Upgrade to Pro
— share decks privately, control downloads, hide ads and more …
Speaker Deck
Features
Speaker Deck
PRO
Sign in
Sign up for free
Search
Search
不動産データの複雑さをRustで解きほぐす話
Search
estie | エスティ
April 04, 2023
Programming
0
930
不動産データの複雑さをRustで解きほぐす話
estie | エスティ
April 04, 2023
Tweet
Share
More Decks by estie | エスティ
See All by estie | エスティ
第1回 国土交通省 データコンペ参加者向け勉強会③- Snowflake x estie編 -
estie
0
230
PMとデザイナーが協働してプロダクトを最速で立ち上げるための一つのメソッド
estie
0
51
GraphQLでいい感じの検索APIを作りたい
estie
0
400
GraphQLにおけるページネーションベストプラクティス
estie
0
680
不動産 x AIことはじめ~データの真価を拓くために
estie
0
380
Snowflakeで眠ったデータを起こそう!
estie
0
480
会社説明資料|株式会社estie / company profile
estie
9
200k
SnowflakeをRustで使おう!
estie
0
330
コアデータを起点にした商業用不動産の未来を導くマルチプロダクト戦略
estie
0
1.1k
Other Decks in Programming
See All in Programming
PSR-15 はあなたのための ものではない? - phpcon2024
myamagishi
0
410
Scaling your build logic
antalmonori
1
100
php-conference-japan-2024
tasuku43
0
430
Stackless и stackful? Корутины и асинхронность в Go
lamodatech
0
1.3k
PicoRubyと暮らす、シェアハウスハック
ryosk7
0
220
はてなにおけるfujiwara-wareの活用やecspressoのCI/CD構成 / Fujiwara Tech Conference 2025
cohalz
3
2.8k
functionalなアプローチで動的要素を排除する
ryopeko
1
210
歴史と現在から考えるスケーラブルなソフトウェア開発のプラクティス
i10416
0
300
アクターシステムに頼らずEvent Sourcingする方法について
j5ik2o
6
700
Fibonacci Function Gallery - Part 2
philipschwarz
PRO
0
210
AppRouterを用いた大規模サービス開発におけるディレクトリ構成の変遷と問題点
eiganken
1
450
QA環境で誰でも自由自在に現在時刻を操って検証できるようにした話
kalibora
1
140
Featured
See All Featured
Automating Front-end Workflow
addyosmani
1366
200k
Learning to Love Humans: Emotional Interface Design
aarron
274
40k
Responsive Adventures: Dirty Tricks From The Dark Corners of Front-End
smashingmag
251
21k
The Art of Delivering Value - GDevCon NA Keynote
reverentgeek
8
1.2k
RailsConf & Balkan Ruby 2019: The Past, Present, and Future of Rails at GitHub
eileencodes
132
33k
The World Runs on Bad Software
bkeepers
PRO
66
11k
Practical Orchestrator
shlominoach
186
10k
For a Future-Friendly Web
brad_frost
176
9.5k
Art, The Web, and Tiny UX
lynnandtonic
298
20k
The Art of Programming - Codeland 2020
erikaheidi
53
13k
Java REST API Framework Comparison - PWX 2021
mraible
28
8.3k
Agile that works and the tools we love
rasmusluckow
328
21k
Transcript
不動産データの複雑さを Rustで解きほぐす話 2022/03/15 Rust、何もわからない… #7 yassan
1 発表者紹介 Kazushige Ando (yassan) estie Software Engineer 東京大学情報理工学系研究科中退後、 ノーコードツールの開発に従事。
2022年4月estieに入社。主に不動産デー タの管理を担当。Rustで新規データ の管理システムを開発中。
2 estie (エスティ) は オフィス賃貸業の羅針盤となる 不動産データ分析基盤の構築を 目指す不動産テック企業です
3 複雑な不動産データを 正確に扱いたい!
不動産データの複雑さ
データソースからのデータの例 募集ビル名,階,募集面積,募集賃料,貸付予定日,募集開始日,… テストビル,1F,123.45坪,@12345円,即入居可能,2023/01/02,… テストビル,2F,123.45坪,@12345円,即入居可能,2023/02/03,… テストビル,3F,123.45坪,@12345円,2023年07月,2023/03/04,… テストビル,4F,123.45坪,@12345円,2023年08月,2023/04/05,… テストビル,5F,123.45坪,@12345円,2023年09月,2023/05/06,… テストビル,6F,123.45坪,@12345円,2023年10月,2023/06/07,… … 5
不動産データはどう複雑なのか?
データソースからのデータの例 募集ビル名,階,募集面積,募集賃料,貸付予定日,募集開始日,… テストビル,1F,123.45坪,@12345円,即入居可能,2023/01/02,… テストビル,2F,123.45坪,@12345円,即入居可能,2023/02/03,… テストビル,3F,123.45坪,@12345円,2023年07月,2023/03/04,… テストビル,4F,123.45坪,@12345円,2023年08月,2023/04/05,… テストビル,5F,123.45坪,@12345円,2023年09月,2023/05/06,… テストビル,6F,123.45坪,@12345円,2023年10月,2023/06/07,… … 6
税込? 税抜? 共益費は いくら? 坪単価? 総額? 税込? 税抜? 坪単価? 総額? 賃料xヶ月分? 不動産データはどう複雑なのか?
