R C H I T E C T U R E あなたが運用しているのは「文書でできた会社」 命令の層 CLAUDE.md 毎セッション自動で読まれる。人格・原則・禁止事項 手順の層 .claude/skills/〜/SKILL.md /コマンドで呼ばれた瞬間だけ丸ごと読まれる。工程表 事実の層 data/ memory/ logs/ AIが読みに行ったときだけ。記録・基準・学習の蓄積 人格の層 .claude/agents/〜.md サブエージェントの職務記述書(判断軸・視点) この4層は「読まれるタイミング」が違う 第1講 大局観 — テキストファイルの組織論
R C H I T E C T U R E どの層に書くかは、内容ではなく「いつ読まれてほしいか」で決める 層 読まれるタイミング だから何を置くか 置き間違えると 命令 毎回・無条件 短い原則・人格・禁止事項 長い手順を置くと、長い会話で読み 飛ばされる 手順 呼んだときだけ・全文 抜けてはいけない工程 原則を置くと、呼ばないセッション で無視される 事実 参照されたときだけ 育てる対象(基準・記録) 命令を置くと、読まれる保証がない 人格 サブエージェント起動 時 判断軸・視点・やらないこ と 手順を置くと、人格と工程が癒着し て再利用できない 第1講 大局観 — テキストファイルの組織論
R C H I T E C T U R E 実例で見る4層 — 資産運用チームの中身 層 実物(抜粋) なぜその層か 命令 CLAUDE.md「保有銘柄の株価は毎回自分で調べ る。本人に委ねない」 雑談でも定期タスクでも、毎回守らせ たい原則だから 手順 /review スキル「①必読ファイル→②市況調査→③ レポート保存→④学びを追記」 週次のときだけ必要な工程表。毎回読 ませる必要がない 事実 portfolio.csv(保有一覧)、investment- philosophy.md(投資哲学) 中身が毎週変わる。育てる対象 人格 専門家agent「成長企業を現場目線で発掘する視点 で発言」 議論のときだけ召喚される判断軸 第1講 大局観 — テキストファイルの組織論 「株価を自分で調べる」を手順の層に書くと、スキルを呼ばない日は守られない
R C H I T E C T U R E コンテキストの経済 — 「読ませる」は有限資源 「AIに何を読ませるか」は、財布と同じ有限資源の配分問題 1 常時読み込みは貧乏性で CLAUDE.mdは「これが無いと 事故る原則」だけに絞る 2 遅延読み込みが基本 命令の層にはポインタ(参照 の1行)だけ置き、中身は事実 の層へ。読む順番まで指定す る 3 親フォルダの継承に注意 複数チームの親には「地図」 だけの薄いファイルを。旧指 示書が残ると全チームに人格 が混入する 第1講 大局観 — テキストファイルの組織論
R C H I T E C T U R E 中心命題 — エージェントを育てるな、データを育てろ 事実の層 高頻度・低リスク > 手順の層 > 命令の層 > 人格の層 低頻度・高リスク — 改善の9割は「事実の層に1行足す」で済む。差分が明確で、壊れたら1行消すだけ — 人格(プロンプト)の書き直しは最終手段。全体の挙動が変わり、何が効いたか追えなくな る — 副次効果: チームの賢さが「見える資産」になる。他人に説明でき、新チームに移植できる 第1講 大局観 — テキストファイルの組織論
R C H I T E C T U R E 組織全体のアーキテクチャ — ハブ&スポーク 共有ノート(ハブ) 本人の近況(週1更新)/価値観/横断の学び/チ ーム名簿 チームA チームB チームC チームD 各チームはハブを「読むだけ」。チーム間は特定ファイルを読みに 行く細い糸まで 依存は作らない、参照だけ ハブが消えても各チームは動く。連携 は参照のみ データの正はひとつ 同じ情報を2チームに持たせない。「財 務は資産チームが正、他は読むだけ」 と宣言する 第1講 大局観 — テキストファイルの組織論
R C H I T E C T U R E 本講義が扱う「設計変数の全体マップ」 設計領域 変数 扱う講 組成(誰を置くか) 分割の原理・人数・ペルソナ・審査役・まとめ役 第2講 インタラクション(どう話させる か) 可視性・順序・反復・フィードバック・フレーミング 第3・4講 学習(どう賢くするか) ループの閉じ方・採点・昇格 第5講 運用(どう回し続けるか) 時間割・完了の定義・検出の仕組み化 第6講 第1講 大局観 — テキストファイルの組織論 「なんとなく良いチーム」を「調整可能な変数の束」に分解するのが本講義の目的
