Upgrade to Pro
— share decks privately, control downloads, hide ads and more …
Speaker Deck
Features
Speaker Deck
PRO
Sign in
Sign up for free
Search
Search
スクリーニング評価の注意点
Search
funain
December 28, 2022
Education
910
0
Share
Embed
Copy iframe code
Copy JS code
Copy link
Start on current slide
スクリーニング評価の注意点
スクリーニングを評価する際に考慮しないといけないバイアスについて紹介します。
funain
December 28, 2022
More Decks by funain
See All by funain
第3回 クイズ大会 問題
funain
0
140
第3回 クイズ大会 解答
funain
0
140
第2回 クイズ大会 問題
funain
0
210
第2回 クイズ大会 解答
funain
0
170
2023年度にやりたいこと(めぐろLT会 #2)
funain
0
610
第1回 クイズ大会 問題
funain
0
2.4k
第1回 クイズ大会 解答
funain
0
320
フェアな比較を崩すもの ~交絡と効果修飾~ / Confounding EffectModification
funain
1
640
確率分布の紹介
funain
0
1k
Other Decks in Education
See All in Education
2026年度春学期 統計学 第4回 データを「分布」で見る (2026. 4. 30)
akiraasano
PRO
0
130
The Lotus and the Frog
vyadav
0
110
Πλουτοκρατία: Η Τυραννία του Μαμμωνά και η Μεταανθρώπινη Δουλεία
amethyst1
0
260
[2026前期火5] 論理学(京都大学文学部 前期 第3回)「形式言語と四つのキーワード:メタ・構成・意味論・ハーモニー」
yatabe
0
530
Data Management and Analytics Specialisation
signer
PRO
0
1.8k
コミュニティを通じた_キャリア設計のススメ_20260424.pdf
masakiokuda
0
320
教育現場から見た Ruby on Rails
yasslab
PRO
0
170
Lectura 2 (PIT : Python Basico)
robintux
0
350
【セーフィー】テクニカルライティング&コミュニケーション実践講座(26新卒エンジニア向け研修資料)
ymzaki_m4
0
210
勾配ブースティングと決定木の話 / gradient boosting and decision trees
kaityo256
PRO
6
1.3k
現場最前線から教えるデータサイエンス1 -ITベンダーにおけるデータサイエンティスト-
hidetoshikawaguchi
0
110
[2026前期火5] 論理学(京都大学文学部 前期 第4回)「 ならば(→)の導入と証明ネット」
yatabe
0
430
Featured
See All Featured
CoffeeScript is Beautiful & I Never Want to Write Plain JavaScript Again
sstephenson
162
16k
Highjacked: Video Game Concept Design
rkendrick25
PRO
1
380
A Guide to Academic Writing Using Generative AI - A Workshop
ks91
PRO
1
320
SEO for Brand Visibility & Recognition
aleyda
0
4.6k
The SEO Collaboration Effect
kristinabergwall1
1
480
Tips & Tricks on How to Get Your First Job In Tech
honzajavorek
1
540
Claude Code のすすめ
schroneko
67
230k
Heart Work Chapter 1 - Part 1
lfama
PRO
7
36k
Why You Should Never Use an ORM
jnunemaker
PRO
61
9.9k
The Psychology of Web Performance [Beyond Tellerrand 2023]
tammyeverts
49
3.5k
Fantastic passwords and where to find them - at NoRuKo
philnash
52
3.7k
Breaking role norms: Why Content Design is so much more than writing copy - Taylor Woolridge
uxyall
0
310
Transcript
スクリーニング評価の注意点 1
とあるスクリーニング利用者の声 とあるスクリーニング検査で とある疾患の診断と治療を受けたら 10年間生き延びることができました. 検査を受けずに症状が現れてから 診断と治療を受けたら 7年しか生き延びられませんでした. ⇒ スクリーニングは 3
年寿命を延ばしたので 疾患の早期発見は至高です!! 2
とあるスクリーニング利用者の声 とあるスクリーニング検査で とある疾患の診断と治療を受けたら 10年間生き延びることができました. 検査を受けずに症状が現れてから 診断と治療を受けたら 7年しか生き延びられませんでした. ⇒ スクリーニングは 3
年寿命を延ばしたので 疾患の早期発見は至高です!! 3
1. 疾患の自然経過 4
正常 前臨床期 臨床期 疾患なし 生物学的な 疾患の始まり 最初の 症状の出現 診断 治療
疾患の自然経過 (natural history) 5
正常 前臨床期 臨床期 1次予防 疾患の原因の 除去あるいは 予防接種 2次予防 スクリーニング, 検出および
