d軸インダクタンス (mH) 1.000 1.004 0.4 q軸インダクタンス(mH) 2.198 2.313 5.2 マグネットトルク (Nm) 61.5 60.9 -1.1 リラクタンストルク (Nm) 126.9 136.7 7.7 平均トルク (Nm) 188.5 197.5 4.8 P A P B I em = 134 A トルク (Nm) 速度(min-1) 表3 最大トルク時の諸特性のSVRによる予測誤差 図8 最良個体の速度ートルク特性
  13. 20 SVR予測精度低下の要因 ✓ 最良個体は従来形状に比べ 設計変数空間内で データ密度の低い領域に生成 ✓ 学習データ密度を改善すると 予測精度も向上すると推定 従来形状

    最良個体 近傍データまでの距離 近傍データまでの距離 図9 設計変数空間内における近傍学習データまでのユークリッド距離 (標準化後の値から計算) 設計変数1 設計変数2 学習データ 最良個体 近傍データ までの距離
  14. 22 まとめと課題 ◼ まとめ ✓ 2層構造IPMSMの設計変数と電流ベクトル条件から 機械学習手法を用いてモータ特性を予測 ✓ FEM結果との比較から,SVRが最も高精度 ✓

    SVRを用いて磁石量最小化を行うと,FEM解析を用いた 最適化に比べて,総計算時間が50分の1以下にまで短縮 ✓ しかし,最良個体が学習データ密度の低い箇所に生成され 最大トルクの予測精度が低く制約条件の一つを満足しない ◼ 課題 ✓ 学習データ密度という観点から 予測精度の向上,学習データ数の低減を図る