U M M A R Y 第1講のまとめ 1 4層(命令・手順・事実・人格)は「読まれるタイミング」が違う。どこに書 くかは「いつ読まれてほしいか」で決める 2 読ませる量は有限資源。常時読み込みは貧乏性に、基本は遅延読み込み(ポイ ンタ方式) 3 改善は事実の層から触る。賢さをデータとして持てば、見える・戻せる・移植 できる 第1講 大局観 — テキストファイルの組織論
E A M C O M P O S I T I O N 分割の3原理 — エージェントを分ける理由は3つしかない 1 判断軸の衝突 1人の中で同居できない判断基 準があるとき分ける。書き手 と編集者。衝突こそが分業の 価値 2 情報の分離 見せる情報を変えたいとき分 ける。「独立検討」も「役割 ごとの情報遮断」も、分けて 初めて設計できる 3 権限の分離 やってよいことを変えたいと き分ける。「レビュー役は読 むだけ」「記録係だけがログ を書く」。事故防止 判定法: 3原理のどれにも当てはまらない新メンバー案は 「係の名前」が増えるだけ。作らない 第2講 チーム組成の設計学
E A M C O M P O S I T I O N ペルソナは「言葉の飾り」ではなく「戦略の核」 観察 — 繰り返し囚人のジレンマ実験 — 稲盛和夫ペルソナは、5ラウンド裏切られ続けて も協調を貫いた。哲学がそのまま戦略になった — マキャベリ・ペルソナは「偽の協調で従属させ、 最終回に搾取する」多手先読みを自発した — 両者の発言は毎回、各人の哲学の語彙から選択が 導かれていた 解釈 ペルソナの価値は口調ではなく、選 択に一貫した根拠を与えること 「マクロ経済担当」だけでは教科書の平均 が返る。「レイ・ダリオのように、大きな サイクルから考える担当」と書くと判断に 軸と癖が生まれる。役職×人物の掛け算で 書くのが定石 第2講 チーム組成の設計学
E A M C O M P O S I T I O N 組成とインタラクションは、独立した2つのレバー 組成 誰を置くか × インタラクション どう話させるか = 出力の性格 — 観察: 同じ議論パターンでも、編集者ペルソナ3人→設計者3人に替えたら、生成物が「エ ッセイ案」から「システム設計案」に総入れ替えした — 議論の型だけ凝っても、組成が同質なら出力は同質 第2講 チーム組成の設計学
E A M C O M P O S I T I O N 組成の型式表 — 基本5ポジション ポジション 役割 置くと何が変わるか 実例 視点役(2〜3人) それぞれの判断軸で考える 本体 視点の距離が多様性を決める 投資家3人パネル 審査役 提案を却下する専門職 凡庸案の足切り。質の下限が 上がる 「既存アプリで十分」 を即却下、却下ノルマ付 き まとめ役 議論を統合し、本人の言葉 に翻訳 議論が「読める報告」になる。 合意の捏造に注意 投資アドバイザー リサーチ役 事実・素材を集めて全員に 配る 議論が事実に接地する。視点役 と分けるのが重要 市況リサーチャー 記録役 過程の気づきを学習データ に残す チームが学習ループを持てる (第5講) reflector 第2講 チーム組成の設計学 全部揃える必要はない。目的に応じて選ぶ
E A M C O M P O S I T I O N 審査役 — 生成と審査は分けると両方が先鋭化する 生成役 5案つくる 審査役 2〜3案は必ず却下 通過案 質の下限が上がる — 観察: 「却下ノルマ付きの審査役」を入れたところ、通過した案の水準が目に見えて上がっ た — 生成役に自己審査させると「もったいない」バイアスで甘くなる — 生成と審査は判断軸が衝突する(原理①)。だから分ける 第2講 チーム組成の設計学
E A M C O M P O S I T I O N 視点の「距離」の設計 — 近すぎず、遠すぎず、目的で選ぶ 近い(同業の先輩3人) 出力: 実務的・整合的 リスク: 同じ結論の言い換え3つ 向く目的: 実行計画の精緻化 遠い(投資家×詩人×生物学者) 出力: 意外・比喩的・接続困難 リスク: 議論が噛み合わず散乱 向く目的: 独創・創発 — 観察: 地質学×翻訳論×演劇論の3知識体系を衝突させたら「会話の地質学」という比喩が生まれた。 どの単体知識からも出ない。遠い距離は接続に成功したときだけ大きな独創を返す、ハイリスク・ハイ リターンのレバー 迷ったら「2近1遠」 — 近い2人で実務性を、遠い1人で揺さぶる 第2講 チーム組成の設計学
