$30 off During Our Annual Pro Sale. View Details »
Speaker Deck
Features
Speaker Deck
PRO
Sign in
Sign up for free
Search
Search
フェアな比較を崩すもの ~交絡と効果修飾~ / Confounding EffectModif...
Search
funain
March 20, 2021
Education
1
470
フェアな比較を崩すもの ~交絡と効果修飾~ / Confounding EffectModification
交絡と効果修飾と傾向スコアと何かを, 簡単な例を用いて説明するスライド.
funain
March 20, 2021
Tweet
Share
More Decks by funain
See All by funain
第3回 クイズ大会 問題
funain
0
57
第3回 クイズ大会 解答
funain
0
49
第2回 クイズ大会 問題
funain
0
110
第2回 クイズ大会 解答
funain
0
99
2023年度にやりたいこと(めぐろLT会 #2)
funain
0
490
スクリーニング評価の注意点
funain
0
680
第1回 クイズ大会 問題
funain
0
660
第1回 クイズ大会 解答
funain
0
220
確率分布の紹介
funain
0
710
Other Decks in Education
See All in Education
Repaso electricidade e electrónica
irocho
0
200
RSJ2024学術ランチョンセミナー「若手・中堅による国際化リーダーシップに向けて」資料 (河原塚)
haraduka
0
220
横浜国立大学大学院 国際社会科学府 経営学専攻博士課程前期(社会人専修コース)_在校生体験談
miki_small_pin
0
720
Kaggle 班ができるまで
abap34
1
200
勉強する必要ある?
mineo_matsuya
2
1.9k
Ch2_-_Partie_2.pdf
bernhardsvt
0
110
1127
cbtlibrary
0
160
20241002_Copilotって何?+Power_AutomateのCopilot
ponponmikankan
1
170
アニメに学ぶチームの多様性とコンピテンシー
terahide
0
260
"数学" をプログラミングしてもらう際に気をつけていること / Key Considerations When Programming "Mathematics"
guvalif
0
580
20240810_ワンオペ社内勉強会のノウハウ
ponponmikankan
2
900
Human Perception and Cognition - Lecture 4 - Human-Computer Interaction (1023841ANR)
signer
PRO
0
720
Featured
See All Featured
Code Reviewing Like a Champion
maltzj
520
39k
The Art of Delivering Value - GDevCon NA Keynote
reverentgeek
8
1.2k
Easily Structure & Communicate Ideas using Wireframe
afnizarnur
191
16k
Product Roadmaps are Hard
iamctodd
PRO
49
11k
Exploring the Power of Turbo Streams & Action Cable | RailsConf2023
kevinliebholz
27
4.3k
BBQ
matthewcrist
85
9.3k
Large-scale JavaScript Application Architecture
addyosmani
510
110k
Learning to Love Humans: Emotional Interface Design
aarron
273
40k
Understanding Cognitive Biases in Performance Measurement
bluesmoon
26
1.4k
Put a Button on it: Removing Barriers to Going Fast.
kastner
59
3.6k
Agile that works and the tools we love
rasmusluckow
327
21k
Helping Users Find Their Own Way: Creating Modern Search Experiences
danielanewman
29
2.3k
Transcript
フェアな比較を崩すもの ~交絡と効果修飾~ 2021/03/20 1
伝えたいこと ◼分析とは, フェアな条件での比較である ◼交絡や効果修飾があるとフェアな比較が崩れる ◼傾向スコア ⇒ 共変量の分布を揃えている 2
◼ 交絡と傾向スコア 3
薬メッチャヤセールの半年間の効果の実験 試験集団:120人 • 治療群(60人):薬メッチャヤセール 平均 4kg 減少 • 対照群(60人) :プラセボ
平均 2kg 減少 ⇒薬メッチャヤセールで 2kg 減量できる!! 仮想例その1 (薬メッチャヤセールの効果) 4
薬メッチャヤセールの半年間の効果の実験 試験集団:120人 • 治療群(60人):薬メッチャヤセール 平均 4kg 減少 • 対照群(60人) :プラセボ
平均 2kg 減少 ⇒薬メッチャヤセールで 2kg 減量できる!!?? 仮想例その1 (薬メッチャヤセールの効果) 5
40 20 20 40 健康意識高い 60人 健康意識低い 60人 治療群 対照群
試験集団 実験の実態 6
40 20 20 40 治療群 対照群 • 健康意識が高い人が勝手に6kgやせただけで薬の効果は本当は無し • 治療群(60人):薬メッチャヤセール
(40*6 + 20*0) / 60 = 4 kg • 対照群(60人) :プラセボ ⇒フェアな比較でない!! (20*6 + 40*0) / 60 = 2 kg 本当の効果の計算 (神様視点) 7
交絡 8 関連あり 影響あり ?
