CCSE2020での発表資料
因果効果にもとづいた広告配信 株式会社サイバーエージェント 森脇大輔
View Slide
自己紹介 ● AILab経済学チーム@CyberAgent ● 最近流行りの霞が関→テック企業転職組 ● Ph.D. in Econ from University at Albany
AI Lab 経済学チーム 【研究テーマ】 次世代の意思決定方法を作る 【研究領域】 因果推論/計量経済学/メカニズムデザイン/機械学習/強化学習 【共同研究】 Yale大学 成田さん、慶應義塾大学 星野教授AAAI, Web Conf(WWW), ICML, NeurIPS等に採択3
因果効果にもとづいた広告配信
アジェンダ ● 広告とは何なのか ● オンライン広告における因果効果の意義 ● 因果効果の予測 ● 実証実験 ● まとめと残された課題
広告とは何なのか
広告とは何なのか ● とりあえず、「価格や製品の質・量の変化を伴わずに売上を増やす、なんらかの企業のアクション」と定義する。 広告量 売上
広告とは何なのか ● とりあえず、「価格や製品の質・量の変化を伴わずに売上を増やす、なんらかの企業のアクション」と定義する。 ● 限界費用をゼロと考えれば広告の最適な量というのは広告単価と売上増の交点で決まる 広告量 売上 広告量 ⊿売上 広告単価 最適広告量
パーソナライゼーションが可能な世界での広告 ● パーソナライゼーションが可能な世界で考えてみる 広告量 売上 Aさん Bさん Cさん Dさん
パーソナライゼーションが可能な世界での広告 ● パーソナライゼーションが可能な世界で考えてみる ● 広告の効果は人によって違う 広告量 売上 Aさん Bさん Cさん Dさん 広告量 ⊿売上 広告単価 最適広告量? Aさん Bさん Cさん Dさん
オンライン広告における因果効果の意義
オンライン広告における広告枠オークション ● 何十億の広告枠をめぐってオークションが開催● DSPといわれるサーバーが代わりに入札入札・広告配信 広告主 DSP 消費者
オンライン広告における広告枠オークション ● 何十億の広告枠をめぐってオークションが開催● DSPといわれるサーバーが代わりに入札● 広告配信後のクリックやページ来訪に対して広告主が報酬支払い
インセンティブ整合的? 広告配信後のクリックやページ来訪に対して報酬支払い● DSPの最適戦略は、広告をクリックしそうな人、ページ来訪しそうな人の広告枠を買い付けること● しかし、広告配信後のクリックやページ来訪は必ずしも最終的な売り上げの増加を意味しない(右図)
広告効果にもとづかない広告配信 ● 広告効果にもとづかない広告配信は、まさに前掲の図の状態 広告量 ⊿売上 広告単価 最適広告量? Aさん Bさん Cさん Dさん
並べ替え ● 広告効果の高い消費者順に高く入札していくことで最適な広告配信量が期待できる ● 個別の広告効果の予測が必要 広告量 ⊿売上 広告単価 最適広告量 Aさん Bさん Cさん Dさん
(個別)因果効果の予測
各ユーザーの因果効果を予測したい ● Uplift modellingのフレームワークを使う ● ある特徴量Xを持つ人の広告を受けたとき(YT)と受けなかったとき(YC)の差が広告による因果効果 ● それぞれの項を予測すればいいだけ
広告配信データにおけるバイアス ● 予測モデルを訓練するために必要なデータは過去の広告キャンペーンのから入手 ● 誰に広告を配信するかは ランダムではない ● 広告配信のされやすさとアウトカムが相関している場合、予測が過大もしくは過少になる (例)家電量販店の広告キャンペーン定期的に来訪するAさん 普段はライバル店を利用するBさんリタゲロジックによって高値で入札 来店経験がないので安値で入札高値で入札されるAさんのほうが広告を配信されやすく来訪しやすい => 因果効果の上方バイアス
広告のされやすさでデータを補正 ● オンライン広告では広告のされやすさ=ウェブサイト・アプリ利用頻度、入札価格の高さである程度予測できる 広告のされやすさ, e(X) 実際の広告接触数
広告のされやすさでデータを補正 ● オンライン広告では広告のされやすさ=ウェブサイト・アプリ利用頻度、入札価格の高さである程度予測できる ● 広告のされやすさを予測する予測器e(X)を用いてデータのバイアスを補正 実際の広告接触数 実際の広告接触数 補正後 広告のされやすさ, e(X) 広告のされやすさ, e(X)
厳密には・・・ ● 予測器の学習の際の損失関数にe(X)を導入する(詳細はMoriwaki et al. (2020, AdKDD)) ● 計算された予測値から効果を推定
実証実験
因果効果ベースの入札戦略は本当に効果的か ● 実際にやってみる ● 通常、コンバージョン率をもとに決められている入札価格を因果効果ベースに置き換える 1コンバージョンあたりの価値 予測される因果効果 調整係数
A/Bテスト ● 予算とユーザーを分けて既存の入札戦略と因果効果ベースの入札戦略を比較してみる。 ● 実際の広告案件を使うため、因果効果ベースの入札は一部のユーザーのみに適用
結果 ● クリック率では劣っていたが、リーチ率やインプレッション数で優れていた 因果効果ベース 既存モデル Diffユーザーあたりインプレッション数1.28 1.0 0.28***ユーザーあたりクリック数0.54 1.0 -0.46**リーチ率 1.71 1.0 0.71***
大きなビジネスインパクト ● 少ないコストでリーチ。実効CPAで70%もコスト減少 因果効果ベース 既存モデル ビジネスインパクトインプレッションあたり原価0.27 1.0 73%saved!リーチあたりコスト 0.24 1.0 76% saved!実効CPA 0.3 1.0 70% saved!
まとめと残された課題
まとめ ● 広告は売上を増やすためのもの ● パーソナライゼーションできるオンライン広告では因果効果を予測することで最適な広告配信ができる ● 実プロダクトで因果効果ベースの入札戦略を実装し、好パフォーマンスを得た
残された課題 ● CPC, CPAといった課金システムのもとでは因果効果ベースの入札は導入できない ○ どうやって成果をはかる? ○ インセンティブ非整合 ● 広告主とDSP双方が幸せになる方法は? ○ 課金システムを因果効果ベースにする? ○ 既存の課金システムに迎合する? ● アトリビューションの問題
Thank you!