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メディア文化学

in the blue shirt
June 07, 2024
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 メディア文化学

in the blue shirt

June 07, 2024
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  1. • ⾃⼰紹介 • 2つの領域「“⾃分領域“と”市場領域”」 • ⾳楽業界の前提知識 • 商材としての⾳楽 • ⾳楽活動における所属

    • ⼀般的な所属のメリット・デメリット • どうして私はインディペンデントに? • インディペンデントを志向する2⼤動機 • 有村の事情 • 問題提起「”⾳楽で⾷えている状態”とはなんなのか?」 • クライアントワークの仕組み • 全体の構造+フロー • 問題点 • まとめ アジェンダ 2/72
  2. • ⾃⼰紹介 • 2つの領域「“⾃分領域“と”市場領域”」 • ⾳楽業界の前提知識 • 商材としての⾳楽 • ⾳楽活動における所属

    • ⼀般的な所属のメリット・デメリット • どうして私はインディペンデントに? • インディペンデントを志向する2⼤動機 • 有村の事情 • 問題提起「”⾳楽で⾷えている状態”とはなんなのか?」 • クライアントワークの仕組み • 全体の構造+フロー • 問題点 • まとめ アジェンダ 3/72
  3. in the blue shirt 有村 崚(アリムラ リョウ) 1991年⽣まれ、京都在住、有村崚(ありむら・りょう)に よるソロプロジェクト。⾳楽や映像を楽しく作っています。 ⾃⾝の作品の他、TVドラマの劇伴、CMやWEB広告の⾳楽も

    ⼿がける。2022年8⽉に3rdアルバム『Park with a Pond』を リリース。京都精華⼤学⾮常勤講師。 PROFILE Web : http://intheblueshirt.com/ Twitter : https://twitter.com/Arimuri Soundcloud : https://soundcloud.com/intheblueshirt Bandcamp : https://intheblueshirt.bandcamp.com/ 4/72
  4. in the blue shirt 有村 崚(アリムラ リョウ) 1991年⽣まれ、京都在住、有村崚(ありむら・りょう)に よるソロプロジェクト。⾳楽や映像を楽しく作っています。 ⾃⾝の作品の他、TVドラマの劇伴、CMやWEB広告の⾳楽も

    ⼿がける。2022年8⽉に3rdアルバム『Park with a Pond』を リリース。京都精華⼤学⾮常勤講師。 PROFILE Web : http://intheblueshirt.com/ Twitter : https://twitter.com/Arimuri Soundcloud : https://soundcloud.com/intheblueshirt Bandcamp : https://intheblueshirt.bandcamp.com/ 要するに、 パソコンで⾳楽を作っている フリーランスの⼈間 と思ってください 5/72
  5. 20歳 25歳 30歳 経歴 ⾳楽制作 開始 パナソニック(AIS社技術本部-I社技術本部) シミュレーション技術者 1st リリース

    京⼤学部 ⼯業化学化 初TV CM 専業⾳楽家 + 京都精華⼤ ⾮常勤講師 おもしろすぎて⾳楽(+映像制作)しまくる ⽐較的謎の経歴 京⼤院 ⾼分⼦化学 退 職 6/72
  6. • ⾃⼰紹介 • 2つの領域「“⾃分領域“と”市場領域”」 • ⾳楽業界の前提知識 • 商材としての⾳楽 • ⾳楽活動における所属

    • ⼀般的な所属のメリット・デメリット • どうして私はインディペンデントに? • 有村の⾃分領域の性質 • 現在の状態 • 問題提起「”⾳楽で⾷えている状態”とはなんなのか?」 • クライアントワークの仕組み • 全体の構造+フロー • 問題点 • まとめ アジェンダ 7/72
  7. 曲ができたぜ 2つの領域「“⾃分領域“と”市場領域”」 • いい曲できたなあ • 上⼿くいかなかったなあ • ⼤変だったなあ • 楽しかったなあ

