Upgrade to Pro
— share decks privately, control downloads, hide ads and more …
Speaker Deck
Features
Speaker Deck
PRO
Sign in
Sign up for free
Search
Search
Perl1.0 Deep Drive 0.01
Search
AnaTofuZ
August 09, 2025
Technology
0
130
Perl1.0 Deep Drive 0.01
ShizuokaTECH#1
でのトークです
AnaTofuZ
August 09, 2025
Tweet
Share
More Decks by AnaTofuZ
See All by AnaTofuZ
k1LoW/deckのすすめ
anatofuz
0
150
Rubyの国のPerlMonger
anatofuz
3
900
Pythonで爆速でHello, World!する
anatofuz
0
78
思いつきで推しの誕生日記念コンテンツを2日で作る技術
anatofuz
0
120
AWSで雰囲気でつくる! VRChatの写真変換ピタゴラスイッチ
anatofuz
0
320
令和最新版 Perlコーディングガイド
anatofuz
5
7k
rakulangで実装する! RubyVM
anatofuz
6
3.6k
沖縄の大学で育った学生がエンジニアになるまで
anatofuz
2
6.1k
OpenAPI Generator Perl Clientでも型チューニングしたい!!
anatofuz
0
390
Other Decks in Technology
See All in Technology
低リスクで小学生男児を鍵っ子にする 俺の勉強会#4
inakaphper
0
200
わいわいClaude Code アイスブレイクLT iOSDC2025 Day2 アンカンファレンス
hiragram
0
100
#普通の文系サラリーマンチャレンジ 自分でアプリ開発と電子工作を続けたら人生が変わった
tatsuya1970
0
440
Railsアプリケーション開発者のためのブックガイド
takahashim
5
2.6k
サーバなしで対戦ゲームが作れる!? 純正フレームワークで実現するリアルタイム通信
kuromelon257
0
670
7 Levels of a Web Performance Journey
sergeychernyshev
0
110
Flaky Testへの現実解をGoのプロポーザルから考える | Go Conference 2025
upamune
1
180
Создание мультиагентной системы на базе AI Studio
shwars
0
170
ブラウザのAPIで色々なデバイスをあれこれ扱ってみた話(主にWeb HID API) / IoTLT @JLCPCB オープンハードカンファレンス
you
PRO
0
120
Breaking the Paywall to Build In-App Purchases Securely
sohsatoh
0
460
AI時代に活躍できるエンジニアとは #弁護士ドットコム
bengo4com
0
220
Windows で省エネ
murachiakira
0
100
Featured
See All Featured
Why Our Code Smells
bkeepers
PRO
339
57k
ピンチをチャンスに:未来をつくるプロダクトロードマップ #pmconf2020
aki_iinuma
127
53k
Java REST API Framework Comparison - PWX 2021
mraible
33
8.8k
How to Think Like a Performance Engineer
csswizardry
27
2k
Speed Design
sergeychernyshev
32
1.1k
KATA
mclloyd
32
14k
The Web Performance Landscape in 2024 [PerfNow 2024]
tammyeverts
9
830
GraphQLとの向き合い方2022年版
quramy
49
14k
CSS Pre-Processors: Stylus, Less & Sass
bermonpainter
358
30k
The Cost Of JavaScript in 2023
addyosmani
53
8.9k
The Power of CSS Pseudo Elements
geoffreycrofte
78
6k
Rebuilding a faster, lazier Slack
samanthasiow
84
9.2k
Transcript
2025/08/10 ShizuokaTECH#1 八雲アナグラ (@AnaTofuZ) Perl1.0 Deep Drive 0.01
2 • 八雲アナグラ(@AnaTofuZ) • 株式会社コードタクトでRailsエンジニアをしています • 山梨県甲府市でリモートワーク ◦ 沖縄と京都にもいました •
Kofu.rb / Houtou.pm • Perl生まれPerl育ちです • 伊豆と清水によくいきました ◦ 東海大学海洋科学博物館 ◦ いのしし村 my $self = shift;
3
4 【PR】山梨にもきてくれ !!!(今熱いぞ!!) • Kofu.なんか ◦ 2025/08/16 クラフトビール屋さんでやるテックトーク • Kofu.rb
◦ 2025/08/23 TRICKを見る会 • Otsuki.なんか ◦ 2025/10/11 古民家でのノンジャンルトークイベント
5 • 今年のはじめにRubyの会社に転職した ◦ 今まではPerlやTypeScriptがメイン • Rubyの勉強をする必要がある ◦ Perlは得意 ▪
