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初めての研究発表を成功させよう! スライド作成の基本
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Ayako Sato
June 13, 2024
Research
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初めての研究発表を成功させよう! スライド作成の基本
Ayako Sato
June 13, 2024
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Transcript
初めての研究発表を成功させよう! スライド作成の基本 M2 佐藤郁子 2024/06/12 1
はじめに • 研究室配属されたての新入生向け ◦ 玄人の方々には当たり前のレベルかも ◦ 慣れたら自分流にアレンジしてみよう • 注意事項 ◦
凝ったデザイン・プレゼンの仕方は今回触れない ◦ 分野や研究室で独自のルールがある場合はそれに従った方が良い 2
前提 • 自分自身の研究についての発表 ◦ 論文紹介スライドの場合でもデザイン面など参考になるかも • 国内学会や大学内向けに日本語で発表 ◦ 英語の場合は適切なフォントや色が異なるので注意 •
聴衆は自分の研究内容を初めて聞く不特定多数 3
良い研究発表スライドとは? • 聴衆の理解の助けとなるもの 4 発表時間内で 理解できる情報量 伝えたいことが 明確
STEP 1 構成を決める 5 参考:国際会議論文の読み方・書き方 - Graham Neubig(http://www.phontron.com/slides/neubig15nlptutorial.pdf)
研究内容を要約してみよう(1/4) 1. 研究の目的・解決したい課題 ◯◯というタスクで従来手法は◯◯の問題が残る。 2. 提案手法の概要 本発表では◯◯を提案する。 3. 提案手法の詳細・利点 ◯◯に基づいた処理によって◯◯の問題を緩和する。
4. 提案手法の効果 実験的評価により◯◯という結果を示す。 6
研究内容を要約してみよう(2/4) 1. 研究の目的・解決したい課題 ◯◯というタスクで従来手法は◯◯の問題が残る。 2. 提案手法の概要 本発表では◯◯を提案する。 3. 提案手法の詳細・利点 ◯◯に基づいた処理によって◯◯の問題を緩和する。
4. 提案手法の効果 実験的評価により◯◯という結果を示す。 7
研究内容を要約してみよう(3/4) 1. 研究の目的・解決したい課題 ◯◯というタスクで従来手法は◯◯の問題が残る。 2. 提案手法の概要 本発表では◯◯を提案する。 3. 提案手法の詳細・利点 ◯◯に基づいた処理によって◯◯の問題を緩和する。
4. 提案手法の効果 実験的評価により◯◯という結果を示す。 8
研究内容を要約してみよう(4/4) 1. 研究の目的・解決したい課題 ◯◯というタスクで従来手法は◯◯の問題が残る。 2. 提案手法の概要 本発表では◯◯を提案する。 3. 提案手法の詳細・利点 ◯◯に基づいた処理によって◯◯の問題を緩和する。
4. 提案手法の効果 実験により◯◯という結果を示す。 9
チェックリスト①:要約を見直してみよう ◻ 研究の立ち位置が伝わるか • 従来手法との違いや新規性は明示されてる? ◻ 研究の目的と得られた結果が適合するか • 本当に最初の問題を解決できてる? ◻
伝える内容が絞り込まれているか • たくさんの実験のうち1番伝えたいのはどれ? 10
要約から構成を決めよう • 論文と同じ構成でなくても OK • 1 番伝えたいことが印象に残るストーリー展開 11 構成例: 概要
従来手法 提案手法 実験の目的 実験条件 結果・考察 研究の目的 背景 まとめ
STEP 2 内容を埋める 12
1 スライド 1 メッセージ • タイトルは必ず 1 枚ごとに変える ◦ タイトルを見れば主張がひと目でわかるのが理想
• 情報を詰め込みすぎない ◦ 8 行以内を目安に ◦ 箇条書きは 2 段まで ◦ それ以上になる場合は別スライドに分けよう 13
トップダウンに書こう • 抽象 → 具体 • 結論 → 理由 14
図は https://www.slideshare.net/slideshow/ss-89422938/89422938 より引用
数式はなるべく言葉や図で説明しよう 15 横井さんのスライド https://speakerdeck.com/eumesy/optimal-transport-for-natural-language-processing より引用
チェックリスト②:本文を見直してみよう ◻ 用語や略称の定義は漏れてない? ◻ 単語表記の揺らぎはない? ◻ 引用元を記載している? ◻ カンマやピリオドは統一されている? ◻
箇条書きの粒度が揃っている? ◻ 数字や英単語の前後に半角スペース入ってる? 16
STEP 3 図表を入れる 17
