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日本理科教育学会次世代企画委員会企画 オンラインセミナー スライド資料

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December 21, 2024
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 日本理科教育学会次世代企画委員会企画 オンラインセミナー スライド資料

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Daichi Morikawa

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  1. 【実践編 −⼩学校−】 2024.12.22 ⽇本理科教育学会 次世代企画委員会企画 オンラインセミナー ⻄ 東 京 市

    ⽴ 栄 ⼩ 学 校 森川 ⼤地 理科の資質・能⼒の育成を⽬指した⽣成AIの活⽤ SAMRモデルを援⽤した活⽤段階
  2. 全体の流れ 2 1. はじめに 2. ⽣成AIの活⽤段階 3. 本実践で育成を⽬指す資質・能⼒ 4. ⽣成AIを活⽤した事例紹介(公⽴⼩学校・問いの⾒いだし場⾯)

    ⽣成AIを使った実践をしたい︕ けど⾃信がない…。 ⽣成AIを使うことが⽬的ではなく 理科で育成すべき資質・能⼒の向上のための⼿段として
  3. ⾃⼰紹介 4 森川 ⼤地 所属 ⻄東京市⽴栄⼩学校 これまでの経歴 2017 千葉⼤学⼤学院教育学研究科 修了

    板橋区⽴桜川⼩学校 学級担任として着任 2023 異動 ⻄東京市⽴栄⼩学校 理科専科として着任 主な研究テーマ • 科学的思考⼒の育成 • 問いの⾒いだし • 評価論 • ⽣成AIを含むICT機器の活⽤ メールアドレス X(旧Twitter) research map
  4. ⽣成AIを授業に取り⼊れる上で 8 GIGAスクール構想の導⼊時と似た状況? ⼀⼈⼀台端末の導⼊ • 2019年に⽂部科学省からGIGAスクール構想が⽰された • 新型コロナウイルス蔓延に伴って急速にすすめられた 現場の状況(当時) •

    突然,⼀⼈⼀台端末が学校に届き混乱 • ハード⾯,ソフト⾯での整備や指導に追われる • ⼿段の⽬的化(i.e., ICT機器を使うこと⾃体が⽬的となってしまう授業) 当時,⼀⼈⼀台端末をどう活⽤すればよいか分からず混乱
  5. ⽣成AIを授業に取り⼊れる上で 9 ⽣成AIに関しては? 利⽤・活⽤に関するガイドライン • 初等中等教育段階における⽣成AIの利⽤に関する暫定的なガイドライン(ver.1)(⽂部科学省, 2023)が⽰された • 有識者会議を通して,ガイドラインの改訂が現在も⾏われている(⽂部科学省,2024a) 現場の状況(公⽴⼩学校の場合)

    • ⽣成AI⾃体は知っている(中には使ってみたい!と思う先⽣も) • けど,授業に導⼊することへのハードルが⾼い 実践のイメージがつかない ⇨ 本発表では⽣成AIの活⽤段階を⽰し,⼀事例を紹介 12⽉20⽇(⾦)に ver. 2 案が⽰された(⽂部科学省,2024b)
  6. SAMRモデルとは 10 Puentedulaによる.和訳は三井(2014) 易 難 Redefinition(再定義) 以前ではできなかった新しい実践を可能にする Modification(変形) 実践の再設計を可能にする Augmentation(拡⼤)

    従来のツールの代⽤となることに加え,新たな機能が付加される Substitution(代替) 機能的な拡⼤はなく,従来ツールの代⽤となる ICT機器の活⽤段階を⽰した SAMRモデル
  7. SAMRモデルとは 11 Redefinition(再定義) 以前ではできなかった新しい実践を可能にする Modification(変形) 実践の再設計を可能にする Augmentation(拡⼤) 従来のツールの代⽤となることに加え,新たな機能が付加される Substitution(代替) 機能的な拡⼤はなく,従来ツールの代⽤となる

    • 理科授業における具体例 第3学年 単元「⾳の性質」(森川,2021) ⾳を鳴らす映像と波形の映像を同時に録画し 編集して並べ,クラウド上に共有する 録画した波形の映像をもとに考えを伝え合う 「ボイスメモ機能」を使って⾳の波形を録画する 録画した波形の映像をもとに考えを伝え合う
  8. SAMRモデルを基にした⽣成AIの活⽤段階 12 Redefinition(再定義) 以前ではできなかった新しい実践を可能にする Modification(変形) 実践の再設計を可能にする Augmentation(拡⼤) 従来のツールの代⽤となることに加え,新たな機能が付加される Substitution(代替) 機能的な拡⼤はなく,従来ツールの代⽤となる