早期治療 3次予防 死亡や合併症予防 のための治療 疾患なし 生物学的な 疾患の始まり 最初の 症状の出現 診断 治療 6
正常 前臨床期 臨床期 疾患なし 生物学的な 疾患の始まり 最初の 症状の出現 診断 治療
スクリーニング検査で疾患 の検出が可能となる時点 検出可能な前臨床期 : DPCP(Detectable PreClinical Phase) 7
正常 前臨床期 臨床期 疾患なし 生物学的な 疾患の始まり 最初の 症状の出現 診断 治療
スクリーニング検査の実際の早期診断 リードタイム(lead time) 8
2. スクリーニング評価関連のバイアス 9
スクリーニング評価関連のバイアス ① 選択バイアス (selection bias) ② レングスバイアス (length bias) ③
新規/既存バイアス (incidence-prevalence bias) ④ リードタイムバイアス (lead time bias) ⑤ 過剰診断バイアス (overdiagnosis bias) 10
① 選択バイアス • 受ける人々と受けない人々で特性が異なる可能性 Ex. • スクリーニングを受ける人は健康意識高い人が集まる ⇒ スクリーニングの効果と関係なく予後が良い結果 ⇒
研究デザインがRCTならば, 群間の共変量が確率的に バランスするが, RCTでないならば, 調整する必要あり 11
• スクリーニングで発見される患者は, スクリーニングの 間に発病し, 発見される患者(インターバルケース)より 予後が良い ② レングスバイアス 2回目スクリーニング 1回目スクリーニング
DPCP 12
• DPCPが長い患者の方がスクリーニングで発見しやすい • DPCPが長い患者は病気の経過が緩やかで予後が良い ⇒ スクリーニングで発見された患者とインターバル ケースを比較してはいけない • 次の新規/既存バイアスにも関連している ②
レングスバイアス 13
③ 新規/既存バイアス • スクリーニングを 2 回実施したとする • 最初に発見された患者(既存患者)と, その回では異常が なかったが
2 回目で発見された患者(新規患者)の比較 ⇒ 新規患者より既存患者の方が平均生存期間が長くなる (既存患者に長期生存者の割合が高くなるため) ⇒ スクリーニングの導入で予後が悪化したように見える ⇒ 新規患者と既存患者で比較してはいけない 14
④ リードタイムバイアス スクリーニングによる診断と治療 診断と治療 死亡 死亡 生物学的な 疾患の始まり 生物学的な 疾患の始まり
スクリー ニング群 コントロ ール群 2010 2010 2012 2022 2022 2015 15
④ リードタイムバイアス スクリーニングによる診断と治療 診断と治療 死亡 死亡 生物学的な 疾患の始まり 生物学的な 疾患の始まり
リードタイムバイアス : 3 年 スクリー ニング群 2010 2010 2012 2022 2022 2015 コントロ ール群 16
• スクリーニングの早期発見の有効性を示すには… 1. スクリーニング群の生存期間を, コントロール群の生 存期間とリードタイムを加えたもので比較する 2. スクリーニングで発見された患者の致死率を調べるの ではなく, スクリーニング群全体における疾患による
死亡率を非スクリーニング群と比較する ④ リードタイムバイアス 17
• 過剰診断は, 治療しなくても症状を起こしたり, 死亡の原因に なったりしない病気を診断すること (過剰診断の定義が異なることもあって, 検査関係者の意気込み等で誤診断(偽陽性)が 増えることという意味の場合もあるが, これは古い定義か分野の違いか?⇒最後に補足) Ex.
• 70歳以上の男性の65~100%に前立腺がんが存在する • ただし, その多くは非浸潤性のもので死因にならない ⇒症状が出てから診断された患者の方が, スクリーニングで 診断された前立腺がんの患者の方より, 悪性の割合が高くなり, そのまま比較するとバイアスが生じる ⑤ 過剰診断バイアス 18
[再掲]とあるスクリーニング利用者の声 とあるスクリーニング検査で とある疾患の診断と治療を受けたら 10年間生き延びることができました. 検査を受けずに症状が現れてから 診断と治療を受けたら 7年しか生き延びられませんでした. ⇒ スクリーニングは 3
年寿命を延ばしたので 疾患の早期発見は至高です!! 19
[再掲]スクリーニング評価関連のバイアス ① 選択バイアス (selection bias) ② レングスバイアス (length bias) ③
新規/既存バイアス (incidence-prevalence bias) ④ リードタイムバイアス (lead time bias) ⑤ 過剰診断バイアス (overdiagnosis bias) 20
• Gordis(著), 木原ら(翻訳),『疫学 -医学的研究と実践のサイエンス』第18章 • Szklo and Nieto(著),『アドバンスト分析疫学 369の図表で読み解く疫学的推論の論理と数理 』の第4章
• 名取宏, NATROMのブログ『「過剰診断」の定義の違いを認識しよう』 • https://natrom.hatenablog.com/entry/2022/03/30/110000 • 坂本,『過剰診断(overdiagnosis)の定義と過剰手術(oversurgery)/過剰治療(overtreatment)の用 法:病理医と疫学者の見解の差異』 • https://www.jstage.jst.go.jp/article/jaesjsts/38/4/38_265/_pdf/-char/ja • 祖父江友孝,『検診の効果とバイアス』 • http://www.haigan.gr.jp/journal/full/043071013.pdf 参考文献 21
• Gordisの方のテキストでは誤診断の方の定義になっていて, Szklo and Nietoでは死因になら ない方の定義になっている. • 名取宏, NATROMのブログ『「過剰診断」の定義の違いを認識しよう』では,坂本『過剰 診断(overdiagnosis)の定義と過剰手術(oversurgery)/過剰治療(overtreatment)の用
法:病理医と疫学者の見解の差異』を引用して, 疫学と病理の違いとしている. • 祖父江友孝『検診の効果とバイアス』では定義が変わってきているとしている. [補足] 過剰診断の定義の違い 22