E A M C O M P O S I T I O N 人数の経済 — 大半の議論は3人が最適 人数 特性 用途 1人 最速・最安。議論は起きない 日常の定型作業(足りるなら増やさな い) 2人 対立軸が1本。往復議論に最適 批判サイクル・ゲーム型 3人 対立軸が3本。多数決でなく「三角測量」が できる 大半の議論はここが最適 4人〜 1人あたりの発言が薄まる。フェーズ分担なら 有効 発散3人+整形1人のような直列分担 第2講 チーム組成の設計学 4人以上を同時に議論させるより、フェーズで分ける(発散3人→整形1人の直列分担)
E A M C O M P O S I T I O N チームのライフサイクル — 組成は静的ではない 1 設立 最小構成(憲法1 枚)で始め、分割の 3原理に該当したと きだけ増やす 2 成長 メンバーではなくデ ータ(基準・記録) が育つのが健全 3 休眠 使わない時期は放置 でよい。ただし「稼 働中なのに記録が止 まっている(未記 帳)」と区別する 4 解散・横串 期限のある大仕事は 常設にせず、一時的 な「プロジェクト」 を作って終わったら 畳む 第2講 チーム組成の設計学
U M M A R Y 第2講のまとめ 1 分ける理由は3つだけ: 判断軸の衝突・情報の分離・権限の分離。該当しなけれ ば増やさない 2 ペルソナは戦略の核。役職×人物で書く。組成とインタラクションは独立のレ バー 3 審査役(却下ノルマ付き)は質の下限を上げる。視点の距離は「2近1遠」から 始める 第2講 チーム組成の設計学
N T E R A C T I O N P R I N C I P L E S 前提 — 「観察」と「解釈」を区別して読む 本講の根拠は、議論のさせ方を25種類変えて成果物を比較した実験群とトイモデル実験。ただしn=1(1 人のテーマ)で、評価も主にAI自身が行い、条件統制も厳密ではない。だから2つを分けて提示する。 観察 実験ログに実際に残っている事実 何が出た・出なかった 解釈 観察から著者が組み立てた説明 当時の実験レポートの結論は引き継がない 解釈は断定ではなく、あなたの文脈で試して確かめるための仮説 — 再現実験のための地図 第3講 インタラクション設計の原理 — — — —
N T E R A C T I O N P R I N C I P L E S 出発点の観察 — 並べただけでは何も起きない 同じ問いを3体に同時に投げる 「意見が3本並ぶ」以上のことは起きなかった 前の発言を次の入力に含める 途中で立場の修正・概念の合成・反論が発生し た エージェントは互いの存在を知らない。 「議論」とは前の出力を次の入力に編集して渡す、情報の流れの設計そのもの 第3講 インタラクション設計の原理
N T E R A C T I O N P R I N C I P L E S インタラクション設計の5レバー 1 可視性 誰の発言を、誰に見せるか 2 順序 並列か、直列か、往復か 3 反復 何周させるか 4 圧力 合意させるか、対立を保存するか 5 枠 問いをどんな形で渡すか 情報の流れをこの5変数で記述すれば、あらゆる議論パターンは設計図に還元できる 第3講 インタラクション設計の原理
N T E R A C T I O N P R I N C I P L E S そもそも「議論させる」って、実際は何をするの? 方式 やり方 向いている場面 手動リレー あなたが伝言役になる。「Aの立場で答えて」→出 力を確認→「この意見にBの立場で反論して」と渡す まず試す・型の実験。今日か ら道具なしでできる 手順書(スキル)方式 工程を手順書に書いておく。「①Aの結論→②Bに 渡して反論→③…」→ /コマンド一発で毎回同じ議 論が走る 型が定まったとき 職務記述書方式 .claude/agents/ に定義したメンバーを名指しで使 う。「批判役の視点でこの案をレビューして」 チームの常設運用 第3講 インタラクション設計の原理 魔法のように勝手に会話するのではない。受け渡し方をあなた(または手順書)が決めている
E V E R 2 レバー② 順序 — 並列・直列・往復は別の道具 並列(同時に全員) Q → A / B / C → 統合 広く集める 直列(リレー) Q → A → B → C 前の出力を変換して磨く・飛 ばす 往復(批判サイクル) Q → A ⇄ B(×n回) 提案と批判の応酬で深く掘る — 観察: 弁証法型の往復は「概念の深さ」で他を圧倒した一方、成果物の数は少ない。直列リレーは 深掘りは起きないが、タイトル・言葉の鋭さで突出した — 順序は「広さ・深さ・鋭さ」のどれを買うかの選択。1つのパターンで全部は買えない。目的別に 使い分けるか、フェーズで連結する 第3講 インタラクション設計の原理