40 20 20 40 健康意識高い 60人 健康意識低い 60人 2 3
2 3 1 3 1 3 共変量ごとの割付確率 (傾向スコア) 治療群 対照群 9
40 20 20 40 健康意識高い 60人 健康意識低い 60人 3 2
2 3 3 3 健康意識高い 60人 健康意識低い 60人 共変量ごとの割付確率の逆数で重み付け 治療群 対照群 10
健康意識高い 60人 健康意識低い 60人 健康意識高い 60人 健康意識低い 60人 共変量ごとの割付確率の逆数で重み付け •
治療群:薬メッチャヤセール (60*6 + 60*0) / 120 = 3 kg • 対照群 :プラセボ ⇒分布を揃えてフェアな比較に!! (60*6 + 60*0) / 120 = 3 kg ⇒ 3-3=0kg で薬の効果なんて無かった!! 重み付けした治療群 重み付けした対照群 11
• 試験集団の共変量と各割り付け群の共変量が確率的にバランスする (そうなっていることの確認が”Table.1”) • 健康意識以外の共変量もバランスさせる (未測定や不明の交絡因子を調整できる) 健康意識高い 60人 健康意識低い 60人
治療群 統制群 試験集団 30人 30人 30人 30人 RCTの場合 12
40 20 20 40 健康意識高い 60人 健康意識低い 60人 2 3
2 3 1 3 1 3 【再掲】共変量ごとの割付確率 (傾向スコア) 治療群 対照群 13
40 20 20 40 2 3 2 3 3 健康意識高い
60人 健康意識低い 60人 傾向スコアの逆数の重み付けで治療群に合わせることも可能 重み付けした対照群 対照群 40 20 治療群 1 3 14
◼ 効果修飾と 15
薬チョットダケヤセールの実験 試験集団:120人のRCT • 治療群(60人):平均 5.4kg 減 • 対照群(60人):平均 3kg 減
• 効果:5.4 – 3 = 2.4kg 仮想例その2 (薬チョットダケヤセールと薬カンゼンニヤセールの比較) 薬カンゼンニヤセールの実験 試験集団:120人のRCT • 治療群(60人):平均 5.8kg 減 • 対照群(60人):平均 3kg 減 • 効果:5.8 – 3 = 2.8kg ⇒ (カンゼンニ – プラセボ) – (チョットダケ – プラセボ) =2.8 – 2.4 = 0.4 kg 分, カンゼンニがチョットダケより効果が高い!! (神様視点) 本当は, チョットダケは 2 kgやせる薬で, カンゼンニは 1 kgやせる薬 ただし, 遺伝子Yがあると薬の効果は 3 倍になる 16
薬チョットダケヤセールの実験 試験集団:120人のRCT • 治療群(60人):平均 5.4kg 減 • 対照群(60人):平均 3kg 減
• 効果:5.4-3=2.4kg 仮想例その2 (薬チョットダケヤセールと薬カンゼンニヤセールの比較) 薬カンゼンニヤセールの実験 試験集団:120人のRCT • 治療群(60人):平均 5.8kg 減 • 対照群(60人):平均 3kg 減 • 効果:5.8-3=2.8kg ⇒ (カンゼンニ – プラセボ) – (チョットダケ – プラセボ) =2.8 – 2.4 = 0.4 kg 分, カンゼンニがチョットダケより効果が高い?? (神様視点) 本当は, チョットダケは 2 kgやせる薬で, カンゼンニは 1 kgやせる薬 ただし, 遺伝子Yがあると薬の効果は 3 倍になる(効果修飾) 17
効果修飾 18 RCTで 排除 影響あり 効果の大きさや 向きを変える
高い&なし 27人 低い&なし 27人 実験の実態 チョットダケの試験集団 カンゼンニの試験集団 高い&あり 3人 低い&あり
3人 高い&あり 27人 低い&あり 27人 高い&なし 3人 低い&なし 3人 • 健康意識が高い人が勝手に 6 kgやせるのは調整できているが • 薬の効果が 3 倍になる遺伝子Yがある人の割合が集団で異なった (チョットダケは 1 割, カンゼンニは 9 割) ⇒どちらもRCTだがフェアな比較でない!! 19