データソースからのデータの例 募集ビル名,階,募集面積,募集賃料,貸付予定日,募集開始日,… テストビル,1F,123.45坪,@12345円,即入居可能,2023/01/02,… テストビル,2F,123.45坪,@12345円,即入居可能,2023/02/03,… テストビル,3F,123.45坪,@12345円,2023年07月,2023/03/04,… テストビル,4F,123.45坪,@12345円,2023年08月,2023/04/05,… テストビル,5F,123.45坪,@12345円,2023年09月,2023/05/06,… テストビル,6F,123.45坪,@12345円,2023年10月,2023/06/07,… … 7
税込? 税抜? 共益費は いくら? 坪単価? 総額? 税込? 税抜? 坪単価? 総額? 賃料xヶ月分? データを正確に扱うには隠れた属性の管理が必要 しかも隠れた属性はある日突然現れる 不動産データはどう複雑なのか?
8 それ、Rustで解決できますよ!
Rustのenumでのデータ管理
データソースからのデータの例 募集ビル名,階,募集面積,募集賃料,貸付予定日,募集開始日,… テストビル,1F,123.45坪,@12345円,即入居可能,2023/01/02,… テストビル,2F,123.45坪,@12345円,即入居可能,2023/02/03,… テストビル,3F,123.45坪,@12345円,2023年07月,2023/03/04,… テストビル,4F,123.45坪,@12345円,2023年08月,2023/04/05,… テストビル,5F,123.45坪,@12345円,2023年09月,2023/05/06,… テストビル,6F,123.45坪,@12345円,2023年10月,2023/06/07,… … 10
税込? 税抜? 共益費は いくら? 坪単価? 総額? 税込? 税抜? 坪単価? 総額? 賃料xヶ月分? // 共益費 // Common Area Maintenance Fee enum CamFee { // 共益費なし None, // 共益費(総額, 税有無) TotalAmount(u32, bool), // 共益費(坪単価, 税有無) PerArea(u32, bool), // 共益費(賃料比) Relative(f64), } 共益費をenumで表してみる
• 選択肢と値を一緒に持てる • C++だと選択肢だけ • Pythonだとできなくはないが煩雑 11 Rustのenumの良さ // 共益費
// Common Area Maintenance Fee enum CamFee { // 共益費なし None, // 共益費(総額, 税有無) TotalAmount(u32, bool), // 共益費(坪単価, 税有無) PerArea(u32, bool), // 共益費(賃料比) Relative(f64), }
• match式で網羅性チェックされる • C++もPythonも網羅性チェックなし 12 Rustのenumの良さ let total_cam_fee = match
cam_fee { CamFee::None => ..., CamFee::TotalAmount(_, _) => ..., CamFee::PerArea(_, _) => ..., CamFee::Relative(_) => ..., }; C++ですら網羅性チェックがあったとしても危険 CamFee fee = (CamFee)12345; が合法なため
• 気軽にシリアライズできる • C++はライブラリ組み込みが大変 • Pythonはデシリアライズの前後で 型を合わせるのが大変 13 Rustのenumの良さ #[derive(Serialize,
Deserialize)] enum CamFee { ... } let json: String = serde_json::to_string(&old_fee)?; let new_fee: CamFee = serde_json::from_str(&json)?; JSONのままDBに保存すればいいし、 型がそのままスキーマになる
14 複雑なデータでも Rustのenumで解きほぐせる!
新規プロダクトでのデータ管理
16 • estieではWhole Product構想で新規プロダクトを複数開発中 • 新規プロダクトの開発では、未知の属性に次々遭遇する • データは正確に表現しつつ、状況の変化への柔軟な対応が必要 新規プロダクトの立ち上げ時は特に大変!
17 • 最初はデータ管理処理をPythonで実装した • 主な理由は、スキルセットと実装初速の速さ • 賃料よりも格段に複雑なデータと判明し、やがて実装が破綻 • 強力なenumの使えるRustに移行して実装を進められるように 新規プロダクトの立ち上げ時の言語選定
18 • 鬼門とされる所有権システムは意外と気にならない • 変数をあちこちで書き換えないスタイルに慣れていれば十分 • 人間の注意力に頼っていた部分をコンパイラに任せられて楽 • enumの選択肢を追加したときの影響範囲の考慮など •
他のRustチームから飛び地的に使ってもメリットのほうが勝る Rustに移行した感想
19 型の強力さだけでも Rustを選ぶ価値は十分ある!
まとめ
21 • プロダクトの立ち上げ時のデータ管理は特に大変 • Rustのenumは複雑な構造のデータを扱うのに便利 • 型の強力さだけでRustを選ぶ価値は十分ある まとめ
22 プロダクトの立ち上げ時こそ Rustを使おう!