N T E R A C T I O N P R I N C I P L E S 5レバーで既存パターンを「読む」練習 パターン ①可視性 ②順序 ③反復 ④圧力 ⑤枠 4フェーズ型 前半隠す→後半 公開 並列→往復→統 合 2周 非合意義務 素のまま 一筆書きリレー 直前のみ 直列 1周 圧力なし 「別視点で変換 せよ」 弁証法バトル 公開 往復 2〜3周 批判義務 素のまま アンチパターン反転 公開 並列→統合 1周 なし 反転枠 war-game 公開 ターン制往復 3周〜 敵対(勝利条 件) 「本気で潰せ」 第3講 インタラクション設計の原理 到達点: 「浅いから反復を足す」「凡庸だから枠を反転する」と、症状からレバーを逆引きできること
U M M A R Y 第3講のまとめ 1 議論とは情報の流れの設計。あらゆるパターンは5レバー(可視性・順序・反 復・圧力・枠)に分解できる 2 合意はデフォルトで捏造される。収束をまとめ役に分離し、視点役には非合意 を義務づける 3 隠れた最強レバーは「枠」。構造をいじる前に、問いの渡し方を疑う 第3講 インタラクション設計の原理
T E R N C ATA L O G カタログの使い方 — まず目的を1つに絞る 失敗のほとんどは「深くて、独創的で、実用的な案を一度に」と欲張ること。1回の議論で買えるのは1つの 性質。だから目的別に引く。 あなたの症状 目的 対応するパターン 答えが浅い。ツッコミに弱い A. 深める 批判サイクル/4フェーズ/ラウ ンドロビン 案の数と幅が足りない B. 発散させる 独立並列/リレー/制約スパイラ ル どこかで見た案しか出ない C. 独創させる 反転/異質衝突/移植/役割反転 案はある。弱点と盲点を知りたい D. 検証する war-game/陪審員/プレモーテ ム 良い案が実行に落ちない E. 実行に落とす 2段ロケット 第4講 目的別パターンカタログ
O A L A — D E E P E N A-1 批判サイクル(弁証法) — 概念の解像度と防御力を上げる 座標: フロー=往復 / 関係=対等の衝突(2人) / 枠=素のまま 提案者 批判者 反例を突く 提案 → 批判 → 修正案 …… ×2〜3周 組成 提案役1+批判役1(判断軸が衝突する2人)。まとめ 役は任意 手順 ①提案→②批判(褒め禁止・最低3点指摘)→③修正 提案→④2周目は「新たな弱点のみ」→⑤最終形と 「残った弱点」を併記 観察 「概念の深さ」で全パターン中の最高評価。ただし成 果物の数は最少 失敗 批判役が敬語で遠慮を始める(→「遠慮は職務怠慢」 と書く)。3周目以降は儀式化する(→2周で打ち切 り) 第4講 目的別パターンカタログ / 目的A 深める
O A L A — D E E P E N A-2 独立→相互チャレンジ→統合(4フェーズ) — 大事な判断の標準 装備 座標: フロー=並列→往復→集約 / 関係=対等の衝突(3人) / 枠=素のまま 1 素材配布 リサーチ役が事実を全員に配 る 2 独立検討 視点役3人が互いを見ずに結論 (可視性OFF) 3 相互チャレンジ 質問・反論2ラウンド。合意禁 止+非合意義務 4 統合 まとめ役が「一致点/対立点 /翻訳」。収束は分離 組成 視点役3(2近1遠推奨)+リサーチ役+まとめ役のフル編成。Phase3の2周目は「譲れない点」と「認める点」の明示 観察 実運用の資産チームが毎月の判断で使用。多角性と「正直さ」(無理にまとめない報告)が安定して得られている 失敗 Phase2を飛ばして最初から公開議論にする(→アンカリングで3人が1人になる)。まとめ役が対立を丸める(→成果物の定義を「対立点リス ト」にする) 第4講 目的別パターンカタログ / 目的A 深める
O A L A — D E E P E N A-3 ラウンドロビン討論 — 司会が論点を1つずつ進める 座標: フロー=往復+司会 / 関係=対等の衝突(2人) / 枠=司会が毎周、問いを再設定 司会 問いを再設定 討論者A ⇄ 討論者B ラウンドごとに論点を1つずつ前へ 肝 司会が「今ラウンドの問い」を毎回再設定する。放置 すると同じ主張の繰り返しになる 観察 周回の効果はレバー③の通り「2周目に深化、3周目は 整理」 第4講 目的別パターンカタログ / 目的A 深める
