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Mimblewimble

 Mimblewimble

GBEC動画解説コンテンツのスライドです。
https://goblockchain.network/2019/03/mimblewimble/

shigeyuki azuchi

March 29, 2019
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  1. 1 Mimblewimble 2016年にTom Elvis JedusorがIRCに投稿した 新しいブロックチェーンのコンセプト https://scalingbitcoin.org/papers/mimblewimble.txt • スクリプトを持たず公開鍵暗号を使った署名検証のみをサポート •

    トランザクションカットスルーにより ブロックチェーンデータを削減&プライバシーを向上 • 前提知識 ◦ Confidential Transaction https://goblockchain.network/2019/02/confidential-transaction/
  2. 2 Pedersen Commitment Confidential Transactionを導入して量を秘匿化 Commitment = rG + vH

    r: ブラインドファクター、 v: コインの量 G, H:楕円曲線上の異なる生成点 • フルノードによる量の検証 {Outputのcommitmentの合計 + fee*H} - {Inputのcommitmentの合計} = 0 Output commitment range proof vが0〜2^64の範囲内であることを証明 Bitcoinのようなロックスクリプト( scriptPubkey)は存在しない。
  3. 3 コインの所有権の証明 Commitmentのブラインドファクター = 秘密鍵 Commitment = rG + vH

    rの値はコインの受信者がランダムに決定する • InputのCommitment ◦ c1 = 38G + 2H ◦ c2 = 29G + 1H • OutputのCommitment ◦ c3 = 78G + 3H • {Outputのcommitmentの合計} - {InputのCommitmentの合計} = 0 ◦ c3 - {c1 + c2} = 78G + 3H - {38G + 2H + 29G + 1H} = 78G + 3H - {67G + 3H} = 11G != 0 超過値(Excess)が出る。 但し、Hの係数は0になっているため、超過値を秘密鍵として デジタル署名を作ることはできる。
  4. 4 コインの所有権の証明 Tx Inputs c1 = 38G + 2H c2

    = 29G + 1H Outputs c3 = 78G + 3H Tx Kernel fee: 0H Excess: 11G Excess Sig: lock_height InputsとOutputsのCommitmentとfeeから Excess値を算出し、トランザクションカーネルにセット Excess値を秘密鍵としてトランザクションに署名 ※ トランザクションの署名鍵を知るにはトランザクションの全インプット、  アウトプットのブラインドファクターの知識が必要。
  5. Input ②トランザクションの雛形を作成し、 インプットにコインのCommitmentをセット、 新しくブラインドファクターを選択しお釣り用の Commitmentをアウトプットにセットし、 Txとブラインドファクターの総計を受信者に送る。 5 トランザクションの作成フロー 送信者 受信者

    ①送金するコインの量(5コイン)に合意 Tx C1 = 15G + 3H C2 = 39G + 4H Output C3 = 78G + 1H 78 - (15 + 39) = 24 ※ 手数料=1コイン ③ 受信用にランダムなブラインドファクターを選択し、 Commitmentを作成。 C4 = 18G + 5H ④ 自身のコミットメントのブラインドファクターと 送信者から受け取ったブラインドファクターの総計から Excess値を計算。 24 + 18 = 42 ⑤ Excess値(42)を秘密鍵として、トランザクションの署名を 作成し、Excess値と署名をトランザクションカーネルにセットし、 ブロードキャスト ⑥フルノードはExcess = {C3 + C4 + fee*H} - {C1 + C2}か検証し、 Excess値の公開鍵に対して有効な署名があるか検証する。 ※ 厳密には各Commitmentのrange proofの検証も行う。
  6. Input ②トランザクションの雛形を作成し、 インプットにコインの Commitmentをセット、 新しくブラインドファクターを選択しお釣り用の Commitmentをアウトプットにセットし、 署名に使うランダムな nonce ksを選択。 Txとブラインドファクターの総計と

    ks*Gを受信者に送る。 6 トランザクションの作成フロー(Grin) 送信者 受信者 ①送金するコインの量(5コイン)に合意 Tx C1 = 15G + 3H C2 = 39G + 4H Output C3 = 78G + 1H 78G - (15G + 39G) = 24G ※ 手数料=1コイン ③ 受信用にランダムなブラインドファクターを選択し、 Commitmentを作成。 C4 = 18G + 5H ④ 自身のコミットメントのブラインドファクターと 送信者から受け取ったブラインドファクターの総計から Excess値を計算。 24G + 18G = 42G ⑤ 署名に使うランダムな nonce krを選択する。 署名に使用するnonceの点はR = ks*G + kr*G 署名対象のメッセージを M = fee | lock_heightとし、 署名用のチャレンジ e = SHA256(R| 18G + 24G | M) を計算し、 受信者のSchnorr署名 sr = kr + e*18 を計算し、 sr、18G、kr*Gを送信者に送る。 ⑥ 署名に使用するnonceの点を計算 R = ks*G + kr*G 署名用のチャレンジ e = SHA256(R| 18G + 24G | M) を計算し、 送信者側のSchnorr署名 ss = ks + e*24を計算。 署名を集約しトランザクションの署名を完成させる。 s = ss + sr = ks + kr + e*(24 + 18) (R, s)がトランザクションの署名。秘密鍵は Excess値(42) ※ Grinの場合は公開鍵を送る。 ks*G
  7. 7 Cut-through Tx1 C1 = 15G + 4H C2 =

    39G + 2H Input Output C3 = 25G + 2H Tx2 C4 = 76G + 1H Input Output C5 = 91G + 1H C2 = 39G + 2H Tx3 C6 = 125G + 3H Input Output C3 = 25G + 2H C4 = 76G + 1H Excess: 49G Excess: 128G Excess: 24G Kernel Kernel Kernel
  8. 8 Cut-through Tx1 C1 = 15G + 4H C2 =

    39G + 2H Input Output C3 = 25G + 2H Excess: 49G Tx2 C4 = 76G + 1H Input Output C5 = 91G + 1H C2 = 39G + 2H Tx3 C6 = 125G + 3H Input Output C3 = 25G + 2H C4 = 76G + 1H Excess: 128G Excess: 24G Kernel Kernel Kernel
  9. 9 Cut-through Tx C1 = 15G + 4H Input Output

    Excess: 49G C5 = 91G + 1H C6 = 125G + 3H Excess: 128G Excess: 24G Kernel 使用済みのCommitmentは不要であるため 削除でき、ブロックチェーンのディスクサイズの 削減やプライバシー向上の効果がある。 Grinでは各Tx Kernelの署名 は集約されず、ブロック内のト ランザクションのTx Kernelは その数のまま残る。 Andrew Poelstraはこれらを 集約するsinking signatureを 発表しているが、一方 Scriptless Scriptがサポート できなくなることもあり、Grinは 集約型のSchnorr署名を採用 している。