    • ⽣成AIの活⽤を当てはめてみると ⽣成AIが学習者⼀⼈⼀⼈の 学習のパートナーとしてサポート ⽣成AIに学習⽬標やその説明を⼊⼒し 学習者⼀⼈⼀⼈個別の課題を提⽰ ⽣成AIに課題や作成した⽂章を⼊⼒し 授業中の話し合いを深めるための壁打ち ⽣成AIに学習に関連するトピックについて質問 T. Shamir Inbal, L. Levi Nadav, I. Blau(2024)
  9. SAMRモデルを基にした⽣成AIの活⽤段階 13 Redefinition(再定義) 以前ではできなかった新しい実践を可能にする Modification(変形) 実践の再設計を可能にする Augmentation(拡⼤) 従来のツールの代⽤となることに加え,新たな機能が付加される Substitution(代替) 機能的な拡⼤はなく,従来ツールの代⽤となる

    本実践で⽬指す段階 • 「拡⼤」や「代替」における実践事例を紹介 • 教師が⽣成AIを使⽤ • 児童は出⼒結果のみを参照 • 理科の資質・能⼒の育成に向けた⽣成AIの 活⽤事例として 学習者が⽣成AIを使うことが前提 ⇨ 公⽴⼩学校での導⼊が困難 単に「⽣成AIの使い⽅」ではなく
  10. 「変数の⾒いだし」に着⽬した指導法(森川・中村, 2024a) 17 森川(2022) <⼤まかな流れ> 1. ⾃然事象の⽐較 2. ちがいを⾒つける(変数) 3.

    原因と結果の関係で組み合わせる 4. ⽂章化する 乾電池の数 乾電池の向き プロペラの 回る向き ⾖電球の 明るさ
  11. 「変数の⾒いだし」に着⽬した指導法(森川・中村, 2024a) 18 森川(2022) <⼤まかな流れ> 1. ⾃然事象の⽐較 2. ちがいを⾒つける(変数) 3.

    原因と結果の関係で組み合わせる 4. ⽂章化する 乾電池の数 乾電池の向き プロペラの 回る向き ⾖電球の 明るさ 乾電池の数 と ⾖電球の明るさ 乾電池の向き と プロペラの回る向き それぞれのちがいを因果関係で結ぶと…
  12. 「変数の⾒いだし」に着⽬した指導法(森川・中村, 2024a) 19 森川(2022) <⼤まかな流れ> 1. ⾃然事象の⽐較 2. ちがいを⾒つける(変数) 3.

    原因と結果の関係で組み合わせる 4. ⽂章化する 乾電池の数 と ⾖電球の明るさ 乾電池の向き と プロペラの回る向き 乾電池の数によって, ⾖電球の明るさはどのように変わるのだろうか 乾電池の向きによって, プロペラの回る向きは変わるのだろうか
  13. ⽣成AIへの⼊⼒ 24 授業で使⽤する複数事象の画像 指⽰⽂ ⼀部抜粋 <頻出語> # 記号や助詞、“A”、“B”はカウントしない # 頻出回数が多い順

    <⽂章の要約> # 添付画像を参考に頻出語同⼠を繋げた要約⽂ # ⼩学校6年⽣がわかる⽂章 # 重複した⽂章は書かない # 出⼒結果を表にまとめる # 類似する項⽬はまとめる (表の下に注意書きとして記す) # 「終了」と回答するまで修正点を聞き続ける 学級全体の傾向 をより捉えやすく するために ノイズの取り除き
  14. 児童の様⼦(概要) 26 1. 授業前 *本時に向けて児童は出⼒結果をどのように捉えているか • ⽣成AIによる出⼒結果から気付いたこと • 変数を⾒いだす⼒が低〜中の児童2名の記述 2.