O A L B — D I V E R G E B-1 完全独立並列(見せない並列) — 量と幅を最大化する 座標: フロー=並列(可視性OFF) / 関係=衝突なし(隔離) / 枠=素のまま 同じ問い → 視点役A(隔離)→ 5案 → 視点役B(隔離)→ 5案 → 視点役C(隔離)→ 5案 → 重複を除いて一覧化 組成 視点役2〜4。距離は遠めに(近いと隔離しても同じ 案が出る) 観察 独立フェーズを持つ回は、公開並列の回より案の重 複が明確に少なかった 失敗 統合時にまとめ役が勝手にベスト5を選ぶ。発散目 的なら選抜は人間がやる — 選抜基準こそあなたの 好みのデータになる(第5講) 第4講 目的別パターンカタログ / 目的B 発散させる
O A L B — D I V E R G E B-2 一筆書きリレー(変換の連鎖) 座標: フロー=直列 / 関係=直列の変換 / 枠=「あなたの視点で作り直せ」 A 第一案 B 自分の美学で作り直す C 物語に変換する 各自、直前の1人の出力しか見ない。批判禁止・変換のみ 組成 判断軸の遠い3人。審査役は置かない(検証は後段で別途) 観察 多様性とタイトルの切れ味で他を圧倒。造語的表現はこの型でのみ発生。一方で品質の検証がな く、ばらつきも最大 失敗 変換のつもりが「要約」になる(→指示は「あなたの視点で作り直す」。要約禁止を明記) 第4講 目的別パターンカタログ / 目的B 発散させる
O A L B — D I V E R G E B-3 制約スパイラル — 絞りながら磨く 座標: フロー=往復(自問型) / 枠=制約を段階的に追加 1 自由に発想 制約なしの1周目。ここで原石を出す 2 制約を1つ追加 同じ案を制約つきで作り直す 3 さらに制約追加 例:「明日の朝できることだけ」 観察 「可愛いアイデア」が周回ごとに「核心を突くアイデア」に変わった。制約は切り捨てではなく磨き道具として働いた 解釈 発散と収束を同じ議論の中で往復させる型。枠レバー⑤を段階的に締めていく設計 失敗 最初から制約を全部乗せる(1周目の自由がないと磨く原石がない) 第4講 目的別パターンカタログ / 目的B 発散させる
O A L C — O R I G I N A L I T Y C-1 アンチパターン反転 — 「どこにもない」を構造で作る 前提: 独創性はお願いしても出ない(「独創的に考えて」は最も効かない指示のひとつ)。枠レバー⑤で探索空間そのものを変える 1 最悪を設計する 「絶対に作ってはいけない最悪の答え」 を全員で真剣に設計 2 構造を分析する その最悪さがどんな構造でできているか を言語化 3 1点ずつ反転する 構造を反転して、良い答えを再構築 観察 「失敗・停滞・何もしない日」を正面から扱う案はこの型でしか出なかった。「良い言葉を捨てた瞬間に反転が生まれる」とい う記録が残っている 解釈 全員が無意識に避ける領域(ネガティブ・タブー・非効率)に照明を当てる装置。「良い案を出せ」の圧力を一度外すことが探 索範囲を広げる 失敗 Step1が冗談大会になる(→「最悪案も本気で設計する。手抜きの最悪案からは何も反転できない」と明記) 第4講 目的別パターンカタログ / 目的C 独創させる
O A L C — O R I G I N A L I T Y C-2 異質衝突・創発ラボ — 遠距離ペルソナの交配 座標: フロー=並列→往復 / 関係=対等の衝突(遠距離) / 枠=「あなたの分野の概念で説明し直せ」 地質学者 翻訳者 演出家 概念の交点 新しい名前を作る 組成 視点の距離を最大に。接続役(まとめ役)必須 観察 「かみ合わない会話は地層のズレ」という比喩がこの 型で発生。単体の知識体系からは出なかった。一方、 接続に失敗して散乱した組も複数 解釈 ハイリスク・ハイリターン。比喩・再定義という形の 独創が出やすい。当たり率より「当たったときの飛距 離」を買う型 失敗 3分野が「それぞれの言葉で言い換えただけ」で終わ る(→「交点で新しい名前を作れ」まで要求する) 第4講 目的別パターンカタログ / 目的C 独創させる
