Ethereumのロードマップについて学ぼう

Crypto Lounge #2の発表資料です。
販売所事業部 ステーキングG / 櫻井湧太

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1. Crypto Lounge #2 Ethereumのロードマップについて学ぼう 販売所事業部 ステーキングG 櫻井湧太
2. ©2025 Coincheck Inc. 2 アジェンダ - はじめに - Ethereumの誕生 - The DAO事件とハードフォーク - PoWの課題 - PoSへの移行：Eth 2からThe Mergeへの計画変更 - The Merge - The Merge以降のロードマップ - Shapella - Dencun - Pectra - 今後のアップデート
3. ©2025 Coincheck Inc. 3 アジェンダ - はじめに - Ethereumの誕生 - The DAO事件とハードフォーク - PoWの課題 - PoSへの移行：Eth 2からThe Mergeへの計画変更 - The Merge - The Merge以降のロードマップ - Shapella - Dencun - Pectra - 今後のアップデート
4. ©2025 Coincheck Inc. 4 はじめに 本日の目標 - Ethereumがこれまでにどのような変遷を辿って今に至るのか、なんとなくわ かること - Ethereumが目指している姿と実現に向けたアプローチを理解する https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%BC%E3%82%B5%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%A0
5. ©2025 Coincheck Inc. 5 アジェンダ - はじめに - Ethereumの誕生 - The DAO事件とハードフォーク - PoWの課題 - PoSへの移行：Eth 2からThe Mergeへの計画変更 - The Merge - The Merge以降のロードマップ - Shapella - Dencun - Pectra - 今後のアップデート
6. ©2025 Coincheck Inc. 6 Ethereumの誕生 背景と目的 ： EthereumはVitalik Buterin氏が2013年末に提唱した新しいブロックチェーン構想。 「P2Pの決済システムにとどまらない、世界でプログラム可能な分散型のブロックチェーン （ワールドコンピューター）」というビジョン。 スマートコントラクトを用いて、金融からゲームまで幅広いDApp（分散型アプリ）を構築で きるよう設計された。
7. ©2025 Coincheck Inc. 7 アジェンダ - はじめに - Ethereumの誕生 - The DAO事件とハードフォーク - PoWの課題 - PoSへの移行：Eth 2からThe Mergeへの計画変更 - The Merge - The Merge以降のロードマップ - Shapella - Dencun - Pectra - 今後のアップデート
8. ©2025 Coincheck Inc. 8 The DAO事件とハードフォーク 概要 2016年6月17日 The DAOのコントラクトにあった、ETHのうち約3分の1（52億円）が盗まれた。 盗難後、ハードフォークを実施することで、盗まれる前の状態にロールバックし、 Ethereumチェーン上で盗難がなかった状態に戻した。 ロールバック反対派がEthereum Classicとして新規チェーンを分岐した。 DAOとは？ →Ethereum上に作られた、 分散型のベンチャーキャピタルファンド。
9. ©2025 Coincheck Inc. 9 アジェンダ - はじめに - Ethereumの誕生 - The DAO事件とハードフォーク - PoWの課題 - PoSへの移行：Eth 2からThe Mergeへの計画変更 - The Merge - The Merge以降のロードマップ - Shapella - Dencun - Pectra - 今後のアップデート
10. ©2025 Coincheck Inc. 10 PoWの課題 - エネルギー消費 - スケーラビリティと手数料の高騰 - マイニングの中央集権化
11. ©2025 Coincheck Inc. 11 PoWの課題 - エネルギー消費 - スケーラビリティと手数料の高騰 - マイニングの中央集権化