    • 次はこんな曲作りたいなあ ⾃分の作品を、主観で評価する ⾃分領域 ※⼀般的な⽤語ではなく、私が勝⼿に⾔っているだけ 世間の他の⾳楽 主 観 で の の ⽐ 較 ⾃分領域 9/72
  8. 他者の主観での評価 2つの領域「“⾃分領域“と”市場領域”」 えーやん だっさ + (市場での)定量的な評価指標 • 再⽣数 • フォロワー数

    • チャート、ランキング • 市場価格 etc. ⾃分の作品を、他⼈が市場価値で評価する 市場領域 世間の他の⾳楽 市 場 価 値 で の ⽐ 較 ※⼀般的な⽤語ではなく、私が勝⼿に⾔っているだけ 市場領域 11/72
  9. 2つの領域「“⾃分領域“と”市場領域”」 ⾃分領域: • 良さを決めるのは⾃分(⾃分の主観) • ⾃分がいいと思うもの、考え⽅を元に作品を作る • ⾃分領域での活動の例 • アーティスト活動:⾃分の名義での作品発表をする

    • ⽬標設定の例 • 納得のいくいい曲が作りたい 市場領域 • 良さを決めるのは他⼈(他⼈の主観+市場) • 市場領域での活動の例 • クライアントワーク:他⼈の希望を元に依頼が来て作品を作り、対価を受け取る • ⽬標設定の例 • ⾳楽でモテたい • 武道館でライブをしたい • ビルボードランキング⼀位を取りたい • チャンネル登録者数10万⼈を達成したい • 依頼単価を30万円にしたい • 歴史に名を刻みたい 12/72
  10. 2つの領域「“⾃分領域“と”市場領域”」 ⾃分領域: • 良さを決めるのは⾃分(⾃分の主観) • ⾃分がいいと思うもの、考え⽅を元に作品を作る • ⾃分領域での活動の例 • アーティスト活動:⾃分の名義での作品発表をする

    • ⽬標設定の例 • 納得のいくいい曲が作りたい 市場領域 • 良さを決めるのは他⼈(他⼈の主観+市場) • 市場領域での活動の例 • クライアントワーク:他⼈の希望を元に依頼が来て作品を作り、対価を受け取る • ⽬標設定の例 • ⾳楽でモテたい • 武道館でライブをしたい • ビルボードランキング⼀位を取りたい • チャンネル登録者数10万⼈を達成したい • 依頼単価を30万円にしたい • 歴史に名を刻みたい 特徴:定量的な⽬標設定・評価が困難 13/72
  11. 2つの領域「“⾃分領域“と”市場領域”」 ⾃分領域: • 良さを決めるのは⾃分(⾃分の主観) • ⾃分がいいと思うもの、考え⽅を元に作品を作る • ⾃分領域での活動の例 • アーティスト活動:⾃分の名義での作品発表をする

    • ⽬標設定の例 • 納得のいくいい曲が作りたい 市場領域 • 良さを決めるのは他⼈(他⼈の主観+市場) • 市場領域での活動の例 • クライアントワーク:他⼈の希望を元に依頼が来て作品を作り、対価を受け取る • ⽬標設定の例 • ⾳楽でモテたい • 武道館でライブをしたい • ビルボードランキング⼀位を取りたい • チャンネル登録者数10万⼈を達成したい • 依頼単価を30万円にしたい • 歴史に名を刻みたい 特徴:定量的な⽬標設定・評価が容易 14/72
  12. 2つの領域「“⾃分領域“と”市場領域”」 ⾃分領域: • 良さを決めるのは⾃分(⾃分の主観) • ⾃分がいいと思うもの、考え⽅を元に作品を作る • ⾃分領域での活動の例 • アーティスト活動:⾃分の名義での作品発表をする

