Upgrade to Pro — share decks privately, control downloads, hide ads and more …

D&I推進レポート〜テクノロジー分野のジェンダーギャップとその取り組みについて〜

 D&I推進レポート〜テクノロジー分野のジェンダーギャップとその取り組みについて〜

みんなのコードは、情報教育にまつわるさまざまな格差を埋める取り組みを行っていますが、とりわけ、テクノロジー分野において大きなジェンダーギャップが認められるため、重点取り組み事項としています。2023年7月14日には「テクノロジー分野におけるジェンダーギャップの解消に関する取り組みについて」を発表しました。本資料は、課題、私たちが取り組む理由とこれまでの実践を改めてまとめたものです。

テクノロジー分野のジェンダーギャップ解消に向けては、みんなのコードの活動だけでなく、関係各方面の協力が必要不可欠です。本資料にご賛同いただける皆様のご支援、ご協力を心よりお願い申し上げます。

みんなのコード

March 08, 2024
Tweet

More Decks by みんなのコード

Other Decks in Education

Transcript

  1. ©2024 特定非営利活動法人みんなのコード 
 テクノロジー分野のジェンダーギャップとその取り組みについて  みんなのコードは、「誰もがテクノロジーを創造的に楽しむ国にする」をビジョンに掲 げ、2015年の団体設立以来、小学校・中学校・高等学校及び地域において、プログラミ ング教育を起点に情報教育の発展に向け活動してきました。  私がこの活動を始める時に「みんなのコード」と名付けたように、果たして「誰も」に届 けられているか、ということを常に問いながらビジョンの実現を目指しています。  私たちは、この問いをもとにさまざまなギャップを埋める取り組みを行っています

    が、特にテクノロジー分野においては大きなジェンダーギャップが認められるため、み んなのコードの、重点取り組み事項としています。  本資料は、現状と課題、私たちが大切にしているアクションと考え方を改めてまとめた ものです。  テクノロジー分野のジェンダーギャップ解消に向けては、みんなのコードの活動だけで なく、関係各方面の協力が必要不可欠です。本資料にご賛同いただける皆様のご支援 やご協力を心よりお願い申し上げます。 特定非営利活動法人みんなのコード 代表理事 利根川裕太 ©2024 特定非営利活動法人みんなのコード 

  2. ©2024 特定非営利活動法人みんなのコード 
 団体概要 法人名 特定非営利活動法人みんなのコード 設立 2015年7月 代表理事 利根川

    裕太 事業概要 情報・テクノロジー教育の普及 拠点 横浜オフィス(神奈川県横浜市) コンピュータクラブハウス加賀(石川県加賀市) ミミミラボ(石川県金沢市) てくテックすさき(高知県須崎市)
  3. ©2024 特定非営利活動法人みんなのコード 
 受賞歴 2023年 第6回リカジョ育成賞「奨励賞」を受賞 第18回マニフェスト大賞「グッドアイデア賞 優秀賞」を受賞 D&I AWARD2023「スタンダート認定」を取得

    2022年 「BIG LOVE ACTION powered by MINI」にて、第1期 Winnerに選出 2021年 第7回企業ボランティア・アワード「大賞」を受賞 「Beyond Sustainability 2021」Next Coming部門にノミネート 「リモートワーク × 健康AWARD」大賞受賞
  4. ©2024 特定非営利活動法人みんなのコード 
 目次 1. テクノロジー分野のジェンダーギャップに関する課題 2. みんなのコードが取り組む理由 3. みんなのコードのアクション

     1. 学校教育に関わるアクション  2. 子どもの居場所事業に関わるアクション  3. 情報教育に関わるアクション  4. 登壇ポリシー  5. 組織づくり
  5. ©2024 特定非営利活動法人みんなのコード 
 テクノロジー分野における日本の状況 ジェンダーギャップ指数*1 125/146位 STEM分野入学者女子比率*3 OECD 加盟国中最低 情報サービス産業における