    授業中 *⾒いだした変数を基に議論し,問題⽂を全体で作る場⾯ • 班内での検討 • 学級全体での検討(資料に掲載) 3. 授業後 *本実践を通して児童の⽣成AIに対する考えの変化 • 授業の振り返り
  15. 27 1. 授業前 *本時に向けて児童は出⼒結果をどのように捉えているか • ⽣成AIによる出⼒結果から気付いたこと • 変数を⾒いだす⼒が低〜中の児童2名の記述 2. 授業中

    *⾒いだした変数を基に議論し,問題⽂を全体で作る場⾯ • 班内での検討 • 学級全体での検討(資料に掲載) 3. 授業後 *本実践を通して児童の⽣成AIに対する考えの変化 • 授業の振り返り 児童の様⼦(概要)
  16. 出⼒結果から児童が気付いたこと 28 • 変数を⾒いだすこと ⇨ 困難さを抱える児童が⼀定数いる(森川・⽯⾶・中村, 2022) 学級全体の考えを捉える上で認知的負荷の軽減につながった 出⼒結果を⾒て,気付いたことは何ですか? 質問

    児童 変数を⾒いだす⼒ 回答 Aさん 低 (でんぷんというキーワードは⾒つけられた) ⽔分と⽇光というキーワードが多く使われている。 みんなの意⾒を⾒て,⽔分と⽇光,デンプンと⽇光,には何かしらの関係がありそうだ。 Bさん 中 要約⽂の上位に「⽇光の有無によって」がある。 僕も原因には「⽇光」がくると思う。他の⼈も同じ考えだということが分かった。 ⇨ 特に変数を⾒いだす⼒が低い児童への⽀援として有効 従来の指導法 テキストマイニングと⽐べ これまでは変数間の関係性を ⾒いだすことが難しかった児童 事前学習 出⼒結果の確認 本時 → → 事後 →
  17. 29 1. 授業前 *本時に向けて児童は出⼒結果をどのように捉えているか • ⽣成AIによる出⼒結果から気付いたこと • 変数を⾒いだす⼒が低〜中の児童2名の記述 2. 授業中

    *⾒いだした変数を基に議論し,問題⽂を全体で作る場⾯ • 班内での検討 • 学級全体での検討(資料に掲載) 3. 授業後 *本実践を通して児童の⽣成AIに対する考えの変化 • 授業の振り返り 児童の様⼦(概要)
  18. 本時の流れ 30 事前学習 出⼒結果の確認 本時 → → 事後 → Google

    スライドを班・学級全体で編集 1.キーワード(変数)になり得る⾔葉を書き込む 2.原因と結果の組み合わせを考える 3.考え得る問題⽂を書き込む 4.問題⽂を全体に共有 5.問題⽂の検討 班 全体 班のページ 学級全体のページ
  19. 本時の流れ 31 事前学習 出⼒結果の確認 本時 → → 事後 → Google

    スライドを班・学級全体で編集 1.キーワード(変数)になり得る⾔葉を書き込む 2.原因と結果の組み合わせを考える 3.考え得る問題⽂を書き込む 4.問題⽂を全体に共有 5.問題⽂の検討 班 全体 班のページ 学級全体のページ ・班で1台のタブレットPC ・リーダーが⼊⼒ ・班の全員で意⾒を出す
  20. 班内での検討場⾯ 32 事前学習 出⼒結果の確認 本時 → → 事後 → 頻出語を基に

    考え得る変数を抽出 要約⽂を参考に 問題⽂の敲き台を班でつくる様⼦ 要約⽂の推敲 ⇨ 問題⽂への⾒通しがもてるように 内容⾯の検討を重点的に
  21. 33 1. 授業前 *本時に向けて児童は出⼒結果をどのように捉えているか • ⽣成AIによる出⼒結果から気付いたこと • 変数を⾒いだす⼒が低〜中の児童2名の記述 2. 授業中

    *⾒いだした変数を基に議論し,問題⽂を全体で作る場⾯ • 班内での検討 • 学級全体での検討(資料に掲載) 3. 授業後 *本実践を通して児童の⽣成AIに対する考えの変化 • 授業の振り返り 児童の様⼦(概要)
  22. ⽣成AIによる出⼒結果の児童の捉え⽅ 34 インプット アウトプット ・児童の回答 ・複数事象 ・頻出語 ・要約⽂ 必ずしも全てが 正しいとは限らない