ひと目見てわかる図表に • 縦軸・横軸のラベル,凡例を忘れずに • 識別しやすい色の組み合わせ 18 Multi-Dimensional Evaluation of Text
Summarization with In-Context Learning (Jain et al., Findings 2023)
実験条件と結果をなるべく 1 枚に • 条件を説明しなくてもわかる手法名で書く 19 Auto-Instruct: Automatic Instruction Generation
and Ranking for Black-Box Language Models (Zhang et al., Findings 2023)
図表と一緒に結果の解釈も載せる 20 Cold-Start Data Selection for Better Few-shot Language
Model Fine-tuning: A Prompt-based Uncertainty Propagation Approach (Yu et al., ACL 2023) 選択サンプルが 集中している 提案手法適用で 多様性が改善
チェックリスト③:図表を見直してみよう ◻ 評価の目的が書かれているか? ◻ グラフの種類は目的に適しているか? ◻ 図表の見方がひと目でわかるか? ◻ 数値の単位はあるか? ◻
グラフの最大値と最小値は適切? 21
STEP 4 デザインを工夫する 22
デザインの 4 原則 23 近接 整列 反復 対比
近接:関連項目をグループ化(1/2) • このままでは対応関係がわかりづらい🙅 24 Aleatoric Uncertainty • データの不確実性 • ノイズや境界値が原因
Epistemic Uncertainty • モデルの不確実性 • 学習不足が原因 Gawlikowski, J., Tassi, C.R.N., Ali, M. et al. A survey of uncertainty in deep neural networks.
近接:関連項目をグループ化(2/2) • 関連するもの同士を近くに配置すると見やすい 25 Aleatoric Uncertainty • データの不確実性 •
ノイズや境界値が原因 Epistemic Uncertainty • モデルの不確実性 • 学習不足が原因 Gawlikowski, J., Tassi, C.R.N., Ali, M. et al. A survey of uncertainty in deep neural networks.
整列:見えない線で揃える(1/2) • バラバラで順番がわかりづらい & 見づらい🙅 26 要素1 要素2 要素3 要素4
整列:見えない線で揃える(2/2) • グリッド表示機能や整列機能を使って整える 27 要素1 要素2 要素3 要素4 要素1 要素2
要素3 要素4
反復:デザインを繰り返す(1/4) 28 手法まとめ 画像劣化 • 視覚ベクトルのユニットをベルヌーイ分布に従い ランダムに選択し、 0でマスク 最終的な損失関数
• αとβは [0, 1] のハイパーパラメータ • |s| はシーケンスの平均長 Increasing Visual Awareness in Multimodal Neural Machine Translation from an Information Theoretic Perspective (Ji et al., EMNLP 2022)
反復:デザインを繰り返す(2/4) 29 手法まとめ 画像劣化 • 視覚ベクトルのユニットをベルヌーイ分布に従い ランダムに選択し、 0でマスク 最終的な損失関数
• αとβは [0, 1] のハイパーパラメータ • |s| はシーケンスの平均長 xをzと近づけて、xの負例集合と 遠ざけるように学習 Increasing Visual Awareness in Multimodal Neural Machine Translation from an Information Theoretic Perspective (Ji et al., EMNLP 2022)
反復:デザインを繰り返す(3/4) 30 手法まとめ 画像劣化 • 視覚ベクトルのユニットをベルヌーイ分布に従い ランダムに選択し、 0でマスク 最終的な損失関数
• αとβは [0, 1] のハイパーパラメータ • |s| はシーケンスの平均長 元画像と劣化画像を入力した時の 確率の差を最大化するように学習 Increasing Visual Awareness in Multimodal Neural Machine Translation from an Information Theoretic Perspective (Ji et al., EMNLP 2022)
反復:デザインを繰り返す(4/4) 31 手法まとめ 画像劣化 • 視覚ベクトルのユニットをベルヌーイ分布に従い ランダムに選択し、 0でマスク 最終的な損失関数