    ITエンジニアの女性比率*2 15.8%  ジェンダー平等の観点で、日本は全体的に立ち遅れており、テクノロジー分野におけるジェンダーギャップも国際的に見 て大きな課題がある。 *1: 世界経済フォーラム「 Global Gender Gap Report 2023」*2:情報サービス産業協会「 2022年版情報サービス産業基本統計調査」 *3 内閣府:「Society 5.0の実現に向けた教育・人材 育成に関する政策パッケージ」 ジェンダー平等の観点で 世界の中で著しい立ち遅れ テクノロジー分野においても ギャップが認められる 高等教育の入口から ジェンダーギャップが発生
  6. ©2024 特定非営利活動法人みんなのコード 
 家庭・学校・社会から受け取る役割意識の違い 性別ごとに分かれている おもちゃ・児童書 「女の子にはピンクの人形」 「絵本で活躍するのは男の子」 周囲のアンコンシャスバイアス ・ステレオタイプ

    「女の子は女の子らしく」 周囲のアンコンシャスバイアス・ステレオタイプ 「女の子は理系が苦手」「理系は男性のもの」 好意的差別発言 「女の子なのにプログラミングが得意なんてすごい」 隠れたカリキュラム 「分からなかったら男の子に聞いて」 身近なロールモデルの不在 「男性が教えるコンピュータは、自分とは関係ない」 親の期待 「安定した分かりやすい職業に」 周囲のステレオタイプ 「プログラマーは男性の職業」 身近なロールモデルの不在 「IT職で働く姿が想像できない」  発達段階の様々な場面で社会・学校・家庭から受け取る偏った認識により、無意識に自身の選択肢を狭めている可能性 があるのではないか。
  7. ©2024 特定非営利活動法人みんなのコード 
 必要なアクション 内閣府「男女共同参画白書 令和元年版」 Google「女性が情報科学を専攻するきっかけ」(2014) 1. 社会的な奨励 情報科学分野に進むことに対する、家族や仲間からの積極的

    な応援 2. 自己認識 パズルや問題解決への関心や、そのようなスキルが職業の成 功につながるという考え 3. 情報科学と接する機会 情報科学に関する体系的な授業(学年別の勉強など)、非体系 的な授業(放課後プログラムなど)への参加の機会 4. 職業の認識 情報科学への理解と、情報科学が多様な応用性と社会にプラ スの影響を与える大きな可能性を持つ職業につながるという 認識 【 女性が情報科学の学位取得を目指すための4つの要因 】 【 理数教員の性別と女子生徒の文理傾向 】  理数系の科目の教員が女性の場合、「自分は理系タイプだと思う」という女子生徒の割合が増加する。ロールモデルの存 在など、ジェンダーギャップ解消のための必要なアクションが提唱されている。
  8. ©2024 特定非営利活動法人みんなのコード 
 3. みんなのコードのアクション 1. 学校教育に関わるアクション 2. 子どもの居場所事業に関わるアクション 3.

    情報教育に関わるアクション 4. 登壇ポリシー 5. 組織づくり ©2024 特定非営利活動法人みんなのコード 

  9. ©2024 特定非営利活動法人みんなのコード 
 小学校女性教員向けプログラミング教育の養成プログラムを提供  プログラミング教育において小学校の女性教員の積極的な参画を促進することで、最終的には学校教育における 「ITや理系は男性が選択するもの」といった無意識の思い込みやジェンダーギャップの解消を目指します。 <受賞歴> 日産財団 第6回リカジョ育成賞「奨励賞」受賞 <パートナー企業>

    - 2021年度 アドビ株式会社 - 2022年度 Google - 2024年度 Yahoo!基金(予定)  実際、小学校の先生は6割が女性にも関わらず、みんなのコー ドが主催したプログラミング研修会の参加者は8割以上が男性 でした。この気づきから、2021年より小学校女性教員向けに養 成プログラム及びコミュニティを運営しています。
  10. ©2024 特定非営利活動法人みんなのコード 
 政策提言による課題提起 <提言実績> - 経済産業省「デジタル関連部活支援の在り方に関する検討会」にて、 運営・審査員等関係者におけるジェンダーバランスを考慮したい旨 を言及 -

