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日本科学教育学会 第50回年会 (@東京大学)

Avatar for Daichi Morikawa Daichi Morikawa
September 13, 2026
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 日本科学教育学会 第50回年会 (@東京大学)

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Daichi Morikawa

September 13, 2026

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  1. 背景 「不確かさが伴うデータの⽐較」に関する既存の分類 Lubben et al.(2001)による測定問題 データ収集・データ処理・データ⽐較の局⾯から,測定に関する認識を捉えている 回答を整理する3つの既存分類 • 基本集合⽐較(Basic Set

    Comparison) 「平均値のみ」を⽐較し,データのばらつきを無視して判断する回答 例)「平均が同じだからどちらも同じくらいよい」 「平均が違うから⼀致していない」 • 深い集合⽐較(Deep Set Comparison) 「平均値 + データのばらつき(範囲・不確かさ・重なり)」を考慮して判断する回答 例)「平均が同じでもばらつきが⼩さい⽅が実験の精度が⾼い」 「平均が違っても誤差範囲(データの広がり)が重なっているから⼀致している」 • 分類不能(Unclassified; U) 「基本集合⽐較」「深い集合⽐較」のいずれにも分類できない回答 ◎ここでは無回答だけでなく,両分類とは異なる観点よる回答も含み得る 2
  2. ⽅法 調査対象と実施内容 対象児童 第5学年26名 第6学年32名 (計58名) 分析対象 • 58名×2問=116回答 •

    各回答の選択肢と理由の記述を対応させて扱う 各回答について,既存分類と⾃由記述のコードを記録する 7
  3. ⽅法 8 1つの回答を2点から分析 ⾃由記述コード:本研究で作成 (Kok & Priemer(2023)を参照) 既存分類による分析 ⾃由記述の分析 :回答全体の特徴を整理する

    :判断要素のコード化 • Lubben et al.(2001)に基づく • Basic / Deep / U に分類 Basic:平均を中⼼とした判断 Deep:平均に加え、ばらつき等を考慮 U:いずれにも分類できない回答 ① 判断に⽤いた要素 平均/散らばり/個別値間の⽐較/その他 ② 複数の要素の関係 単独/並列/因果/条件別 既存分類 × 判断要素 の対応に着⽬ 1つの回答に2つの分析を適⽤し,分類と判断要素を対応させる
  4. ⽅法 どのように分析するか 9 STEP 1 コーディング例 何について述べているか(判断要素の同定) 「実験結果がどれも違うから⼀致していないと もいえる。だけど,同じような所に結果が集 平均/散らばり/個別値/その他

    まっているから,⼀致しているともいえる」 STEP 2 判断要素を結論の根拠として使っているか ⾔及のみ または 根拠として使⽤ STEP 3 複数の根拠がある場合、どう関係しているか 単独/並列/因果/条件別 ・「どれも違う」 → 個別値間での⽐較 ・「同じような所に集まっている」 → 散らばり ・2つの基準で結論が変化 → 条件別
  5. 結果 (RQ1) 10 既存分類の分布(全体) RQ1:既存の分類に基づく採点をした場合,各設問でどのように分布し,2つの設問間での回答がどのように対応するのか。 Basic Deep U 設問1 29(50%)

    10(17%) 19(33%) 設問2 23(40%) 27(47%) 8(14%) 29 10 設問1 23 設問2 0% 10 % 20 % 19 27 30 % 40 % 50 % 60 % Basic Deep U 8 70 % 80 % 90 % 10 0%
  6. 結果 (RQ1) 11 既存分類の分布(設問間での対応) 設問2 設 問 1 Basic Deep

    U 合計 Basic 18 10 1 29 Deep 2 7 1 10 U 3 10 6 19 合計 23 27 8 58 同じ分類:31名(53.4%) 異なる分類:27名(46.6%) 2つの設問で分類が異なっていた児童が27名(46.6%)
  7. 結果 (RQ2) 12 判断に⽤いた要素 平均 32 20 9 散らばり 個別値間

    の⽐較 28 19 0 9 その他 0 27 10 20 設問1 設問2 30 40 (件数) ※ 件数には重複がある 設問1では「平均」「個別値間の⽐較」,設問2では「散らばり」「その他」が多かった
  8. 結果 (RQ2) 13 既存分類と判断要素 ヒートマップによる割合の可視化 既存分類 平均 散らばり 個別値間の⽐ 較