高い&なし 27人 低い&なし 27人 チョットダケの効果の計算 • 治療群:薬チョットダケヤセール ( 3*(6+2*3) +
3*(2*3) + 27*(6+2) + 27*2 ) / 60 = 5.4 kg • 対照群 :プラセボ ( 3*(6+2*0) + 3*(2*0) + 27*(6+0) + 27*0 ) / 60 = 3 kg ⇒ 5.4-3=2.4kg がこの集団に対する平均的な効果 チョットダケの試験集団 高い&あり 3人 低い&あり 3人 20
カンゼンニの効果の計算 • 治療群:薬カンゼンニヤセール ( 27*(6+1*3) + 27*(1*3) + 3*(6+1) +
3*1 ) / 60 = 5.8 kg • 対照群 :プラセボ ( 27*(6+0*3) + 27*(0*3) + 3*(6+0) + 3*0 ) / 60 = 3 kg ⇒ 5.8-3=2.8kg がこの集団に対する平均的な効果 カンゼンニの試験集団 高い&あり 27人 低い&あり 27人 高い&なし 3人 低い&なし 3人 21
• 両試験とも個人データ (IPD : Individual Patient dData) がある場合 ⇒ 層別や傾向スコア,
回帰で調整 • 両試験とも集計データ (AgD : Aggregate Data) しかない場合 ⇒ ナイーブ比較で2.8 – 2.4 = 0.4 kg と誤った結論を導きかねない 異質性ありでNMA(Network Meta-Analysis)もあるが • 片方の試験はIPD, 片方の試験はAgDがある場合 ⇒ PAIC(Population-Adjusted Indirect Comparison)でアプローチ 対象の集団は何か、集団の異質性はあるか意識することが超重要 試験間で共変量の分布を調整する統計手法:IPDとAgDの有無 22
伝えられなかったこと • 交絡、効果修飾、傾向スコアのしっかりした定義 • 傾向スコアの求め方、モデルの話 • 傾向スコアの別の使い方(マッチングなど) • 傾向スコアの重み付けで得られる推定量のばらつき •
傾向スコア以外の調整方法 • 効果修飾に対する具体的な処置 • その他たくさん 23
【再掲】伝えたいこと ◼分析とは, フェアな条件での比較である ◼交絡や効果修飾があるとフェアな比較が崩れる ◼傾向スコア ⇒ 共変量の分布を揃えている 24
参考資料・文献紹介 • 岩波データサイエンス刊行委員会 編『岩波データサイエンス Vol.3』 • 篠崎智大『因果推論入門:交絡とその調整』 https://www.icrweb.jp/course/view.php?id=412 • 林岳彦『因果推論の奥へ:
"What works" meets "why it works"』 https://www.slideshare.net/takehikoihayashi/what-works-meets-why-it-works- 155769980?ref=https://takehiko-i-hayashi.hatenablog.com/ • 中村知繁 『統計的因果推論とデータ解析』 https://speakerdeck.com/tomoshige_n/causal-inference-and-data-analysis • KRSK『因果推論のための3ステップ入門』 https://speakerdeck.com/koro485/yin-guo-tui-lun-falsetamefalse3sutetupuru-men • 安井翔太『効果検証入門 正しい比較のための因果推論/計量経済学の基礎』 • 中室牧子・津川友介『「原因と結果」の経済学 データから真実を見抜く思考法』 • James Robins and Miguel A. Hernan 『Causal Inference: What If』 25