    • ⽬標設定の例 • 納得のいくいい曲が作りたい 市場領域 • 良さを決めるのは他⼈(他⼈の主観+市場) • 市場領域での活動の例 • クライアントワーク:他⼈の希望を元に依頼が来て作品を作り、対価を受け取る • ⽬標設定の例 • ⾳楽でモテたい • 武道館でライブをしたい • ビルボードランキング⼀位を取りたい • チャンネル登録者数10万⼈を達成したい • 依頼単価を30万円にしたい • 歴史に名を刻みたい この領域を最優先するために今の⽣活様式に到達 “好きな⾳楽を、1秒でも⻑く作っていたい” インディペンデントである限り、⼈の邪魔は⼊らない 15/72
  13. ⾃分領域: • 良さを決めるのは⾃分(⾃分の主観) • ⾃分がいいと思うもの、考え⽅を元に作品を作る • ⾃分領域での活動の例 • アーティスト活動:⾃分の名義での作品発表をする •

    ⽬標設定の例 • 納得のいくいい曲が作りたい 市場領域 • 良さを決めるのは他⼈(他⼈の主観+市場) • 市場領域での活動の例 • クライアントワーク:他⼈の希望を元に依頼が来て作品を作り、対価を受け取る • ⽬標設定の例 • ⾳楽でモテたい • 武道館でライブをしたい • ビルボードランキング⼀位を取りたい • チャンネル登録者数10万⼈を達成したい • 依頼単価を30万円にしたい • 歴史に名を刻みたい 2つの領域「“⾃分領域“と”市場領域”」 今⽇の結論①: ここをゼロにするな!!!! 16/72
  14. • ⾃⼰紹介 • 2つの領域「“⾃分領域“と”市場領域”」 • ⾳楽業界の前提知識 • 商材としての⾳楽 • ⾳楽活動における所属

    • ⼀般的な所属のメリット・デメリット • どうして私はインディペンデントに? • インディペンデントを志向する2⼤動機 • 有村の事情 • 問題提起「”⾳楽で⾷えている状態”とはなんなのか?」 • クライアントワークの仕組み • 全体の構造+フロー • 問題点 • まとめ アジェンダ 17/72
  15. 商材としての⾳楽 ⾳楽のヤバさ • ”複製がタダ”と”価値は⻘天井”が両⽴する • 最⼩プレイ⼈数が1でありながら、最⼤プレイ⼈数が⻘天井 アートの性質:価値は⻘天井(理由:⼈間の感動はプライスレスなので) 録⾳⾳楽の性質:複製がほぼ無料=(経済学的な意味での)限界費⽤が0に近い 絵画(ex.ゴッホのひまわり) 1987年に安⽥⽕災海上が約53億円で落札

    価値は複製困難であるからこそ⽣じる ⾳楽(ex.ビートルズ) 最初っからその前提で数えきれないほど複製され、販売 https://ja.wikipedia.org/wiki/アビイ・ロード https://ja.wikipedia.org/wiki/ひまわり_(絵画) 複製にかかる費⽤がほぼタダなのに、価値が維持される 19/72
  16. • ⾃⼰紹介 • 2つの領域「“⾃分領域“と”市場領域”」 • ⾳楽業界の前提知識 • 商材としての⾳楽 • ⾳楽活動における所属

    • ⼀般的な所属のメリット・デメリット • どうして私はインディペンデントに? • インディペンデントを志向する2⼤動機 • 有村の事情 • 問題提起「”⾳楽で⾷えている状態”とはなんなのか?」 • クライアントワークの仕組み • 全体の構造+フロー • 問題点 • まとめ アジェンダ 22/72
  17. ⾳楽業界における所属 レコード会社型 レコード 会社 • ブランド • 販路(流通) • PR⼿段

    • 制作費 ⾳楽 アーティスト 顧客の 会社 作家事務所型 発 注 作家 事務所 ⼀般顧客 発 注 販 売 ⾳ 楽 年間契約 or 作品ごと契約 労使契約 • なんらかの雇⽤契約(給料) • 業務委託契約(歩合) ⾳楽作家 販 売 インハウス型 会社 社員 ⾳ 楽 利 ⽤ ⾃社 コンテンツ 雇⽤契約(給料) ⼤体がこの3パターンのどれか 23/72
  18. ⾳楽業界における所属 レコード会社型 レコード 会社 • ブランド • 販路(流通) • PR⼿段