なら得意なPerlをRubyで作れば最強なのでは...!? • 現存する最古のPerlことPerl1.0をRubyで実装してみる • というのを今やっているのですが、そこでわかったPerl1.0についての話で す ◦ 移植の話しようとしたら15分では足りなかった Perl1.0再考
6 • 今はPerl5.42 ◦ 究極 • ずっとPerl5のままだがPerl1 ~ Perl4の時代もあったことがある ◦
1994年からPerl5 Perl
7 • 1987年12月18日にリリース • 驚くべきことにGitHubでソースコードが見れる ◦ メンテナンスされているバージョンも ▪ https://github.com/AnaTofuZ/Perl-1.0 ◦
DockerHubにもあるのでdockerでも動く • 文字列と文字列の配列、実験的機能で連想配列がサポート Perl1.0
8 • 置換 • 基本正規表現 • リスト操作 ◦ shift, unsfhit,
pop, push • サブルーチン • for文 結構いろいろある
9 • レキシカル変数 ◦ グローバル変数しかない • わかりやすいコード解説 ◦ そもそもK&R Cなので最近のCとも違う
◦ 最近はAIが出たのであんまり問題ではなくなった ないもの
10 • スコープがなく全部グローバル変数なのでfor文を抜けてもアクセスできる for文で配列を初期化するやつ
11 • Perl1.0を極力模倣して再実装したいのでPerl1.0の中身を見ていく必要が ある • 動くバイナリがあると便利なので一旦ローカルでビルドを通してみる ローカルビルド
12 • macOS(LLVM/clang環境)だとそのままだとコンパイルが通らない ◦ Linux環境(gcc)だと通る状態 • 動くようにパッチをつくった 昨日メンテナンスしました
13 • C言語の様々に対応する必要がある ◦ ビルド時のオプションで制御できるものとコードに手をいれるものの2 択 ◦ -Wno-implicit-function-declaration ▪ clangだと関数を使う前に宣言が必要だがなくても動くようにする
macOSで動くようにメンテナンス
14 • macOSだと/usr/includeや/usr/libがない ◦ /Library/Developer/CommandLineTools/SDKs/MacOSX. sdk/以下にあるのでこれを指定 macOSで動くようにメンテナンス
15 macOS使うの久々だったのでググったら自分のエントリが出てきた 自分のブログは便利
16 だいたい返り値の型がおかしいので指定すればよい 動くようにパッチをあてる
17 • #define DEBUGGINGの後ろに1をつけるとデバッグモードでビルドでき る • perlの起動オプションに-Dが追加される ◦ ./perl -D123
hoge.plのようにDの次に有効化したいデバッグ フラグに対応したビット列を渡す • 一部のデバッグモードでセグフォが起こるが基本はこの対応でビルドでき た デバッグモード
18 • 字句解析 ◦ 入力されたコードをトークン(意味ある単位)ごとに分割 • 構文解析 ◦ トークンを元に文法と照らし合わせてASTを作る •
実行 ◦ ASTを実行する 一般的なプログラミング言語の処理フロー
19 • 字句解析部分を手書き • 構文解析はYacc(Bison)を利用 ◦ 完全にフェーズが別れているわけではなく構文解析から字句解析を 呼び出す • 実行はASTを直接取り回す
◦ これはPerl5でも同様 Perl1.0においては
20 $が現れたらscanregした値を設定しREGトークンとして切り出す レキサー
21 @が現れたらcanした値を設定しREGトークンとして切り出す レキサー
22 リストを作る()などはトークンそのものが記号(char文字) 記号とトークンが一致するケース
23 • Perlの文法上数値はクォーテーションが不要 ◦ 数値がトーカナイズされたら以降は文字列読み取りモードに移行する リテラルのトーカナイズ
24 • Perlは"で変数を囲むと中身が展開される • Perl1.0ではデフォルトでは"は'であるとフラグをつける ◦ 読み取る文字列の中に$などがあればダブルクォーテーションモード に変更 ダブルクォーテーションおもしろポイント
25 Ruby製のパーサージェネレーターのLramaを使うとダイアグラムで表示でき る Perl1.0の文法規則
26 • bundle exec lrama --diagram perl.yするといい感じにHTML が生成される • https://anatofuz.net/perl-1.0-diagram/で見れるぞ!!
Perl1.0の文法規則
27 • 代入はsetexprとして定義されている 代入文
28 • 代入はsetexprとして定義されている • setexprはtermだけも含む 代入文
29 • termはREG(変数)やRSTRING(文字列)がマッチする ◦ 代入文の規則がここで判明する 代入文
30 こういう感じ
31 文法解析を見てみる
32 パースすると
33 • cmd ◦ 制御構造(basic block)単位を表現 • arg ◦ 実際の式や演算子を表現
▪ cmdにおける引数としての意味合い ◦ いわゆる値っぽいものはすべてこれ ASTの仕組み
34 基本ブロック!! cmd
35 いわゆるif文はサブタイプでtrueかそれ以外をリストしている cmd
36 • ちょっとわかってきましたね(???) • わかってきたので改造をしてみます Perl1.0わかってきた
37 • do/endでのブロックを作る構文にしてみる Perl1.0をRubyライクにする
38 • もともとPerlにはdoが意味を持つキーワードとして定義されている • endだけ定義しなおせばいい do
39 新定義
40 レキサーで endをキャプチャする
41 • もともと{}がPerlのブロック • 同じ処理block_headを使うといい感じにブロックに ブロックに対応させる
42 こういうのが動くように !!
43 • Perl1.0 Deep Driveした • 絶賛移植しているので別の機会に続きはご期待 まとめ