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プロダクト開発を支えるデータ利活用:中央集権から「民主化」までの軌跡

 プロダクト開発を支えるデータ利活用:中央集権から「民主化」までの軌跡

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July 28, 2025
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  1. © 2025 ANDPAD All Rights Reserved. Confidential Confidential 2 自己紹介

    2021年3月:名古屋大学大学院工学研究科卒業 2021年4月:新卒でデータ分析に特化したSIerにジョインし、データ サイエンティストとして大手小売企業向けの需要予測モデルの構築/ チームリーダーとしてPJ推進 2023年6月:アンドパッドにデータ部Data Drivenのデータアナリス トとしてジョイン。PMMやPdM向けのデータ利活用PJの立ち上げか ら携わり、PJM兼エンジニアとして、ログ設計からDWH・BI構築、 データ民主化を実施。 X:@mita08971 三田村 和樹(Kazuki Mitamura) 開発本部/データ部/Data Driven データアナリスト Profile | 経 歴
  2. © 2025 ANDPAD All Rights Reserved. Confidential Confidential 3 アジェンダ

    • プロダクト紹介 • データ基盤の全体像 • プロダクトT向けデータ利活用での取り組みの変遷まとめ • 中央集権(PMM向けデータ利活用PJ) ◦ 活用事例 ◦ 工夫 ◦ 課題 • 民主化(プロダクトT向け) ◦ 背景と目的 ◦ 施策 ◦ 成果 • 今後の取り組み • 参考資料 • 採用告知
  3. © 2025 ANDPAD All Rights Reserved. Confidential Confidential 4 プロダクト紹介

    社内 現場 営業 / 監督 / 設計 事務 / 管理職 職人 / 業者 メーカー / 流通 現場の効率化から経営改善まで一元管理できる クラウド型建設プロジェクト管理サービス 施工管理 チャット 図面 引合粗利管理 検査 黒板 受発注 API 連携 3D スキャン デジタル サイン機能 豆図 AI キャプチャ機能 BIM ボード 資料承認 おうちノート
  4. © 2025 ANDPAD All Rights Reserved. Confidential Confidential 6 セクター

    カバーするセクターの開拓も加速 注文住宅 設備工事 マンション修繕 ディスプレイ ゼネコン 分譲住宅 リフォーム
  5. © 2025 ANDPAD All Rights Reserved. Confidential Confidential Vertical SaaS

    がゆえに業界の上流から下流まであらゆるデータが蓄積されている。 このデータを活用して「プロダクト企画からグロースの一連の全工程で、機能の利用度評価、施策への合 理的な意思決定」ができるようにデータ部がデータ利活用PJを推進中 7 プロダクトとデータ 業界 Vertical SaaS 業界や業種に特化 流通 医療 建設 製造 金融 施工管理 チャット 図面 引合粗利管理 検査 黒板 受発注 etc. ANDPAD プロダクト群 ANDPAD データ 図面 各種ドキュメント 現場写真 チャット Image: Flaticon.com
  6. © 2025 ANDPAD All Rights Reserved. Confidential Confidential 8 本イベントで紹介するPJのデータ基盤の構成イメージ

    ANDPAD CHAT 図面 ボード 検査 入退場管理 受発注 引合粗利管理 資料承認 3Dスキャン 早受取 リモート通話 請求管理 立替払 API連携 アプリマーケット BIM おうちノート管理 おうちノート 黒板 豆図AIキャプチャー 黒板AI作成 Salesforce ANDPADプロダクト群 S3など lake BigQuery warehouse BigQuery mart BigQuery app BigQuery Dataform Analytics BigQuery 構成 詳細 lake RDSなどのテーブルをそのまま移したもの warehouse lakeのテーブルを加工し、分析に使いやすくしたもの mart データを集計したもの app BIなどから直接参照するもの ・DB ・リクエストログ ・行動履歴ログ データソース データ収集 データ加工 分析/利活用 プロダクトの数が現在進行形で増加しているため、拡大に耐えられるようなデータ基盤・データモデリン グを導入し、日々改善を重ねている。 参照:DataWareHouse,DataMartを整備して分析がやりやすくなった話 ETLツール
  7. © 2025 ANDPAD All Rights Reserved. Confidential Confidential 9 プロダクトT向けデータ利活用での取り組みの変遷まとめ