    • 制作費 ⾳楽 アーティスト 顧客の 会社 作家事務所型 発 注 作家 事務所 ⼀般顧客 発 注 販 売 ⾳ 楽 年間契約 or 作品ごと契約 労使契約 • なんらかの雇⽤契約(給料) • 業務委託契約(歩合) ⾳楽作家 販 売 インハウス型 会社 社員 ⾳ 楽 利 ⽤ ⾃社 コンテンツ 雇⽤契約(給料) • 基本BtoC • 例外:アーティストのタレント利⽤ • 契約で原盤権、出版、活動などを規定 • 実際はもっと複雑 • レコード会社-レーベル • 事務所-アーティスト 24/72
  19. ⾳楽業界における所属 レコード会社型 レコード 会社 • ブランド • 販路(流通) • PR⼿段

    • 制作費 ⾳楽 アーティスト 顧客の 会社 作家事務所型 発 注 作家 事務所 ⼀般顧客 発 注 販 売 ⾳ 楽 年間契約 or 作品ごと契約 労使契約 • なんらかの雇⽤契約(給料) • 業務委託契約(歩合) ⾳楽作家 販 売 インハウス型 会社 社員 ⾳ 楽 利 ⽤ ⾃社 コンテンツ 雇⽤契約(給料) • 基本BtoB • 顧客:レコード会社、⾳楽制作会社etc. • 作家事務所の機能 • 業務/⾳楽の安定供給(問屋のようなもの) 25/72
  20. ⾳楽業界における所属 レコード会社型 レコード 会社 • ブランド • 販路(流通) • PR⼿段

    • 制作費 ⾳楽 アーティスト 顧客の 会社 作家事務所型 発 注 作家 事務所 ⼀般顧客 発 注 販 売 ⾳ 楽 年間契約 or 作品ごと契約 労使契約 • なんらかの雇⽤契約(給料) • 業務委託契約(歩合) ⾳楽作家 販 売 インハウス型 会社 社員 ⾳ 楽 利 ⽤ ⾃社 コンテンツ 雇⽤契約(給料) • ⼀般的な会社員 • ⾃社の⾳楽業務(演奏/制作etc.)を担当 • 限られた業界でしか⾒られない 例:ゲーム会社、テレビ会社、オーケストラ楽団 26/72
  21. ⾳楽業界における無所属 レコード会社型 レコード 会社 • ブランド • 販路(流通) • PR⼿段

    • 制作費 ⾳楽 アーティスト 顧客の 会社 作家事務所型 発 注 作家 事務所 ⼀般顧客 発 注 販 売 ⾳ 楽 ⾳楽作家 販 売 ぶち抜く! ぶち抜く! 無所属になると 中間組織がカットされる 中間組織の機能=無所属が失うもの メリット • ⾃⼰の意思が最優先される • 契約の制約(専念義務など)がない • 中抜きがない デメリット • 規模の縮⼩(組織>>>>個⼈) • 交渉時の⽴場が弱くなる • スケール拡⼤の⼿段を失う 27/72
  22. B to C型 ⾳楽 販売 アーティスト 顧客の 会社 B to

    B型 発注 ⼀般顧客 ⾳楽 販売 ⾳楽作家 ⾳楽業界における無所属 無所属の⼈間に与えられた選択肢は単純 個⼈に売る or 会社に売る 28/72
  23. 所属のメリット/デメリット レコード会社型 レコード 会社 • ブランド • 販路(流通) • PR⼿段