12. ©2025 Coincheck Inc. 12 PoWの課題：エネルギー消費 https://ethereum.org/en/energy-consumption/ PoWによるブロック生成により、Ethereumによる年間消費電力は21TWh に達していた。 これは日本の500万世帯分の年間消費電力を超える。 1tx ≒ YouTubeを2万時間再生と同じ電力消費 PoSへの移行により解決 1万分の1の0.0026TWhまで 激減した。
13. ©2025 Coincheck Inc. 13 PoWの課題 - エネルギー消費 - スケーラビリティと手数料の高騰 - マイニングの中央集権化
14. ©2025 Coincheck Inc. 14 PoWの課題：スケーラビリティと手数料高騰 - PoWではTPS（Transaction Per Second）を 15~30 tx/s に制限 - Ethereumの需要が増えれば増えるほど、トランザクションが増え、ブロッ クに取り込ませるためのガス代の高騰を招く状態 - 対して、Visaの決済ネットワークは毎秒数万件を処理できる - 2017年、Crypto Kittiesの人気に火がつくと同時に、Ethereumチェーン のトランザクション数が62万→107万に倍増してチェーンが麻痺 - 一つのDappsによって麻痺するスケーラビリティのなさが露呈 EIP1559の導入 & PoS移行後のアップデートで対策する https://en.wikipedia.org/wiki/CryptoKitties
15. ©2025 Coincheck Inc. 15 PoWの課題 - エネルギー消費 - スケーラビリティと手数料の高騰 - マイニングの中央集権化
16. ©2025 Coincheck Inc. 16 PoWの課題：マイニングの中央集権化 マイニングのための専用ハードウェアなどマイニング参加の敷居が高くなって いったことや、大規模マイニングプール等の台頭により、ブロック生成が寡占 化していった Ethereumの当初の構想から課題はあったものの、PoSの実現には長年の研究が 必要だったため、つなぎとしてPoWを採用していた
17. ©2025 Coincheck Inc. 17 アジェンダ - はじめに - Ethereumの誕生 - The DAO事件とハードフォーク - PoWの課題 - PoSへの移行：Eth 2からThe Mergeへの計画変更 - The Merge - The Merge以降のロードマップ - Shapella - Dencun - Pectra - 今後のアップデート
18. ©2025 Coincheck Inc. 18 PoSへの移行：Eth2からThe Mergeへの計画変更 PoSに移行する方法は当初、Eth2やEthereum2.0と呼ばれていたが、途中 でThe Mergeと呼ばれる現在のEthereumの形に方向転換した なぜ方向転換したのか？ → - Eth2の構想時よりも、エコシステムの発展が早かった - ArbitrumやOptimismのようなL2ロールアップソリューションがトラ ンザクション実行のスケールに効果的であることが判明した
19. ©2025 Coincheck Inc. 19 PoSへの移行：Eth2からThe Mergeへの計画変更 Eth2の計画 フェーズ0 - Beacon Chainの起動: PoSのコンセンサスのためのチェーン。 フェーズ1 - シャーディング: Ethereumネットワークを64のシャードチェーン 　 に分割し、TXの並行処理を可能にする。 フェーズ1.5 -ドッキング: Eth1のPoWチェーンをシャードのひとつとして取り 込む。 フェーズ2 - 統合: 各シャードチェーン上でスマートコントラクトが稼働する。
20. ©2025 Coincheck Inc. 20 PoSへの移行：Eth2からThe Mergeへの計画変更 The Mergeの計画 フェーズ0 - Beacon Chainの起動: PoSのコンセンサスのためのチェーン。 フェーズ1 - シャーディング: Ethereumネットワークを64のシャードチェーン 　 に分割し、TXの並行処理を可能にする。 フェーズ1.5 -ドッキング: Eth1のPoWチェーンをシャードのひとつとして取り 込む。 フェーズ2 - 統合: 各シャードチェーン上でスマートコントラクトが稼働する Eth1はExecution Layer（EL）として存続し、コンセンサス をBeacon Chainを利用したConsensus Layer（CL）に移譲