O A L C — O R I G I N A L I T Y C-3 専門知の移植(インストール) 座標: フロー=並列 or 単独 / 枠=移植(縁遠い学問を指定) 「この生活課題を、〇〇学の概念で再設計せよ」 (語用論・現象学・行動経済学・人類学・生態学…あえて縁遠い学問を指定) 観察 他のどの回にも出なかった種類の案(例: 語用論×日常対話)がまとまって出た。「誰もAIに頼も うとしなかった領域」という指定が効いた 解釈 独創とは多くの場合「既知×既知の未試行の掛け算」。掛け算の片側を強制指定する型 失敗 学問側の解説で終わって課題に着地しない(→「最後は明日の行動1つに翻訳」を必須工程に) 第4講 目的別パターンカタログ / 目的C 独創させる
O A L C — O R I G I N A L I T Y C-4 役割反転・死と転生 — 自己破壊系の「型壊し」 座標: フロー=往復 / 関係=対等(軸を入れ替え) / 枠=自己破壊(苦手視点・案を殺す) 役割反転 各自が「自分の苦手な視点」で発想→その後、 本来の視点で互いを批評。不慣れさが定型を壊 す 死と転生(Phoenix) 1つの案を全員で徹底的に「殺し」、残骸から全 く別の案を再構築。元の案への執着を構造的に 断つ 観察 どちらも中庸な結果の回もあり、安定型ではない。ただし「本人の定型パターン」を外した案の 比率は高かった 使い所 自分の型にはまってきたと感じたときの「型壊し」として時々使う 第4講 目的別パターンカタログ / 目的C 独創させる
O A L D — VA L I D AT E D-1 war-game(敵対シミュレーション) — 弱点と盲点を炙り出す 座標: フロー=ターン制 / 関係=非対称の敵対+審判 / 枠=勝利条件の付与 あなたの案 敵役 勝利条件を付与 審判 毎ターン判定 ターン制で3周 組成 敵役2〜3(それぞれ別の攻め筋)+審判1。敵役には 「勝て」という目的を与える — 「批判して」より攻 撃の質が上がる 審判 標準質問「大手が半年で真似できませんか?」「これ はあなたが戦って勝てる場所ですか?」 失敗 敵役が礼儀正しい(→「あなたの目的は相手を市場か ら排除すること」と勝利条件で縛る) 第4講 目的別パターンカタログ / 目的D 検証する
O A L D — VA L I D AT E D-2 陪審員 — 想定読者・想定ユーザーの評決 座標: フロー=関門 / 関係=非対称(評決) / 枠=「本当に使うか/読むか」 立場の違う生活者3人になりきらせ、「自分は本当にこれを使う/読むか」を評決。全員一致 のみ通過 観察 作り手目線では良さそうな案が、生活者評決で落ちる場面が機能した コツ 陪審員は「優しい友人」ではなく「忙しくて興味のない他人」に設定する 第4講 目的別パターンカタログ / 目的D 検証する
O A L D — VA L I D AT E D-3 時間旅行検証 — 1年後オラクル・プレモーテム 座標: フロー=単独〜並列 / 枠=未来完了形(失敗していた前提) 「この計画は1年後に失敗していた。何が起きたか」を先に書かせる 観察 存在理由・失敗条件が最初から明確な設計が出た 解釈 未来完了形の枠は、現在形の「リスクを挙げて」より具体的な失敗を出す(心理的距離が下がる ためと推測)。人間のプレモーテム手法のAI版 第4講 目的別パターンカタログ / 目的D 検証する
O A L E — E X E C U T E E 2段ロケット — 実行に落とす定石 座標: フロー=段階 / 関係=1段目=衝突、2段目=変換 / 枠=段ごとに別定義 1段目: 発散・審査 視点役3人+審査役(量と質の担保) 成果物=「案」 2段目: 整形 整形役1人(手順・頻度・最初の一歩 に翻訳) 成果物=「明日の行動」 観察 発散と実装設計を同じ議論でやらせると両方が中途半端になった。「発散+審査の3人」→「通過 案だけを整形役1人が実行設計」の2段に分けて安定した 定石 創発の議論と、実行の設計は、別のフェーズ・別の組成でやる 第4講 目的別パターンカタログ / 目的E 実行に落とす
H E AT S H E E T 組み合わせ表 — 状況からレシピを引く 状況 推奨レシピ 日常の相談 パターン不要。1人で聞く(コストを常に意識) 週次の計画 A-1 批判サイクル1周だけ 月次・お金が絡む判断 A-2 4フェーズをフル ネタ切れ・行き詰まり B-1 独立並列 → 翌日C-1 反転で別方向を掘る 「全部どこかで見た」病 C-2 異質衝突 か C-3 専門知移植(飛距離狙い) 大きな決断の前夜 D-3 プレモーテム → D-1 war-game アイデアはあるが動けない E 2段ロケットの2段目だけ実行(整形役に翻訳させる) 第4講 目的別パターンカタログ