    その他 Basic 45 (86.5%) 4(7.7%) 7(13.5%) 8(15.4%) 7(18.9%) 33 (89.2%) 5(13.5%) 16 (43.2%) 0(0.0%) 0(0.0%) 7(25.9%) 12 (44.4%) (n=52) Deep (n=37) U (n=27) ※ 重複しているため各⾏の合計は100%を超えうる ※⼀部に判断要素をコードできない回答を含む 同じ分類(Basic / Deep / U)でも,判断に⽤いられた要素は⼀様ではない
  9. 結果 14 設問1でのBasicに分類された29回答の内訳 再掲(既存分類による回答分布) Basic Deep U 設問1 29 10

    19 設問2 23 27 8 設問1のBasicに分類された29回答 同じBasicでも 判断に⽤いた要素 が異なる 平均のみ 平均+個別⽐較 平均+散らばり 20(69%) 6(21%) 2(7%) 個別⽐較 のみ 1 (3%) ※グラフの⼤きさは便宜上割合と⼀致していない 同じ Basic でも,判断に⽤いられた要素は異なった
  10. 結果 (RQ2) 15 2事例(Basic) 第6学年・設問1 事例 回答A 回答B 分類 Basic

    Basic 選択回答 D班の⼈の意⾒ D班の⼈の意⾒ 理由本⽂ C・Dで平均値に2ミリ差がある から完璧に⼀致ではない 平均値と最低値が違うから 使⽤した根拠 平均 平均+個別値間の⽐較 根拠の構造 単⼀基準 基準の並列
  11. 結果 (RQ2) 具体的な事例(異なる基準を使い分けた事例) 16 第6学年・設問1 ⽐較する内容 回答C 分類 Deep 選択回答

    D班の⼈の意⾒ どちらもあり得ると思う。 理由本⽂ 〈原⽂〉 確かに実験結果からどれも違うから⼀致していないともいえる。だけど,同 じような所に結果が集まっているから,⼀致しているともいえる。 使⽤した根拠 個別値間の⽐較+散らばり 根拠の構造 条件別(基準による使い分け) 異なる⽐較基準を,条件によって使い分けた記述
  12. 考察① 既存分類を⾃由記述分析で補う意義 17 既存分類が捉えるもの ⾃由記述分析で加わるもの • Basic/Deep/Uという既存研究と共通 判断要素の具体化 の枠組みで回答を整理できる •

    ⽐較対象・⽐較⽅法 平均/散らばり/個別値間の⽐較 • 設問ごとの分布や、⼆つの設問間の対応 を記述できる など • 根拠の関係 単独/並列/因果/条件別 両者を対応させることで⾒えること • 同じ分類内の異なる判断内容 • ⼀回答内での判断基準の切替 ⇨ 既存分類を置き換えるのではなく,分析層を追加して補う
  13. 考察② 18 先⾏研究との対応 Kok & Priemer (2023) 分類だけでなく 「何を⽐較したか」 「何を基準にしたか」を⾒る

    Schang et al. (2023) ⼀つの固定カテゴリーだけで回答を捉えにくい ⇨ 本研究 Basic内でも 平均のみ/平均+個別値間での⽐較 が存在 ⇨本研究 複数の根拠の使⽤・条件による使い分けが存在 本研究では,既存研究で指摘されてきた 「分類と具体的な理由づけとのずれ」を ⼩学校⾼学年の回答資料によって具体化した
  14. 考察③ 測定値の⽐較を捉えるために ー⽰唆と限界ー 19 ⽰唆 「どの答えを選んだか」だけでなく「なぜそう判断したか」を捉えることで, 同じ分類でも判断過程の違いを把握でき,授業での児童の判断の把握・評価への⽰唆 本研究の限界と今後 ① ⾃由記述から捉えられる範囲

    記述された内容 ≠ 理解そのものの完全な把握 → インタビュー・発話による確認 ② 課題依存性 2つのLubben型⽐較課題に限定 → 異なるデータ配置・⽐較条件での検討 ③ 対象の限定性 ⼩学校5・6年⽣58名 → ⼀般化には慎重さが必要