21. ©2025 Coincheck Inc. 21 PoSへの移行：Eth2からThe Mergeへの計画変更 Eth2 The Merge 移行手順 Phase1.5でEth1チェーンを統 合。PoS以降はシャーディング 実装後 PoS移行を最優先 実行環境 新規PoSチェーン上に独立した シャード群を構築 Eth1チェーンを実行レイヤーと して存続 スケーリング戦略 L1自体を64分割して並列実行 可能にする L1はデータ提供や可用性に特 化し、L2ロールアップでスケー リングする 呼称 新チェーンをEth2、PoWチェー ンをEth1と呼ぶ Eth2名称廃止。Execution Layer(実行レイヤー)と Consensus Layer（合意レイ ヤー）
22. ©2025 Coincheck Inc. 22 The Merge - はじめに - Ethereumの誕生 - The DAO事件とハードフォーク - PoWの課題 - PoSへの移行：Eth 2からThe Mergeへの計画変更 - The Merge - The Merge以降のロードマップ - Shapella - Dencun - Pectra - 今後のアップデート
23. ©2025 Coincheck Inc. 23 The Merge（Paris/Bellatrix） 実施日：2022年9月15日 目的：PoWからPoSへの移行 内容：ブロック高15,537,394から、PoSのコンセンサスアルゴリズムによるチェーン の合意形成の開始。 CL側のアップグレードである、Bellatrixが実施された後、EL側でParisアップグレード が行われた。 主要EIP： - EIP-3675 - PoS移行に関する仕様変更の定義 - EIP-4399 - PoWで利用されていたDifficulty設定の無効化
24. ©2025 Coincheck Inc. 24 The Merge以降のロードマップ - はじめに - Ethereumの誕生 - The DAO事件とハードフォーク - PoWの課題 - PoSへの移行：Eth 2からThe Mergeへの計画変更 - The Merge - The Merge以降のロードマップ - Shapella - Dencun - Pectra - 今後のアップデート
25. ©2025 Coincheck Inc. 25 The Merge以降のロードマップ https://x.com/VitalikButerin/status/1741190491578810445
26. ©2025 Coincheck Inc. 26 The Merge以降のロードマップ https://ethroadmap.com/ 定期的なハードフォークにより、部 分的に実装がされている状況 ハードフォークに含まれるEIPが必ず しもThe Mergeから順番になってい るわけではない
27. ©2025 Coincheck Inc. 27 The Merge以降のロードマップ https://ethroadmap.com/merge.html 各フェーズの概要 The Merge 目標：PoWからPoSへの移行。理想的かつ、シンプルで堅牢なPoSコンセンサスの 確立
28. ©2025 Coincheck Inc. 28 The Merge以降のロードマップ https://ethroadmap.com/surge.html 各フェーズの概要 The Surge 目標：イーサリアムのエコシステム全体（主にL2上ロールアップ上）で、 100,000 TPS以上を達成すること
29. ©2025 Coincheck Inc. 29 The Merge以降のロードマップ https://ethroadmap.com/scourge.html 各フェーズの概要 The Scourge 目標：MEVとLiquid Stakingに関連する中央集権化リスクの軽減
30. ©2025 Coincheck Inc. 30 The Merge以降のロードマップ https://ethroadmap.com/verge.html 各フェーズの概要 The Verge 目標：ブロック検証に必要な計算量とデータ量削減による、検証の超効率化。
31. ©2025 Coincheck Inc. 31 The Merge以降のロードマップ https://ethroadmap.com/purge.html 各フェーズの概要 The Purge 目標：プロトコルの簡素化、技術負債の解消、ネットワーク参加コスト低減
32. ©2025 Coincheck Inc. 32 The Merge以降のロードマップ https://ethroadmap.com/splurge.html 各フェーズの概要 The Splurge 目標：その他全ての修正
33. ©2025 Coincheck Inc. 33 Shapella - はじめに - Ethereumの誕生 - The DAO事件とハードフォーク - PoWの課題 - PoSへの移行：Eth 2からThe Mergeへの計画変更 - The Merge - The Merge以降のロードマップ - Shapella - Dencun - Pectra - 今後のアップデート
