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教科教育学における指導介入の全般的効果 ―メタ分析を通した研究成果の量的統合―

Daiki Nakamura
September 09, 2018

教科教育学における指導介入の全般的効果 ―メタ分析を通した研究成果の量的統合―

日本教科教育学会 第44回全国大会 2018年9月9日

Daiki Nakamura

September 09, 2018
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Transcript

  1. 研究概要 研究の目的 教科教育における資質・能力を志向した介入 の全体的な効果を明らかにする 2 1. 小~中程度の効果量 2. 出版バイアスは× 3.

    指導法が影響 統合した全体の効果量は0.44 指導法の評価の判断基準に ゆがめられているとは言えない 〇課題解決、足場かけ、モデリング ▲反復練習 効果量 g の統合 (メタ分析)
  2. 研究の方法2 9 論文26件 𝒈 = 1 − 3 4 𝑛1+𝑛2−2

    −1 × 𝜇1−𝜇2 𝑛1𝑠1 2+𝑛2𝑠2 2 𝑛1+𝑛2 重み付き平均 平均効果量 =全般的な効果 どの研究も、平均効果量付近に 収束するはず →出版バイアスの検討 平均 プロット メタ分析 平均値の差 (実験群-統制群) 標準偏差 補正
  3. 効果量の統合 11 論文26件 0.44 [ 0.33, 0.56] 文献 効果量 [95%信頼区間]

    平均効果量 𝒈 = 1 − 3 4 𝑛1 + 𝑛2 − 2 − 1 × 𝑑 Ntotal = 1772 研究 11 藤川・林 2015 研究 10 筒井・日高・後藤 2015 研究 9 高田 2015 研究 8 筒井・日高・後藤 2016 研究 7 山岡・松本 2016 研究 6 谷津・山野井 2016 研究 5 灘本・山下・日高・後藤 2017 研究 4 山本・渡邉 2017 研究 3 津田・川口・齊藤 2017 研究 2 榊原・水落 2017 研究 1 千菊 2018 0.42 [ 0.18, 0.66] 0.31 [-0.08, 0.70] 0.29 [-0.16, 0.74] -0.09 [-0.42, 0.23] 0.32 [-0.02, 0.65] 0.56 [ 0.19, 0.94] 0.53 [ 0.22, 0.85] 0.58 [ 0.31, 0.86] -0.40 [-1.05, 0.25] 0.28 [ 0.05, 0.51] 0.14 [-0.22, 0.49] 研究 26 寺本・松浦・角屋・森 2008 0.47 [ 0.09, 0.85] … … …
  4. 平均効果量の解釈 12 平均効果量 g=0.44 Cohen基準:小~中程度の大きさ • Lipsey & Wilson(1993):心理・教育分野 <0.50>

    • Hattie(2009) :指導法全体 <0.40> ◆先行研究との比較 →指導法の効果の程度を判断する基準になり得る →教科教育における指導介入は0.4~0.5に収束? →教科を超えた議論が可能
  5. 漏斗プロット 14 平均効果量 g=0.44 0.371 0.278 0.185 0.093 0 -0.5

    0 0.5 1 1.5 2 効果量 標準誤差 出版バイアスの 傾向は見られず (p = 0.16)
  6. 調整変数ごとの効果量 17 調整変数 研究数 g QB 指 導 法 メタ認知

    2 .33 16.39* (p =.04) モデリング 2 .99 強調・視覚化 5 .32 教材・教具・単元設計 8 .41 足場かけ 2 .63 直接体験 1 .49 反復練習 1 -.40 批判的思考 4 .41 課題解決学習 1 1.02 下位変数間 のばらつき →指導方法によって効果量が有意に異なる
  7. 調整変数ごとの効果量 18 調整変数 研究数 g QB 教 科 英語 4

    .44 2.05 (p =.73) 保健 2 .55 理科 12 .51 社会 1 .28 体育 7 .33 資 質 能 力 態度 6 .40 2.22 (p =.53) 知識 9 .51 技能 10 .38 思考 1 .73 学 校 種 小学校 11 .51 0.99 (p =.61) 中学校 9 .40 高等学校 6 .38 下位変数間 のばらつき →下位項目間で有意差は見られず
  8. 年齢による変動 19 10 12 14 16 18 0.0 0.5 1.0

    1.5 年齢 効果量 年齢による変動 は見られない
  9. 出版年による変動 20 2008 2010 2012 2014 2016 2018 0.0 0.5

    1.0 1.5 出版年 効果量 出版年による変動 は見られない
  10. 研究概要 研究の目的 教科教育における資質・能力を志向した介入 の全体的な効果を明らかにする 23 1. 小~中程度の効果量 2. 出版バイアスは× 3.

    指導法が影響 統合した全体の効果量は0.44 指導法の評価の判断基準に ゆがめられているとは言えない 〇課題解決、足場かけ、モデリング ▲反復練習 効果量 g の統合 (メタ分析)