• αとβは [0, 1] のハイパーパラメータ • |s| はシーケンスの平均長 差分を認識しやすくなる! 元画像と劣化画像を入力した時の 確率の差を最大化するように学習 Increasing Visual Awareness in Multimodal Neural Machine Translation from an Information Theoretic Perspective (Ji et al., EMNLP 2022)
対比:強調する(1/2) • どこが重要なポイントかわからない🙅 32 • 話者認識の分類 ◦ 話者識別 : 候補者の中から話者を探索する1対nの推定問題
◦ 話者照合 : 2 つの音声が同一話者かを推定する1対1の照合問題
対比:強調する(2/2) • 色・フォントサイズ・太字で重要箇所を強調 33 • 話者認識の分類 ◦ 話者識別 : 候補者の中から話者を探索する1対nの推定問題
◦ 話者照合 : 2 つの音声が同一話者かを推定する1対1の照合問題 • 話者認識の分類 ◦ 話者識別 : 候補者の中から話者を探索する1対nの推定問題 ◦ 話者照合 : 2 つの音声が同一話者かを推定する1対1の照合問題
色の選び方 • 3色以内を目安に • 色に意味を持たせる ◦ OK / NG ◦
提案手法 / 従来手法 • 配色のバリアフリーを意識 ◦ 寒色同士や暖色同士を避ける ◦ 明度に差をつける 34
フォントの選び方 • 本文は 24 pt,図表は 18 pt 以上推奨 ◦ 会場・発表形式(対面/オンライン)に適した大きさにしよう
• ゴシック体推奨 ◦ 明朝体は見づらい ◦ Windows:メイリオ/游ゴシック ◦ Mac:ヒラギノ角ゴシック ◦ このスライドは Zen Kaku Gothic New 35
テキストの強調 • 太字(Bold) ◦ タイトルや限定的に強調したい箇所がある場合に使う • 斜体(Italic) ◦ 欧文で強調したい箇所がある場合に使う •
下線(Underline) ◦ 本文や比較的長い文章を強調したい場合に使う 36
チェックリスト④:デザインを見直してみよう ◻ ページ番号ついてる? ◻ 日付は記載されている? ◻ フォントは統一されている? ◻ 本文は 24
pt,図表は 18 pt 以上? ◻ 行間は詰まっていない? ◻ スクリーンにうつした時に色が消えない? 37
具体例を見ていこう 38 ↑同期の過去スライド (本人と一緒に良い点 & 改善点を見直してみた) 元スライド: https://speakerdeck.com/rudorudo11/yi-wei-bian-hua-fen-xi-nixiang-ketadan-yu-mai-meip-minoshi-xi-lie-patanfen-xi
概要のスライド(1/4) 39
概要のスライド(2/4) 40 目的と貢献が明確🥰
概要のスライド(3/4) 41 全て太字なので どれが重要かわからない😭
概要のスライド(4/4) 42 ここにインパクトのある 結果を載せても良い
背景のスライド(1/3) 43
背景のスライド(2/3) 44 具体例の図があって 分かりやすい🥰
背景のスライド(3/3) 45 文字量もう少し 減らせそう
提案手法のスライド(1/3) 46
提案手法のスライド(2/3) 47 手順説明は文章より 図の方がわかりやすい🥰 研究の立ち位置が明確🥰
提案手法のスライド(3/3) 48 色数が多くて ごちゃついた印象😭
実験条件・結果のスライド(1/4) 49
実験条件・結果のスライド(2/4) 50 実験の目的が明確に 示されている🥰
実験条件・結果のスライド(3/4) 51 図の説明の文字数が多い😭
実験条件・結果のスライド(4/4) 52 薄い青はスクリーンに 映らない場合もあるから注意
まとめのスライド(1/3) 53
まとめのスライド(2/3) 54 概要の再掲 + 評価結果が 簡潔にまとまっている🥰
まとめのスライド(3/3) 55 質問しやすいように このページを最後に (ご清聴スライドは不要)
良い研究発表スライドとは?(再掲) • 聴衆の理解の助けとなるもの 56 発表時間内で 理解できる情報量 伝えたいことが 明確
おわりに • 好みのスライドを見つけて真似しよう ◦ 推し研究者や先輩の発表資料を参考に • 他の人に添削してもらおう ◦ 自分で気づかない点を指摘してもらえるのでとても嬉しい •
プレゼンの仕方やデザインの工夫まだまだある ◦ 参考資料も是非見てみてください 57
参考資料 • 研究発表のためのプレゼンテーション技術 • 要点を聞いてもらえるプレゼンを作ろう • 見やすいプレゼン資料の作り方 • メッセージとストーリーのない発表はカスだ アカデ
ミック・プレゼンテーションのコツ • 伝わるデザイン|研究発表のユニバーサルデザイン • 国際会議論文の読み方・書き方 58
謝辞 • 本資料の作成にあたり,木山朔さん(@rudo_halo)と 中島京太郎さん(@kyotaro_tea)に助言 & 実例の提供 を頂きました。 59