    • 制作費 ⾳楽 アーティスト ⼀般顧客 販 売 B to C型 ⾳楽 販売 アーティスト ⼀般顧客 所属価値の急所 昔(〜00年代):CDがやばいくらい売れる、みんながテレビを⾒ている →CDショップの棚をたくさん獲得し、たくさん売りたい (宇多⽥ヒカル1stシングル売上 累計255万枚 シングルで10億円オーダーの時代) レコード会社の価値: • 流通(CDショップの棚の確保etc.) • PR(テレビ出演etc.) • 制作費(レコーディング費⽤) 特定の組織のみがアクセスできる →所属のメリット 29/72
  24. 所属のメリット/デメリット レコード会社型 レコード 会社 • ブランド • 販路(流通) • PR⼿段

    • 制作費 ⾳楽 アーティスト ⼀般顧客 販 売 B to C型 ⾳楽 販売 アーティスト ⼀般顧客 所属価値の急所 現代(00年代以降):CDが終わりサブスクへ、みんなが⼈気コンテンツを⾒ている →流通の価値の低下、IP化(アニメ、漫画、タレントコンテンツ)してぶち上げたい 分⺟を増やし、アーティストに価値を付与 レコード会社の価値: • 流通(CDショップの棚の確保etc.) • PR(テレビ出演+各種タイアップ) • 制作費(レコーディング費⽤) 30/72
  25. 所属のメリット/デメリット 顧客の 会社 作家事務所型 発 注 作家 事務所 発 注

    販 売 ⾳ 楽 ⾳楽作家 顧客の 会社 B to B型 発 注 ⾳楽作家 ⾳ 楽 業界構造上作家の⽴場は基本的にかなり弱い(クライアントワーク部で後述) →企業vs個⼈の交渉はかなり分が悪い 作家事務所の価値: • 営業:技術の周知+仕事の確保 • 供給の安定:対顧客(⾳楽クオリティ) 対作家(発注量) • スキルの分業:⼯程(録⾳/演奏/制作)、ジャンルなど 31/72
  26. B to C型 ⾳楽 販売 アーティスト 顧客 B to B型

    発注 ⼀般顧客 ⾳楽 販売 ⾳楽作家 所属のメリット/デメリット メリット • 時間が⾃由 • (儲かっている時は)仕事を選べる • めちゃくちゃ楽しい デメリット • 社会保障(厚⽣年⾦、国⺠保険etc)のしょぼさ • 社会的信⽤(ローン、賃貸契約etc)のなさ • 権⼒勾配における弱さ • (儲かっていない時は)仕事を選べない 業界独⾃要素+⼀般的なフリーランスの特徴 32/72
  27. • ⾃⼰紹介 • 2つの領域「“⾃分領域“と”市場領域”」 • ⾳楽業界の前提知識 • 商材としての⾳楽 • ⾳楽活動における所属

    • ⼀般的な所属のメリット・デメリット • どうして私はインディペンデントに? • インディペンデントを志向する2⼤動機 • 有村の事情 • 問題提起「”⾳楽で⾷えている状態”とはなんなのか?」 • クライアントワークの仕組み • 全体の構造+フロー • 問題点 • まとめ アジェンダ 33/72
  28. どうして私はインディに? レコード会社型 レコード 会社 • ブランド • 販路(流通) • PR⼿段

    • 制作費 ⾳楽 アーティスト 顧客の 会社 作家事務所型 発 注 作家 事務所 ⼀般顧客 発 注 販 売 ⾳ 楽 ⾳楽作家 販 売 ぶち抜く! ぶち抜く! 中間組織がカットされる 中間組織の機能=無所属が失うもの インディペンデントを志向する2⼤動機 1. 経済的合理性:中間組織の機能が不要 2. アンチ経済的合理性:⾃分領域の優先 そもそも該当部が不要な⼈は無くした⽅が得 35/72
  29. どうして私はインディに? インディペンデントを志向する2⼤動機 1. 経済的合理性:中間組織の機能が不要 2. アンチ経済的合理性:⾃分領域の優先 市場需要 ⾃分領域 アンチ経済領域: ここが⼤きく、かつ優先したい⼈はインディ利得がでかい