    中央集権 各プロダクトTのPMMが窓口となり、データ部と要件定義をし、デー タ部がダッシュボードを開発し、プロダクトT内で活用 As-Is • データ部/PMMともにどんなデータを見るべきか、どのよう にデータを活用すべきかイメージが湧いていない状態 To-Be • どんなデータを見るべきか、どのようにデータを活用したら よいかの知見がデータ部/PMMに溜まった状態 • PMMのデータの要件定義力がかなり高い状態 課題 • データ活用の需要 >> 供給となりデータ部のデータ提供に時 間が掛かる。 民主化 プロダクトTがデータ部から自立してデータ活用できるように権限付 与、ガイドライン整備、データ活用勉強会の実施。 To-Be • プロダクトTがデータ部から自立してデータ活用ができる基盤 ができた状態 • プロダクトT自身による分析が始まり、データ部の役割は「高 度な相談役」へと進化 課題(今後の取り組み) • ナレッジの共有と活用促進/品質・コスト・リテラシーの強化 これまでPJ内で中央集権的にデータ部がデータ提供・ナレッジ蓄積をする体制を取ってきたが、データ活用の需要過多によ りプロダクトT(特にPMM、PdM)が自立してデータ活用ができるような体制が必要となり、データ民主化に取り組んだ。 ※PMM=プロダクトマーケティングマネージャー
  8. © 2025 ANDPAD All Rights Reserved. Confidential Confidential 10 アジェンダ

    • 自己紹介 • 会社概要/プロダクト紹介 • データ基盤の全体像 • プロダクトT向けデータ利活用での取り組みの変遷 • 中央集権(PMM向けデータ利活用PJ) ◦ 活用事例 ◦ 工夫 ◦ 課題 • 民主化(プロダクトT向け) ◦ 背景と目的 ◦ 施策 ◦ 成果 • 今後の取り組み • 参考資料 • 採用告知
  9. © 2025 ANDPAD All Rights Reserved. Confidential Confidential 11 中央集権(PMM向けデータ利活用PJ):活用事例

    データ部が対応する中で、「データに基づくプロダクト企画・優先度決定」、「新機能の利用状況と効果測定」、 「CS(カスタマーサクセス)のオンボーディング業務支援」という事例が多く、それぞれにおいて見るべき指標/型 が次第に見えてきた。 参照:アウトカム重視のデータ利活用 〜PMM向けプロジェクトでの工夫と成果〜 データに基づくプロダクト企画・優先度決定 • ユーザー課題の定量的な発見・検証 • 新機能のターゲットや影響範囲の調査 新機能の利用状況と効果測定 • 想定ユーザーや想定ユースケースとの現実とのギャップ検証 • 開発成果の評価と次のアクションへ接続 CSのオンボーディング業務支援 • PMMからCSへのオンボーディング業務移管を支援 • 多数のCSメンバーによるOB業務のスケールを実現 例)セクター別企画中新機能のターゲット割合 例)ユーザー別機能利用度 例)取引先別機能利用度
  10. © 2025 ANDPAD All Rights Reserved. Confidential Confidential 12 中央集権(PMM向けデータ利活用PJ):工夫

    「ナレッジ蓄積」、「開発依頼の質の向上」、「成果物の質の向上」のために成果物へのフィードバック の必須化・一元管理化実施。過去に作成した成果物へのフィードバックをいただく時間を毎週の定例の中 に組み込んだ。 参照:アウトカム重視のデータ利活用 〜PMM向けプロジェクトでの工夫と成果〜 ダッシュボードフィードバック一覧イメージ
  11. © 2025 ANDPAD All Rights Reserved. Confidential Confidential 13 中央集権(PMM向けデータ利活用PJ):FB例1