    鵜呑みにしてOK? 事後指導(今回の授業,問いの⾒いだしを具体例として) C1:⽣成AIが出したことは全部正しいと思っていたけど,今回の学習を通して 間違った情報が出てしまう仕組みを知れた。 C2:インターネットの検索と⼀緒で,すぐに信じることは危険だと思った。 けど使えるようになると便利になると思う。 振り返り ⽣成AI活⽤のリテラシー向上への期待
  23. 本事例のまとめ 35 • 本実践は,活⽤段階でいう「拡⼤」に位置する • ⽣成AIの出⼒結果が,変数を⾒いだす際のサポートとして機能 • あくまで⽣成AIを使⽤するのは教師だった • 「変形」や「再定義」となるには,学習者⾃⾝が⽣成AIを使⽤できる

    環境が必要である • ⽀援が必要な児童にとって • 学級全体の考えを捉えやすくサポートとして機能 • ⽰唆として • 教師が積極的に⽣成AIを授業に取り⼊れることで,ねらいとする 資質・能⼒の育成だけでなく「⽣成AIの活⽤リテラシー」の向上に 寄与するのではないか Redefinition(再定義) 以前ではできなかった新しい実践を可能にする Modification(変形) 実践の再設計を可能にする Augmentation(拡⼤) 従来のツールの代⽤となることに加え 新たな機能が付加される Substitution(代替) 機能的な拡⼤はなく,従来ツールの代⽤となる 次の実践の⾒通し 積極的に実践へ取り⼊れるべき
  24. 参考・引⽤⽂献 36 ⽂部科学省(2023)「初等中等教育段階における⽣成AIの利⽤に関する暫定的なガイドライン」Retrieved from https://www.mext.go.jp/content/20241126- mxt_jogai01-000038813_03.pdf (accessed 2024.12.20) ⽂部科学省(2024a)「初等中等教育段階における⽣成AIの利活⽤に関するガイドライン(素案)」Retrieved from

    https://www.mext.go.jp/content/20241126- mxt_jogai01-000038813_001.pdf (accessed 2024.12.16) ⽂部科学省(2024b)「初等中等教育段階における⽣成AIの利活⽤に関するガイドライン(案)」Retrieved from https://www.mext.go.jp/content/20241220- mxt_jogai01-000039176_001.pdf (accessed 2024.12.22) 三井⼀希(2014)「SAMRモデルを⽤いた初等教育におけるICT活⽤実践の分類」⽇本教育⼯学会2014年度第1回研究会予稿集,14(2), 37-40. 三井⼀希・⼾⽥真志・松葉⿓⼀・鈴⽊克明(2020)「⼩学校におけるタブレット端末を活⽤した授業実践のSAMRモデルを⽤いた分析」『教育システム情報学会 誌』Vol37,No.4,pp.348-353. 森川⼤地(2022)「探究可能な問いを⾒いだす実践 ー「変数を⾒いだす⼒」に着⽬してー」初等理科教育会報電⼦版12/1⽉号, 36-39. 森川⼤地(2024)「第3章 ⽣成AIを取り⼊れた理科授業 第1節 ⽐較を通して問題を⾒いだす」中村⼤輝編『⽣成AIで進化する理科教育ー導⼊から実践までの完 全ガイドー』東洋館出版社,40-45. 森川⼤地・⽯⾶幹晴・中村⼤輝(2022)「問題事象から変数を⾒いだす⼒の評価⽅法の開発」『理科教育学研究』, 第63巻, 第1号, 61-69. 森川⼤地・中村⼤輝(2024a)「問いの設定場⾯における「変数を⾒いだす⼒」の育成⽅法の開発」『理科教育学研究』, 第64巻, 第3号, 329-339. 森川⼤地・中村⼤輝(2024b)「⽣成AIを活⽤した問いの⾒いだしの指導法の提案」⽇本理科教育学会第74回全国⼤会,482. NHK 『WEBニュース』https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240516/k10014449531000.html(閲覧:2024.12.13) Ruben R. Puentedura (2006)Transformation, Technology, and Education. Retrieved from http://hippasus.com/resources/tte/ (閲覧日2024.12.16) Tamar Shamir Inbal, Liron Levi , Ina Blau(2024)The use of artificial intelligence to promote changes in teaching and learning processes. EDULEARN24 Proceedings, 16th International Conference on Education and New Learning Technologies, 142-145.
  25. 【実践編 −⼩学校−】 2024.12.22 ⽇本理科教育学会 次世代企画委員会企画 オンラインセミナー ⻄ 東 京 市

    ⽴ 栄 ⼩ 学 校 森川 ⼤地 理科の資質・能⼒の育成を⽬指した⽣成AIの活⽤ SAMRモデルを援⽤した活⽤段階
  26. 問いの⾒いだし場⾯の困難さ 39 教師 ⼦ども 意図する問いにならない • ⼦どもの議論が拡散してしまう • 教師から与える問いとなってしまう •