    組織に属しながらアンチ経済領域に特攻するのは困難 ここが 欲しい! 市場需要 ⾃分領域 アンチ経済領域が⼩さい(or ない) 市場に愛された⼈間には2.は無関係 36/72
  30. ⾃分領域の性質 ⾃分領域: • 良さを決めるのは⾃分(⾃分の主観) • ⾃分がいいと思うもの、考え⽅を元に作品を作る • ⼈によって異なる • 楽しい

    • (ほとんどの場合)⾦にならない • (ほとんどの場合) 社会的な意義が低い 偶然にも⾃分領域がそのまま市場価値を帯びるケースもある (⼈にとって程度に差がある) 個⼈の価値観に基づいた営み=⼈が嬉しいかどうかを考慮していない 曲ができたぜ • いい曲できたなあ • 上⼿くいかなかったなあ • ⼤変だったなあ • 楽しかったなあ • 次はこんな曲作りたいなあ 世間の他の⾳楽 主 観 で の の ⽐ 較 ⾃分領域 37/72
  31. ⾃分領域: • 良さを決めるのは⾃分(⾃分の主観) • ⾃分がいいと思うもの、考え⽅を元に作品を作る ⾃分領域 市場需要 ここ しばしば提唱される戦略:⾃分領域内で、最も市場価値が⾼い部分を探す 世間の⾔うところの「好きなことして⽣きていく」は⼤体これ

    ⼀⾒⼀番よく⾒えるが、ここが万⼈に確保されているとは限らない ⾃分領域は得意不得意とは関係がない 苦⼿かもしれないし、市場価値がさっぱりないかもしれない ⾃分領域の性質 ⾃分 領域 市場需要 ⾃分 領域 市場需要 市場に愛された⼈間 市場に愛されなかった⼈間 38/72
  32. どうして私はインディに? ⾃分領域: • 良さを決めるのは⾃分(⾃分の主観) • ⾃分がいいと思うもの、考え⽅を元に作品を作る 市場需要 あって ないような もの

    戦略②:市場を無視し、続けられる⽅法を考える ⾃分領域 有村のコンセプト 1. “可処分時間を極⼒増やし、⾃分領域に注⼒する” 2. ⾃分領域のプレゼンを諦めない →⼿段としてインディペンデントを選択 39/72
  33. どうして私はインディに? 私がインディペンデントを志向する動機 1. 経済的合理性:中間組織の機能が不要 2. アンチ経済的合理性:⾃分領域の優先 • ⼀番好きな⾳楽(謎の電⼦⾳楽+カットアップ)は⾦にならない • ⼀⼈でやっていて⼗⼆分に楽しい

    • ⾦はいらないが、可能なかぎり時間はかけたい • 説明する気はかなりあるが、市場にアジャストする気はない • 組織に所属せずに、仕事の依頼が来る程度には能⼒がある • 市場にアジャストする気しかない(エゴを出す気ゼロ) • 総合点でなんかいけている:純粋な⾳楽制作能⼒+その他素養 • クリエイターサイドから⾒ると相対的にサラリーマン能⼒(事務能⼒)に⻑けている サラリーマンサイドから⾒ると相対的にクリエイト能⼒に⻑けている • 学歴も職歴もあるからまあなんとかなると思っている 40/72
  34. どうして私はインディに? 私がインディペンデントを志向する動機 1. 経済的合理性:中間組織の機能が不要 2. アンチ経済的合理性:⾃分領域の優先 • そもそも望んでもでかい組織に⼊れない • どのみちあまり有名になりたくない

    • 事務作業が(嫌いだが)苦⼿ではない • ⼈の⼒を借りてスケールするほどでかい市場がない • 謎の電⼦⾳楽 • ⾝体性の伴う演奏によるライブをしない • ⼈が歌っていない • 特殊事情:クリアランスを取得してのカットアップコラージュ 41/72
  35. どうして私はインディに? 役に⽴っている能⼒ • ⾃分領域 • ⾃⼰認知:⾃分は何が好きか?をどれくらい認知できているか • ⾃⼰の興味に対してのプレイ時間 • 説明努⼒:勝⼿にやるが、内容の説明努⼒を怠らない