T E R N C ATA L O G カタログの限界と、あなたの実験ノート ここに書いた「観察」はn=1の実験と実運用の記録。あなたのテーマ・あなたの組成では違う結果が出得る。だからカタログの正し い使い方は—— 1 目的から選ぶ パターンを目的別に引く 2 型なしと比較する 同じお題で比較(実験の基本 作法) 3 観察を1行残す 結果と気づきを自分の実験ノ ートへ 4 自分用を育てる 自分のチートシートに昇格さ せる パターンは規則ではなく語彙。設計は毎回「いま何を高めたいか」から始める 第4講 目的別パターンカタログ
U M M A R Y 第4講のまとめ 1 1回の議論で買える性質は1つ。目的(深める/発散/独創/検証/実行)から 逆引きする 2 独創は「お願い」ではなく「枠の操作」で出す(反転・異質衝突・移植)。検 証は敵に勝利条件を与える 3 創発と実行は2段ロケットで分離する。カタログは語彙であり、最後は自分の 実験ノートが正 第4講 目的別パターンカタログ
E A R N I N G L O O P 「記録が溜まる」と「賢くなる」は別のこと よくある姿 — ログ倉庫 毎日の記録がlogs/に溜まり続ける。だが CLAUDE.mdは1年前と同じ。判断は1年前と同じ 精度 目指す姿 — 学習ループ 記録から基準が抽出され、事実の層に還元され る。半年前には出せなかった判断が、今は出せ る 差は「記録する」ことではなく、記録を読み返して抽象化し、また使う場所に戻す 仕組みの有無 第5講 学習ループの工学
E A R N I N G L O O P 学習ループの4段階 — 閉じて初めてループになる ① 記録 行動と結果を残す ② 抽出 共通パターンを見出す ③ 昇格 事実の層に基準として書く ④ 適用 次の判断で実際に参照される ④の結果がまた①に記録される — これが閉じて初めて「ループ」。多くのチームは①で止まっ ている(②〜④が存在しない) 第5講 学習ループの工学
E A R N I N G L O O P 記録役(reflector)— 議論に参加しない専任の観察者 視点役A 視点役B 記録役 議論そのものを見て学びを書く — 視点役は自分の発言に必死で、議論全体を俯瞰できない。当事者性が学 習を妨げる(第2講の分割原理②情報の分離そのもの) — 記録役の問い: 「今日の議論で、次回に活かせる判断基準は何か」「毎 回同じ失敗パターンはないか」 — 成果物は感想文ではなく、事実の層に足せる1〜3行の候補。「〜のとき は〜する」の形 第5講 学習ループの工学
E A R N I N G L O O P 抽出の作法 — 1回の失敗ではなく「3回同じ」を待つ 悪い抽出(過剰反応) 1回のミスで「今後は絶対に◯◯するな」と強い 禁止をCLAUDE.mdに追加 → ルールが積み重な り、読むだけで疲れる長文になる 良い抽出(パターン確認) 同種の失敗が3回記録に出てから、共通の条件を 1行の基準に一般化して事実の層に追加 1回性のミスと構造的な弱点を区別する。記録役の役割は「まだ基準にするな、様子を見よう」と止 めることも含む 第5講 学習ループの工学
E A R N I N G L O O P 昇格 — どこに書くかは第1講の4層に従う 昇格先の層 例 事実の層 investment-philosophy.md に「決算跨ぎのポジションは縮小する」を追記(最 も多いケース) 手順の層 毎回同じ抜け漏れが起きる工程がある → スキルの手順自体に確認ステップを 追加 命令の層 ごく稀。「これを破ると致命的」レベルの学びだけがCLAUDE.mdに1行昇格 第5講 学習ループの工学 学習ループは第1講の「事実の層を育てる」を、時間軸で回す仕組みに具体化したもの
E A R N I N G L O O P 最重要の学習対象は「あなたの選抜基準」 B-1(独立並列)で5案出て、あなたが1つ選ぶ。その選び方こそが、まだどこにも書かれていない「あ なたの好み」というデータ。選んだ理由を一言記録するだけで、次回の審査役・まとめ役に渡せる基準 になる 選んだだけで終わる 5案から1つ選んで採用 理由は頭の中にしかない 次回また同じ5案から選び直す羽目に 理由を記録する 「Bを選んだ。理由: 初期費用が低く、撤退 しやすいから」と一言残す 事実の層に「撤退しやすさを優先する」が 基準として育つ 次回、審査役がその基準で先に絞り込める 第5講 学習ループの工学 — — — — — —