    教科書に書かれている問いを発⾔した ⼦どもを指名する ⼀部の児童のみで 問いが⽴てられている • 問いの⽴て⽅が分からず,そもそも 考えられない • 全体で発表することが苦⼿な児童は 考える時間がもてない 学習の機会が保証されていない 教師主導の問いになってしまう
  27. ⽣成AIは「変数」を⾒いだすことができる? 40 ⽣成AIは「⽬に⾒えない変数」を⾒いだすことができる ⇨ 問いの⾒いだし場⾯でつまづいている児童の⽀援として活⽤可能 • 変数を捉える上で • ⽬に⾒える変数 •

    ⽬に⾒えない変数 • 「⽬に⾒えない変数」の扱い(森川,2022) • 初学者は⾒いだしにくい • 特に3・4年⽣ • ⾼学年でも⼀部の児童は⾒いだすことが困難 • ⽣成AIは「⽬に⾒えない変数」を⾒いだすことができるか(森川,2024) • 測定問題と指⽰⽂をインプット • 正しく回答した • 変数を⾒いだす際に必要となる観察⼒や推論⼒が備わっているといえる
  28. 本実践における⽣成AIの利⽤ 41 使⽤する⽣成AI ⇨ ChatGPT‒4o 使⽤者 ⇨ 教師 ⽤途 ⇨

    児童の記述分析 児童への事前指導 ⇨ アリ(詳細:次のページ) 「初等中等教育段階における⽣成AIの利⽤に関する暫定的なガイドライン」 (⽂部科学省, 2023)に沿って⽣成AIを利⽤
  29. ⽣成AIに関する事前指導 42 • 多くの児童は「⽣成AI」という⾔葉を聞いたことがある(8割近く) • ほとんどの児童が「⽣成AI」を使ったことがない • ⽣成AIを活⽤した授業は受けたことがない • 10分程

    • 教師がどのように⽣成AIを利⽤したか たとえば,教師が⼊⼒したデータには個⼈情報が含まれていないことを明⽰ • ⽣成AIのメリット/デメリットに関する簡易的な説明 ⽣成AIの出⼒結果をどのように捉えればよいのか(e.g., ハルシネーション) 児童の実態 初めて⽣成AIに触れる児童が多いため 仕組みや抽象的な説明は避けた 事前指導
  30. 学級全体での検討場⾯ 45 事前学習 出⼒結果の確認 本時 → → 事後 → Google

    スライドを班・学級全体で編集 1.キーワード(変数)になり得る⾔葉を書き込む 2.原因と結果の組み合わせを考える 3.考え得る問題⽂を書き込む 4.問題⽂を全体に共有 5.問題⽂の検討 班 全体 班のページ 学級全体のページ ・各班で考えた問題⽂を 1ページに集約し, ⽐較しやすくした
  31. 学級全体での発話プロトコル(⼀部抜粋) 46 C3:どの班も「⽇光の有無」を原因としているから,決定でよいと思う。 C4:けど,結果のところの意⾒がバラバラだよね。 (従属変数が)たくさんあると,何を調べたらよいか分かりにくいから絞った⽅がいいと思う。 # 結果(従属変数)には「⾊」「⽔分の量」「デンプンの量」が挙がっている C5:⽇光の有無によって⾊が変わるかは,5年⽣で同じような実験をしたよね。 ⽇光に当てるとよく成⻑して葉が緑⾊だった,逆に⽇光を当てないとあまり成⻑せず葉が⻩⾊くなっていた。 C6:たしかに,そうなるとまた同じようなことをたしかめることになるね。

    C7:⽔分の量ってどうやってたしかめられるかな。この後の実験を考えたら,たしかめるのが難しそう。 C8:デンプンなら,5年⽣の時に使ったヨウ素液でたしかめられそう。 C9:たとえば,1枚の葉全体でどれくらいの割合が反応したか,⽇光アリ・ナシで⽐較する⽅法だとどうかな。 議論の活発化・促進につながった 従来の指導と⽐べ, 多くの児童が議論に参加 ⇨ 多⾯的に議論する様⼦ ⇨ 形式的な問題⽂の作成ではなく『既習事項・変数の場合分け・その後の実験への⾒通し』を中⼼とした議論