    • 私はネットの任意説明努⼒に救われた • 市場領域 • ⾳楽⾯ • 明確な作⾵(この感じならこの⼈に頼もう) • 最低限の平均点(何やらせても60点は取る) • スピード(1⽇で1曲作れるか?) • 業務⾯ • 社会⼈の基礎:メールを返す、締め切りは守る • 最低限の論理的思考 • その他 • いいやつであれ(嫌なやつには仕事は来ない) 46/72
  36. 問題提起「”⾳楽で⾷えている状態”とはなんなのか?」 ΫϥΠΞϯτϫʔΫ ޿ࠂ  ΫϥΠΞϯτϫʔΫ Իָ  ඇৗۈߨࢣ  ΞʔςΟετ׆ಈ

     収⼊内訳 ⾳楽関連業務で得た収⼊:全体の86% →“⾳楽で⾷ってる“といってもまあ許されそう 48/72
  37. 問題提起「”⾳楽で⾷えている状態”とはなんなのか?」 ΫϥΠΞϯτϫʔΫ ޿ࠂ  ΫϥΠΞϯτϫʔΫ Իָ  ཧܥۀ຿  ඇৗۈߨࢣ

     ΞʔςΟετ׆ಈ  収⼊内訳 ⾃分/市場領域収⼊⽐ 81:19 ⾃分領域で得られる資本的利益は儚い 49/72
  38. 問題提起「”⾳楽で⾷えている状態”とはなんなのか?」 ΫϥΠΞϯτϫʔΫ ޿ࠂ  ΫϥΠΞϯτϫʔΫ Իָ  ཧܥۀ຿  ඇৗۈߨࢣ

     ΞʔςΟετ׆ಈ  収⼊内訳 問題提起 「”⾳楽で⾷えている状態”とはなんなのか?」 52/72
  39. 問題提起「”⾳楽で⾷えている状態”とはなんなのか?」 ΫϥΠΞϯτϫʔΫ ޿ࠂ  ΫϥΠΞϯτϫʔΫ Իָ  ཧܥۀ຿  ඇৗۈߨࢣ

     ΞʔςΟετ׆ಈ  収⼊内訳 問題提起 「”⾳楽で⾷えている状態”とはなんなのか?」 本当に⾳楽で⾷っていると ⾔って良いのか? 53/72
  40. • ⾃⼰紹介 • 2つの領域「“⾃分領域“と”市場領域”」 • ⾳楽業界の前提知識 • 商材としての⾳楽 • ⾳楽活動における所属

    • ⼀般的な所属のメリット・デメリット • どうして私はインディペンデントに? • インディペンデントを志向する2⼤動機 • 有村の事情 • 問題提起「”⾳楽で⾷えている状態”とはなんなのか?」 • クライアントワークの仕組み • 全体の構造+フロー • 問題点 • まとめ アジェンダ 54/72
  41. クライアントワークの仕組み B to C型 ⾳楽 販売 アーティスト 顧客 B to

    B型 発注 ⼀般顧客 ⾳楽 販売 ⾳楽作家 依頼の内容はケースバイケース、多岐に及ぶ クライアントワーク: 誰かしら(企業/個⼈)から依頼され、⾳楽を作る 55/72
  42. クライアントワークの仕組み 顧客 B to B型 発注 ⾳楽 販売 ⾳楽作家 広告業界におけるクライアントワークにフォーカス

    ΫϥΠΞϯτϫʔΫ ޿ࠂ  ΫϥΠΞϯτϫʔΫ Իָ  ཧܥۀ຿  ඇৗۈߨࢣ  ΞʔςΟετ׆ಈ  56/72
  43. 作家事務所 クライアントワークの仕組み ⾳楽制作会社 映像制作会社 広告代理店 広告発注企業 (クライアント) 広告発注 • 広告業務を委託する[契約]

    • 対象商品(企業そのものの場合も) • 予算 • ターゲット、⼿段、期間 X円払うからこの期間で広告打って! 58/72
  44. 作家事務所 クライアントワークの仕組み ⾳楽制作会社 映像制作会社 広告代理店 広告発注企業 (クライアント) • 広告出稿枠の確保 (テレビ、ラジオ、ネットetc.)