E A R N I N G L O O P 過学習という罠 — 基準は増やすだけでは劣化する — 基準がN個を超えると、互いに矛盾するものが混ざり、AIはどれを優先すべきか迷い始める。「賢く なる」つもりが「一貫性を失う」に転じる分岐点がある 定期棚卸し 月1回、基準リストを読み返し「まだ有効か」を 問う。状況が変わって無効化した基準は消す 上位概念への統合 似た基準3つを、1つの一般原則に統合して数を 減らす。第1講「読ませる量は有限資源」の応用 第5講 学習ループの工学
U M M A R Y 第5講のまとめ 1 記録は学習ではない。「記録→抽出→昇格→適用」が閉じて初めてループにな る 2 記録役は議論に参加しない専任に。抽出は「3回同じ」を待ってから一般化す る 3 最重要の学習対象は「あなたの選抜基準」。基準は月次で棚卸しし、増やしす ぎない 第5講 学習ループの工学
P E R AT I O N S 観察 — 作った直後は元気、3ヶ月後には静かに死んでいる 複数のチームを立てた直後は使う。だが3ヶ月経つと、気づけば半分が呼ばれていない。壊れたのでは なく、忘れられただけ。エラーも出ないので発覚が遅れる 作った直後 毎日のように召喚される 基準が新鮮で判断が速い 本人も熱量がある 3ヶ月後 他の優先事項に押され、呼ばれなくなる 呼ばないので学習ループも止まる エラーは出ない。ただ「静かに」使われな くなる 第6講 組織運営の工学 — — — — — —
P E R AT I O N S チームが忘れられる3つの死因 死因 中身 対策 トリガー任せ 「気が向いたら呼ぶ」設計。忙しい時期ほ ど呼ばれない 時間割(対策①) 完了の定義なし プロジェクト型チームが終わる条件を持た ず、居座り続ける 完了の定義(対策②) 検出が人力 「動いているか」の確認自体が手間で、確 認すら忘れられる 検出の仕組み化(対策③) 第6講 組織運営の工学
P E R AT I O N S 対策① 時間割 — 「気が向いたら」を仕組みで潰す 頻度 例 設計のコツ 毎日 日課的な壁打ち・その日の優先度確認 軽いものだけ。重い議論を毎日は続か ない 毎週 週次振り返り(4フェーズ議論など) 曜日と時刻を固定。「日曜20時」まで 決める 毎月 基準の棚卸し・チーム全体の健全性チェッ ク 第5・6講の点検をまとめてこの回でや る イベント駆動 決算発表・大きな意思決定の前 「起きたら必ず」を手順書に明記して おく 第6講 組織運営の工学 時間割自体を手順の層(スキル)に書く。「毎週日曜20時に/weekly-reviewを走らせる」まで含めて設計
P E R AT I O N S 対策② 完了の定義 — 「終わり」を先に書く 常設チームと違い、期限のあるプロジェクト型チーム(第2講「解散・横串」)は終わらせる基準がな いと永遠に居座る。作成時に「何が起きたら畳むか」を書いておく 悪い例 「新規事業を検討するチーム」— 検討はいつま でも続けられる。畳む条件が存在しない 良い例 「3案を比較レポートにまとめたら解散」「8月 末までに結論が出なければ一旦解散し、素材だ け事実の層に残す」 第6講 組織運営の工学
P E R AT I O N S 対策③ 検出の仕組み化 — 「動いているか」を人力で確認しない 共有ノート ハブ(第1講) 最終更新日を記載 各チームが1行で 月次棚卸しで一覧 止まっている行を発見 共有ノート(第1講のハブ)に「チームA: 最終稼働 6/2」のように1行記録させておくだけで、月次棚 卸し(第5講)のときに止まっているチームが一覧で見える。「休眠」と「未記帳」(第2講ライフサ イクル)を区別する具体策 第6講 組織運営の工学
U M M A R Y 第6講のまとめ 1 チームはエラーを出さずに静かに忘れられる。死因は「トリガー任せ」「完了 の定義なし」「検出が人力」の3つ 2 時間割は手順の層に書き、召喚を仕組みにする。プロジェクト型は畳む条件を 最初に書く 3 最終更新日を共有ノートに1行記録するだけで、月次棚卸しが可能になる 第6講 組織運営の工学
E C A P 全体像の再確認 — 4つの設計領域はつながっている ① 大局観 4層のテキスト組織 ② 組成 誰を置くか ③④ 議論設計 5レバー・パターン ⑤ 学習 記録を賢さへ ⑥ 運用 回り続ける仕組み 組成とインタラクション(第2〜4講)が「議論の質」を決め、学習と運用(第5〜6講)が「時間が 経っても質が落ちない」ことを保証する。土台はすべて第1講の4層構造 第7講 Tips大全と修了課題