森脇 大輔 株式会社サイバーエージェント AI事業本部 AI Lab リサーチ・サイエンティスト
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藤田悠, & 斎尾直子. (2017). 老人ホーム・保育所に対する社会意識の変遷と課題:建設反対事例の新聞記事記載内容と立地周辺環境の分析. 日本建築学会計画系論文集,82(733), 697–703. https://doi.org/10.3130/aija.82.697厚生労働省. (2021). 公的価格の制度について. 読み込み 2022年1月22日, からhttps://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000863879.pdf老人ホーム→ 保育所→ 清掃工場→ ←保育士・幼稚園教諭 ←看護師 ←全産業平均
江東区. (2019). 江東区こども・子育て支援事業計画. 読み込み 2022年1月22日, からhttps://www.city.koto.lg.jp/281010/kodomo/kosodate/kekaku/kaigi/documents/01-2shiryou2.pdf厚生労働省. (2020). 「保育所等関連状況取りまとめ(令和2年4月1日)」を公表します. 読み込み2022年1月22日, からhttps://www.mhlw.go.jp/content/11922000/000678692.pdf
1-2歳クラス0歳クラス3歳クラス+ 8名
詰み?
Student-Optimal Fair Matching (SOFM) アルゴリズム● 年齢別の定員を自動的に調整することで待機児童を減らす
マーケットデザインによる 待機児童問題の解決
申込書申込書各保育所が募集人数を申告 申込書(多摩市)保護者が保育所の希望順を申告 保育担当課がマッチング うまくマッチできたら入所決定0歳3人、1歳1人、2歳0人…
利用調整結果通知二次募集※さらに居宅事業等への斡旋など 利用申し込み見学・情報取集・・・
東京都特別区・市における利用調整アルゴリズム ● 約6割が逐次独裁、4割が受入保留、ボストン方式は江戸川区のみ 竹浪(2022)
概要 性質 逐次独裁 優先順位の高い児童から希望順位が高い保育所を割り当て 正直に希望を申告しても損しない 受入留保 第一希望から順にプロポーズする。相手側はプロポーズを受け入れるかを保留できる 正直に希望を申告しても損しない ボストン 第一希望の児童から定員まで受け入れる 余った枠には第二希望以下を入れる 戦略的に第一希望を操作することで得ができる 真の希望がわからなくなる
保育所選考問題の再定義 まだ保育所に入っていない児童一人ひとりの希望と調整指数、保育所の各年齢の募集人数を用いてできるだけ希望に沿うように割り当てるすでに保育所に入っている児童も含め、各家庭の各きょうだいの保育所への希望の組み合わせと、各児童の各保育所ごとにちがう調整指数、保育所の各年齢の募集人数(+転園が成功した児童の空き枠分)、を用いてできるだけ希望に沿うように割り当て、まだ希望者がいる各保育所の募集人数の空きが出ないように割り当てる。転園希望者は転園が失敗した時はもとの保育所を確保する。
概要 性質 現実への応用 逐次独裁 優先順位の高い児童から希望順位が高い保育所を割り当て 正直に希望を申告しても損しない 保育所ごとに調整指数が違う場合に対応できない 受入留保 片一方から第一希望から順にプロポーズしてもう一方は受け入れるかどうかを逐一判断する 正直に希望を申告しても損しない 保育所ごとに調整指数が違っても対応できるがきょうだいの同所入所を考慮できない ボストン 第一希望の児童から定員まで受け入れる 余った枠には第二希望以下を入れる 戦略的に第一希望を操作することで得ができる 真の希望がわからなくなる きょうだいの同所入所を考慮できない ※定員調整系アルゴリズム( SOFM)もそのままでは対応できない
アルゴリズムによる結果の違い(待機児童)
アルゴリズムによる結果の違い(入所者の希望順位)
アルゴリズムによる結果の違い(きょうだいの同所率)
アルゴリズムによる結果の違い(公平性)
残された課題 ● 年齢別定員の調整 ○ 保育士の実稼働率を考慮した制約条件 ○ 施設のデータ取得 ○ 混合教育 ○ 調整コスト ○ 保育所のインセンティブ
実際の制度の改善事例:多摩市
日本経済学会(2021) 中原賞にもとづく論文
実証実験の今後
アルゴリズムの改良 アルゴリズム 特徴SOFMカリフォルニア大鎌田准教授、東京大学小島准教授● 職員数や施設面積等の制約下で定員を調整● なるべく多くの児童をマッチできないか探索する● ◯ マッチ数が現状より大きく増える、きょうだい同所入所● ✕ 年齢別定員が大きく変化するNRMP米国研修医マッチングで利用● きょうだい同所入所に対応した受入留保アルゴリズム● ◯ 年齢別定員が変化しない、きょうだい同所入所● ✕ マッチ数が現状と変わらない、アルゴリズムが収束しない場合があるNguyen-Vorha ● 最大2名の定員変化を許容することで、NRMPと似たマッチングを導く● ◯ マッチ数が現状より少し増える、きょうだい同所入所● △年齢別定員の多少の調整が必要な場合もあるokumura東京海洋大学 奥村教授● 職員数や施設面積等の制約下で定員を調整● 受入留保アルゴリズム(横浜市の利用調整方法と同じ)がベース● ◯ マッチ数が現状より増える● ✕ 年齢別定員が変化するBiro et al. ● きょうだいの同所などを含めて整数問題として計算● 目標とする指標を最大化● ×解が見つからない場合もある
定員調整に関する課題 事務調整コストを超える効果を出せるか保育所にとってインセンティブがあるか保育士の稼働率を妥当な範囲に抑えられるか
デジタル申請 ※開発中画面
マーケットデザインの可能性Talk Session
小田原 悠朗 東京大学マーケットデザインセンター 特任研究員 Guest Speaker
マーケットデザインの可能性
男女別定員だけではない 公立高校入試制度の問題点
海外での導入事例 米国・英国・ハンガリーなどの諸外国の入試制度の変更において一定の成功を収めているニューヨーク市の事例● 従来は、約10万人の生徒のうち3万人が提出していた志望リストに含まれない学校に進学● マッチングアルゴリズム導入による入試制度改革により、○ 志望リストをめぐる読みあいが不要に○ リストに含まれない学校への進学者が3千人に減少
UTMDでレポート公開中
人材配置とマッチング理論
部署・新入社員へのアルゴリズムの説明部署から新入社員に業務内容のプレゼン新入社員から部署に自己PRプレゼン申告された希望に基づき、アルゴリズムで配属決定これまで配属後にしかわからなかった社員の情報を得て選考できた自分のやりたいことを一番できる所を選ぶという所で、自分のキャリアを考え直すきっかけとなった人事で面談を行い調整するプロセスが省けたため、配属にかかる工数が大幅に削減された
災害時の避難とマッチング ● 要配慮者の平均避難回数は 7回● 2回以上、もしくは県外避難をした 9箇所の高齢者福祉施設では平均して例年の2.4倍の人が一年間で亡くなっている● 避難しないという選択をした施設は例年通りの死亡率相川 祐里奈『避難弱者―あの日、福島原発間近の老人ホームで何が起きたのか?』より様々な事情を抱える要配慮者の災害時避難について、受け入れる施設の特質も踏まえながら極力負担が少なくなるような仕組みを整える必要がある
マーケットデザインの今後
UTMDの設立目的研究を社会実装に、社会実装を研究に還元する
最後に