    参照:アウトカム重視のデータ利活用 〜PMM向けプロジェクトでの工夫と成果〜 「データに基づくプロダクト企画・優先度決定」に該当するケース データに基づくプロダクト企画・優先度決定 • ユーザー課題の定量的な発見・検証 • 新機能のターゲットや影響範囲の調査 例)セクター別企画中新機能のターゲット割合
  12. © 2025 ANDPAD All Rights Reserved. Confidential Confidential 14 中央集権(PMM向けデータ利活用PJ):FB例2

    参照:アウトカム重視のデータ利活用 〜PMM向けプロジェクトでの工夫と成果〜 「新機能の利用状況と効果測定」に該当するケース 新機能の利用状況と効果測定 • 想定ユーザーや想定ユースケースとの現実とのギャップ検証 • 開発成果の評価と次のアクションへ接続 例)ユーザー別機能利用度
  13. © 2025 ANDPAD All Rights Reserved. Confidential Confidential 15 中央集権(PMM向けデータ利活用PJ):FB例3

    参照:アウトカム重視のデータ利活用 〜PMM向けプロジェクトでの工夫と成果〜 「CSのオンボーディング業務支援」に該当するケース 参照:アウトカム重視のデータ利活用 〜PMM向けプロジェクトでの工夫と成果〜 CSのオンボーディング業務支援 • PMMからCSへのオンボーディング業務移管を支援 • 多数のCSメンバーによるOB業務のスケールを実現 例)取引先別機能利用度
  14. © 2025 ANDPAD All Rights Reserved. Confidential Confidential 16 中央集権(PMM向けデータ利活用PJ):工夫

    成果物へのフィードバックの必須化・一元管理化により下記の効果があった。 参照:アウトカム重視のデータ利活用 〜PMM向けプロジェクトでの工夫と成果〜 ナレッジ蓄積 As-Is To-Be ナレッジが依頼者1人に属人化し、蓄積されない フィードバックシートへの一元化により、全メンバーがナレッジにアクセス可能 成果物の質 As-Is To-Be ナレッジがないため、事業貢献に繋がるような成果物が出せない 過去のフィードバックの内容を元にPDCAサイクルを回し、成果物の質が改善 開発依頼の質 As-Is To-Be 使われないダッシュボードが発生 使えない成果物の作成依頼をしてはいけないという空気感 このような積み重ねによりデータによる事業貢献が次第にできるようになった
  15. © 2025 ANDPAD All Rights Reserved. Confidential Confidential 17 中央集権(PMM向けデータ利活用PJ):課題

    データ活用の需要 >> 供給となりデータ部の実装時間がデータ活用のボトルネックに...
  16. © 2025 ANDPAD All Rights Reserved. Confidential Confidential 18 アジェンダ

    • 自己紹介 • 会社概要/プロダクト紹介 • データ基盤の全体像 • プロダクトT向けデータ利活用での取り組みの変遷 • 中央集権(PMM向けデータ利活用PJ) ◦ 活用事例 ◦ 工夫 ◦ 課題 • 民主化(プロダクトT向け) ◦ 背景と目的 ◦ 施策 ◦ 成果 • 今後の取り組み • 参考資料 • 採用告知
  17. © 2025 ANDPAD All Rights Reserved. Confidential Confidential 19 民主化(プロダクトT向け):背景と目的

    背景①:課題 • データ部への需要集中と遅延 ◦ データ部への分析依頼が供給を大幅に上回り、PMMが必要なデータをタイムリーに得られない状況 • データ構造の複雑さという「壁」 ◦ プロダクト数テーブル数が多く、ロジックも複雑なため、PMMが独力でSQLを書き、集計することは難易度が高い。エンジ ニアやPdMのサポートが必要。 背景②:機会 • PMMの分析意欲の高まり ◦ PMMから「自分たちでSQLを書き、もっと迅速にデータを深掘りしたい」という声が上がっていた • 民主化の土壌 ◦ これまでの取り組みでデータ活用のナレッジが蓄積され、PMMの要件定義力も向上しており、自立活用の準備が整いつつ あった。 目的 • PMM・PdM・エンジニアを含むプロダクトT全体が、自立してデータ分析できる土台をMVP(Minimum Viable Product)で構築 「データ部への依頼集中による遅延」と「PMMの自立的な分析意欲の高まり」という課題と機会を背景に、 プロダクトT全体が自らデータを活用できる “民主化” の土台作りを目指した。
  18. © 2025 ANDPAD All Rights Reserved. Confidential Confidential 20 民主化(プロダクトT向け):施策