    2022年6月に発表した「日本国内の大学における情報系学部・学 科の実態調査」の中で情報系学部における女子比率が減少している ことを課題提起 - 2023年7年に発表した『文部科学省「初等中等教育段階における 生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン」への見解』において は、実践や議論の際のジェンダーバランスを改善することを課題提 起  私たちは、全国の学校現場、先生方、教育行政、学識経験者、企業、地域の方々と共に、未来の日本の情報教育を創る存 在でありたいと考えていますが、社内外において、テクノロジー分野及び情報教育を取り巻くステークホルダーが男性に 偏っていることを認識しています。政策に関する各種調査・会議においてジェンダーギャップが認められる場合は、その課 題を共有できるよう具体的なアクションをはかっています。
  11. ©2024 特定非営利活動法人みんなのコード 
 ビジョン  私たちがビジョンを実現するために大事にしている問 いは、果たして「誰も」に届けられているか、ということで す。 - 全国すべての学校で。 -

    地域や家庭の事情によらず。 - 性別や母語などを越えて。  みんなのコードは、すべての子どもがテクノロジーで自 身の可能性に気づき、新たな価値を創る姿あふれる国を つくります。
  12. ©2024 特定非営利活動法人みんなのコード 
 取り組みへの思い 杉之原 明子 | COO 私自身、既存の景色や構造に違和感を持つまで、ずい ぶん時間がかかってしまいました。インクルーシブな情

    報教育そして子どもの未来をつくる団体でありたい。 気づきに行ける組織をつくります。 安藤 祐介 | CTO テクノロジーの重要性は高まっていく一方でまだまだ 女性の進出が十分ではありません。指導者やロールモ デルの育成、インクルーシブな教材づくりなど全面的 に取り組んでいきます。 田嶋 美由紀|情報教育研究員 何かを仕組みにする際に、それは果たして「誰も」に届 くだろうかという視点を、最初からもつこと・もち続け ることの重要性を感じています。共感の輪を広げられ るよう、まずは自分が「誰も」の視点をもち続けたいと 思います。 釜野 由里佳| 未来の学び探究部 「ちょっとしたきっかけ」「原体験」が、その人自身の選 択肢や将来を大きく変えうると、自分自身の経験や学 校教育に関わる中で感じました。 角度を変えた視点も持てるような行動を意識して、今 後も取り組んでいきたいです。 竹谷 正明|未来の学び探究部 ICT 関係の研修会参加者は男性に偏っています。そこ に違和感をもてるようになったのは今の学べる環境が あったからです。自分自身も引き続き見る眼を育てつ つ、周囲に働きかけていきます。 古岡 史帆 |コンピュータクラブハウス加賀 石川県に移住し、気付かぬうちにバイアスの中にいる と感じました。子どもや保護者と対話する中での、小さ な言葉遣いや気遣いの積み重ねがギャップ解消に繋 がると信じて行動しています。
  13. ©2024 特定非営利活動法人みんなのコード 
 おわりに  本資料を閲覧いただきありがとうございました。いかがでしたでしょうか。  私たちも、最初から出来たわけではありません。2019年頃のみんなのコードは「男性が情報教育やプログラミングに ついて語るマニアックなカルチャーだった」と言われました。いま思えば、全員男性のチームが開発したサービスを男性が 届けていましたし、私がその中心にいました。  本資料でご紹介したような、小さな「やってみよう」を積み重ねながら、私も学んでいます。  子どもが見る景色は、1社で変えることは出来ません。

     同じ思いを持つ教育現場、行政、学術機関、企業の皆さまとつながり、その輪を広げていけたらと考えています。何かご 一緒できることがあれば、ぜひご連絡お待ちしております。  (連絡先)[email protected]  みんなのコードは、今後も、ジェンダーギャップの解消に向けた取り組みを続け、テクノロジー分野における多様性を向 上することで、新しい価値を、子どもにとってより良い未来を築くことに貢献してまいります。 特定非営利活動法人みんなのコード 代表理事 利根川裕太 ©2024 特定非営利活動法人みんなのコード