34. ©2025 Coincheck Inc. 34 Shapella（Shanghai/Capella） 実施日：2023年4月12日 目的：ステーキングのライフサイクル完成によるPoWからPoSへの完全移行 内容：バリデータからETHを引き出せるようにする 　バリデータを完全に終了する機能と、ステーキング報酬をバリデータか 　ら部分的に払い出す機能の適用 主要EIP： - EIP-4895 - バリデータからの引き出し操作である、 withdrawalの適用 - EIP-3651 - ブロックの報酬を受け取るアドレスへのアクセス時のガス費用の最適化
35. ©2025 Coincheck Inc. 35 Dencun - はじめに - Ethereumの誕生 - The DAO事件とハードフォーク - PoWの課題 - PoSへの移行：Eth 2からThe Mergeへの計画変更 - The Merge - The Merge以降のロードマップ - Shapella - Dencun - Pectra - 今後のアップデート
36. ©2025 Coincheck Inc. 36 Dencun（Cancun/Deneb） 実施日：2024年3月13日 目的：Proto-Danksharding 内容：blob領域の追加によるL2のスケーリング＆手数料削減 　ロールアップ中心のスケーラビリティ向上のためのアップグレード 主要EIP： - EIP-4844（Proto-Danksharding） - blob領域に対応した新しいトランザクションタイプの追加 - blobとは、L2のデータを安価に大量に格納できる領域 - 最終的なロールアップスケーリングである (Full)Danksharding実現への第一歩 - 過去のDanksharding勉強会資料（社内向け） - EIP-1153：一時的なストレージ領域の追加 - EIP-4788：EVMからBeaconChainのルート情報を参照可能にする
37. ©2025 Coincheck Inc. 37 Pectra - はじめに - Ethereumの誕生 - The DAO事件とハードフォーク - PoWの課題 - PoSへの移行：Eth 2からThe Mergeへの計画変更 - The Merge - The Merge以降のロードマップ - Shapella - Dencun - Pectra - 今後のアップデート
38. ©2025 Coincheck Inc. 38 Pectra（Plague/Electra） 実施日：2025年5月7日 目的：アカウントUXとステーキングの効率化 内容：Account Abstractionの実現。ステーキング上限の拡大。バリデータ 　退出をELでトリガーできるようにする。 主要EIP： - EIP-7702：新しいTransaction typeの追加によるAccount Abstractionの実現。 - EIP-7251：1バリデータあたりのステーク上限を 32 ETH → 2048 ETH に引き上げ。 - EIP-7002：ELにあるキーを利用してバリデータの exitが可能になる
39. ©2025 Coincheck Inc. 39 Pectra（Plague/Electra） Pectraはアップデートが盛りだくさんなので、 専用の解説記事を書きました https://tech.coincheck.blog/entry/2024/12/12/095948
40. ©2025 Coincheck Inc. 40 今後のアップデート - はじめに - Ethereumの誕生 - The DAO事件とハードフォーク - PoWの課題 - PoSへの移行：Eth 2からThe Mergeへの計画変更 - The Merge - The Merge以降のロードマップ - Shapella - Dencun - Pectra - 今後のアップデート
41. ©2025 Coincheck Inc. 41 今後のアップデート 今後予定されているハードフォーク - Fusaka（Osaka / Fulu） - 早ければ2025年末に実施 - Peer DASの実装によるDankshardingの実現 - 100,000 TPSが可能に - L2のgas代がさらに安く - The Surgeが完了するかも？ - Glamsterdam（Amsterdam / G star） - Verkle Treesの利用 - 検証に必要なデータセットが小さくなり、バリデータの参加要件が緩和されることで、さらな る分散化 - ステートレスネスの実現 - フルノードの運用コスト削減
42. 新しい価値交換を、もっと身近に