    自立活用のための土台として、「使えるデータ」の整備と「使い方」の浸透という2軸で施策を実施 「使えるデータ」の整備(ガバナンスとデータマート) • データガバナンスの整備 ◦ セキュリティ規則に準じた権限の付与や、 BigQuery/BIツールの利用ルールを制定し、 安全な利用環境を担保 • データマート(中間テーブル)の提供 ◦ 課題: 生のDBデータは複雑で、SQLに不慣れ なPMMには扱いづらい。 ◦ 解決策: enumの日本語化や日付の日本時間 変換など、分析しやすい形に事前処理した データマートをMVPで用意。 ◦ 効果: PMMは複雑なデータ変換の手間な く、分析が可能に。 「使い方」の浸透(ガイドラインと勉強会) • 各種ドキュメントの整備 ◦ データ利用の全体像、データ一覧、 BigQuery/BIツールの基礎知識、コピペで使え る集計テンプレートなどをガイドラインとして まとめた。 • 勉強会の実施 ◦ 整備したデータやルールを形骸化させないた め、ガイドライン解説から始まり、App/Webロ グの具体的な分析方法までをレクチャーする勉 強会を実施
  19. © 2025 ANDPAD All Rights Reserved. Confidential Confidential 21 民主化(プロダクトT向け):成果

    • セルフ分析の実現と依頼内容の変化 ◦ プロダクトT自身で簡単な分析が可能になり、データ部への依頼が「単純な集計」から「高度な 分析の壁打ち」、「分析のためのログ設計壁打ち」などへと質的に変化 • データ理解度の向上 ◦ チーム全体のデータへの理解が深まり、より的確でスムーズなコミュニケーション MVP導入によりプロダクトT自身による分析が始まり、データ部の役割は「高度な相談役」へと進化
  20. © 2025 ANDPAD All Rights Reserved. Confidential Confidential 22 今後の取り組み

    • データ民主化施策の発展 ◦ ナレッジの共有と活用促進 ▪ 誰が・どのようにデータを活用しているかを把握し、成功事例や分析ノウハウといった ナレッジを組織全体へ展開 ◦ 品質・コスト・リテラシーの基盤強化 ▪ コスト管理やログの命名ルール統一によるデータ品質の担保、そして組織全体のデータ リテラシーの底上げといった守りの強化 • データの専門家としての業務 ◦ 高難易度のダッシュボード開発、分析の実施・・・   民主化施策により基本的な集計業務をプロダクトTへ移譲したため、データ部は横断的なルール整備/仕組 み導入/データ活用促進、データ部にしかできないような高難易度のダッシュボード構築や分析などに集中 できる時間が増えると考えているので、これらの取り組みにチャレンジする予定
  21. © 2025 ANDPAD All Rights Reserved. Confidential Confidential 23 参考資料

    ブログ記事: 新機能が使われない事態を回避!アンド パッドの新機能データ利活用PJの取り組み ブログ記事: アウトカム重視のデータ利活用 〜PMM向 けプロジェクトでの工夫と成果〜 ブログ記事: DataWareHouse,DataMartを整備して分 析がやりやすくなった話 本登壇の内容は下記のテックブログに詳しく記載されています。 Dataform開発に対する生成AI適用に関するテックブログを執筆しているのでご興味のある方はご覧いただ けますと幸いです! ブログ記事: DataformへのGithub Copilot/Chat Agent modeの適用とチーム内普及