    • 広告内容の企画 • 広告の内容の決定 • 起⽤タレントの決定 • コンテの作成 • 映像制作業務の委託 X円払うからX⽉X⽇までに こういう映像作って! 59/72
  45. 作家事務所 クライアントワークの仕組み ⾳楽制作会社 映像制作会社 広告代理店 広告発注企業 (クライアント) • 映像制作 •

    撮影 • 編集 • 納品 • ⾳楽発注 X円払うからX⽉X⽇までに こういう⾳楽作って! 60/72
  46. クライアントワークの仕組み 広告の原罪 • 不特定多数を対象にしている • 望んでもいない⼈のリソースを勝⼿に奪っている • 存在しないはずの需要を、虚空から発⽣させているケースがある • 嗜好品の過度の宣伝

    • コンプレックスの喚起 • 規範(あるべき姿)の刷り込み • 何かしらのプロバガンダ どんどんゴミになるweb広告 • 頻度の増加 • 既存メディアと違い、広告枠が無限→ネットの世界は広告まみれに • 質の低下 • エロすぎ、悪すぎ、邪魔すぎ、倫理に反している、違法 広告業界を志す⼈はちゃんと向き合おう 68/72
  47. クライアントワークの仕組み 広告⾳楽の原罪 • 不特定多数を対象にできる • 望んでもいない⼈のリソースを勝⼿に奪える • 存在しないはずの感情を、虚空から発⽣させうる • 適切ではない感情の流布

    • 規範(あるべき姿)の刷り込み • 何かしらのプロバガンダ • 質(⾳楽⼊稿後に広告の内容に⼲渉できない) • エロすぎ、悪すぎ、倫理に反している、違法 広告業界の性質 (対象の多さ+価値観への働きかけ)から⽣じる問題は 広告⾳楽(ないし⾳楽全般)にも起こりうる 69/72
  48. • ⾃⼰紹介 • 2つの領域「“⾃分領域“と”市場領域”」 • ⾳楽業界の前提知識 • 商材としての⾳楽 • ⾳楽活動における所属

    • ⼀般的な所属のメリット・デメリット • どうして私はインディペンデントに? • インディペンデントを志向する2⼤動機 • 有村の事情 • 問題提起「”⾳楽で⾷えている状態”とはなんなのか?」 • クライアントワークの仕組み • 全体の構造+フロー • 問題点 • まとめ アジェンダ 70/72
  49. • ⾳楽は商材としてヤバい • ”複製がタダ”と”価値は⻘天井”が両⽴する • 最⼩プレイ⼈数が1でありながら、最⼤プレイ⼈数が⻘天井 • 「“⾃分領域“と”市場領域”」 • ⾃分の評価と市場の評価は分けて考える

    • “⾃分領域“を、⾃分に必要な分だけ確保しよう • ⾳楽における所属の3タイプ • 1.レコード会社型、2.作家事務所型、3.インハウス型 • インディペンデントを志向する2⼤動機 1. 経済的合理性:中間組織の機能が不要 2. アンチ経済的合理性:⾃分領域の優先 私は後者寄りだが、前者の理由もやんわりある • 個⼈的事情:収⼊の広告依存 業界の課題でもある • 「”⾳楽で⾷えている状態”とはなんなのか?」 • クライアントワークの仕組み • クライアント>テレビ&広告代理店>映像制作会社>⾳楽制作会社>作家事務所 • 権⼒勾配が⼤きく、さまざまなリスクがある まとめ 71/72