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自己組織化系のベイズ力学

ymgc
October 09, 2024

 自己組織化系のベイズ力学

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October 09, 2024
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  1. 目次 1. 導入 2. 自由エネルギー原理 (FEP) 3. 自己組織化システムのベイズ力学 4. 神経科学への応用

    5. 神経生物学におけるベイズ力学の実験的検証 6. 普遍的機械の進化的出現 7. まとめ 2
  2. 用語 変分自由エネルギー: 系の状態の不確実性を表す量。最小化することで、系は環境に適応する。 ▶ 生成モデル: 観測データが生成されるプロセスを表現する確率モデル。 ▶ ベイズ推論: 事前確率と観測データから事後確率を推定する確率推論の方法。 ▶

    ランジュバン方程式: 確率的微分方程式の一種。系の動力学を記述するのに用いられる。 ▶ ハミルトニアン: 系の全エネルギーを表す関数。系の動力学を記述するのに重要。 ▶ STDP (Spike-Timing Dependent Plasticity): 神経細胞間の発火タイミングに依存したシナプス可塑性。 ▶ 正準的ニューラルネットワーク: 一般的なニューラルネットワークを簡略化した基本的なモデル。 ▶ ヘブ則: "共に発火するニューロン同士は結合が強化される"という学習則。 ▶ ハミルトニアンマッチング: 系の内部ダイナミクスと環境のダイナミクスが一致すること。 ▶ 能動推論: 行動を通じて環境に働きかけながら推論を行うプロセス。 ▶ 4
  3. リサーチの根本的動機 中心的な問い 生物のような人工知能の創造 ▶ 生物の知能を理解することが、より高度な人工知能開発への鍵 - 生物の知能の本質的原理の解明 ▶ 知性の創発の根底にある潜在的なメカニズムの解明 -

    学習、適応、意思決定メカニズムの統一的理解 - 生物の脳が機械より優れている点の特定 ▶ エネルギー効率、汎用性、柔軟性などの観点からの比較 - 6
  4. 自由エネルギー原理の構成要素 隠れ状態 :直接観測できない環境の真の状態 ▶ 観測 :感覚器官を通じて得られる情報 ▶ 事後信念 :観測に基づく隠れ状態の推定 ▶

    パラメータ :生成モデルのパラメータ(学習対象) ▶ 生成モデル :環境と観測の関係を表す確率モデル ▶ 10
  5. 自由エネルギー原理 数学的表現: ▶ 自由エネルギー - 期待自由エネルギー :将来の行動に関する評価関数 - 応用範囲: ▶

    知覚:感覚入力からの環境状態の推論 - 学習:生成モデルのパラメータ更新 - 行動:自由エネルギーを最小化する行動の選択 - これらの統一理論としての機能 - 11
  6. 自己組織化システムのベイズ力学 数学的展開: ▶ ハミルトニアンの定義: - - 虚時間 の導入:実時間 との関係 -

    経路の動力学: ( はガウシアンノイズ) - ヘルムホルツエネルギーの最小化として表現 - 14
  7. 自己組織化システムのベイズ力学 重要な発見と含意: ▶ ヘルムホルツエネルギー と変分自由エネルギー の自然な等価性 - for when encodes

    - この等価性が示唆するもの: - 外部動力学の再現が神経系の固有の特徴であること - 自己組織化系の振る舞いがベイズ推論として解釈可能であること - 15
  8. ニューラルネットワークと変分ベイズの詳細な比較 部分観測マルコフ決定過程(POMDP)とニューラルネットワークの対応 ▶ 隠れ状態 ニューロン活動 - 観測 感覚入力 - パラメータ

    シナプス結合強度 - 隠れ状態の推論: ▶ ニューロン活動の更新則に対応 - パラメータ学習: ▶ ヘブ則に基づくシナプス可塑性に対応 - 18